霊夢ちゃんのワンピース世界冒険録   作:壁の苔寺

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ミス・GWとか、ジャンゴとかの、本人の戦闘力で勝敗が左右されない能力が好きです。誰かジャンゴが主人公の小説書かないかなぁ……

それはともかく本編


最高速度

 

 

 突然だが、人の平熱は36度前後だと言われている。人によって多少の前後はするが、大きく逸脱することはない。風邪を引くなどして体に異常をきたしたとしても、せいぜ1度変わるか変わらないか程度だ

 

 何が言いたいかと言うと、40度を超える様な病気が普通の風邪な訳がないと言うことだ

 ナミが倒れて、船室で私たちはゾロを除いてそこに集まっている。船の上の警戒や進路を見る人が一人もいないのは問題だからだ

 

「ナビざん死ぬのがなぁ!!?? なァビビぢゃん!!!」

 

 泣きながらハンカチを噛んで煙草をくわえると、中々に高度な事をしながらサンジはビビに問い掛けた。

 

「おそらくーー、気候のせい。偉大なる航路に入った船乗りが必ずぶつかると言う壁のひとつが、異常気象による発病………!!

 どこかの海で名を上げたどんなに屈強な海賊でも、これによって突然死亡するなんて事はザラにある話。ちょっとした症状でも油断が死を招く。この船に少しでも医学をかじっている人はいないの?」

 

 ビビの問いかけに、私たちはナミを指差す。この船にナミ以外のマトモな航海の知識を持ってる人間はいやしない。その事にサンジは涙を拭っていた

 本当にナミに頼りっぱなしなのねこの船の船員は。私、ウソップ、ルフィは言わずもがな、ゾロは刀と戦うことしか頭にないし、多少は頼りになりそうなサンジも‘看護’の領域でしかなにもできない。ここまで酷い発熱になれば医者の知識は必須だ

 

「でもレイムの時はすぐに治ったじゃねェか。ならナミもメシ食えば大丈夫だろ?」

 

「私の時は運が良かったから。クロッカスが医者だったでしょ? ぶっ倒れてすぐに治療を受けれた」

 

「今だって倒れてすぐじゃねェか?」

 

「医者がいないっつってんでしょうが!!」

 

 泣き止んだサンジは、私とビビとナミの食事には、野郎の100倍気を使っているから、栄養摂取という面での問題は起こさないと豪語する。食料の管理や栄養配分を完璧に行い、それが原因で倒れることは有り得ないと

 

「ナミさんとビビちゃんとレイムちゃんには新鮮な肉と野菜で完璧な栄養配分。腐りかけた食料はちゃんと野郎共にくれてやっている」

 

「オイ!!」

 

「それにしちゃうめェよなァ」

 

 今のこの瞬間、ナミの病気の原因は解らない。わからない以上それに対する対策をとることが出来ない。解ったとしても対処することが出来るかどうかも解らない。八方塞がりだ。

 ビビがナミの病気が命に関わるものかもしれないと言い出す。実際、それだけの高熱になるような病気がただの風邪なんかじゃあり得ないだろう。ルフィ、ウソップ、サンジの三人が泣きながら叫んで取り乱し、ついでにカルーも場の流れにのって暴れてる。うるさい

 ビビが叫んで私が殴って場を収拾する。やっぱりこいつらを仮とは言え病室に入れるもんじゃない

 

「医者を探すぞ!!!! ナミを助けて貰おおオオオ!!」

 

「解ったから落ち着いて!!! 病体にひびくわ!!」

 

「取り敢えず黙れお前ら!!! 叩き出すぞ!!!」

 

 打撃の効かないルフィを『染雪』でぶん殴って封印する。口は自由だからやっぱりうるさいが、取り敢えず埃はたたなくなったわね。他の連中にも切っ先を向けると首を縦に振って大人しくなった。まったく……

 

「……………だめよ」

 

「ナミ?」

 

