それはともかく、本編
さて、巫女舞も終わって倒れ伏している二人の巨人。私は使った精神力を回復させるために肩で息をしながらへたりこんだ
体が熱い。慣れないことをするものじゃないな。………いや、そうでもないのかしら?私の体は違和感なく動いたから日常的にこういうことをやっていたと思うのだけれども
そんなことを考えていると、ナミが私の顔を覗き込むようにしながら口を開いた
「ねぇ………今の、何?」
「何って………ただの巫女舞よ? 祝詞でてきとーにその辺の神様呼んできて、後はそれを静める為に戦いと舞いを納めたの。それだけよ?」
私がそう言うと、ナミは頭を押さえて目をつむってしまった。頭痛に苦しんでいるみたいに
ウソップの様子を見ると、口をポカンと開けてこっちを見ている。なんなのよいったい
「取り敢えずね、レイム。あなたって悪魔の実の能力者じゃないのよね?」
「食べた記憶は無いわよ?ガイモンのオッサンの所にいた頃、何回か泳いだし」
「そう…………、はぁ頭いたい」
頭を押さえながらナミは語る。私が踊っている間、その周囲を小さな光が煌めき、風は渦を巻くほど強くなり、私の体からはなにやら赤いオーラが沸き上がっていたらしい。なんだそりゃ
「それはなんと言うか………変な話ねぇ……」
「あなたは他人事みたいに全く………。ってか、あんた記憶戻ってるでしょ? 違うとは言わせないわよ?」
「ん?……………あー、かもしれないわね。実はこの『染雪』を手に入れたときに少しだけ記憶が戻ったのよ。自分の事とか、必要なこととか。……その思い出した中にあったのが、自分が‘巫女’だって事よ」
「巫女?」
「神様の声を聞いて、それを伝えるのが主な仕事。後なにか色々してたような気がするんだけど、それについては思い出せないのよねぇ」
その言葉を聞いて神妙な顔になるナミとウソップ。ウソップなんかは震えているわね。なんでよ
「な、なぁレイム? てことは今の躍りは神様と交信してたってのか? ってか神様ってのは本当にいるのかよ!?」
「さぁ?」
『さぁ!!??』
いちいち反応がうるさいなぁ。体力も回復してきたので体を起こして立ち上がる。裾についた泥を払いながら二人に向かって話し掛ける
「私、神様を信じない人に説法する気はないの。信じてる人にもする気ないけど。いるから幸せになれるとか、いないから不幸だとか、極楽浄土とか信じないなら救わないだとか、馬鹿馬鹿しいと思わない?」
ウソップとナミが、私のことを違うものを見るような目で見てくる。体におろした影響かしら? まだ変な物が体に残っているのかも
「なぁ……………レイム……………。お前には…、いったい何が見えてるんだ?」
「はぁ? ナミとウソップだけど?」
他には相討ちで倒れているブロギーのオッサンとか、密林とかかしら? 私がそう言うと、二人はあからさまにホッとしたような表情をする。私なにかしたかしら?
「だよなーーーー!!! あービックリした!!なんか急にレイムが違う世界の人間みたいに見えてよ!! ハッハッハッハ!!!」
「いや違う世界の人間なんだけど!?」
✳
ブロギーが相手の巨人に私達が上げた酒を渡し、そして帰ってきたブロギーに向こう側にはルフィとビビが居ることを聞いた。世間は狭いわね、うん意味が違う
ウソップはブロギーの事を師匠と呼んでいた。彼にとってブロギーは生き方の師匠そのものなのだろう。まぁブロギー自身は巨人族になりたいのか?なんて惚けた問いをしていたが
「エルバフの戦士の様に、誇り高く生きていきてェとおれは思ってる!!」
誇り、か。私はそんなこと考えた事も無かったわね。名誉ある死とか、誇り高く生きるとか。くだらないとか言うつもりはないけれど、私はきっとそんな風には生きることは出来ないんだろうな。私はウソップを少し羨ましく思いながら見つめていた
にしてもこの島は煩いわね、あっつこっちで、火山が噴火してるし、猛獣や怪鳥はギャーキャー鳴いてるし。ほら、いまだってどこかで爆発音が聞こえてきた。こんな島じゃ落ち着いて寝ることなんて出来そうにないわね……
そんなとき、再び中央の火山が噴火する。なによ、またやるのあれ。
「ガババババババババ、決闘の合図か…………!! 今日は景気がいいな!!!」
「行くのかよ!! さっきの傷は……」
「なに……お互いに条件は同じだ!! ガババババババババ!!! 情け容赦ない殺し合いに言い訳などしては名が腐るわ!!!」
こんな闘いを1世紀か、本当に頭が下がるわ。真似できない。ナミがムダゲンカと評すそれに、私としては同感だ。しかしウソップの気持ちも解らなくはない。なんと言うか、ウソップに共感しきれない自分がもどかしいわ
私達は船に戻るかそれともルフィ達と合流するかという話し合いだ。どちらでもいいけれど、早く決めてくれないかしら?
