IS Infinite Stratos 《炎翼》の輝き 作:クレイモア地雷
著しく遅れました。これからもまた著しく遅れます
あれから数日が経過した日の夜。雪村は一人で釣りをしていた。あの後盛大にぶっ壊したアリーナの文句を言われそうになったため、いっそいで反省文をだし、さっさと部屋に逃げ帰った。
今現在第二アリーナは完全に崩壊し、再建のめどすら立っていない状態である。そりゃあそうだ。内部で竜巻が発生したんだから。次の日からの追及はまあめんどくさいめんどくさい。あの武器はなんだ。だとか相手のお前と似た炎を噴き出す無人機はなんだ。だとかぶっ壊れたアリーナどうしてくれるんだ。だとか。最もこの質問は全部織何とか先生なんだけど。ホントに追及はめんどくさかった。俺が知るかってんだ。だから二十幾つになっても結婚出来ねえんだよ。恐らくあいつは婚約者がいても変な男に惚れて、最終的には外道主人公の部下に撃ち殺されて死にそうだ。
雪村は突如襲ってきた悪寒に体を震わせながらブチブチ文句をたれ続け、ついでに釣糸もたれ続ける。ふと来た流れにアワセを掛けて、あげてみるとそれは鮭だった…何でこんな所で釣れたんだろう。鮭の最南端って利根川じゃなかったか?ここ神奈川だぞ。
雪村は更に釣糸をたれ続ける。また何かが掛かる感触がした。釣りあげてみるとキスだった。キスねぇ。天ぷらにでもしようかな。もしこの後たくさん釣れたら捌いておすそ分けするのも一興だろう。と、誰かが近づいてくる音が聞こえる。
「ケガの調子はどうだい、篠ノ之箒」
「ああ…迷惑をかけたな」
「ああ、本当に迷惑だったよ」
「…………」
「で、お前は一体あそこでなにがしたかったんだい?」
「一夏の為に、応援を…」
「へぇ、ならお前はあそこに居ても被害を食らわないと思ったわけだ。つか、一夏の為にって、織斑に負担が掛かる事も考えなかったわけだ。ああ、もしかして自分が無人機の注意をそらしてその間に織斑が仕留めるって寸法だったのかい?そりゃあ驚いた。自分には考えも及ばなかったよ」
「どうなのそこ。さっさと答えろ。」
「…………」
「いや、黙ってたってわかんねぇんだよ。どうなの、それともまさか、まさかだけど、本当に何も考えてなかったわけじゃねぇよなぁ?」
「いや…その…」
雪村はふん、と鼻を鳴らし、
「結局お前は戦いをなめてたんだよ。そうだよなぁ。今までお姉ちゃんが守っててくれてたんだからなぁ。あいつは嫌いあいつは嫌いって大声で叫びながらその実お前はお姉ちゃんの名前に守られていることに付け上がり慢心し、傲慢になり、姉の名前だけでここまで突っ走ってきたんだよ」
ま、その結果があれだもんなぁ、と雪村は嘲笑う。冷笑する。こいつこのままじゃただのバカだろ、と。
「それともそうじゃないって言いきれんのか?」
雪村の言葉は彼女を酷く傷つける。それは言葉の辛辣さに加え、彼女自身が今まで必死に目をそらしてきた醜いものに顔を向けさせられたショックもあり、立ち上がることもできない程のダメージを与えていた。
だが雪村は知ったことかとばかりに話を続ける。
「で、剣道全国一位になっても戦場じゃ粉微塵にされるだけだぜ。そこんとこよく考えなさいよ、以上」
雪村は納竿し、さっさと退散する。これでこいつの意識が変わればよし、変わんなかったら所詮そこまでの人間だったってことだ。そこまで俺が口出す権利はないし、する気もない。依頼だったら話は別だが、まあ、そこまで期待しても意味はないだろうさ。
やっぱりこの学校は、この世界は、この人々は歪だ。歪極まりない。高々500機ほどしかないくせに軍事力を一新したとのたまう軍備。適性がある人間すら一握りなのに、乗ったことすらないのに、自分たちが頂点だとのぼせ上がる女とそれを当たり前のように受け入れる男。人は簡単に死ぬ、ということが分かっていないのにそれを競技として扱うこの世界と学校。それを創り出した篠ノ之束。
————————嗚呼、何もかもが狂っている。客観的に観察することのできない愚かな世界の管理者たちはこの先をどう動かしてゆくのだろうか。行く末を観察するのもまた一興。ま、遅かれ早かれその先は破滅だろうがな。
楽しみだ。とっても愉しみだ。
雪村が好きな料理は甘露醤油ラーメンと銀鱈の西京漬け
あとマーボー