 騒ぎに起きてしまったのか、ナミがベッドで上体を起こす。ルフィが治ったとか騒いでいるがそんなわけあるか。案の定ウソップにツッコミを入れられている

 

「私のデスクの引き出しに新聞があるでしょ? それを取ってきて………」

 

「わかったから寝ときなさいよ。辛いんでしょ」

 

「大丈夫よ。こんなの少し休めば良くなるわ」

 

「…………」

 

 ビビがナミの机の新聞を取り出す。そこにはアラバスタ王国の記事がかかれていた。

 それは王国軍の兵士が反乱軍に寝返ったと言うものだった。元は王国軍が優勢の戦いが、戦力の差がひっくり返ってしまったと言う記事。暴動を押さえる筈の戦いで、押さえる側の戦力が足りない。そんな戦いがどうなるかなんて火を見るより明らかだ。そんな悲報が三日前の新聞だと言う。くそったれめ

 

「ごめんね……。あんたに見せても船の速度は変わらないから、不安にさせるよりと思って隠してたの」

 

 ビビの顔が泣きそうに歪む。ルフィは何となくで戦況を理解したらしい。大変だと言うことさえわかればまぁいいだろう

 ナミは強がって、立ち上がる。赤い顔のまま甲板に向かっていった。アラバスタへの航路を急がなくちゃ、ビビの国がめちゃくちゃになってしまう。もう一刻の猶予もない。だからナミは強がっているし、ビビも苦悶の表情で苦悩しているんだろう。

 

「もう……無事に帰りつくだけじゃダメなんだ………一刻も早く帰らなきゃ。間に合わなきゃ、百万人の国民が無意味な殺し合いをすることになる………」

 

 百万人か………途方もないな。そんな国の王女がどんな気持ちなのか私には想像もつかない。彼女の肩にはいったいどれだけのものがのし掛かっているんだろう。それを隣で持つ人ももういない。私は船の天井を見上げて、なにも出来ずに死んだ男の事を思い出して唇を噛んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナミからの指令を受けて、ゾロが号令を出す。真正面から大きな風が来るから、それを避けるために船の進路を曲げるためだ

 やっぱりこの船にはナミがいないとダメだ。野郎は役に立たないし、ビビだって基本的な知識しか持っていないから航海士の真似事は出来ない。船を動かす事に関して、彼女がいないとどうしようもないんだ

 

 それがわかっているからだろう、皆が口々にナミを心配する。私は取り敢えずナミを休ませるために無理矢理気絶でもさせようかと手刀の素振りを始めるが、ナミにジロリと睨まれて止めた。

 

「………………お願いだから船を止めないで。無理はしないから」

 

「ナミ……」

 

 この娘は……。私は頭押さえながら、取り敢えずナミの背中を押す。

 

「ちょ、ちょっと……」

 

「指示は出したんでしょ? 無理しないって言うなら寝てなさいよ」

 

 私じゃナミを止められない。私は人が意思を通そうとするのを止めようとは思えないんだ。どこか冷めてるから、ナミを心配する気持ちがあっても、彼女の意思を無視して止めようとは思えない。自分が冷たい人間だとは思っていたけれど、なんでだろう。それが少し苦しい

 

 ナミを船室に押し込もうとすると、そこからビビが出てきた。彼女はなにかを覚悟したような顔をしている。

 

「皆にお願いがあるの。船にのせてもらっておいて……こんなことを言うのも何だけど。今、私の国は大変な事態に陥っていて、とにかく先を急ぎたい。一刻の猶予も許されない!! だから……これからこの船を‘最高速度’でアラバスタ王国へ進めてほしいの」

 

「当然よ! 約束したじゃない」

 

 ナミがビビの言葉に笑顔を浮かべる。そんな無理をしているのが丸わかりな表情で笑ってんじゃないと言いたい。でもナミがそう言うのなら私は………

 

 

「だったら、すぐに医者のいる島を探しましょう!! 一刻も早くナミさんの病気を治して、そしてアラバスタへ!!! それがこの船の‘最高速度’でしょう!?」

 

 

 ………………へ?

