仕事覚えるのに必死すぎて書く時間ががががが……。気が付いたら1月以上も開けてしまいました。なんとか書く時間を確保してちょこちょこ書くので、不定期更新になってしまいそうです
それはともかく本編
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「ぎゃああああぁあああぁああああああぁあぁあああぁあぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………………………ッ!! ふざけんな!?」
「うるさいガキだね!! 早く気絶しちまいな!!ぶち殺すよ!!」
「てめ!! それが医者の台詞………痛ぁ!!?!!?? 適当にひっこ抜くな!!死ぬほど痛い……やめ!! なによそれ!! 刺すな!!痛いから!!怪我人に何すんだ!??? あ、くそ。なんか眠くなって来たんだけど…………あ…やば、落ち……きゅう…………」
紅白の服を着た人間の女はドクトリーヌの麻酔を受けて、そのまま意識を失った。とても頑丈な人間だ。
この女の仲間だと言う、金髪の人間の男はこの山を登りきった彼女を見て号泣を始め、ドクトリーヌに泣きついた。仲間だから助けてくれと
女は背中から矢を受けていて、その矢は肋骨をへし折って内臓を抉っていた。マトモな人間なら痛みで一歩も動けないほどの、致命傷と言ってもいいレベルの大ケガだ。そんな大怪我をしながら、この紅白の色の服を着た女は標高5000メートルもあるドラムロックを登りきったらしい。背中には重病の女を背負ってだ
その女は致死性の病に侵されていた。ケスチアと呼ばれる虫が持つ猛毒で、感染すると、五日間宿主を苦しめ続けてその最後にはその人を殺す。そう言う毒だ。たしか100年ほど前にドクトリーヌが絶滅させたって話を聞いたことがあったと思う。偉大なる航路の他の島にはまだ存在していたのか………。
「まったく、なんて頑丈なガキだ。背中の矢傷は胃を抉って、中身が外にはみ出してたってのにピンピンしてやがる。しかも全身凍傷で半死半生もいいところだ。地獄の痛みだっただろうに、よくやるよ」
「………………」
「チョッパー。この娘はお前がオペをしな」
「うん、わかった」
そう言って、ドクトリーヌは処置室の外に出ていってしまった。おそらく彼女が背負ってきた女の様子を見に行ったのだろう。
彼女の元に弟子入りしてかなりの年月が立ち、オペを任せてくれる事も多くなった。その事に嬉しさを感じながら自分の体を人間形態に変化させる。
「よし!!」
ドクトリーヌが打った麻酔はよく効ている。苦しげながらも静かな寝息を立てる少女の治療を始める
「………………………ナミ…………………」
少女が小さく言った寝言が、妙に頭に残った
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目を覚ます。空は見えないし暖かい。どうやら室内のようだ。私はいったいどうなったんだったっけ? たしかあのえんとつ山を登りきったらサンジの姿が見えて、誠に遺憾ながら安心してしまって気絶して………、なんか不穏な空気を感じて飛び起きたら、妖怪みたいなババアが医者を名乗って殺しにかかってきたから返り討ちにしてやろうとした所までは覚えているんだけど………。
いやちょっと待て、なんのために私は死ぬ思いをしてあのアホみたいに高い山を登ったんだっけ…………
「…………………ナミ!!!」
状況を思い出して飛び起きる。そうだ!! ナミの病気を治してもらうのに山のてっぺんに住んでるって言う医者に見せなくちゃならなかったんだ。
それを思い出して飛び起きたが、全身に有り得ないほどの激痛が襲いかかる。悲鳴をあげるのはなんとか耐えたが、小さく丸まってしまったのは無理のない話だと思う。
「…………おや? もう麻酔が切れたのかい? 薬や毒が効きにくい奴ってのはそれなりに見てきたが、あんたはその中でも上位に入るそれだねぇ」
「ってぇ…………なによこのババア」
私がそう言った瞬間、頭の近くの枕に包丁が突き刺さって羽毛が舞う。弱ってるとはいえ、全く反応できなかったんだけど
「口のきき方には気を付けな。あたしゃまだピチピチの130代だよ」
「ババアの極みじゃない」
そのババアは鼻を鳴らして私の腹部にわしづかみにしてくる。その瞬間、脇腹の辺りから激痛が昇ってきた。元から全身が痛みで身動きも取れなかったのに、更に痛みが追加されてついに悲鳴を上げてしまった
