霊夢ちゃんのワンピース世界冒険録   作:壁の苔寺

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 すいません。更新遅れました……。

それはともかく(ともかくとか言うな)本編


名もなき国

 

 ……………寒い

 

 なんでこんな目に合わなくちゃいけないのか、なにか悪いことしたかと記憶を巡らすが思い当たらない。山道ですれ違った熊に挨拶をしなかったくらいじゃないか。

 目の前にはその熊がいる。モコモコの毛並みが暖かそうなね、剥ぎ取って着れば暖かいかしら? しかし雪の上に正座をさせられていて、足が凍ってきているために、もはや感覚はない。それを実行するにも不可能なのが現状だ。しかし今もその熊が、言語にならない言葉を延々と私に聞かせ続けているからたまらない。

 

「……………………あのさ、私先を急いでるのよ。お願いだからそろそろ勘弁してくれな……」

 

『ベア!!!』

 

「……………はぁ」

 

 雪の上で正座をさせられている私の横で爆笑しているルフィとウソップ。あいつらは後で殴る

 

 この国はかつてドラム王国と呼ばれ、ほんの少しまえに数人の海賊達の手によって滅びた国らしい。海岸で私達に対する過剰な反応はそれが理由だったそうだ。私達にそんなつもりがないと解ってくれたのか、ビビを撃った男は彼女に謝罪をした。ビビはそれを受け入れたから、これ以上は私たちがとやかく言うのは筋違いだろう。

 この国にいる医者は一人だけ、その医者は船よ上からでも見えたあの巨大な山のてっぺんに住んでいるらしい。その医者は時おりそりに乗って、麓の町までやって来ては病人怪我人を探して治療し、その家の金品を略奪して行くと言うとんでもない人物だそうだ

 

 さて、この国の現状を理解したところで、今、私が置かれている状況を整理しようか。

 この旧ドラム王国の現状を聞きながら山道を歩いていると、そに二足歩行の熊が現れた。海岸にいたこの国の人々とルフィとビビとサンジは普通に挨拶をして、ウソップは死んだフリをしてそいつの横を通り過ぎた。ちなみにゾロとカルーは船番だ。そして私はと言うと、あくびをしながら通った為にその熊に捕まってしまった。そしてかれこれ五分くらい冷たい雪の上に正座をさせられて説教をされている。そいつの言い分はたぶん、山のマナーは守れってことだろう。

 

「……………………取り敢えずあんた達は先に行きなさい。私はもうちょっとかかりそ………痛ッ!!?? 殴んなくてもいいでしょうがこの野郎!!!」

 

『ベアァ!!!』

 

「何言ってるのかわかんねェっつっでんでしょうが!! ぶっ飛ばすわよ!!」

 

『ベアベアァア!!!!』

 

 もー怒った。つーか何をばか正直に説教を受けていたんだ私は!! このくそ熊はもう許さない。ぶっ殺してやる

 

「おーい、レイムーー。先にいってるぞーーー」

 

「解った!!!」

 

 私は立ち上がり、背中の『染雪』を抜き放つ。村人一行と一味達はなんか言っているが、取り敢えずは知ったことか。目の前の熊を暖かいコートにしてやる!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 私が‘ビッグホーン’と呼ばれる村に着いたのは熊吉と死闘を初めてから一時間ほどたった頃だった。いやー熊吉の奴、話してみれば意外といいやつね。何いってるか解らなかったけど。

 結局、決定打はお互いに与えることは出来なかった。実力があまりに拮抗していたからかしら? 私は戦いが好きと言う訳ではないけれど、中々に楽しい時間だったわね。バトルジャンキー共の気持ちも少しはわかる気がするわ。熊吉の棒術のキレ、ゾロの剣術に匹敵するほどだった。お互いに再戦を誓い合って別れたけれど、次に会うときにはもっと強くなってるでしょうね。私も強くならないと……………ッ

 

「……………………ってか、あいつらどこにいるのよ」

 

 まぁ何にせよ今はナミだ。彼女は件の医者に見てもらうことが出来たのだろうか? 私が辺りを見渡していると、見慣れた長っ鼻と青髪の姿が目に写った。それと一緒に暖かそうな甲冑をつけたドルトンの姿が見える。こいつが私達をこの村に案内してくれたのよね、私は途中で離脱したけど

 

「あぁ、いたいた。あんたらこのくそ寒い中、なんでこんなところでつっ立ってるのよ。風邪引くわよ」

 

「レイム!! 大丈夫だったか!!??あの熊はどうしたんだ?」

 

「仲間に誘ったんだけど、妻と子供がいるから無理だって。あと十年若かったらって惜しんでいたわ」

 

「あの熊話せたのかよ!!??ってか誘うなよ!? 何してたんだてめェ!!」

 

「いや? 熊が話せるわけないじゃない。何言ってるのよ?」

 

「何言ってんだよ!!!」

 

 相変わらずよく解らないウソップをいなしながらビビから状況を聞く。ウソップじゃ話にならないわ

 苦笑をしながらビビは今の状況を説明してくれる。山の頂上にいる医者は、たまにしか麓にやって来ない上にこっちから連絡をとる手段が無いらしい。なんとも身勝手な事だ。

 その医者の元へルフィとサンジはナミを背負って向かって行ったらしい。ナミを、背負って、向かったらしい

 

