霊夢ちゃんのワンピース世界冒険録   作:壁の苔寺

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 後れ馳せながら明けましておめでとうございます。更新が遅くなって申し訳ありません。今年もよろしくお願いします

 誤字脱字の訂正ありがとうございます。助かってます!!


お茶

ウソップが仲間に加わり、なんやかんやで旅のメンバーも5人になった。めでたい事だ

 しかし私の記憶の手がかりは一向に見つからない。悲しいことだ

 

 偉大なる航路に向けて歩みを始めたゴーイングメリー号は、以前乗っていた小舟の比ではない速度で進んでいた。やはり大きな船だと進む速度も速いのだろうか? その辺あまり詳しくないのでよくわからない。今度ナミに聞いてみようか?

 

 私はそんなゴーイングメリー号の甲板の上で酒を飲んでいた。度数の高いウォッカをチビチビと飲んでいる。飲みながら「これじゃないなぁ」なんて思っているのはあしからず。酒しか飲むものが無いのが悪い

 

 さて、海賊旗も決まりウソップも狙撃手に落ち着いて、波も穏やか舵取りも暫くは真っ直ぐで必要ない。何時ものようにルフィとウソップが騒いでいるが、まぁ問題ないだろう。大砲を撃つのは正直やりすぎだと思うが

 

「コックねぇ……」

 

 そんなこんなで船内に集まって、全員で昼食を取っている。お嬢様が積んでいてくれていた食料を食べながら、船の旅にはコックが必須だと言う話をしていた

 しかしルフィは音楽家こそが海賊には必須だと言っている、そして周りから総ツッコミを入れられるまでが一連の流れだ。

 

 というかこいつ、私が言うのもなんだけど航海に必要なものを一切持っていないな。聞いた話だと仲間になった順番はゾロの方が先らしいし、こいつらナミが仲間になるまでどうやって海を渡っていたんだろうか?

 

「あら?」

 

 食後に何か飲み物でもないかと探していると、なにやら見覚えのある物があった。いや、見覚えと言ってもそれについて何か知っている訳では無いのだが。

 

 私の記憶喪失は色々よくわからない。この世界の一般常識は全く覚えていないのだが、生きるために必要な事、食べ物の食べ方とか箸の持ち方とか、そういった体に染み付いているような事は覚えている。さらに言葉は忘れていないみたいだし、食べられる野草とかも意外と覚えていた。いまいち自分の覚えている範囲がよくわからないなぁ

 

 しかし、今見つけた‘それ’は私の心をどうにも引き付けてやまない。まるで私の体の半身を見つけたような、そんな気分にさせられる

 

「ねぇ、ナミ。これってなにか解る? お嬢様が積んでいてくれていた荷物に紛れてたんだけど」

 

 困ったときの解説役のナミさんだ。ツッコミ役といい本人に許可のない称号が増えていく

 

「なによレイム………。ってただのお茶じゃない? 知らないの?」

 

「だから記憶喪失だっていってるでしょーが」

 

「あぁ……、あんたって、いつもふてぶてしい上にのんびりしてるから、そんな事言っていたの忘れてたわ。

 これはお茶よ。ただの緑茶」

 

「緑茶…………」

 

 目の前の茶葉と急須。あぁ、何故忘れていたんだろうか。思い出した。

 

 きっとこれは本来なら不可能なことだ。何故なら、私にお茶を飲んだ覚えなんて無い。その手の記憶は綺麗さっぱり抜け落ちている

 しかし‘その程度’で、私のお茶への愛を止めることなど出来やしない。当たり前だ。記憶がないから何だ? 覚えてなくとも体が覚えている。

 

「ナミ、それ貸して」

 

「え? ちょっとレイム………?」

 

 私は手に取った急須にお茶葉を入れ、お湯を沸かして少し冷ます。そのお湯を急須に注ぎ、待つ

 

「えっと………レイム?」

 

「黙って」

 

 茶葉が開いたら少し回して湯飲みに注ぐ。最後の一滴までしっかり絞り出してそれを啜った

 

 

「………………………………ふぅ」

 

 

 あぁこれだ、心に染み渡る。体が何を求めていたかはこれなんだ。口に残る苦み、素朴さ、私の魂に染み付いた原初の味だ。なんと言うか、あれだ。心の故郷的なやつだ

 

「美味しい………」

 

「いや、いったい何よ!!??」

 

 ちなみに記憶は戻りませんでした。多分お茶に関しては日常的に飲んでいたんだろうなぁって思ったけど

 

「ただのカフェイン中毒じゃないの? それ」

 

「失礼な」

 

 私は湯呑みに注いだお茶を、干し肉をお茶請けにしながらゆっくり味わっていた。二番煎じだがいい味だ。あのお嬢様は中々いい茶葉を用意してくれていたらしい

 

「それにしてもレイム、あんたって本当によくわからないわねぇ。

 変な格好してるし、記憶喪失とか言うし、いつもボーッとしてるかと思えば戦いになったら強いし、船の上では海ばっか眺めてるし。

 ってか、なんでその服って脇が空いてんのよ。寒くないの?」

 

「動きやすいからじゃない? 意外と寒くはない。

 ……………………まぁ確かに自分が怪しい奴ってのは認めるわよ。自分でもこれはないわと思う程度には」

 

