霊夢ちゃんのワンピース世界冒険録   作:壁の苔寺

14 / 29
 一段落したのでなにも考えずに霊夢と麦わらの一味の絡みを書きます。

 評価バーに色が付きました!! ありがとうございます!!


船上にて1

 

 

 青い空、白い雲。メインマストの上の見張り台の上でアクビをしながら心地のよい陽気に身をさらしている。あぁ、眠い………

 ナミの故郷を出港し、暫くたったある日、見張り当番を任された私は必死に眠気と戦っていた

 

「平和ねぇ……」

 

 下ではルフィがナミのミカン畑に強襲をかけ、サンジがミカン泥棒と熱く下らない死闘を繰り広げている。

 ウソップはいつのまにか出来ていた工房で何か怪しい調合をしている。あ、爆発した

 ゾロはいつもの様に寝ている。あいつ寝ているか鍛えているかどっちかしかしていないわね。他にやること無いのかしら

 ナミはどこから持ち込んだのか、ビーチパラソルとビーチチェアを使って寛いでいる。サンジに作って貰ったと思わしき甘味を食べているわね。ふむ

 

「ねぇサンジーーー!! ナミが食べてるのなにー? 私も食べたいんだけどーーー!!」

 

「ぐ、てめ!! ナミさんのミカンは絶対に渡さねェ!!  あ、レイムちゃん!! もうちょっと待ってくれる!!?? いまこのクソゴム野郎をのしてから……」

 

「オラァ!!! ミカンよこせぇーーー!!!」

 

「ぐ、てめェクソゴム野郎が!! 本気で殴りやがったな!!!」

 

 うわー、目の色をミカンに変えたルフィがサンジを吹っ飛ばしてるよ。

 これはあれね、最初にナミが皆にミカンを渡したのがいけなかったわね。かなり美味しかったから。理性が無いルフィは毎日のようにミカンを狙って突撃している。食欲に取り憑かれたルフィは見境無いってのが良くわかる一幕だ

 

 仕方ない。私の甘味のためだ。そう思って見張り台から飛び降りる。その時に袖から針を取り出して勢いに任せて投擲。三本投げたそれはルフィの服を貫き、甲板の上に縫い付けた。

 

「全く、そんなに食べたいならナミに頼めばいいじゃない。ナミだって鬼じゃ無いんだから食べさせてくれるでしょうに。ねぇナミ?」

 

 私がそう言いながらナミの方を向くと、ナミは呆れた様な視線を向けて言った

 

「そうよルフィ。私にとってあのミカン畑はとっても大切で、亡きお母さんの形見で、大切な姉との絆で、船に積む事の問題を解決するのに必死に村のみんなで知恵を出しあって何とか植えたミカンでも、この船の船長なんだから食べていいわよ。ちゃんと私に言ってくれればね」

 

「ごめんなさい」

 

 うわぁ、追い込み方がヤクザのそれよ。甲板に縫い付けられた姿勢のままルフィのやつ泣いてるじゃない。

 もう暴れないだろうと算段をつけて、針を回収する。まだ余裕があるといえ、補充できないんだ。大切に使わなくちゃ

 

「で?なに食べてるのよ」

 

「パフェよ。ミカンと木苺のパフェ。食べる?」

 

「ミカンじゃねーか」

 

 閑話休題

 

 

 さて、サンジにパフェとやらを作って貰って舌鼓をうっていると、いつのまに起きたのか、ゾロが後ろに立っていた

 

「あら? あんたも食べる? 美味しいわよ?」

 

「いらねぇよ。そんなことよりその背中に背負ってるもの見せろ」

 

 ゾロが指差す先には例の『染雪』。そう言えばアーロンと戦ってる時になんか何か言ってたわね。私は背負った刀を手にとってゾロに渡そうとした

 

「ってお前!! 抜き身で背負ってるのかよ!! 危なねェだろが!!」

 

「いや、まず鞘が無いし。どうせ斬れないんだからいいでしょ?」

 

「斬れない?」

 

 ゾロは受け取った刀の刃を少し触る。乱れ刃がうっすらと見える程度の真っ白な刀剣、それに刃はついていない。ぶっちゃけこれ、金属の棒だ

 

