IS Infinite Stratos 《炎翼》の輝き   作:クレイモア地雷

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人って簡単に死んでしまうんですよね。画面越しとはいえ毎回毎回楽しませていただきました。ありがとうございました。


Ver.15 外出と花/新たな始まり

 

帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい

帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい

帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい。帰りたい

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朝七時半。首都圏中央連絡自動車道、あきる野IC付近を疾駆する一台のスポーツバイクがあった。専用機の生体反応と位置情報を誤魔化し、所謂無断外出を仕掛けた一人の男性IS操縦者。もちろん雪村悠一である。彼が態々バイクに乗ってまで外出をしたか。それは勿論バイクが好きだからである。いや違う、そういう意味ではなく彼の実家—————最も座標のみ同じの全く別人が住んでいるが————に行こうと思ったからである。理由は二つ。家に行けば彼の妹からの信号が飛んできているかもしれないと思ったからである。IS学園は神奈川県先の洋上に浮ぶ無駄にデカい無人島に存在する。まさか妹もそんな辺鄙な地で暮らしているとは思っていないだろう。もう一つの理由は大したことではないのだが、家の近くにある花屋にいきたいと思ったからである。部屋に生き物の痕跡がないのが寂しいと思ったからと、もう一つはあの楯無(たてなし)が口を効かなくなったからである。どうやらよっぽど攻める価値のない城壁は応えたらしい。有効な情報源が失われるのは痛い。だからめんどくささに足を引きずられながらもバイクを「収納」に「接続」して引っ張ってきたのだった。やはりこの超能力者(クソ野郎)、もう一遍顎を撃ち抜かれるべきである。

 

 

バイクを走らせ続けて更に一時間。ようやく自分の家に着いた。うん…わかっていたとはいえ少し来るものがある。自分の両親が健在で、知らない子供が住んでいることに少しばかりの嫉妬を抱いて。内装が少し増えた家に入る。勿論自身の存在を「分割」して。

のんびり珈琲を飲んでる母親や皿を洗っている父親に、飛び込みたくなったのは自分の心にとどめておこう。

 

 

自分の部屋があるはずの場所に足を踏み入れる。全く知らない俺が勉強しているのを見て少し気分が悪くなった。だが収穫はある。限りなく薄い「信号」らしきものを見つけたのだ。それから大まかな位置を特定する。そしてこちらからも「信号」を送り返した。

 

 

近所の花屋で花を買う。周囲の街並みは数十か月前と全く変わっていなかった。数十か月前、ゴールデンウィークに吹っ飛ばされてきたときはこちらは夏だった。再び春になり、漸く俺は元の身長を取り戻したのだ。あの時は気づいていなかったが俺の身長は少し縮んでいた。こう思うと体が焦るのである。このまま死ぬまでこの世界に閉じ込められたままなのかと。いざとなったら「遡及」で体を戻すとはいえ、問題はそこではない。俺の世界の時間も進んでしまっているだろう。そう考えると身を焦がすような焦燥感に体が苛まれるのである。

 お気に入りの店でラーメンを啜る。味も変わっていなかったが店長の親父さんが女将さんに代わっていたのは多少びっくりした。しかしながらやはり世界が変われば人も変わる、ということか、ラブラブカップルだったはずの店も女尊男卑に浸食されていた。

 俺は何も言わずに完食し黙って店を出た。外は春が咲き誇っている。もうすぐゴールデンウィークだった。

 

 

 道路が空いていたこともあり、一時くらいには学園に帰れた。今回の外出は決意と物悲しさを手にすることが出来たのだった。

 

 

 

 

八時 IS学園正面ゲート前

 

受付を探し一人歩く少女の姿がそこにはあった。片手にはボストンバッグしか持っておらず、この少女の快活さを慮ることができる。彼女は歩いていた。否、迷っていた。

 

 

(えーと、ここってどこよ。せっかく異国から遥々やってきたんだから使いくらいよこしなさいよね!)

 

 

近くに誰もいないからか心中を垂れ流す少女。そこにふらっと一人の背中が見えた。

 

 

(あっ、あの子に聞いちゃお!)

 

 

前述の通りこの少女は行動が早い。ずんずん近づき質問を仕掛けた。

 

 

「あの、ちょっといい?」

 

 

声を聞き、ふらりとこちらを向く人物。その子はだいぶ背が高い。更にボーイッシュな程に髪が短かった。

 

 

「…なにさ」

 

 

「声ひっく!」

 

思わず声に出してしまったがそれ程声が低いのだ。まるで男子か何かのような

 (…男子?)

 

 

そういえば極秘と話を聞いた。「二人目」が見つかったのだと。そうか、こいつが…

 

 

「ねえ、あんたが二人目?」

 

 

「ああ、そうだけど?全くもって生きづらい」

 

 

「そう。あなたが二人目の雪村悠一ね。私は凰鈴音。鈴でいいわよ」

 

 

名前まで知られているのかよ、と彼は頭を掻き、

 

 

「雪村悠一だ。よろしくしてもしなくてもいいぞ。俺的にはよろしくしてくれない方がいいんだけども」

 

 

とやっぱり奇妙な自己紹介をした。

 

 

「そう、じゃよろしくね!」と手を握って来る鈴に対し、ため息をつきながら彼は握り返した。

 

 

 

 

 

IS学園に、桃色の豪風が吹き荒れる————

 

 

 

 

 

 

 




夜。仕事が相当長引き、遅くに部屋に戻った楯無はテーブルに置いてあった鉢植えを見つけた。その藤色はヒヤシンス。花言葉は————



「ふふっ。かわいいとこあるじゃない。」

彼女は、寝ている彼の前髪を、そっとかき分けた。
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