IS Infinite Stratos 《炎翼》の輝き   作:クレイモア地雷

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前話に致命的なものを入れ忘れていました。最終文です。

よろしかったら見返してみてください。ごめんなさい

そして今回雪村がかなりクズです。ご注意ください…


Ver.9 挫折と奮起/感動と喜び

手が、冷える。

 

身体中の血液が、脳に集うのを感じる。

 

セシリア・オルコットはかつてないほどの激情に襲われていた。

 

 

「こ、の...男風情がァァァァァァ!!!」

 

 

レーザーライフルを乱射し、いつもの彼女の戦闘スタイルからは想像できない程の勢いで弾をぶち込んでいく。瞬時加速(イグニッションブースト)をかけ、雪村の位置に蹴りを叩き込む。

 

しかし雪村は何でもないかのようにそれを躱すと、大きすぎる隙を見せた彼女に≪炎翼≫を...

 

振るわないで逃げた。

 

舐められている?このわたくしが?何の力も持たない男風情に?高貴なるオルコット家の当主であるこのわたくしに向かって?ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな!

 

 

「雪村ァァァァァァ!!!」

 

 

そこに雪村からの個人間秘匿回線(プライベート・チャンネル)が飛んでくる。

 

 

「おーおー、荒れてんねぇ。ノブレスオブリージュとは何だったのさ」

 

 

怒髪冠を衝く、と言う言葉がある。それはまさに今の彼女を指していた。

 

 

「ゆ”き”む”ら”ぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ。何で今そんなに怒っているのさ。」

 

 

セシリアの思考が、止まった。

 

 

「今は戦闘中だよ、余所見すんなや」

 

 

静止した彼女の背中に容赦なくアサルトライフルの弾丸をぶち込む。

 

 

それは全弾命中し、シールドエネルギーが減少した。

 

 

 

 

 

何で...何でわたくしは怒っているのか?

 

 

簡単だ。男風情に馬鹿にされたからだ。

 

 

「違うでしょ。嘘つくんじゃないよ。」

 

 

簡単だ。オルコット家の誇りを貶されたからだ。

 

 

「それも違う。そんなこと俺が一度でも言ったか?」

 

 

簡単だ。わたくしの故郷であるイギリスを貶されたからだ。

 

 

「違うっつってんだろ。そんなこと俺は一回も言ってないでしょうが」

 

 

じゃあ何が。何がこのわたくしをここまで怒らせたのか...?

 

 

「何でそれを今現在敵である俺に求めんのさ。自分で考えろよ馬鹿」

 

 

じゃあ何が...何が...何が...?

 

 

 

 

 

 

 

 

焦りは自分の感情を狂わす。

 

 

いつしかセシリアは迷子になったか弱き子どものように顔を歪め、今にも泣きだしそうな顔をしていた。

 

 

それを見る雪村の顔はつまらなそうな、まぁ高望みした俺が悪いか。といった顔。

 

 

最後のチャンスだ。とばかりに言葉をポロっと零す。

 

 

「俺の発言を思い返してみろよ」

 

 

発言...?

 

 

 

 

 

そして、そして彼女は否が応にも気づかされて、いや、気づいてしまった。

 

 

 

自分がひたすら目を背けていた、蓋をしていた、もう取り返しのつかない過去に。

 

 

 

本当にお前の父親は、かっこよくなかったのか?いやもっと単純だ。

 

 

 

そうか。そういうことだったのか。

 

 

 

 

自分でも驚くほど簡単に、腑に落ちた。

 

 

 

 

「お前はただ、認めて欲しかったんだよな。もっとしゃべりたかったんだよな。お前のお父さんとお母さんと三人でさ」

 

 

 

 

 

 

現実は非情だ。一秒だって待ってくれない。何であの時自分は両親に言っておかなかったんだろうか。いつもありがとうと。大好きと。何で。何で。

 

 

セシリアは小鹿のように震え、膝を折り、深くうつむいてしまった。

 

 

漸く気づいたのだ。あの時の自分の愚かさに。一番大切なものを失い、そのことに気づかず、その気持ちに蓋をし、十五年生きてきた自分の過ちに。

 

 

その罪の意識は、重みは(自縄自縛)、十五年という歳月には、到底支える事など不可能だった。

 

 

セシリア・オルコットの意志は、今、完全に、潰えて、

 

 

 

 

 

 

 

―――――今を生きなさい、セシリア

 

 

 

 

 

 

その声は男性にも、女性にも、あるいは機械の声にも、もしかしたら自分の声のようにも聞こえた。

 

 

 

その声が誰なのかは分からない。きっと世界最強(ブリュンヒルデ)にも天才(天災)にも、あるいは超能力者にすら分からないのだろう。

 

 

 

そんなことはどうでもよかった。ただ一言、自分を助けてくれた声に感謝し、彼女は再び立ち上がった。

 

 

 

―――――その眼から何よりも熱い、一筋の青い雫を流して。

 

 

 

 

 

 

 

 

雪村悠一は落胆していた。人間なんてこんなもんだ。人なんて一声かけりゃすぐに壊れてしまう。

 

 

彼女にカウンセラーを送んなきゃなぁ。そんなくだらない戯言を呟きながら、織斑がいるであろうAピットに個人間秘匿回線(プライベート・チャンネル)を繋いで謝罪を送る。

 

 

「あー、織斑?悪いな、男の約束破ることになっちまって」

 

 

そう言いながら雪村は手持ちの特殊アサルトライフルに≪炎翼≫のエネルギーを注ぎこんでゆく。せめて一撃で仕留めてやろう、そんな気持ちで。

 

 

しかし、帰ってきた声は若い女性(最強)の声だった。

 

 

「ほう、雪村。お前はあれが心折れた敗者だとでも言うのか。だとしたら私は貴様の目は、

 

 

 

―――――節穴にも程があるぞ」

 

 

 

 

 

それに気づけたのは「超能力者」としての勘だったのだろうか。音もなく瞬時加速(イグニッションブースト)をかけてきたセシリア・オルコットに対し、直感的に自身の片刃の大剣を打ち合わせ、更に≪炎翼≫二振り分のエネルギーを注ぎこんでやっと相殺できた代物。

 

 

 

爆速でぶっ飛んできた彼女の手には接近戦闘用のショートブレード、インターセプター。それを構え、彼女は彼を好戦的な表情で見つめる。その眼に凄まじいまでの光を灯して。

 

 

 

 

 

 

雪村悠一は笑っていた。人間の無限の可能性に心を躍らせ。

 

 

 

セシリア・オルコットも笑っていた。自分の忘れ物に気づかせてくれた相手に対して。

 

 

 

「お待たせいたしました。悠一さん。遅れた淑女にお許しを」

 

 

 

「何言ってんのさセシリア。紳士は待つのが努めだよ」

 

 

 

 

 

一呼吸つき、雪村悠一は簡潔に宣言する。

 

 

 

「今から()()()()、出すからな」

 

 

 

 

 

対してセシリア・オルコットも宣言する。

 

 

 

「さあ、踊りなさい。わたくしセシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




改行くどかったですかね。一応スローの演出です。

あと一話くらいセシリア戦続きます




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