ラベンダーブラウンの一言が、大広間で朝食を取るグリフィンドール生に瞬く間に伝染した。
いわゆる、「アナタの好きなタイプは?」
というとてもありふれた質問である。
彼女はハーマイオニーに質問した。
しかし、ウィーズリーの双子が面白がり、全寮生に広げて回ったのだ。
もちろん、ロンもハリーも答えさせられていた。
ロンは、「おしとやかな子」
ハリーは、「信頼できる子」
ハーマイオニーは、「…わからないわ」
とのこと。
ちなみにグリフィンドールの中でも特に目立つこの三人組の解答はとても注目されていた。
ロンのタイプはハーマイオニーに当てはまらないけど、ハリーはハーマイオニーがタイプってこと?
など、憶測が憶測を呼び、夕方頃には
「ハリーはハーマイオニーに片想い、ハーマイオニーはロンかハリーか迷ってる」
などという明らかにくだらない噂が確信めいた評判として広がってしまうこととなる。
今日も今日とて、私はふくろう小屋でのんびりと過ごしている。ひんやりした空気と、ふくろう達の羽音や鳴き声だけが響く場所。
最近彼は来ない。ブラックの件で、あまり手紙は出さないように言われているのだろう。
その分、ハーマイオニーが来ることが増えた気がする。
「あら。エロイーズ?本当に居るのね…」
「え、うん…」
「あ、違うの。ハリーがね、ふくろう小屋に行くと、毎回エロイーズに会うって言ってて。」
「…………」
「ほら、貴女って寮であまり見掛けないし、親しくしてる人も知らないし…謎っていうか…」
「謎……」
「まぁ、別に無理して仲良くする必要は無いわ。私も、一年中くだらない噂ばかりする子達と過ごすのはうんざりだもの。」
「あぁ…ハーマイオニーは、特にね…」
そう言うと、少し顔を赤くした彼女。
「私が男好きとか、弄んでるとか、いい加減にしてほしいわ!…最初に仲良くなれたのがハリーとロンだっただけなの。男の子とかそういうの関係なく、」
「……わかってるけど、皆羨ましいんだよ、きっと。」
「ど、どういうこと?」
「貴女達の、友情?っていうか、絆みたいな」
驚いたようなハーマイオニーは、じっと私の顔を見つめる。
「そんなの、親しければ誰でもあるでしょう…?」
「……そう?賢者の石を守ったり、秘密の部屋を調べたり…話題になること全て、三人で乗り越えてきてる」
「それは……」
「私達みたいな一般生徒からすると、すごく羨ましいのよ。だから、勝手にあれこれ言いたくなる。
…悪気は無いと思うし、だからこそ気にする必要も無いんじゃない?」
ホー、と近くに来たヘドウィグが鳴く。ハーマイオニーに気付いたのだろう。
ヘドウィグを撫で、少し考えたように沈黙した彼女は、すぐに顔をあげて脚に手紙をくくりつけた。
「…お願いね、ヘドウィグ。」
ハリーの代わりに手紙を出しに来たらしい。
彼女の指を甘噛みし、颯爽と飛び立った真っ白いふくろう。
「気にしてなんか、いないけど…」
翼を広げてどんどん遠くへ行く姿を見ながら、ハーマイオニーがポツンと呟いた。
「エロイーズ、貴女って少し…変わってるのね」
変わってる、って、褒め言葉では無さそうだ。
彼女が立ち去ってから、お節介に色々と慰めようとしたことに後悔していた私は、この後、例の三人組の中でどのような会話がされているかなど予想も出来ていなかったのだ。
ハーマイオニー「ハリー、貴方ズルいわよ」
ハリー「手紙ありがとう……って、何のこと?」
ハーマイオニー「あの子、すごく優しいのね」
ハリー「あぁ、エロイーズ?…だいぶ前から知ってたけど」
ロン「エロイーズ…って、あのニキビ面!?」
ハーマイオニー「ロン、今度あの子を馬鹿にしたら絶交だからね」
ロン「おいおいどうしたなにが」
ハーマイオニー「ねぇハリー、いつからあの子と」
ハリー「もういいから、夜ご飯行こうよ…」