 

「そおーーーさっ!! それ以上のスピードは出ねェ!!」

 

 笑顔で言うルフィ

 

「いいのか? お前は王女として、国民百万人の心配をするべきだろ」

 

「そうよ!! だから早くナミさんの病気を治さなきゃ!!」

 

 ウソップの問いに堂々と答えるビビ。彼女の顔には覚悟はあっても迷いは無いように見える。本当に彼女はナミを助けてアラバスタ王国も救う気だ

 

「…………………ビビ、いいの? それで間に合わなくなるとか、致命的な判断ミスだとか考えないの? ……………ナミを犠牲にアラバスタを救えるかもしれないのよ?」

 

「レイムさん。私の答えは変わらないわ。ナミさんの病状はマトモじゃない。なにもしなくても治るなんて思えないわ。それにナミさんがいなくなれはこの船の速度は確実に低下する。いいえ、アラバスタにつけもしないかも知れない。国の事を考えて、私は確実にアラバスタにつかなくちゃならないの」

 

 ビビはそういって、微笑みを浮かべる

 

「それにナミさんが死んでほしくないもの。レイムさんだって気持ちは一緒でしょ?」

 

「っ……………。そうね、その通りよ」

 

 ナミはビビの言葉を聞いてへたりこんでしまった。やっぱり限界だったのだろう。私とビビはナミを背負って船室に戻る。その時に巨大なサイクロンが、少し前の進路に出現し、やはりこの船にはナミが必要不可欠だと認識した

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜。晩飯時になり騒がしい連中を黙らせてからキッチンに入る。そこではサンジがナミのための病人食を作っていた

 

「サンジ」

 

「ん? レイムちゃん? ごめんね、もう少し待っていてくれ。先にナミさんの飯を作っているんだ」

 

「その事で頼みがあるの」

 

 私は少し照れ臭くてサンジと視線を合わせられない。不思議そうな目で見てくるサンジだが、少しずつその目に不埒なものを感じるてきた

 取り敢えず一発殴って、少し落ち着く。うじうじしてても仕方ない。決めたんだから早く言おう

 

「サンジ。ナミの飯なんだけど、私にも手伝わせてくれない?」

 

「レイムちゃんに? そりゃ構わねェけどなんで…………あぁ」

 

「そのしたり顔止めろ!!」

 

 サンジの顔に笑顔が浮かぶ。うう、顔が熱い。思ったより恥ずかしいわね

 

「前にレイムちゃんに作ったのと同じお粥を作るつもりだから、レイムちゃんは薬味を頼む。ネギは冷蔵庫の下だ」

 

「解った」

 

 ネギを取り出して、食べやすいように出来るだけ細かく刻んでいく。他には鰹節にだし醤油を染み込ませた物や、種を抜いた梅干しだ。サンジはその間に手早く卵粥を作っていた。病人で無くとも食べたくなる様な黄金の輝きを放っている。卵でコーティングされ、魚介のだしで着込まれた米からは食欲をそそるいい香りがした。

 

「完成ね」

 

 私は小さく息を吐いて、手を洗う。熱々の鍋に入れられた粥は蓋をされ、お盆の上に置かれて後はナミの所に持っていくだけになった。

 私はそれを見届けて、甲板に出ようとする。いつもならお茶を入れるところだが、少し顔が熱いので外に出て涼もう。ちょうど寒くなってきたことだし

 

「あー、しまった。他の連中の飯を用意するのを忘れていた。早く作らねェと野郎共が理性を無くしてその粥にたかりに来るな」

 

 扉に手をかけた所でサンジのあからさまな棒読みが聞こえてくる。私は無言で振り返ると、いい笑顔を浮かべたサンジが私に粥の乗ったお盆を差し出した

 

「悪ィなレイムちゃん。これナミさんに持っていってくれないか?」

 

