IS Infinite Stratos 《炎翼》の輝き 作:クレイモア地雷
…………じゃ、私のアレを彼女に組み込むってことで、けってーい!
…………し、しかし本当に大丈夫なんでしょうか、万が一バレたら…
…………うーん、その時はその時で、また頑張ってね~
…………お、お待ちください、■■■■■■■■■!
少し前、どこかで交わされたかもしれない会話。
その瞬間、一年一組を構成するクラスメイトの口から凄まじいまでの
その衝撃は窓をも貫き、ちゃんと防御していたはずの俺の耳を壊し、悠一は椅子から転がり落ちた。
「きゃああああああああーーーーっ!」
「だ、男子!三人目の男子!全員うちのクラスに男子!」
「今度は金髪碧眼美少年!守ってあげたくなる雰囲気の!」
「おっ、男の人…!」
「てっ、敵襲!敵襲かァ!?」
と、なかなか
あ、千冬姉が震えだした。これは相当まずいかもしれない。
「やかましい!」
ズドォンと振り下ろされた出席簿は教卓にヒビをいれ、教室は一瞬で静まり返った。悠一はひっくり返った。
「み、皆さんお静かに!まだ自己紹介が終わってませんから!」と山田先生が取り直して、隣の、これまた特徴的な少女にみんなの顔が向いた。
その少女はめんどくさいから、ただ伸ばしているかのような長い銀髪を持ち、左目には医療用などではなく本物の眼帯をはめ、右目はペンキか血かそんなので染めたかのように朱く染まっていた。
彼女はまるで全員に興味がないかのような視線をこちらに投げかけ—————いや、彼女の目はしっかりと一人の人物を見つめていた。その視線の先には…悠一?
「……挨拶をしろ、ラウラ」
「はい、教官」
突然軍隊的な返事で千冬姉の言葉に返事を返す彼女。千冬姉はめんどくさそうに返す。
「ここではそう呼ぶな。もう私は教官ではないし、ここではおまえも一般生徒だ。私の事は織斑先生と呼べ」
「了解しました」
その姿はどこまでも堅苦しく、彼女が軍人もしくは軍隊の関係者ということが想像できた。
これは千冬姉からちゃんと聞いた話ではないんだけど、千冬姉は一年ほどドイツ軍に出向していたらしい。最もこれは色々な人から断片的に聞いた情報だけど、それから俺は彼女がドイツ関係者ってことが多分分かった。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
…うん、ドシンプルな自己紹介をありがとう。これによって彼女の名前が判明した。でも名前だけの自己紹介ってどうなんだろう。みんな固まってしまっているじゃないか。ん?入学式?自己紹介?ブーメラン?知らないな。
「あ、あの、以上……ですか?」
「以上だ」
まるで誰かの自己紹介を再現するかのような自己紹介。ほら、山田先生が泣きそうな顔で固まっちゃったじゃないか。織斑一夏くん?だから知らねえって言ってるだろう。
「! 貴様が————」
ん?急に彼女がこっちを向いて近づいてきた。なんだ————————!?
スパァァン!!と快音がこの一年一組の教室に響き渡る。彼女が繰り出した
「何するんだよ!」
と、当然の権利として抗議の声を上げる織斑。しかしながら彼女、ラウラ・ボーデヴィッヒは全く介せずに、つかつかともう一人の男性IS操縦者、雪村悠一に歩み寄った。
「貴様の名前は?」
「織斑二秋だ」
「…………そうか。」
真顔のまま滅茶苦茶な大噓をついた雪村に対して、再び一撃を繰り出すラウラ。しかしそれは彼女自身の元上司、織斑千冬の手によって防がれた。
「いい加減にしろ、ラウラ。これ以上好き勝手なことをすれば他の生徒に暴行を振るったとして罰を与えるぞ」
「私は認めない。貴様らがあの人の弟であるなど、認めるものか!」
空いている席に着席するラウラ・ボーデヴィッヒ。それを見て織斑千冬はこれからを憂いため息をつき、
「いい加減ホームルーム中に眠るな、
「…………貴様の本当の名前は、なんだ?」
「さっきも言っただろう、もう忘れたのか、織斑二秋だァッッ!!」
「私は貴様を養子に取った覚えも、ましてや義兄弟の契りも交わした覚えもない。勿論これからもだ。人をからかうのもいい加減にしろ。分かったな雪村悠一」
「ふぇい、わがりまじだ」
しかし、どうしてまたあの女は男装なんかしているのだろうか。教室に入ってきた際に二人を「観察」「視認」「透視」していたのだが多少興味を引くものが見れた。片方の身体は眼帯に覆われているほう、つまり左目は人には処理しきれない程の情報を収集出来るような構造になっている。あれは普段から使っていたらまず間違いなく精神に異常をきたすだろう。そんな感じのものだ。
もう一人は完全に女性だ。下半身には女性の象徴が据えられており、新生児の部屋や、骨盤の形、というかそんな回りくどいことをしなくとも腕や太股のラインからどう見ても女性だった。うん、CかDといったところだろうか。
…再び押し寄せてくるであろう受難と頭を穿つ大いなる痛みと衝撃に、雪村は盛大なため息をついた。