「なんだこれは。こんなんじゃ何にも斬れねェじゃねぇか」

 

「だから言ったでしょ? だから鞘とか無くても大丈夫よ」

 

「見た目に危ねェ」

 

 ふむ。言われてみれば。私は船から布切れを取り出して巻いていく。それなりに長さがあって悪戦苦闘しながら巻き終わったのでゾロに見せた

 

「コレなら文句無いでしょ」

 

「いやまぁ、別に最初から文句があるわけじゃねェんだけどよ。

 にしてもその刀、見れば見るほど意味わからねぇな。きちんと刀として打たれているように見えるのに斬ると言う機能だけが欠落している。なんだコイツは?」

 

 そんなこと言われても困る。一応、この刀が私の力を固めて作ったものだって胡散臭いババアが言っていたと伝えているのだが、なにやらブツブツ言っている。

 まぁいいかと思ってゾロに刀を預けて私はお茶を淹れに食堂に向かった

 

 道中でウソップに出くわす。さっき爆発してたけど大丈夫かしら?

 そう思って覗き込むが、何一つめげた様子もなく何かの粉の調合をしてた。指をプルプルさせてるからよっぽど繊細な調合なのかしら?

 

「ウソップ」

 

「ぅおあ!!!」

 

 後ろから声をかけたら方を肩を震わせて手に持ったそれを放り投げる。と、同時にそれは真上に飛んでいき、ウソップの頭にかかってしまった

 その数瞬後、青ざめるウソップの顔が爆発を起こす。おお、なかなかの火力ね。頭から煙をあげ、アフロヘアーになったウソップは床に突っ伏した後、起き上がって私に詰め寄ってきた

 

「何すんだレイム!! 俺の『超火炎星』のプロトタイプがおま!! あーーー!!!」

 

「うるせェ」

 

 頭にチョップを入れて落ち着かせる。ゴロゴロ転げ回るがそんなに強く殴った覚えはないぞ。小さくため息をついてその場を通り過ぎて食堂に入った

 

 そこにはサンジがいて、村から貰ってきた魚を捌いている所だった

 

「手伝おうか?」

 

 お湯を沸かしながら私はサンジに言う。どうせ沸けるまでの間は暇なんだ。そう言いながらサンジの近くによると、彼は目の形をハートに買えてくねくねしながら、口を開いた

 

「その心遣いだけで僕の胸はいっぱいさ………ありがとう……。是非ともそこに座っててくれ。今すぐに美味しい緑茶を入れて見せよう!!!」

 

「うざい」

 

 私がそう言うと、サンジはムンクの叫びの様な表情をして浮かべて絶望している。それでも包丁は手際く動いているあたり流石だなと思うけど

 サンジが持ってきた自前の包丁とは別の船に最初から積んであった包丁を手にとって魚を捌き始めた。それを見て、絶望から立ち直ったサンジは言う

 

「中々慣れている手つきだね。レイムちゃん」

 

「んー、なのかな? この辺は体に染み付いてる感じだから何も考えなくても出来るんだけど」

 

 しゃっしゃと腸を抜いて水洗い。これは干物にするのね。航海には必須の保存食を作るために紐に通していく

 

「もしかしたらレイムちゃんも料理関係の仕事をしていたのかもな。まさか運命の糸で結ばれて……」

 

「はいはい、ちゃっちゃと手を動かせバカ」

 

 二人でやれば速度は二倍、いやまぁ流石にサンジの速度には勝てないが。それでも終わらしてお茶を入れる。ついでに他の皆の分も入れて、サンジと一緒に持っていくことにしたのだった

 

 表に出ると鳥に何か文句を言っているナミの姿が見えた。なにやら新聞を運んで来る鳥に値下げ交渉をしているらしい。鳥は困った表情を浮かべているから人間の言葉を理解しているのだろう。そっちに持っていく分のお茶はサンジの強い希望によって彼が持っていくことになった

 

「ほらルフィ、お茶よ。たまには落ち着け」

 

「お? ありがとなレイム」

 

 ルフィは私が持ってきたお茶に手をつけて、一口飲む

 

「あ~、茶が旨めぇ~」

 

「そりゃよかった。これを機会に少しは船長としての落ち着きを発揮してほしいわね」

 

「あ~、落ち着いてるよ俺は~」

 

「……………うん、まぁ頑張れ」

 

 私はその隣に正座してお茶を一口啜る。うん、美味しいわね

 

 その時、少し強めの風が吹き、ナミの方から何かが飛んでくる。それはチラシの様なペラペラの紙で、海の向こうに消えていきそうな所をキャッチした

 内容が目に入り、少し驚きながら納得する。あぁあのネズミとか言う海軍の仕業かしら?