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いって!!! ちょっとマジで洒落になってなッ!!」
「ふむ、36.4。傷口も熱を持ってないし、大丈夫そうだね。あぁうるさいよくそガキ、次に私をババアなんて呼んだらその口を縫い合わすからね」
「解ったから放せくそババ…ぎゃああああぁああ!!!! もう言わない!!言わないから放しやがれ!!! マジで洒落になってないからぁ!!」
「ヒーーーッヒッヒッヒ。1度診た患者の体調は私が1番よくわかってるよ。この程度なら痛いだけで全くダメージなんか無いから安心しな」
「むしろ質が悪い!!」
そこまで言って、ようやくクソババ……もといクソお婆さんは私の腹から手を離した。すると、嘘のように身体の痛みが引いていく。目覚めた時に痛かったのも含めてだ。
私は肩で息をしながらせめてもの抵抗にと睨み付ける。すると鼻で笑われてしまった
「Dr.くれは。ドクトリーヌとそう呼びな。まだ暫くは動けやしないだろうから大人しくしてな」
Dr .くれはと名乗ったババアは枕に突き刺さった包丁を引き抜くと、自分の懐に仕舞い込んだ。こいつ、服に包丁仕込むとかなに考えてんのよ。いや、針を服の袖に仕込んでた私が言うことじゃないかもしれないけどさ
「……………ナミは? あとルフィの奴……頬に傷跡がある伸びる短パン男を知らない?」
「へぇ、起きてすぐに仲間の心配かい? 聞いていた話とは随分と違うね」
聞いていた話? その言葉に違和感を覚えるが、口を挟む余地もなく、くれはは言葉を続ける
「アンタが背負ってきた橙髪の女は大丈夫だよ。随分と特殊な毒にやられてたが、たまたま特効薬を持っていてね。3日で完治、経過を10日程度見て問題なければ晴れて退院さ」
「10日………」
それはまた……随分と致命的な日数だ。ナミの命には代えられないといえ、そんなにも時間をかけてしまえばビビの国がどうなってしまうか解らない。今だって余裕がある旅じゃないのに……
「それと短パンの小僧だったね、あの小僧ならお前さんが来て暫くたってから登ってきたよ。全く、アンタらの体はいったいどうなってるんだい? 簡単に、マトモな装備もなく登れるような山じゃないよここは」
「別に大した事でもないわよ。撃たれてなくて、一人なら10分もかからないわ」
「あぁそうかい」
くれははどこからとのなく酒瓶を取り出してらっぱ飲みを始める。ゴクゴクと喉を鳴らして数秒、空気が抜ける音と共に彼女は中の酒を飲み干した
取り敢えず、今すぐの心配の種は一応は消えたわけだ。ナミは治るらしいし、ルフィも帰ってきた、サンジは居ることを確認している。問題は残っているが、今すぐになに、と言う事はなくなった
『やめろォ!!人間!!! おれはお前らなんか嫌いなんだ!!!』
『逃げるな肉!!』
『ルフィ、まだ食うなっつってんだろ!!』
くれはとそんな会話をしていると、となるの部屋くらいからそんな会話が聞こえてきた。ルフィとサンジの声と………聞いたことのない声ね。
にしてもあいつらは少しは大人しく出来ないのかしら? 心配して損した
「全く騒がしいね。息の根を止めてやろうか……」
そう言いながらくれははさっきしまったと思わしき包丁を取り出しながら部屋の外に行ってしまう。あいつ本当に医者かよ。
「はぁ…………どっと疲れた」
暫く寝るか………。寝て起きたら状況も好転しているかもしれないし。
私はそう思って布団を被り直す。その時にふと窓の外を見ると、ルフィとサンジの姿が見えた。無事を聞いてはいたが、姿を見るとやっぱり安心する。
二人は何やらぎゃーぎゃー言い合って、すぐに建物の中に入ってしまった
「……………あー、そう言えばあのカバみたいなやつどうなったのかしら………、ルフィがぶっ飛ばしてたらいいんだけど……」
あのカバ、そこそこ強そうだった。マトモにかち合えば負ける気はしないけれど、状況は3対1だった。ルフィなら負けやしないとは思うけれど、逃げられた可能性はある。面倒なことにならなければいいんだけど……
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轟音が鳴り響く。それはなにかが爆発した様な轟音だった。
「うっさいなぁ……」
その音のせいで目が覚めてしまった。いったいなんの騒ぎよ。気持ちよく寝てたのに。
窓の外を見ると、さっきのカバの大男と取り巻き二人が立っていた。………いや、あれさっきの奴か? なんか変形してない?
