至らないところもありますが、頑張っていきます…
二年生のときに起こった、彼とのほんの一瞬の会話で、私は今まで以上に主要人物達の動向を気にかけるようになった。
もちろん、原作通りに進んでいるかの確認が大前提だけど、それ以上にハリーが気になってしまうから、ということも伝えておきたい。
まだ12かそこらの男の子に何言ってんだと思われるかも知れないが、海外男子は12歳でもかなり立派に成長しているものなのだ。
クィディッチ選手としての活躍も目覚ましく、真紅のユニフォームを着てチームメイトと談笑する姿は、学校中のあちこちから憧れの目で見られていることも多々ある。
しかし、彼は恐ろしいほど鈍感らしく、もしくは注目されることに慣れてしまっているのか、自分が同年代や年下の世代からどれだけ羨望の対象になっているか全く理解していないらしい。
ハーマイオニー辺りは気付いているが、生活に支障が出ないのであれば、本人へ伝える気は無いのだろう。
ハーマイオニーは親友として側に居ること、後にロンウィーズリーと結婚することを知っている私は、嫉妬するほどの感情は無い。羨ましいけど。
他の女子生徒は違うらしい。何故グリフィンドールの女子生徒より、ハリー達と過ごすのか。ハリーが有名で人気だから、自分も目立ちたいんだとか、独り占めしたいんだとか色々。
普段は話し掛けても来ないのに、こういう時だけは私にも同調するように会話に参加させようとする。
私はハーマイオニーよりジニーウィーズリーの方が、やはり気になってしまう。去年までは私のように、ハリーにはほとんど話し掛けられず、顔を真っ赤にして(私はニキビのせいで常に真っ赤だけど)逃げてしまう姿が多かった。
それがどうだろう。最近はハーマイオニーと共にハリーやロンと四人で過ごす時間も増えている気がする。
そうか、こうして彼女はハリーと親睦を深めていたのだなと、原作には描写されていない「日常」の強みを感じている。羨ましさしかない。
そして、今の私の現状はというと。
「お、おはよ。練習、頑張って。」
「やぁ。ありがとう。」
ふくろう小屋で時折遭遇するハリーに、挨拶程度の会話を自分からするので精一杯だ。
最初の内は驚いていたハリーも、ふくろう小屋に通い詰める(人間よりふくろうと過ごす方が安心するのだ)私が、自分のふくろうであるヘドウィグとも友好な関係を築いていると知ったらしい。
普段の関わりはゼロに等しいが、特に警戒する必要も無いと思ったのだろう。時折、ほんの時折だが、挨拶以上の会話も振ってくれるときがある。
「ふくろう小屋、寒くない?君、いつも見かける気がするよ。」
単純な興味だろう。今の質問にどう答えるのが無難かを必死に考えていると、
「ヘドウィグなんか、僕より君に懐いてるんじゃないか?男の僕より、同じ女の子の方が好きなんだよ、きっと…」
ヘドウィグを撫でながら、わざと寂しそうに話すハリー。雪のように美しい彼のふくろうに、特別な愛情を持って接してしまっていることは否定できない。
「…とっても、綺麗なふくろうだわ。貴方が羨ましいくらい。」
本当は、彼が気にかけ、大切にしているヘドウィグの方が羨ましいことは、黙っておこう。
「ハグリットが出会わせてくれたんだ…。幸運だったと思うよ、僕もね。」
にっこり笑ってヘドウィグをひとしきり可愛がった後、ふくろう用のおやつを置いて彼は去っていった。
ふくろう小屋はあまり人も居ないし、ほとんど二人きりのため、周囲の視線から逃れられるのはとてもありがたかった。彼はきっと、談話室で私が同じ事をしても同じ様な態度だろう。けれど、私にはそれをする勇気が無い。
寮生の驚きの視線、関わりがあったことなど誰も知らないのだから、ある程度の意外性をもって語られてしまうのがわかっているから。
恋をしたのだ。
私がいくら醜くても、憧れの目で見るくらい、時々二人で話すくらい、誰にも知られないようにしているのだから、許してほしい。
無謀な片想い。そんなことわかっている。彼は今後、沢山の人と出会い、多くの別れに傷付き、それでも立ち上がり、戦い続けるのだ。
この世界の結末を知る異物である私とは、極力関わらない方が良い。
主人公を支えるヒロインは、私ではない。私ではないことを、何より自分がよく知っている。
だからこそ、今この瞬間を、原作には描写されていない日常のささやかな交流を、心の底から大切にしたいと思うのだ。
うちのハリー君、爆イケに成長してほしい。
*誤字直しました。