IS Infinite Stratos 《炎翼》の輝き   作:クレイモア地雷

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織斑先生って学生時代、SM女王のバイトしてそう


Ver.7 語らいと殺伐/試合前の一コマ

数日後、対オルコット、織斑戦が数日後に迫った日の夜。

ふと楯無が雪村へと話しかけてきた。

 

 

「そういえば、オルコットちゃんや織斑くんと戦うことになったんでしょ。訓練する気はないの?」

 

 

「必要ないね。そもそも俺が勝つ必要もないさ。適当に手ェ抜いときゃ女尊男卑のセシリア・オルコットの気も晴れるだろうよ」

 

 

「...駄目よ」

 

 

はァ?と彼女の方を振り返る。彼女は何故か真剣な表情でこちらを見ていた。

 

「彼女は女として、彼女自身の家の誇りをもって君たちを倒そうとしている。本気でやらないと失礼になるわよ」

 

 

ふぅ、と息をつく。「あのさぁ、どちらかというと俺は巻き込まれた側だ。そもそもこの戦いに意味はない。クラス代表の座と対価に女尊男卑と奴らに目を付けられたくないしね」

 

百害あって一利なし、という奴だ。

 

 

厄介なことに奴らはISを神聖視している。傍から見ていたら馬鹿じゃねぇの?としか思えないのにだ。信仰すんなら信仰するでどっかの山奥にコアでも奉ってひたすら拝んでりゃいいのに一々男にいちゃもんをつけてくる。迷惑千万極まりない。彼女らの頭の中ではISは凄い。それを使える私たち女も凄い。だから男はこれに従え、と。その愉快な頭はどうやったら製造されるのか。プラントを見てみたい。そして毎回思うのがすごいのはISじゃなくてそれを作った篠ノ之束だろうが、と。

 

話がそれた。つまりはそういうやつらにとってブリュンヒルデの弟である織斑一夏ならともかく、何の後ろ盾もない(クソ)は格好の宿敵だろう。俺は面倒ごとは大嫌いだ。ゆっくりと学園に潜伏し、世界の座標を見つけてさっさと帰るに限る。そして妹の作った生姜焼きをゆっくり食べるのだ。

 

ともかく、そんなめんどい奴らのやっかみに時間を割く訳にはいかない。だからバレない範囲で手を抜くつもりだった。

 

 

枕から顔だけを出している楯無はそんな雪村を見て、

 

 

「ちゃんと戦ってくれないと、ある事ないこと織斑先生に言っちゃうぞ♪

 

例えばボンテージにパピヨンマスクつけていた織斑先生のコラージュ作って爆笑していたこととか...」

 

 

「はぁ!?俺を殺す気かよお前は!!」

 

 

「言われたくなかったら、ちゃんと戦いなさい」

 

 

雪村は頭を掻きむしりながら、

 

「分かった分かった。その代わりセシリア・オルコットと女尊男卑の奴らへのフォローはお前がしておけよ。俺ぁぜってぇやらんからな」

 

 

「ふふっ。そこはおねーさんに任せなさいって♪」

 

 

「はいはい。任した任した」

 

 

 

 

同時期、仮想訓練ルームにて、セシリア・オルコット。

 

彼女はAI上に仮想敵を出現させ、最高ランクに設定したそれを、互角以上に追い込んでいた。縦横無尽に空を翔けるビットは敵の急所を的確に貫き、スターブレイカーmkⅢの射撃が相手のガードを崩す。とどめの一斉射撃で仮想敵のシールドエネルギーは0となった。

 

部屋から退出し、一息つくセシリア・オルコット。そこに喜びの顔は、自信の表情はなかった。思い出すのは彼女の父親。いつもいつも誰かの顔を見てはへこへこ頭を下げていて、強きものものに媚をうる表情がべったりへばりついていた。そんな父親を彼女は心の底から嫌悪し、軽蔑し、差別し続けた。

 

そんな中現れた二人の男。一人は何の頭も力もない男のくせに自分に食ってかかってきた織斑一夏。もう一人はこの教室に何の意味もないと言わんばかりにまるで頓珍漢な発言を繰り返す雪村悠一。織斑一夏のあの反抗的な視線と雪村悠一のあの何の興味を持ってないというあの視線。彼女は二人の事をまるで理解できなかった。男のくせにあの生意気な視線。生物というのは理解できない者には負の感情を示す。彼女は彼らのことが心底憎たらしく、また彼女も知れない所で恐怖を感じていた。

 

 

 

 

悪いことは往々にして重なるものである。

織斑一夏はその言葉を思い出していた。

 

 

「なぁおい箒。俺はさ。ISのことについて教えろっつったよなぁ!!!」

第一ピットに織斑の悲鳴が響き渡る。どうやら篠ノ之箒が教えてくれたのはISではなく剣道だったみたいだ。

悪いことはさらに重なる。副担任の悲痛な声が聞こえてきた。

 

 

「織斑くんのISが、届きません...」

 

 

ああそんな泣きそうな顔しないで。後ろで悠一が山田先生を泣かせたな?いい度胸だ地獄を見せてやる。といったとてもイイ笑顔でこちらを見ている。雪村が一息ついた。山田先生の頭をポンと軽く撫で、

 

 

「山田先生、織斑のISはいつ頃届きますかね?」

 

 

「え、えっと...少なくとも三十分は掛かっちゃうかも...しれません...」

 

 

なるほど、と雪村。

 

 

「じゃあ、四十分持たせます。織斑、その間に初期化(フィッティング)最適化(パーソナライズ)やれるよな」

 

 

「お前、セシリアって代表候補生だっけ?とにかくすごいやつなんだろう!?お前、大丈夫――――

 

 

台詞は最後まで言えなかった。いつでも飄々とふざけている二人目は、山田先生の時のように俺の肩に手を載せて、

 

 

「――――俺を信じろ」

 

 

と薄く微笑んで見せたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そういえば織斑」

 

 

「何――――

 

 

再び台詞は最後まで言えなかった。悠一の万力のようなヘッドロックが俺の頭を締め付けたからだ。

 

 

「お前、何、山田先生を、泣かしてんだ、ああ?」

 

 

「いっ、いてえ、悠一、やめろ――――

 

 

「お前たち、何をふざけている」

 

 

「「あ」」

 

 

 

 

 

第一アリーナAピット内の時間は折檻と血みどろに彩られ、騒がしく過ぎていった――――

 




次回、雪村の専用機。
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