霊夢ちゃんのワンピース世界冒険録   作:壁の苔寺

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 そろそろ独自設定先生が本気だします。注意です

 前回のあらすじ。レイムチャンガシンジャッター




それはともかく本編


激突アーロンパーク2

 

 

 

 想像していた様な痛みが来ない。その辺りで視界が回復してきた。開けようと思えば開けることが出来そうだ

 

「…………………え?」

 

 最初に目に入ったのは誰かの背中だった。そいつは編み模様のバンダナをしていて、タンクトップを着ている。片手にはそいつの武器のパチンコだ。その男は大きく手を開いて、誰かを庇うように立っていた

 

「が………ぁ………はっ………」

 

 

 誰かをだと? ふざけるな。私をだ

 

 

「ウソップゥウーーーーーッ!!!!!」

 

 『水大砲』と呼ばれた、大質量の水を相手に叩きつける大技を正面から受け止めたウソップはその場に崩れ落ちる

 

「ふざけんな!! なにしてんだこのバカ!!!」

 

 今の一撃の衝撃は決して軽くない。ダンプカーの直撃にも匹敵するだろう。それを正面から受け止め、あろうことか私を庇うためにガードすらしなかった。

 死ぬ。本当にウソップが死んでしまう!!

 

 全身の骨が逝ってるとしか思えないウソップの体を抱き寄せる。心臓は動いてるし息もしている。ホッとするが、ウソップの自慢の長鼻はバキバキに折れてる

 ウソップの体を固定するためにギブスの代わりになるような物がないかと探した時、私の腕をウソップが掴んだ

 

「………ぁが………はぁ……れ………レイム………ぶ、じか……」

 

「無事だから喋んな!! なんであんた私を庇って……」

 

「俺ぁよ、ゾロやルフィ、お前みたいに強くねぇ……。今だってそうだ。お前が来て安心して、レイムに任せときゃあんな魚人なんか簡単に倒してくれると思ってたんだ。でも違うんだ……。そんなんじゃ………いけねぇんだ……」

 

 ウソップの体がビキビキと音をたてる。骨が軋む音だ。しかしその体に力が入る、いや戻る

 

「お前らがあの時、仲間に誘ってくれて本当に嬉しかった。コイツらといたら安心して俺は海賊が出来るって思ったんだ。いや、思っちまったんだよ」

 

 ウソップは血を吐いて、砕けた心を奮い立たせて、両の足に力を込めた

 

「今だってそうさ。こんな血ノリで誤魔化して、戦いもせずにレイムに戦いを任せっぱなし。きっと俺は、レイムが来なかったら、あのサカナ野郎を見逃していたんだ。それで負けた言い訳をきっと必死に考えてよ、凄まじい死闘だったぜ、お前らに見せてやりたかったよ何て言うんだ」

 

 そして私の手を離れて、ウソップは立ち上がる。その眼は敵の妖怪を捉えていた

 

「みっともねぇ………ッ!!!!!!!!!!」

 

 ウソップは叫ぶ。叫ぶと同時に口から血が吹き出すがそれでもなお立っている。

 …………敵わないなぁ。普段のビビりな姿を見ている分、なおのこと私はそう思う。この男を死なせてはいけない。絶対に守り勝つと

 

「チュッ…………確かにみっともねぇ姿だな、足は震えて体はバキバキ。よくそんなんでたってられるよ……チュッ……汚ねェ下等生物にはお似合い格好だぜ」

 

「ここで命を張れねぇ俺が、ここで死んだふりなんかしている俺が、ぶっ倒れたままの俺が、あいつらと同じ船に乗るしかくなんか有るはずねェ!!!! お前らと本気で笑いあっていい筈がねェんだ!!!」

 

 だから庇った。だから立った。だから叫んだ。ウソップはきっと、誘われたから仲間になったんじゃなくて、今自分の意思で仲間になったんだ。

 

 

     なら私は?

 

 

 まるで雷に撃たれたような衝撃を受けた。私はなんだ? コイツらみたいな物を持っているのか?

 記憶がないとか言って逃げるんじゃない。私は私に聞いているんだ霊夢ッ!!!!