ブロギーは行ってしまい、その中心で再びドリーと向かい合う。ここからでも一触即発と言った空気が感じられる
…………………………………………???
「なんで?」
私は走り出す。巨人達の歩幅は非常に大きく、普通に歩いているだけにも関わらずその速度は非常に速い。あの戦いの場に着くまで全力疾走しても数分はかかるだろう。
「レイム!!??」
後ろからナミとウソップの声が聞こえてくるが、構っている暇はない。早くあの二人の所にたどり着かないと……
ジャングルを抜けて、開けた場所に出る。そこは二人が戦い続けて出来た場所だろう
「どうしたドリー!!!歯切れが悪いぞ!!」
「なに………いつも通りさ……」
やっぱりおかしい。さっきみたこの二人の戦いじゃない。ブロギーはともかくドリーは何故かダメージ喰らっている。それも甚大な、生命に関わるレベルの
私は大きく息を吸って『染雪』を取り出しながら叫ぶ。こんなもの認められるか
「その決闘、まっ…………!!!!????」
私の声が巨人二人に届く前に、後ろから何かが近付いてくる。とっさに横に跳んでかわすと、私がいた場所に白い何かが出来上がった
「まったく……、無粋な真似をしようとしてくれるじゃないカネ?」
そこにいたのは変な格好の男だった。シマシマ模様に蝶ネクタイの服を着て、趣味の悪い眼鏡をかけている。そしてなにより特徴的なのは髪型だ。3である。他になにも言えないくらいに清々しいほど3だ
「私の描いた絵に泥を塗ろうとするなんて、抹殺指令を受けている以上殺すことは確定だが、それ以上に苦しめて殺したくなってしまう」
「なによ変な頭」
「うるさいガネ!!」
ちらっと横目で巨人達を見る。やはりドリーの動きは悪い。粘っているがそう長くは持たないだろう
「………………………あんたか?」
何をとは問わない。問う必要はないだろう。私はその事に興味はない。こいつが何をしたのかとかも知ったことか。だけど私はこの二人の戦いを認めて、この戦いを二人の神に捧げるために尽力した。自分の努力を台無しにされたような、単純な怒りだ
3男はニィ、と笑みを濃くする。それが答えなのだろう。『染雪』の布を破り捨てて私は男に向かって走り出した
『‘カラーズトラップ’闘牛の赤』
「ッ!!??!!??」
気が付いたら、私は3男の側にかかれた謎のマークを切りつけて、そして全力の封印を施していた。こんなに力を込めるつもりはなかったのに
そして全力で攻撃をしたと言うことは、その分大きな隙が生まれると言うことだ。3男は私に手をかざすと小さく呟くように言った
『キャンドルロック』
両手を封じられた。なんだこれは、蝋燭? 蝋燭が固まって私の手を手錠の様に拘束されてしまった
「っの!!」
「おっと、危ない危ない」
仕方ないので蹴りを叩き込む。しかしなぜか攻撃が大雑把になってしまって、簡単に避けられてしまった。そのまま距離を取られてしまったので、地面に落ちている石を全力で蹴る。
「なっ!!??」
それは3男の眉間に直撃する。よし、これなら………
「この、」『キャンドルロック!!!!』
