IS Infinite Stratos 《炎翼》の輝き   作:クレイモア地雷

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嗚呼眠い。何もしたくない。


第1章 始まりと化け物の絶望
Ver.1 Who are you?/ Where am I !?


かたい地面に打ち付けられ、彼は目を覚ました。正確に言えば痛みから目が覚めた。

 

なんやこれむっちゃ痛いやんけ!と思う前にヤバいまたやらかした!という思いがせりあがる。要は彼は寝ている間にミスって超能力が発動したと思ったのである。数年前、夕食のうどんと共にダルヴァザの地獄の門に飛んだときは心底驚いた。いやぁあれは大変だった。昼間の地獄の門は妙にしょぼかったのを覚えている。あん時助けた女の子は元気かなぁ?

 

...と、まぁくだらないことに思考を巡らせていると、目の前に一人の女性がいる事に気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

篠ノ之束は二十余年生きてきた中で、おそらく一番びっくりしていた。ISの第四世代機の着工に取り掛かり、それがほぼ完成しようとしていた時、突如として凄まじい光が沸き起こり一人の少年が現出したのである。少なくとも、世俗から「天災」とよばれている自分が全くもって気付かなかった相手に、世界中の調査機関がいくら探しても全くわからなかったこの拠点を探し当てた少年に、束は油断なく相手を見据えて質問を投げかけた。

 

 

 

 

 

   「「お前、誰?」」

 

 

 

 

 

...質問は見事にかぶった。

 

 

 

 

 

 

 

雪村悠一はこの出来事に完全に驚き、また目の前の変人ファッションおばけに警戒していた。少なくとも目の前にいるこの女が、恐らく自分以上に頭がいいこと、使用方法が全く分からない機械がゴマンと置いてあるこの部屋、何しろ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に対して。そして一番の理由として、「こんなファッションセンスしているやつがまともなわきゃない!!!」という自身の直感に従って。なんだこのファッションセンスは。ひとり不思議の国アリスじゃないか。あとしばらく寝てないだろお前。「視認」しなくても一発だ。目の下の隈、微妙にガサガサの肌、ぼっさぼさの髪、役満だ。32000点だ。

 

 

様々なことに一瞬で考えをはじき出した末に、今現在パジャマ姿の超能力者は、≪炎翼≫を出すのは危険すぎる、と判断を下した。あまり相手に情報を与えたくなかったのと、なるべく情報が欲しかったため。Takeは好きだがGiveは嫌いだ。というやつである。しかしながら不意打ちにも十分対処できるよう、また「超能力」の方を行使できるよう服の下で小さく炎を瞬かせながら。

 

こうして二人揃って仲良く同じ質問を繰り出したのである。

 

 

 

 

案外この二人、似た者同士なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやなんなのさお前。急に私の家に入ってきてさ、礼儀というものが全くないのかな?」束は尋ねる。「そもそもどうやって入ってきたのさ、君、えぇっとパジャマでいいや。おいパジャマ。答えろ」

 

 

「いや悪いな、勝手に入ってきちゃってさ。さっきまで家で寝てたはずだってのに...。そもそもここどこだよおい、えぇっと変人ファッションおばけ。さっさと出ていくわ」

 

 

「おい誰が変人ファッションおばけだよパジャマ。まあいいや、いや全くもって宜しくないけど、ここにあるもん見られても困るし、大人しく研究材料になるか抵抗して研究材料になるか選べ。」

 

 

「選択肢一つじゃねえかボケ。ヤダよ」

 

 

「そ、じゃまぁ...」

 

 

 

 

   —研究材料確定ね!

 

 

 

 

ファッションおばけが指を鳴らした次の瞬間、何もない空間からピンク色のレーザーが四本放出され、それらは光速で中空を奔り、肘膝を完全に貫く、はずだった。

 

 

 

 

雪村悠一は≪炎翼≫すら出していなかった。光速で迫るレーザーに対し、彼は数多所持している「超能力」のうちの一つ、「固定」を使い、それらを空中に「固定」した。

 

 

「これをお前に返却しようか?」と問いかける。

 

 

対しておばけの答えは、「何、それ。何でPICを使えているの?君、男だよね?何でISの機能が使えているの?」という疑問だった。恐らくあれは自身が開発した宇宙開発用パワードスーツ、ISことインフィニット・ストラトス ー最も本来の使い方はされていない悲しい現実があるがー の機能の一つ、PIC、パッシブイナーシャルキャンセラーの応用である。先程の会話と応答の最中、様々な方法を使って目の前のパジャマを観測していた。パジャマは間違いなく男であったし、ISを埋め込んだりしている様子もなかった。だからこそ畏怖したのである。何なのだこの男は。

 

 

一方、雪村は雪村で驚愕していた。先程の会話と応答の最中、「視認」「観測」「透視」「望遠」「統括」など様々な「超能力」を使い、自分がいま世界のどこにいるかを確認しようとしたら、まず自分が海の底、ハイテクノロジー潜水艦内にいることが判明した。次に目の前の変人の細胞が人間とは大幅に異なっていることが分かる。最後に自分の家を探すと、それが見つけられなかった。彼の「超能力」「望遠」「透視」は地球の裏側まで見透かす。いま現在自分がマリアナ海溝にいようが、埼玉の実家は直ぐに分かるはずだった。いや、厳密に言えば家はあった。しかしそこには持っている写真を数年老けさしたような両親、それと知らない子供が二人そこで暮らしていた。

 

 

ふんふむ、と雪村は考える。--平行世界かな?これ。

そして声を張り上げる。どこぞの世界の異能を打ち消すウニ頭の少年のように。

 

 

 

 

「不幸だああぁぁぁーーーっっ!!!」

 

 

 

 

篠ノ之束は人生史上一番混乱した日だっただろう。少なくとも普段の彼女を知るものにとっては有り得ない行動に出たのである。それ程彼女は混乱していたのかもしれない。不法侵入したパジャマは突然動作を停止したと思うと土下座のような体制に移行し、不幸だ、と声を上げるパジャマに対し、

 

「とりあえず、お茶...飲んでく?」と、お茶を差し出したのだった。

 

 




雪村は「固定」を使った時は、背中からちょっとだけ≪炎翼≫を出していました。
≪炎翼≫を出していないと彼は「超能力」を使えません。≪炎翼≫は服の上から出すことも可能です。でないと困りますしね。
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