IS Infinite Stratos 《炎翼》の輝き 作:クレイモア地雷
それじゃ、契約の最終確認と行こうか。
俺の望みは唯一つ、元の世界に帰ること。
そっちの目的は俺の≪炎翼≫及び「超能力」の研究。
俺は基本的にお前の利益になるよう行動し、お前は俺の面倒ごとの片づけ。
俺は元の世界の座標が見つかったら即帰還する。その後はお前持ちだ。
————じゃ、精々よろしく頼むぜ、天災。
数十か月後、洋上、IS学園1年1組。
織斑一夏は目の前の、クラスの副担任山田先生——どう見ても先生には見えない童顔——の、凄まじく主張している大きいナニかに目を取られつつ居たたまれない表情を作っている。自分一人を除き全員女子、つまり99%の女子高に何故か入学した自分の運命を呪いつつ、現実逃避に浸りたかった。
————事の始まりは3か月ほど前に遡る。彼の家には両親がいない。唯一の肉親はどこかへ毎日働きづめだ。そんな姉を助けようと思った彼の志望校は学費が安く、また就職率が高い藍越学園。その受験日が今日に迫っていた。
藍越学園は偏差値も高く、カンニング防止のためか別の施設を借りて試験を行っていた。そのためか彼は会場内で迷い込み、ちょっとした好奇心からたまたまそこにあったISに触れてしまった。
有り得ないはずの男性がISを起動したというニュース。彼は彼自身が望まなくとも世界中を上へ下への大混乱に陥れ、結果この学園にぶち込まれた。————そんなこんなで今現在に至る。ふと教室を見渡すとクラス中全員が全員、こちらを注視していた。まさに孤立無援、四面楚歌。幼馴染の篠ノ之箒は助けてくれなかった。助けてmy sister————
その様な中でとうとう自己紹介の番が回ってきてしまった。仕方なく彼は立ち上がり、
「えー...っと織斑一夏です。」ここから話が繋がらなくなってしまった。どうしよう。考えてた事が全部吹っ飛んだ。あっ待ってそこの女子、そんなに期待しないでお願いだから。つかよく見たらクラス全員期待の籠った目で見てるじゃねえか。よしこうなったらこうしよう。俺は男だ。
...なんてことを3秒間という自己紹介の内では少し長い空白の間、高速で考えた末、思考がまとまり次に言う台詞が定まった。
「以上です!」
あ、クラスの全員がコントのようにずっこけた。仲いいね君たち。今日初対面でしょ?
「自己紹介もまともにできんのか」
次の瞬間パカァン!!というヒトの頭から出てはいけない凄まじい音が彼の頭から炸裂する。彼の視界は真っ白に染まり、刹那、全身を突き抜けるような痛みが襲った。数秒後何とか痛みから回復し、自分の頭をひっぱたいた人物を見据えると、そこに仕事に行っているはずの姉がいた。何でここに自分の姉が。
「ち、千冬姉!?何でここ———
パカァン!
「学校では織斑先生と呼べ」
千冬姉は手に出席簿を持っていた。凄いな出席簿って。それであそこまでの威力が出せるんだ。とっっっても痛い。
千冬姉は山田先生と少し会話をした後教壇へ登りとても通る声でこう宣言した。
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠十五才を十六才までに鍛え抜くことだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
わぉ、独裁者みたい。
と、その突っ込みは千冬姉のファンだと言うクラスメイトのソニックブームにぶっ飛ばされた。
話が進み、千冬姉が切り出した。
「さて、今から諸君らも気になっているだろう、そこの空席に入ってもらうクラスメイトを紹介する。」
入ってこい、と彼女が声を掛けるとドアが開いた。
その一瞬、全員の息が止まった。
何故なら入ってきたのはIS学園の男子制服を着た男だったからだ。
甚だ不本意ながら学校に通う事になってしまった。と雪村は考える。どうやら束の親友の弟である織斑一夏がISを動かしてしまったらしい。それはめでたいことだなァ、と呟き充てがわれた部屋へと帰ろうとしたところ陰ながらの護衛に従事して欲しいと言われた。あくまで学園内でいいからと。正直冗談じゃない、と断りたかった。世界を大混乱に陥れるのはこいつの特技だ。1人目でびっくりなのに2人目なんて出てきたら世界はオーバーフローしてしまうだろう。しかしながらこれを蹴ると契約は棄却になってしまう。面倒ごとは大嫌いだ。俺は細かいことは全部やっておけよ、と一言兎に言っておき、部屋に戻った。ISの基礎知識と経験は数週間「委託」やら「管理」やらを使って数日で身につけた。まあ学園生活も何とかなんだろ。
教壇に立ち、自己紹介を始めた。
ドアが開き、入って来た彼は俺のことをチラッと見るとポッケから手を抜き、悠々と自己紹介を始めた。
「皆さんはじめまして。世界で2番目に男性でISを動かした雪村悠一です。好きなことは寝ること、嫌いなことは面倒ごと。趣味はバイク、特技はなし、よろしくしてくれてもしてくれなくてもなくても構いません。また一々構って貰わなくとも結構です。こんな御世代ですからね。一応よろしくお願いします。」
...奇妙奇天烈な自己紹介を終えた彼は千冬姉に「ところで織斑教諭、自分どこ座りゃあいいんですかねぇ?」と質問し、もっとまともな自己紹介をしろ、と軽く引っ叩かれていた。
一応言っておくと、彼はまともな人間生活を送る気は全くありません。学園内での一夏に対する護衛くらいしか考えておりません。