 

 ウソップは震える腕で、しかししっかりとパチンコを構える。構えたそれから放たれた玉は妖怪に向かって寸分たがわず飛んでいく

 

「こんなもん効くか」

 

 火薬がつまったその玉は片手で簡単に弾かれる。そのまま妖怪は接敵してきて、拳を振りかぶる。ウソップは立っているのがやっとの状態だ。そんなので避ける力が有るはずがない

 

「やめろ!!!」

 

 私はウソップの前に立ちはだかって、その拳を両手で受ける。………くそ、コイツも膂力は私より上だ。ビキリと嫌な音がして体が吹き飛ぶ。私は辛うじて立っているウソップ巻き込んで吹っ飛んでいってしまった

 

「っぅ……」

 

 針が無ければ私はこんなものなのか? きっと戦闘のセンスは有る。しかし決定的に力が足りない、身体能力が届かない。でもだけど

 

「本当に………チュッ……その男が言った通りだ。みっともねぇ」

 

「ッ」

 

「なぁ人間の女? お前今の俺の『水大砲』を受けきれると踏んだんだろ? チュッ…実際、力を分散する様に受ければ受け流すことは出来なくてもダメージを減らすことは出来た。その男が割って入らなければ……チュッ……こんな状況にはならなかったんだ!!」

 

「黙れ……」

 

「これがみっともないと言わなければ何なんだ?チュッ……自分より強い女の足を引っ張って、それで呻いて喚いて結局なにも出来やしねぇ!! 流石は下等種族!! クソみてェな結末だな!!!」

 

「黙れって言ってんだろぅが!!!!」

 

 だけどそれでも。私はもう、ウソップを傷つけたこいつを許せない

 

 私はようやく、自分の中の熱が怒りだと理解した

 

 

 

 

 

 

 

 

 光が降ってきた。そう表現するしか無いような事態が起きる

 

 私の目の前に突如、何か光耀く棒状のものが突き刺さった。それは徐々に輪郭を露にしてきて形をとる。事態が読み込めない私は目を白黒させたが、そこにあったものに目を見開いた

 

 

  それは刀だった

 

 

 抜き身の刃が地面に突き刺さっている。それは、太陽の光を浴びて鈍く輝く。白い刀身、赤い鍔。それは私は始めて見るにも関わらずそんな気が全くしなかった

 

「これは………」

 

 私のだ。この刀は私の物だ。私の力だ。感覚でその事を理解する。その刀を手に取れば、その感覚は更に強くなる

 

 いける。そう思えた

 

「ッシ!!!」

 

 突然降ってきた刀に何だと問いたいし、触ればなお理解できる自分の物だと言う感覚。そんな思いを全て無視して走る。刀の届く距離まで後3歩

 

「チュッ!!!!」

 

 相手も何が起こったか理解していないが、それでも私に武器が渡った事だけは解ったらしい。間合いが延びて、必殺の武器を手にした相手に距離を取るのは当然のことだ。バックステップで距離を開けようとして

 

 私に捕捉された

 

 何が起きたか解らないって顔をしてるな。私だって驚いている。この刀を手に取った瞬間から体が羽根のように軽い。今まで枯渇していた力が沸き上がるような、そんな気になる

 その認識はあながち間違っていないだろう。手に取った刀から何かが流れ込んでくる。そんな感覚が有るからだ。それは腕に足に力を与えてくれる

 すなわち身体能力が戻った、だ

 

 間合いに入った私は振り上げた刀を叩きつける。しかしその瞬間、相手は口をすぼめたのが見えた

 

「ッ………」

 

 刀は相手の肩に直撃する。しかし‘刃が付いていない’それは相手を吹っ飛ばすに留まった

 そして反撃も喰らった。『水鉄砲』が腹を貫通している。血が白い服を赤く染めていく

 

「チュッ!!………随分いい様だな。もう白いところなんて残ってねぇぞ紅白女」

 

「……………」

 

 血と一緒に何かが流れ出ていくのを感じる。体を満たしていた謎の力が抜けていく。しかし、ようやくこの戦い。

 

「私達の勝ちね。」

 

 ウソップが相手の背後にまわっていた。飛び掛かり、手に持った大きなハンマーを振りかぶっている。寸前で相手はそれに気が付いて回避を、いやカウンターを合わせようと拳を振り上げようとするが

 

『刀劇、………』

 

 私が小さく呟くと、相手の肩に紋章が浮かび上がり、その肩の動きを阻害する。

 

「チュッ………テメェまさか能力………」

 

 もう遅い。刀を腰だめに構えて地面を蹴る。図らずともウソップがハンマーを叩きつけるタイミングと一緒だった

 

 

『ウソップハンマァァアアーーーー!!!!!』

『二重結界!!!!』

 

 

 哀れ妖怪。頭にハンマーと腹部に金属の塊をぶち当てられ、意識を失った

 

「成敗」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウソップは思いの外軽傷だった。見た目こそ酷いが少し休めば歩けるようになるだろう。ただ、逆に言えばしばらくは歩けない。私もしばらくは動けそうにないわね。血を流しすぎた

