IS Infinite Stratos 《炎翼》の輝き   作:クレイモア地雷

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寒いね。


Ver.14 再戦と学習/手札の切り方

一週間後。放課後の自主訓練の時間を使って織斑一夏は雪村悠一との戦いに挑もうとしていた。

 

 

 

 あの後、窓から落下してきた瀕死の雪村を助けた恩として一夏は雪村との戦いを取り付けた。ただ一つ予想外だったのはそこにセシリア介入してきたことだろうか。雪村はそれをめんどくさそうに可を出した。彼女は彼女で何かしら思うことがあったらしい。それから一週間、俺たちは最適なコンビネーションを目指すため、毎日ひたすら訓練を重ねた。

 

 

雪村は強い。それこそまだ勝ちの目も見えないほどに。それでもひたすら二人は訓練を重ねていた。彼女もまた、あの一戦で自身の抱えていた重みを取り払った雪村に感謝の言葉すら浮かんでこない。だからこそ挑ませてもらう。いつか彼に自分の強さを見せつけるために。

 

今はどうあがいても勝てないだろう。なら次はどうだろうか。その次は、とそれを繰り返す。彼女は自分の貴族の誇りをもってして、彼を倒してやると意気込んでいた。

 

 

 

そして今日、再戦の日。一週間のみの訓練だというのに彼と彼女の即席師弟コンビネーションは劇的なまでの強さを手に入れていた。雪村は中遠距離には≪炎翼≫、近接戦闘には靫葉(ゆぎのは)、アサルトライフル二丁、ビームライフル一丁を用いてくる。それを踏まえて織斑が徹底的な近接戦闘、セシリアが遠距離からの援護射撃。それで対応することにした。はっきり言って穴ぼこだらけの作戦だろう。しかしそれしか手がないほどに雪村は強く、俺たちは弱かった。

 

 

 

雪村がゆっくりと姿を現す。手には何も持っておらず、≪炎翼≫もだしていなかった。

 

 

試合開始のブザーが鳴る。その瞬間雪村の姿が掻き消え、目の前に雪村が現れる。手にはいつの間にか呼び出し(コール)したアサルトライフルを手に持っていた。

 なにが、と思っている暇すらなかった。咄嗟にガードし、そして、雪村はさながら前方宙返りのように真上に飛び上がり、空になるまでトリガーをひききった。

 

 

雪村は特別なことはしていない。ただ開始の合図と共に瞬時加速(イグニッションブースト)を発動し、手にアサルトライフルを呼び出し(コール)し、目の前で止まる。自分の印象を見せ付け、一瞬動きを止める為に。そしてアサルトライフルを引ききったのだ。

 しかし彼らも一週間伊達に練習して来た訳ではない。咄嗟の判断で弾を喰らいつつも前方に瞬時加速(イグニッションブースト)して逃げる。そして―――――

 

 

「おう、いい判断じゃないか」

 

 

二人の全身に悪寒が走る。二人の真上に雪村はいた。全身が悲鳴を上げるにもかかわらず瞬時加速(イグニッションブースト)中に織斑は体を捻って雪片弐型を呼び出し(コール)した。

 この雪片弐型は昔、彼の姉が使っていた物の改良型である。それの単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)は「零落白夜」。その効果はエネルギーの消失。ISのシールドエネルギーを消し去るその能力は対IS戦では悪魔のような効果を発揮する代物である。

 しかし、雪村はそれには触れず≪炎翼≫を出現させ、スターブレイカーmkⅢを呼び出し(コール)していたセシリアと共に織斑を薙ぎ払った。≪炎翼≫の超高温のよりセシリアと織斑はそれぞれ四分の三くらいと半分ほどシールドエネルギーを減らされた。

 

 

ここまで10秒。雪村はその手に「靫葉(ゆぎのは)」を出現させる。そして彼は「靫葉」に≪炎翼≫を接続し、その刀身に炎をまとわせる。燃焼、というのはただの現象である。しかし彼の≪炎翼≫は違う。不定形でなおかつ質量の有無は自由である、という誰にも説明が付かない物となっていた。その為、切れ味のいい炎、といった訳の分からない代物も完成出来るのである。

 

十メートルほどになった巨大な炎。その質量が二人の頭上に振り下ろされた。

 

織斑は零落白夜とそれを打ち合わせる。≪炎翼≫は全く解析不能だがエネルギーなのである。雪片弐型はエネルギーを消失させる刀。織斑に取って相性は意外といいのかもしれない。しかし≪炎翼≫のエネルギーは無尽蔵だ。かち合いつつも消し去ることができていない。織斑は徐々に押され始めていた。

 

 

「おいきなさい、ブルーティアーズ!」

 

 

セシリアから四基のブルーティアーズが放たれる。しかし彼は残りの≪炎翼≫を使い、ブルーティアーズを打ち払ってゆく。それをみたセシリアがスターブレイカーmkⅢを使い、左手にはインターセプターをもって瞬時加速(イグニッションブースト)を使い雪村に吶喊して―――――

 

 

 

 

―――――残りの二本の≪炎翼≫に、二人は貫かれた。

 

 

 

シールドエネルギーが、切れた。

 

 




その頃、篠ノ之束の研究室にて。

束は気づいていなかった。雪村から貰った《炎翼》のかけらが一瞬で消失したことを。

それがまた、新たな戦いの火種となり、雪村の胃を痛めつけることを。
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