もう一撃叩き込むために足を大きく上げたところを狙われた。片足に腕についている物と同じ物がつけられてしまい、私はバランスを崩す。そのままその場に転んでしまった
「く、そっ………!!」
「ふん、手こずらせてくれたカネ。この女も抹殺対象だ。こいつも私の美術作品にしてやろう。有り難く思うがいいガネ!!」
油断したつもりは無かった。しかし何かがおかしい。そうだ、あの木に描かれた模様を見たときから体が何かに誘導されているような感じがする
「さぁミス・GW!! この女を見張っておけ!! 私はあの巨人共の戦いに決着をつけさせる」
男はドリーの足元に向かってなにかドロドロとした物を流し込む。あれは蝋燭の蝋か?悪魔の実の能力者ってやつか
「やめろブロギィイー!!!!!」
私の叫びは届かない。蝋で体勢を崩したドリーに向かってブロギーは追撃をかける。ダメだ、あれは致命傷になる
「1世紀………………永いーーー……戦いだった…………!!!」
かくして、二人の巨人の闘いは決着する。無粋な男の手に操られる形で
「……………っち殺してやる」
「ははははは、負け犬がなにか言っているよガネ?」
手の拘束はまるで溶ける気配がない。とんでもなく固いなこれは。両手と両足を拘束されて芋虫の様にモゾモゾとしか動くことのできない私は吠えることしか出来なかった
✳
涙を浮かべるブロギーが捕まるところを黙ってみていることしか出来なかった。彼は私を捕まえている蝋で全身を覆われて拘束されてしまっている。
少し時間がたって、敵に捕まったと思われるビビとナミとゾロが連れてこられた。なによ、あいつらも捕まったのか。モジャモジャサングラス男がルフィを始末したとか言っていたが、こいつじゃ逆立ちしてたとしても勝てないだろうに。
ビビがドリーの酒に爆弾を仕込んだと叫び、ネタバラシを憤る3男。なんでもあいつはMr.3と言う、バロックワークスのエージェントらしい。なるほど、だから3なのか
私とナミとビビとゾロは何やら巨大なケーキの様な蝋燭にセッティングされる。なにかしらこれ。
「ってかなにあんたまで捕まってんのよ。ウソップは?」
「レイムが行っちゃうからでしょうが!!!!」
さて、この巨大な蝋燭は上の方が回っている。その遠心力を使って蝋の霧を降らし続けることで私たちをろう人形に変えようと言うつもりらしい。なんとも趣味の悪いことだ
ナミはブロギーに向かって吠える。このままじっとしていてろう人形にされるのを待つのかと。それに答えたのはMr.3だ。ブロギーは相手の傷にも、気づいてやれずに100年戦い続けた深憂を自分の手で斬り殺して勝ち誇ったのだと。
「わかっていた……… 。一合目を打ち合った瞬間から………、そこの小さな人間の声を聞いた時から………ドリーが何かを隠していることぐらい………!!!」
「んんん? フハハッわかっていただと?ウソをつけ!!ならばなぜ戦いをやめなかった? あの豪快な斬りっぷりには同情の欠片も見当たらなかったぞ……?」
バカにしたようなMr.3にブロギーは答える。怒りか、憎しみか
「…………………‘決闘’のケの字も知らねェ小僧に涙の訳など解るものか。お前などに何がわかる?弱っていることを隠し、なお戦おうとする戦士に恥をかかせろと………!?