「…………………取り敢えず、ルフィはぶん殴るとして、サンジまで何やってるのよ。あのバカ」

 

「ナミさんも承知の上なの……………。私のせいね、私が無理をさせている……………解ってるけど、私は…………」

 

 ビビは俯いて唇を噛み締めている。瀕死と言っても過言じゃないナミが、彼らに背負われて山に登る事を了承した理由はきっとビビの為だ。じっとしていられないルフィがナミを背負って山を登ると言い出すのは目に見えていたけれど、普段のナミならそんな無茶はしないだろう

 

「………………はぁ、気にするなとは言わないけど、もう少し肩の力を抜きなさい。アラバスタまでまだかかるのに、今からそれじゃあ潰れるわよ」

 

「…………………そうね、ありがとう」

 

 本当に解ってるのかね、この娘は。私は彼女の顔を見て、小さくため息をついた

 

 

 さて、取り敢えず追いかけるとするか。ナミを背負っている分あいつらは無茶を出来まい。なら追い付ける余地は十分にある

 膝の筋を伸ばして準備運動。さっきの熊吉との死闘の傷と消耗も癒えたから全力で走って大丈夫だろう

 

「じゃあウソップ、ビビ、行ってくる」

 

「ねぇ本当に行くの? もしかしたら会えなかったり通りすぎちゃったりするかもしれないのよ?」

 

「あー、大丈夫でしょ。その辺私は‘勘’が働くから。適当に走っていれば会えるわよ」

 

 私はビビにそう言葉をを残し、身体能力の強化も使って全速力で走り始めた

 

「雪山にはラパーンと言う肉食の兎がいる!! 気をつけたまえ!!!」

 

「ん、解ったわ」

 

 後ろからドルトンの忠告が聞こえてくる。私はそれに片手を振り上げながら声をあげて了解の意を示した

 肉食の兎ねぇ。肉食って言っても兎でしょ? ならなんとかなるでしょ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 取り敢えず勘で山を登る。方向は勘で決めて、あの二人の事だから騒がしい所を探せば見つかるだろう

 

「にしても寒いわね…………。雪、やみそうにないわ」

 

 この島に上陸したくらいから降りだした雪は少しづつ強くなっていっている。吹雪とは言わないけれど、顔に当たる風が少し痛いくらいだ

 しかし見渡す限り雪雪雪、真っ白だ。かき氷やり放題ね。冬島って言っていたけれど、年から年中こんなにも寒いのかしら? こんなくそ寒い雪山を、背中に背負われているとは言え、あの体調で登ろうって言うんだからメチャクチャね。ナミの奴、登りきるまでに死んだりしないだろうな…………

 

 

「………………あ、見えた」

 

 見覚えのある麦わら帽子と金髪の後ろ姿が遠目にだが見つけた。ルフィの背中にはナミと思わしき膨らみが彼に背負われている。

 って何よあれ、2メートルを超える巨大な白い兎耳の生えたゴリラみたいな見た目の妖怪に襲われているのかしら?

 

「ルフィーーー!! サンジーーー!! あんたら何遊んでるのよ!!」

 

「レイムちゃん!!?? 来てくれたんだね!!??」

 

 『染雪』を抜いて、二人に殴りかかろうとしていた兎ゴリラの拳を止める。全身の筋肉がビキビキと音を立てる気がした。アホみたいな力してるわね

 

「レイム!! わりぃ、おれナミを背負ってるから殴れねェ!!」

 

「あぁ了解。状況は理解したわ。私とサンジに任せてあんたは山を登ることに集中しなさい」

 

 大方、ルフィがこの兎ゴリラを攻撃すればその反動でナミが死ぬとでも言われているのだろう。実際ナミが限界なのは確かだ。衝撃は少ない方がいいに決まっている

 『染雪』を下段に構えて地面を蹴りながら全速で相手の後ろに回り込む。その勢いのまま『染雪』を横凪ぎに振り抜いて、兎ゴリラを吹き飛ばした。封印も多分に込めてやったから、数分は動けないだろう。

 

「しかしキリがないわねぇ……何体いるのよ」

 

 目に映るだけでも20体は確認できる。マトモに殴られたら内臓まで抉れそうなパンチを撃ってくる妖怪がこれだけだ。しかもルフィに背負われたナミを守りながらとかハードモードにも程がある

 しかもサンジの主な攻撃………と言うか、全ての攻撃は蹴りだ。踏み込みと軸足が命の蹴りはこの深雪の中では十分に威力を発揮しない。サンジの鉄板でもぶち抜いてしまいそうな凄まじい蹴りは見る影もないような状態になっているハンデ多すぎでしょ

 ちなみに私はあんまり問題はない。剣術も踏み込みや脚運びが重要だから戦力低下するんじゃ無いかと思うかもしれないけれど、私の場合は剣術とかじゃなくて金属の棒を力任せに振り回しているだけだ。剣術もくそもない、あとは勘