 

「っはぁ………。じゃあ何よ? 最初のはあんた死んだふりだったわけ? 本当にちょこざいな事考えさせたら世界一ねあんた」

 

「へへっ、舐めんなよ。ちょこざいさと逃げ足に関しては俺の右に出るものはいねェ!!」

 

「うるさいわよ」 

 

 よし、私もウソップも粗方の止血は終わったわね。私は骨は異常なし。ウソップは肋骨とか色々折れてるが、きちんと対処すればなんとかなるだろう。この怪我じゃ戻ったところで助けになるとは思えない。

 

 さて、問題はこの空から急に降ってきたこの刀だ。なんだこれ?

 

「で? レイムよ? それなんだ?」

 

 ウソップがその刀を指差して問いかけてくる

 

「知らないわよ。……………たぶん」

 

 刀を持ち上げるとその刀身は鈍く光る。触っていても、さっきみたいに力がみなぎってくるとか言うこともない。本当になんだったんだろうあれは?

 

「ん? なぁレイム。その剣になにか着いてるぞ?」

 

 そう言われてウソップが指差した所を見る。鍔の部分に何かがくくりつけられていた。それはミニチュアサイズの本の様だ。

 私はそれを引きちぎって開くことにする。すると中にはびっしりと何かが書かれている。図形や文字やらなにやらだ。

 

 なんか解らないので捨てようとしたとき、自分の中から何かが吸われるのを感じた。電気が走ったように感じ、反射的に放り投げてしまったそれは二、三回程度転がり、光を放ち始める

 

「な、なんだぁ!!??」

 

 ウソップが驚きの声をあげるが、私だって驚いているし解らない。本はミニチュアから手に取れるくらいのサイズに変わると、ひとりでにページがめくられていった

 そしてそれにともない、何かが形をなしていく。ノイズがかかったようなそれは、本から投影される少女と言う形で落ち着いた

 

『ザー………える…ザー………ザ…………ザザ………えてる…ね………』

 

 本から投影された少女は寝巻きのような格好をしていて、口許に胡散臭そうな笑みを浮かべている。初見で胡散臭そうと断定されるとは相当な胡散臭さだ

 

『聞こえてる…………ね、………霊夢? もう、聞こえてるとして喋るわよ。これは通信じゃないわ。一方通行のビデオレターみたいなものよ。魔女いわく魔術で編んだパラパラ漫画みたいなものを送り付けているだけだそうよ。つまり私があなたに何を言ってもあなたはなにも言い返せないの理解したかしら? 私の可愛い霊夢? ふふふ何を………なによ。いいじゃない。少し位ふざけても

 

 取り敢えず時間がないらしいから簡単に説明するわね。記憶も能力もここに置いて消えてしまった博麗の巫女。取り敢えずこちらは貴方がいなくてもしばらくは大丈夫よ。結界の維持は私と藍でなんとかするわ。……ザザ……

 

………………ザーザ…………て、本題よ。霊夢、貴方がこのメッセージを見ているってことは、あなたは『染雪』を持っていると言うことでいいわね? その刀は貴方の本来の力をそちらの世界で使えるように加工したものよ。使い方次第ではかなり役に立つでしょうからうまく使いなさい

 

 最後に、もとの世界に戻る方法、ひいては記憶を取り戻す方法を伝えるわ。残念ながら、ザ……ザからの干渉は殆ど出来ないと思ってちょうだい。こちらからその世界にザ…………出来るのは………ザーザ…………回程度…れも強力な干渉は出来ないわ

 

 霊夢、偉大なる航路(グランドライン)を目指しなさい。

 

都合のいいことに、その世界には解りやすい終点が存在する。あなたたザ…員が………ザ……に到達したとき、わ…ザ…………ザー……帰………………ザー…………………ばりなさい、れい……………………………………………ザ………………………………………………』

 

 そして、映像は途切れた

 

 途中途中でふざけた言動のやつだったが、私の事を知っているような口ぶりだ。下手したら母親なのかもしれない 

 いや違うわ。考えただけで虫酸が走った。絶対違う

 

「なぁ霊夢。今の映像………」

 

「えぇ………どうやら私の記憶に関するものみたいね…………」

 

 まずはこの刀だ。話を聞くに、銘を『染雪』と言うらしい。まぁ刀身は真っ白だしそれっぽいと言えばそれっぽい

 そしてあの女は、この刀は私の本来の力を加工しただの世界に合わせて作っただの言っていたわね。どうにもその口調から、薄々感じていた‘違う世界’と言う突拍子もない事を事実と見なければいけないかもしれない。