そうまでして決闘を望む戦士に!!!! 情けなどかけられるものか!!!!!!」
あぁくそ、こいつら二人とも大バカ野郎だ。救えない。
気迫でMr.3を怯ませて、ブロギーは鉄に匹敵すると言う蝋を砕こうとする。しかし………モジャモジャ男の爆弾を無抵抗で顔面に受けて、ブロギーは力を失ってしまった
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Mr.3はブロギーの腕と足に蝋で出来た巨大な剣を突き刺す。それで完全に拘束されたブロギーは苦悶の表情を浮かべている。
その間に蝋の霧はどんどん増えていき、肺のなかに入ったそれで息苦しくなってきてしまった。苦しい
「……………………ねぇブロギー」「オッサン、まだ動けるだろ?」
私とゾロはブロギーに、同時に話し掛けた。タイミングがあまりにも同時だったので少しイラッとするが、ゾロの方を見ると方をすくめる。先に言えって事かしら
涙を流しているブロギーに私は問いかける。あれは死への恐怖の表情ではない。不条理に対する怒りの表情だ
「あんたらの神を私は知らないわ。信仰心や願いで何が変わるなんて事はない。それに救われるのは、祈るだけものじゃなくて、祈るために戦うものよ」
私は鼻をならしてゾロを見る。彼は小さく笑って刀を引き抜いた
「なぁオッサン、その両手両足ブッちぎりゃあ……死人よりは役に立つはずだ。
俺も動ける。足、斬りおとしゃあな。一緒にこいつらつぶさねェか?」
あぁ、こいつはこいつでぶっ飛んでるわね。この顔ははったりでも何でもないわ。マジだ
「……………………なに見てんのよ? 私はやんないわよ?」
「ここにいたらそのまま死ぬだけだぜ? どうだ?」
「……………………」
まぁ、仕方ないか。このまま無抵抗で殺されるくらいなら暴れて殺された方がマシだ。幸いなことに腕の拘束は解かれているから痛いのを我慢すれば戦えるだろう
「ガババババババババ!!!!小生意気な小僧達だぜ…………!!! 俺としたことがもう、『戦意』すら失っちまってたようだ………。付き合うぜ、その心意気!!!」
さぁ、戦闘再開だ。斬る能力のない『染雪』だが、取り敢えず構えるだけ構えておく。ゾロが足を落としたら、すぐにこっちを斬るように言った
「待って!! 私も戦うわ!!!!」
ビビも話に乗るつもりらしい。本当に肝の座った王女様だ
ゾロの刀がその主人の足に突き刺さり、ブロギーが自らの四肢を引きちぎるために力を込めたその時だった
「おりゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!! お前らァ!!! ぶっ飛ばしてやるからなぁあああああ~ーーー……………………」
そんな叫びと共に、ルフィが参戦してそのままフェードアウトしていった。もうちょいまともに登場してくれ……まったく
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気がつくと、私は海の上でロビンさんとパンチと呼ばれる亀の上にいた
「あら? 気が付いた、ヨウム」
「ロビン……さん? わ、たしは………」
そこで思い出す、私はあの紅白女に1蹴にされて負けてしまったことを。それもあんなに簡単に、単純な手で
「そうだ、私は………負けたんだ……」
「相手にもされてなかったわね。ふふ、任務は失敗、Mr.5のペアもその紅白と共に一味やられたみたいよ。中々に面白い子たちね」
「…………………」
「ねぇ、どうして急にあの娘に喧嘩を売ったのか教えてくれる?」
そうだ、私の本来の任務はアラバスタ王国の王女であり、バロックワークスのスパイであるネフェルタリ・ビビの抹殺。個人的には王女自らの潜入すると言う?大胆不敵な行動に感心していたが、任務は任務だと割りきって、能力バカの弱いMr.5ペアの援護についてきたつもりだった
しかしあの紅白女を見た瞬間、それは頭から消えた。理由は…………そうだ、
「なにか、ひっかかったんです。あの女見覚えが有る気がして。それで斬ってみればわかるかと思ってしまって………。申し訳ありません。任務失敗の責任は全て私が………」
「問題ないわ。Mr.3ペアに任務が行ったの。彼なら失敗は無いでしょう。もしも失敗するようなら…………ふふ、面白いことになりそうね」
「えっと…………はい」
Mr.3、私はあの人が苦手だ。目的のためになら何をしてもいいと言う悪党なのだが、その行為がどこか小ズルいのだ。しかしそれで最大級の戦果をあげるのだから、認めざるを得ない。剣士であり、真っ向からの殺し合いこそが手っ取り早いと思っている私としては、あまり理解出来ない相手だ
「私はこれからあの麦わら帽子の船長さんに挨拶にいくけれど………、あなたはどうする?」
「…………………では、紅白に伝言だけお願いします『次は必ず斬る』と」
鍛え直さなければならない。体が覚えている戦いの技術だけでは足りないのなら、私はそれ以上に強くなる。軽く刀を、『楼観剣』に触れて、決意をあらわにした
2万UA突破、お気に入りも200を越えました!! ありがとうございます!! これからもよろしくお願いします!!