 

「ルフィ、ほれ」

 

「ん~、なんだぁ~………………あ!!!!」

 

 それは手配書だった。満面の笑みを浮かべた麦わら帽子のよく知る顔の男が載っている。これって写真よね?いったいいつ撮られたのよこれ。モンキー・D・ルフィは先の一件で賞金首になったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 お尋ね者になったルフィは喜んで、大声で笑い始めた。まぁこれでようやく一端の海賊だと認められた様なものだ。私にはわからない感覚だけどきっと嬉しいのだろう

 

 話を聞き付けた船員たちが集まってきて色んな反応をしている

 

「なっはっはっはっは!! 俺達はお尋ね者になったぞ!! 三千万べりーだってよ!!」

 

 と上機嫌なルフィと肩を落とすナミ。写真の後ろの方に後頭部が写っていてテンションを上げるウソップと拗ねるサンジ。ルフィとナミはともかくお前らそれでいいのか?

 

「この額ならきっと‘本部’も動くし強い賞金稼ぎにも狙われるわ………」

 

 疲れきったナミの様子に三千万べりーがどれ程の金額か気になるところだ。あの様子を見るにかなりの額なのだろう。と言うことはルフィを海軍につき出せば大金持ちになれるのかしら?

 

「おいレイム、悪い顔してるぞ」

 

「ハッ!! 私は何を!?」

 

 ついつい針に手をかけてしまった。お金は人を狂わせるわね。危ない危ない。ウソップに言われなければルフィをめった刺しにするところだったわ

 

 さて、この額の海賊がいつまでも東の海に居るわけにはいかない。そう言うわけで偉大なる海路への道をいそぐことになった。その為に最後の補給がてら近くの島に向かうことになった。

 

 その島にはある有名な町があるそうだ。『ローグタウン』。別名、‘始まりと終わりの町’。この大海賊時代の火付け役であるゴールド・ロジャーが生まれ、処刑された町があるらしい

 

「大海賊時代って?」

 

「そこから!!??」

 

 知らないものは知らない。私はこの世界とか世界情勢とか全く知らないのだ。興味ないのもあるし

 

 この世界にはとんでもない海賊がいたらしい。その海賊はこの世界の全てを手にしたと言われるほど世界を荒らしまくり、冒険し尽くした。彼は最後に海軍に捕まり、そして処刑の寸前に叫んだ

 

 

『俺の財宝か? 欲しけりゃくれてやる。探せ!!この世の全てをそこに置いてきた!!』

 

 

 その言葉は世界の人々を海へと駆り立てる。そのゴールド・ロジャーの宝を、海賊王の宝を手に入れるために。それがこの大海賊時代

 

「なるほど。つまり海軍に捕まった負け犬の最後の遠吠えってわけね。アホらしい」

 

「うぉい!! 言葉を選べこのスットコドッコイィ!!!」

 

 暴言を吐いたウソップのこめかみにアイアンクローを決めながらため息をつく。死に際の言葉に踊らされたアホ共がいったいこの海にはどれだけいるのだか。

 大海賊の宝。それを見付けることが出来ればきっと凄まじいものだろう。私だって有るなら見てみたい気もする。しかしこの大海賊時代が始まって20年以上たっていると言う話じゃないか。

 ならもう見つかっていて、見つけた誰かがなにも言わずに自分のものにしているとか、最初から無かったとか、有ったとしても海の底の底に沈んでいるから見付けることが絶対に出来ないとか、そんな可能性の方が高いだろう

 

ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)ね。有ればいいなとは思うけど、正直面倒と言うのが正直な話ね」

 

「なんだ? レイムお前バカだな」

 

 黙って聞いていたルフィが私の言葉に反応する。バカにバカと言われると思いの外傷つくわね

 

