グリフィンドールの片隅で   作:モチコ

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寝れないので連投。




運命の出会い?

1年生から、彼は学校中の注目を浴びていた。

 

入学してから今まで、彼らが仲間内で盛り上がる度、記事に名前が乗る度、彼が受けた罰則やクィディッチの結果まで。

誰が何のために細かい情報まで城中筒抜けにしているかはわからないが、物語の主人公であるハリーポッター、親友であるロンウィーズリー、ハーマイオニーグレンジャーはいつでもどこでも一緒だったから、恐らく目立ちやすいせいもあると思う。

 

その点私は、容姿に自信が無く、日本人気質が抜けずにルームメートとも打ち解けられず、これといった友人は居ない。女子生徒達からはあからさまな嫌がらせなどはされないし、ハーマイオニーなどは時々気にかけて声をかけてくれることもある。

 

しかしそういう時も私は、なるべく失礼の無いように対応し、一刻も早く周囲の視線から逃れたいと思ってしまうのだ。

 

優しさからの言葉であっても偽善であるように勘繰ってしまったり、外見だけでなく内面も醜くなっている自分が本当に嫌で堪らなかった。

 

自分が容姿や周囲の評価を気にしてばかりいる間に、ハリー達は賢者の石を守り、秘密の部屋の怪物を倒し、三年生の今はブラック探しに精を出している頃だろう。

 

ロンウィーズリーの肩に乗っているネズミを捕まえてしまおうか、かなり迷ったこともある。実際、五メートル位はロンの所まで近付いた。

 

「あらエロイーズ、どうかした?」

 

驚いたように声をかけてきたハーマイオニーの言葉に、ようやく我に返ったのだ。

 

その時、ハリーとロンも戸惑ったように私を見ていた。そりゃそうだろう。普段は会話もしない女子生徒が、彼らのお気に入りの場所である暖炉近くまで無言で近寄って来たのだ。

 

しかも、この三人で最も関わりが無いのはロンウィーズリーである。

 

 

流石にその時は恥ずかしさと愚かさでいつも以上に顔を真っ赤にして走り去ることしかできなかった。

 

 

 

実は言うと私は、ハリーポッターが大好きだ。

原作を読んでいた頃から、チョウやジニーが羨ましかった。王道の主人公過ぎるハリーを射止める、美しくて強い女性。

 

面食いなハリー、でも分け隔てなく愛情深い男の子。

ジェームズとリリーのまさに良いとこ取り。

 

同級生として、しかも同じグリフィンドール生として過ごせるとは思わなかった。

彼は私の容姿を面と向かって揶揄することもなかったし、目が合ってもあからさまに反らしたり避けたりしなかった。

 

かといって、挨拶や雑談を交わす程仲が良いわけではなかった。

 

少し無鉄砲だけど、謙虚で素直。ロン含むルームメート達とバカ騒ぎをしているときは、年相応の健全な少年だった。

 

友達もいない私は、ハリーと仲良く過ごすハーマイオニーを羨ましく思いながら、けれど自分からハリーに話しかけることも出来ずに過ごしていた。

 

 

このまま、エロイーズミジョンとして、周囲に疎まれつつ、モブとして彼らの冒険を見守っていくのだと、少し残念に思いながらも、ある程度は納得していたのだ。

 

 

それが覆ったのは、二年生の時。

 

ハリーが、スリザリンの継承者なのではないかと、学校中がその噂で持ちきりになっていた。

もちろん私は犯人がハリーではないことも、この誤解はいずれ解けることも知っていた。

だからこそ傍観していたのだが、

 

「キミも僕が怖いんだろう?さっさと出ていけば良いよ!僕を怒らせると蛇をけしかけてしまうかもしれないし!」

 

 

明らかに怒った様子で、談話室にたまたま一人残された私に振り絞るように声をかけてきたのは、ハリー本人だった。

 

何があったのか、今の噂が相当堪えているらしい。

普段は温和な彼が、ひどく悲しく歪んだ目で私を見て、普段の私のように人を寄せ付けようとしないオーラを放っている。

 

突然怒鳴られたことに関しては、完全にとばっちりだったのだが、いきなり主人公であるハリーに話しかけられたことで、いつもの対応方法がわからなくなっていたのだと思う。

 

モブであるはずの私は、あろうことか前世で日本女性だったときの記憶を元に会話してしまっていた。

 

 

「……私は、ハリーポッターが誤解されてるだけって知ってる。…蛇と話せるから、特別なの?私だってふくろうと話せるよ、多分…」

 

「…………あー、うん…」

 

「………私、なんか、変なこと…言ったかも…」

 

「いや…ごめん、こっちこそ急に怒鳴ったりして」

 

「ウィーズリーやハーマイオニー以外にも、貴方を信じてる人、沢山居ると思うけど。……わざわざ伝えたりはしないだろうね、この状況なら」

 

話している内、どんどん緊張してしまって、この場から逃げたくなってくる。

 

私今、どんな顔をしてる?二年生なんてまだ子供同士だけど、それでもやっぱり…

 

「エロイーズ…だよね?本当にごめん。そんなこと、言ってくれると思わなかったよ。あー…、えっと、ありがとう。」

 

真っ直ぐ私の目を見て、さっきとはまるで違う人懐っこい瞳で、少し照れたように微笑んで答えるハリー。

 

私も同じく微笑もうとして、分厚い眼鏡や下ろした髪の毛が邪魔をして、失敗した。

 

一瞬の間の後、もう一度ニコッとして男子寮へ駆けていった彼。

 

あまりにも主人公らしく、素直で明るい普段のハリーが戻って来たような気がした。そして何より、物語の主人公としてではなく、同級生として。

彼に恋をしてしまったような、気がするのだ。

 

 

 

((現実の主人公パワー、色々すごい…))

 

 

 

 

 




ハリー、無自覚人たらしの巻。

*誤字直しました。
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