 

「あの数をマトモに相手にしてられないわ!! ルフィは無茶出来ないし………。私とサンジで一点突破、その間をルフィが抜けるってのでどうよ?」

 

「乗った!!」

 

「しか無いな……」

 

 上からも下からも横からも追いかけてくる兎ゴリラ。向かう方向は上なので、そっちに向かって走る

 

「サンジ!! 刀に乗って!!」

 

「レイムちゃん………!? いや、解った!!」

 

 サンジは空中に飛び出して、私は腰だめに『染雪』を構えて振る。そのタイミングでサンジが上から落ちてきて、『染雪』でサンジを打ち出す

 

「えーっと」『人間大砲!!』

 

「そんまんまか!!」

 

 ルフィの叫びを後ろで聞きながら、サンジは兎ゴリラ達に向かって跳んでいく。その勢いのまま、サンジはボーリングの玉みたいに連中を弾き飛ばした

 

「うぉおおおおおお!!! おれとレイムちゃんの愛の必殺技!!」『ラブリーハリケーンショット!!!』

 

「どっから愛が来たのか!!??」

 

 取り敢えず道は開けた。そこに向かって私とルフィは走り始める。これでなんとか包囲網を突破することは出来た。しかし後ろから相変わらず兎ゴリラ共が追いかけてきている。あぁ、もぅ面倒くさい!!

 

「あんたらいったい何したのよ!! ってかさっき見たときよりあの兎ゴリラ増えてない!!??」

 

「知らねェよ!! 先にちょっかいかけてきたのはあいつらだ!!」

 

「レイムちゃん、あいつらはラパーンって肉食の兎だってドルトンが言っていた奴だ!!」

 

「あー、なんか言ってたわね…………。うさぎ要素殆ど無い!!」

 

 耳か? あの耳か? あの耳がうさぎ要素か? 可愛いげの欠片もない見た目してやがるわね。少なくともぶん殴っても良心が痛まない

 

 さて、必死になって逃げるが、全く逃げ切れそうにない。私達の足は、一般的に見てかなり早いと自負できるが、今は雪に脚をとられて走りにくい。さらにナミを背負っているからあまり衝撃を与えることは出来ないのでルフィは全速で走ることが出来ずにいた。そして相手は普段からこの雪山で生活している連中だ。はなっから相性が悪すぎる。

 

「ダメだ!! このままじゃ追い付かれるのは時間の問題だぞ!!」

 

「追い付かれても撃退は出来る………だけど万が一があったら洒落にならないわよ……………………。仕方ない。使い時でしょ!!」

 

 ポケットから針を取り出す。距離にして数メートルほど離れたラーバンに向かって投げつけた。手持ちの4本のうち3本を投げてラパーンの一体をぶっ飛ばす。そして残りの一本を見せつけるように構えて見せた

 ここまでのあいつらの行動で、このラパーンって生き物はかなり高い知能を持っているのが解る。だから遠距離攻撃があるのを見せつければ追ってこないだろうと言う寸法だ。残弾が少ないのがバレたらこの作戦に意味がないので、手持ちに1本だけ残して見せつける。簡単な話、ただのブラフね

 

 そして案の定、連中は脚がすくんだ様に動かなくなり、そのまま散り散りに逃げていった。あいつら、本当に頭がいいわね………。まぁこれでどうにかなったでしょう。後は急いで山を登るだけ……

 

「あっ!! あいつら上の方に現れやがったぞ!!」

 

 ラパーン達が逃げて、しばらく登っていると、さっきよりも数を増やした連中が山の上の方で暴れていた。何やってんのかしら、あいつら。

 

「何やってんのかしら………。あんな集団で翔んだり跳ねたり」

 

「…………………い、や、ちょっと待て!! あいつらまさか…………!!??」

 

 サンジがラパーン達の様子を見て、冷や汗を流しながら口にくわえていたタバコを落とす。私も辺りの寒さとは違う、寒気を感じていた

 

 音がする。聞いたこともないような音だ。ただただ轟音と言うことしか解らない。しかし嫌な予感がする。致命傷にすらなりえる、くそったれな事態が起きるようなそんな予感

 

「やりやがった、あのクソうさぎ共………嘘だろ……」

 

「おい、サンジ。どうしたんだ?」

 

 サンジが何かに気が付いて震えている。珍しく本気で泣きそうになるほど声も上ずっているし

 

「レイムちゃん!!ルフィ!! 早く逃げるぞ!!」

 

「なんでよ?」

 

「ってかどこに逃げるんだよ? こんな場所じゃ逃げる所なんて……」

 

 そのルフィの言葉を遮って、サンジは叫びながら私の手をとって走り始めた………ってちょっと!!何を……

 

「どこへでもいい……!! どっか遠くへだ!!

 

 

 雪崩が来るぞォおおおお!!」

 

 

 ラパーン達の姿はもう見えず、変わりに絶望的な質量の雪が、山の木々を食らい尽くしながら滑り落ちてきていた

 

 

 




 ハイキングベアとバーソロミュー・くま。夢の対決を私はいつまでも待っています。(ねぇよ)
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