「……………………いつもなら絶対に自分で行く癖に」

 

 サンジはなにも言わずにそのお盆を私に押し付けた。そして話も聞かず料理の続きを始める。ちゃっかりビビのだけはお粥を作りながら作っていた辺り流石だ

 キッチンを出るときに、その量が明らかに1食分ではなく、さらによく見ると取り皿が二つに食べるためのスプーンが二つ、取り分けるためのスプーンがひとつ置いてあるのに気が付いた

 

 小さくため息をついて、その場をあとにする。あの野郎めと思いながら、ナミの病室となっている部屋に入った

 

「ナミ、飯よ」

 

「レイム? サンジ君が来ると思ってたんだけど……」

 

「ついでに体拭いてあげようと思って。汗だくで気持ち悪いでしょ?」

 

「あら………、そうね。お願いするわ」

 

「先食べてからだけど」

 

 お盆を置いて、鍋の蓋を開ける。ナミのためにお粥をよそって、彼女に手渡そうとする。しかし彼女はいいイタズラを思い付いたと言ったような顔でお皿の受け取りを拒否した

 

「…………あー、なんだか私、熱で腕があがらないわー。ねぇレイム、食べさせてくれない?」

 

「熱で腕があがらないって何よ……………あぁ、もう……口開けなさい」

 

 いいさ、今日はとことんやってやる。毒を食らわば皿までだ。手に持ったままの皿の粥をスプーンで掬って、彼女の口に近づける。

 

「ほら、食べなさいよ。冷めるわよ」

 

「こう言うときのお約束ってあるでしょ?」

 

「……………………あんた治ったら覚えときなさいよ

 

 

………………………はい、あ、あ~~ん」

 

 

 あぁくそ。顔が熱い。顔から火が出るなんて表現があるけど、今まさにそんな気分だ。ナミはようやくお粥を口に入れて、咀嚼する

 

「薬味は?」

 

「ん、ネギと梅干し」

 

 ナミはお粥を私の手から順調に食べ進める。しかしやはり辛いのだろう、何度かむせたり咳き込んだりする。食欲もないのだろうが、それでもお茶碗一杯分はなんとか食べさせることが出来た

 

 私も残った分のお粥を食べて、お盆を片付ける。そして湿らせたタオルでナミの体を拭いていく。

 彼女の息は荒く、触れる体も熱を帯びて熱い。なにかを言おうと口を開くが、言葉にならなかった。彼女の体を拭き終わり、食器を片付ける。さっきよりは少しだけましな表情になったと信じたい

 

「ねぇレイム。あなたは貴方らしくしてればいいのよ。個人的には可愛いあなたを見れて満足だけど」

 

「うっさい。似合わない事してる自覚はあるわよ。……………でも、前に言ったでしょ。私、貸し借りには煩いの」

 

 偉大なる航路に入った時、私は風邪を引いて寝込んだ。ひとりでも大丈夫だっただろうとは思うけど、それでもナミが隣にいて看病してくれたのは嬉しかったんだ。すぐに治ったけれど、その理由はきっと側に誰かが居てくれたからなんだから。………………あぁもう、恥ずかしいなぁ

 

「ほら、もう寝なさい。寝るまではここにいるから」

 

「………………うん」

 

 彼女の手を握り、天井を見上げる。お茶でも持ってくれば良かったなぁ。

 

「………………レイム。いる?」

 

「ん?なによ?」

 

「ううん。なんでも………………………ありがと」

 

「……………………そう思うなら頑張れ」

 

 ナミは少し笑って、そのままゆっくりと寝息をたて始めた。

 

 私は、他の連中が心配してこの部屋に入ってくるまでナミの手を握り続けた。それで少しでも彼女が元気になると信じて




ツンデ霊夢とかへた霊夢とか色々あるけど、この霊夢ちゃんってなんになるんだろう。………デレデ霊夢? 言うほどデレてないか
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