IS Infinite Stratos 《炎翼》の輝き   作:クレイモア地雷

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意外とクソ回


Ver.12 呑気と煉獄/兎印の侵入者

 

さて、急だろうが今現在俺はドイツにいる。今日は平日、学校では前回中断されてしまった織斑対セシリア・オルコットの試合が始まろうとしている真っ最中だろう。なぜ俺がわざわざバレる危険性を推してまでこんなところに来ているのかって?

 

それは勿論邪悪なファッションおばけこと兎さんからのおつかい命令で、ビールを買ってこいとのことだった。うん、間違ってはいない。ただしそのついでにとある研究所をぶっ壊してこいとの言われただけで。後なるべく被害は甚大に、だそうだ。

 

 

「お邪魔しまーす!!」とばかりに見た目普通のビルの玄関を、≪炎翼≫をゼロコンマ何秒だけ展開し「破壊」を使って消し飛ばす。勿論顔は誤魔化しているさ。

 

 

思っていた通り中に人はいなかった。どうやらここは当の昔に潰された遺伝子強化試験体(アドバンスド)の男の子バージョンを再始動したいらしい。懲りずによくやるねぇ。ま、そんなにも男性IS操縦者が欲しいってのはわかるけどさ。というかもしこんなんが成功してたら織斑みたいなのになるのかな。あの無自覚天然女たらしに。あいつは多分ろくな死に方をしないだろう。近い将来ヤンデレにも刺されそうだな。

 

 

名前:   篠ノ之 箒

件名:

ごめん

 」

 」

 」

 」

さよなら

 

みたいな感じのメールが届くのだろう。というかしれっと出した兎の妹はあまりにもこの役柄に立てはまってたりする。ごめんな篠ノ之箒。

 

 

こういうのは地下ってのがお約束だ。さて、レッツラゴー!

 

 

 

 

 

 

 

そんないつも通り能天気で馬鹿な雪村と打って変わって研究所内は大混乱に陥っていた。とうとうこの実験がどこかにばれたか、と嘆くもの、慌ててISを出撃させようとするもの、大慌てで研究成果をまとめようとするもの、証拠隠滅のための起爆スイッチを押すものと十人十色だった。

 

暫くして漸く三機のISが侵入者(インベーダー)と接触する。侵入者は何故か顔の部分だけモザイクがかかったように見えず不気味な雰囲気を醸し出していた。一機のIS操縦者が投降を呼びかける。

 

 

「速やかに手を挙げて投降しろ!貴様はどこの所属だ!」

 

 

対した侵入者の答えは簡潔だった。男のような女のようなそれは一言、

 

 

「篠ノ之束のものだっていえば分かるか?」

 

 

「こっちの要求はデータの全棄却だ。それ以上は求めねぇよ」

 

 

実は数か月前からあるうわさが立っていた。篠ノ之束が傭兵を手にしたというものだ。その傭兵は炎のようなものを駆使しことごとく相手は潰されたと。

 

うわさが本当かどうかは分からない。しかしこの侵入者はその特徴と完全に一致していた。

 

IS操縦者もその真意を測りかねているのだろうか。やがてその侵入者を捕まえる為か動き出した。

 

元からわかっていたことだ。現在世界最強の兵器IS三機。対して丸腰の侵入者。差は歴然だった。

 

 

 

 

 

 

―――――当然、侵入者に悉く屠られていた。

 

 

「まあ、わかってたことだけどさ、何がしたかったんだ」

 

 

そう言い残し、彼は足を進める。そこには操縦者としての誇りやプライドが木っ端みじんになった敗者だけが転がっていた。

 

 

 

 

逃げてくる研究者を始末しながら進むと地下に行くにつれて焦げ臭い匂いが漂ってくる。遅かったか、と舌打ちをした。どうやら自爆装置が作動したようだ。

 

 

地下につくと端的に言って地獄が広がっていた。爆散した黒焦げの死体や血の赤、壊れた機械の欠片など少なくとも気分がよくなるものは一つも転がっていなかった。

 

 

 

―――――ふんふむ、生存者は0かな。データの破棄のみ確認しないとか。

 

 

そう考えると雪村は壊れているコンピュータに近づき、「復元」「遡及」を使って直す。それからデータが吸い出されていないかの確認を取り、改めてコンピュータを破壊した。

 

 

「動くな」、と声が聞こえた。

 

 

まーだ残党が残ってたんかい、と振り返ると黒いISに黒いISスーツ。黒ずくめにうさぎが銃を持ったエンブレムのこれはドイツのIS最強部隊、黒ウサギ隊ことシュヴァルツェ・ハーゼの皆さんでした。

 

 

…やべえ、バレた。

 

 

もちろん捕まる気なんて毛頭ない。さっさと逃げようとアレ?体が動かねえ。

 

 

「AICで貴様の動きを止めた。最終警告だ」

 

 

…出来ればこいつらに≪炎翼≫を見せたくはなかったんだけどなぁ。致し方ない。

 

 

 

 

 

 

その侵入者は何故か顔の部分のみハイパーセンサーで確認しても分からなかった。奴はこの地獄のような空間でひとり悠々と破壊活動を行っている。

 

この研究所が遺伝子強化試験体(アドバンスド)の再開をしていると聞いた時には頭にちが登った。人を滅茶苦茶な方法で生み出しておきながらいざ天罰が下りそうになるとその遺伝子強化試験体(アドバンスド)に頼るのだと言う。私はどうしても奴らが我慢できなかった。

 

しかしいざそこに着いてみると研究者は全員死亡していた。代わりに顔の部分だけモザイクがかったように見えない侵入者が一人。明らかに自然界ではあり得ないことが起こっている目の前の敵に、私の本能が最大級の警告を発していた。こいつはヤバい。

 

しかしそのような泣き言も言ってられん。私は誇り高きドイツ軍人だ。奴の動きをAICで止めつつ警告を行う。

 

次の瞬間信じられないことが起こった。奴の背中が燃え出したかと思うと、奴はAICの有効範囲内にいるのに平然と活動を再開したのだ。

そして奴は空間に溶け込むようにして消えていったのだった。

 

 

 

 

うん、まあ何とかなった。AIC、アクティブ イナーシャル キャンセラーは停止結界という、その中にいる物の慣性を停止する能力だ。言わば疑似的なベクトル操作である。自分はまず背中に≪炎翼≫を展開し、自身の体を「誘導」、そして「拡散」「隔離」し「移動」して消えたように見せかけたのだ。まあ何とかなって良かった。後はソーセージとビールを買って帰らないとなあ。もうそろそろ織斑とセシリア・オルコットの決着はついたころだろうか。

 

雪村はそんな呑気なことを考えながらのんびりドイツの街へと足を踏み出したのだった。

 

 

 

 





はい、ラウラとの邂逅でした。ナチュラルに人殺してますね。

それでは皆さんよいお年を。
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