「………………なんでよ?」

 

「ワンピースが有るかどうかは問題じゃねェんだ。それを探すのが楽しいんじゃねェか。それが冒険だろ!!??」

 

 ルフィの言葉に私は目を丸くする。なんとも、分かりやすい言葉だ。流石だなと思う

 

「そうね。その通りだわ」

 

 私は小さく微笑んで、そう言った

 

「ぅっし!! 野郎共!! 行くぞぉ!!! 島だーーーー!!!」 

 

 ゴーイングメリー号は進む。ローグタウンへ、そして偉大なる海路へ

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 

 ムシャガブゴグゴクムシャムシャガリブチゴグズルムシャムシャムシャムシャムシャ…………………ゴクンッ

 

 い、

 

「生きてる…………ッ!!!!」

 

 死ぬかと思った、本当にもうだめだと思った。行けども行けども砂しか見えない地獄を5日も飲まず食わずでさ迷い歩いて幻覚を見たのも一度や二度ではない。サボテンを食べて毒に当たって腹の中の物を胃酸含めて全て吐き出した時は生きることを諦めたりした。あぁ生きているって素晴らしい………ッ

 

 砂漠のど真ん中で拾われて、安心感で意識を失って、目が覚めると建物の中でベッドに横になっていた。過度の疲労と栄養失調と脱水。意識を失っている間、点滴で生きながらへ、意識を取り戻してからも流動食しか食べることを許されず、そして目が覚めてから三日目の今日。ついに固形物を食べることが出来たのだった。

 

「フフ、少しは落ち着いたかしら? コンパクヨウムさん?」

 

「あ、この度は本当にお世話になりました。見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ありません。何分久しぶりの食事でして……

 危ないところを……本当に危ないところを助けていただいて。このご恩は一生忘れません」

 

 地獄に仏とはまさにこの事を言うのだろう。目の前の帽子を被った妖艶な黒髪美女が目の前を通らなければどうなっていたか……。いや、まず間違いなく死んでいただろう

 彼女と会うのは目が覚めた時に一度だけ軽く挨拶をしたくらいで、今日久しぶりに面会することが出来た。ご飯を食べる許可が出たのでついでとばかりに一緒に食事をすることになったのだ

 

「それで? あんなところで何をしていたの? あの辺りは町もなければオアシスもない、本当に危ない地帯だったのよ?」

 

「それが…………。あの、命の恩人にこんなことを言うのは本当に心苦しいのですが、私はその………殆んど何も覚えていないんです。せいぜい名前くらいのもので」

 

 私がそう言うと、目の前の彼女は訝しげな表情を浮かべる。まぁそりゃそうだ。急に記憶喪失なんて言っても信じてもらえる訳がない

 

「記憶喪失ね。ふむ、少し頭を見せて貰ってもいいかしら?」

 

「え? あ、はい。どうぞ」

 

 彼女は私の後ろにまわって後頭部を覗き込む。髪を掻き分けられる感触に擽ったさを感じながらも我慢していた。

 

「ふむ、外傷はないわね。頭部を強く打った一時的な記憶の欠損かとも思ったのだけれど。違うとなれば強い精神的な苦痛を味わった防衛本能か、それとも薬物による一時的な記憶の欠損かしら?」

 

「えっと…………信じてくれるんですか?」

 

「あら? 嘘をついているの?」

 

 私は大きく首を振る。本当に何も覚えていないんだ。あ、でも

 

「私の刀ってどこにありますか? 何かとても大切な物だった。そんな気がするんです」

 

「刀………。あの花が刺してある二振りのあれね。あれなら私が持っているわ。でもごめんなさい。返すわけにはいかないの」

 

「ええ、わかっています。有るのなら構いません。こんな素性も知れない相手に武器を持たせてはいけません」

 

 少し笑みを浮かべながらそう言うと、彼女は驚いたような顔をして、少し考えるような素振りを見せる。そのまま数分がたって、その空気に耐えられなくなってきた私は口を開いた時、彼女から言葉が発せられた

 

「ねぇあなた。どれくらい強いのかしら?」

 

 




 今回は短め。次回くらいで山上れたらいいなぁ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。