 

「ねぇウソップ。私が異世界人かも知れないって言ったら信じる?」

 

「…………………まぁ普通の人間だって言われるよりは信じるな。俺も今の映像を見たんだ、信じるさ」

 

「…………よね、」

 

 そう、刀についてはそれでいい。問題はそこだ。

 

 私のルフィについていく一番の理由は自分の記憶探しだ。しかし私が異世界人で、この世界に記憶の手掛かりが無いならば、帰還の方法を探さなければならない。

 

 あの女はこの世界に終点があると言った。解りやすい終点が。

 それは偉大なる航路に存在するらしい。ちょうどいいじゃないか、ルフィはきっと、この世界全てを冒険するつもりだ。その中に終点もきっと存在する

 

「ふぅ、この事をルフィに伝えなくちゃね。信じてくれるか解らないけど」

 

「ってオイオイ、今はあの魚人達に勝つのが先決だろ? 向こうの状況次第じゃあ加勢に行かないと……」

 

 そこまで言ったとき、アーロンパークの方で噴水が上がる。オイオイ何やってんだアイツら……

 

「全く、ゆっくりしている暇は無いわね……」

 

「だな!! 急いで戻るぞ!! ところで相談なんだが霊夢、俺をおぶって行ってくれないか? 全身の骨が砕けてるんだ。10本くらい」

 

「折れた肋骨が肺に刺さって死ね」

 

「具体的にひでぇな!!」

 

 さぁ、私の目的とルフィの道は重なった。こうなった以上、もう東の海に未練はない

 

 ルフィ。早くアーロンなんかぶっ飛ばして、ナミを取り戻すわよ。こんなところでぐずぐずなんてしていられないわ

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 

 フルボディさんを近くの支部まで運んだら、スモーカーさんから直々に呼び出しを喰らってしまった。『いつまで道草くってやがる。早く帰ってこねぇとテメェが棚の奥に隠してる酒を飲んじまうからな』なんて脅されたので

 そして必死に道草を2回に抑えてローグタウン帰ってきたのに、あの人私の大事なお酒ちゃんをイッキ飲みしちゃうんです。

 酷いですよあんまりですよ、あのお酒、私が少ないお給料を必死に貯めて買ったのに……。チビチビ飲むのが仕事終わりの唯一の楽しみだったのに

 

「あ、美鈴軍曹……」

 

「たしぎちゃん!! 聞いてくださいよぉ~、スモーカーさんたら酷いんですよ。スモーカーさんに脅されて、大急ぎで帰ってきたのに、私のお酒、全部飲まれていたんですよ!! 酷いと思いませんか!! あのニコチンのオバケ!! 今度、あの人の備蓄してる葉巻を全部吸ってやりますよ!! ね!! たしぎちゃん!!」

 

「えーと、そんなことしてるから毎回毎回スモーカーさんと喧嘩になるんじゃ無いかと思うんですが? 前にもスモーカーさんが楽しみに取っていたって言う葉巻を捨てたりしてませんでしたっけ?」

 

「あ、あれは不可抗力です!! むしろ部下に自分の部屋を掃除させるのが悪いんですよ!! 横着なスモーカーさんが悪いんです!!」

 

「えーっと、ノーコメントで」

 

 たしぎちゃんの台詞に心を折られ、私は地面に突っ伏した。うぅ、私の天使が……

 

「あ!! 曹長!!軍曹!!ここにいましたか!! 町で海賊たちが暴れています!! 応援を!!」

 

 この傷心の私になんですとぉ~? 基地の廊下の角から現れた兵士は敬礼をしながら応援要請を出してくる

 

「うがーーーー!!! この怒りを無法者共にぶつけますよ!! 行きますよたしぎちゃん!!」

 

「あ、はい!!」

 

 私は怒りに身を任せて体から‘紅いオーラ’を撒き散らし、町の方にすっ飛んでいった




 Q、ウソップひとりでもチュウに勝てたのに、二人がかりでどうしてダメージ過多で辛勝なんですか?

 A、お互いがお互いに足を引っ張りあった結果です。タイマンなら針なしでも霊夢の勝ちですし、ウソップも原作通り勝ってます


 Q、なんで刀?

 A、巫女に刀ってええやん?
 

 Q、今回の話って、結局どう言うこと?

 A、最弱の海でいつまで遊んどんねん、はよグランドライン入れや



 また説明回です。
霊夢の能力が一部解禁されました。麦わらの一味の様に死線を越えて強くなっていくのではなく、彼女は力を取り戻す形で強くなっていきます
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