「まぁなんでもいいわ」
私はベッドから立ち上がり、身体の調子を確かめる。関節をほぐし、首を回して軽くストレッチ。背中の傷は痛むが、まぁ動けないほどじゃないだろう。
壁に掛けてあった自分の服に着替えて、髪の毛を愛用のリボンで纏める。最後にルフィから預かった麦わら帽子を被って完成だ。うーん、山登ってるときは余裕なかったからなんとも思わなかったけど、リボンが邪魔で帽子は被りにくいわね
首をバキバキならして部屋を出る。部屋の外は雪が積もっていてくっそ寒いが、そこそこ着込んでいるから問題はないわね。
そのまま私は下に降りていく。寒さの原因と思わしき開けっぱなしの正門を潜ると、そこでは変な生き物とさっきのワポルの手下が肩車した変なのが戦っていた。
それを見た私は拳を握りながら走り始める。そしてそのままワポルの手下'sを殴り飛ばした
「なっ!!??」
「死ね!!」
殴り飛ばして吹っ飛ばしたそいつに追撃をかける。全速で移動して後ろに回り込みながら相手の脇腹に全力の拳を叩き込んだ
「ぐぇええ!!??」
当たったのは肩車の上にいた奴で、そいつはたまらずに転げ落ちる。
「よし、すっきりした」
「っておい!!??なにしてんだお前!!??」
私に暴言を吐いてきたのはこいつと戦っていた変な生き物だった。そいつは…………えっと、本当になにかしら? 角が生えたタヌキ? タヌキって鼻の色青かったかしら?ってか喋ったわね。今時のタヌキって喋るの?
「…………何よあんた? タヌキ?」
「タヌキじゃねェよ!! よく見ろ!!角はえてるだろ!!」
「じゃあ角が生えたタヌキ?」
「違うっつってんだろ!! トナカイだ!!
ってかお前なに動いてるんだ!!?? 死んじまうぞ!?」
「もう治ったわよ」
「治るか!!」
私の傷の事を知っているって事は、この城の医者かしら? あのババア以外にもいたのね。
しかしなにかしらこの状況。ルフィとサンジは例のワポルと戦ってる……戦ってるのかしら? ルフィがなんかキラキラと目を輝かせながら私の側にいる自称トナカイを見ているし、サンジは私の方を見てクネクネしてる。気持ち悪い
「レイムちゅあ~~ん!! 良かった!! 目が覚めたんだね!!」
「まぁうん。てか何よこの状況? こいつらなんでここにいるのよ? こいつらも怪我してあのババ……お婆さんに診てもらいに来たわけ?」
「ふざけるなぁ!! この国はおれの国!! そしてそこの城はおれの城だぁ!! おれが留守の間に勝手に住み着きやがって、あろうことかあのバカ医者の墓だとぬかしやがる!! お前たちは全員死刑だ!!」
「………………あぁ、了解。だいたい理解したわ。全く病み上がりの上に『染雪』もどっか行っちゃったってのに………」
取り敢えず現状は門の前にはくれは、崖の近くにワポルと部下二人の合体(笑)。ワポルはルフィとサンジが抑えてて、自称トナカイはワポルの部下と戦っている最中ね。ルフィの奴はいつも通りボロボロで煤まみれになっている。ってか、アイツが来ている服ってナミのやつじゃ無いの? 後でナミに殺されるわよ
さて、それはともかく今手元に武器がない。取り敢えず殴ればいいかと拳を握ったところで、脳天に凄まじい衝撃が襲って来た
『ドクターストップ!!』
「グハァ!!!」
あまりの痛みに悶絶していると、後ろからくれはが近付いてきて、私に関節技をキメ始める。
「痛い痛い痛い!! キマッてるから!! 完全にキマッてるから!!」
「ヒーーーッヒッヒ!! あんたは戦うんじゃないよ。人間やめてるとしか思えない回復力だが、それでも下手すりゃ死ぬさね。戦闘行為は禁止だよ」
「うるせぇクソババ…ぎゃぁああああ!!! 折れるから!! 関節はそっちには曲がらないから!!」
人体を完璧に理解している医者の関節技。それを私に抜ける術はなかった。私はそのまま押し倒されて、雪の上にうつ伏せに押さえ込まれることになってしまった
「………冷たい。戦わないからのいてくれない?」
「ふん、あんたがそんな玉じゃ無いって事は見りゃわかるよ。信用できる訳があるかい
………まぁ安心しな。あんたが加勢しなくたってそこまで悪いことにはなりゃしないよ。やるときゃやるんだよウチのトナカイは」
くれはの信頼と確信を含んだ笑みを見て、もうなにも言う気力は失せた。まぁなんとかなるだろうと思い、観戦モードに切り替える。はぁ、お茶とお菓子が欲しい
くれはがケスチアを絶滅させたとかは独自設定です。なんとなくやってそう位の気持ちで書きました