 固い干し肉を食べて、乾いた喉をお茶で潤してから一息。私は音楽家の必要性に熱く語るルフィとそれに乗っかり出したウソップ、もう全部がめんどくさくなってきたのか大あくびをしたゾロを見て、ナミに視線を戻す

 

「でも、この面子と船が気に入ってるのは本当よ。勿論、アンタも含めてね」

 

 にぃっと、軽く口角を上げて私は言った。ナミは面食らった様な顔になった後に頬を照れたように掻くと

 

「まぁ私もこいつらの事は気に入ってるわよ。海賊を名乗ってることを勘定しても、ね」

 

 そんなことを言ったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、そんなこんなで二番煎じの茶を飲み終わり、三番まではなんとか味が出ると希望と絶望の狭間で葛藤しながら湯呑みに茶(薄く色の付いたお湯とも言う)を注ぎ入れ、口をつけようとした時だった

 

『出て来い海賊どもォーーーっ!!! てめぇら全員ぶっ殺してやる!!!!!!』

 

 そんな叫びと共に船を滅茶苦茶に荒らす男が現れたのは。

 そしてその大声に驚いたウソップが大きくのけぞり、私にぶつかる。結果としてその拍子に持っていた湯飲みを放り出してしまい、ウソップに熱々のお茶が掛かってしまった。

 

「うぉあっちゃっちゃぁぁあーーーーーーーっ!!!!」

 

 ウソップがなにやら大騒ぎしているが、そんなことは問題じゃない。せっかく淹れた私のお茶が無くなった、それがいま一番の問題だ

 

 取り敢えずぶつかってきたウソップの頭に拳骨を叩き込み、外に出ようとしていたルフィを押し退けて外に出る。野郎二人が文句の声を上げていたが知ったことではない。

 

 そこにはサングラスをかけたガタイのいい男がいた。巨大な刃の付いた剣を片手で軽々と持ち、顔に大きく‘海’と刺青を入れている。そんな男が怒りに顔を染めて甲板で大暴れをしていた

 

「……………………あんた、誰よ。いや、誰でもいいわ。この野郎」

 

 何をそんなに怒り狂っているのか、私は知らないし知ったことではない。いま重要なのは私のお茶が、折角再び巡り会えたお茶がこいつの大声のせいでお釈迦になってしまったって事だ

 

「てめぇ、人の相棒を殺しかけといて随分不敵な面構えしてんじゃねェか……。こちとら名のある海賊の首をいくつも落としてきてる。名もねェ海賊風情が…………、俺の相棒を殺す気かァあああ!!!!」

 

 男は剣を大きく振り上げて、怒りのままに私に突っ込んでくる。このままだと秒もかからずに私に剣は振り下ろされるだろう

 

「あんたの相棒なんか知らないし、興味もないわ。いま重要なのは…………」

 

 振り下ろされた剣を持っている腕を狙って足を振り上げる。爪先がタイミングよく剣の握りにぶち当たり、そのままカチ上げる。素早く接近して鳩尾に拳を叩き付け

 

「私のお茶を返せ」

 

 引き抜いて顎に拳を叩き付けた。俗に言うアッパーカットである

 

「が、ぁか、…紙一重………か」

 

 男はそんな言葉と共に中に浮き、そのまま甲板に叩き付けられた。何よ全く……

 

「まぁ………2発入れたしいいか。多少スッキリしたし」

 

 思えば三番煎じまで行くとお茶の味はしない。貧乏性を、こじらせてるなと自己嫌悪しながら私は船室に戻るのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 男の名前はジョニー、そして相棒の名前はヨサク、かつて、ゾロと一緒に賞金稼ぎをしていた仲間らしい。そしてその二人は今、ナミから治療を受けて、自らの名を名乗っていた。にしてもナミの奴は本当になんでもできるな。ツッコミに医者に航海士に解説係、一家に一台ならぬ一隻に一人のナミさんだ。

 

 壊血病、それがジョニーの相棒ヨサクの命を蝕んでいた病の名らしい。原因はある種の栄養失調、具体的にはビタミンC が不足することによって起きる。昔は原因も治療法も解らない絶望的な、しかし船に乗る人間には当たり前の病だった。

 

 そして今、ヨサクはライムの絞り汁を桶いっぱいに飲んだことで復活し、元気に跳び跳ねている。人間の体ってそんな風に出来ていたのだろうか?

 

「ブヘェ………ッ!!!」

 

「ぬあ!!?? 相棒ォオおおおおおおーーーー!!!!」

 

 いや、やはりそんなことはなかった。飲んですぐに体が治るわけもない。ヨサクは再び血を吐いて倒れこむ、その様子にゾロが一喝して船室に押し込むのだった

 

「これは教訓ね…」

 

 ヨサクが気絶するように眠ったのを確認し、騒動は一端の落ち着きを見せ、一息ついてるときにナミはそう言った。

 その言葉にルフィを含めて全員が賛同する。船旅には必須とも言える食材の管理や栄養配分をできる人材、すなわちコックが必要だと

 

「よし決まりだ!! ‘海のコック’を探そう!! なにより船で美味いもん食えるしな」

 

 人一倍食い意地の張っているルフィにとっては重要なのはそこらしい

 

「ルフィ、あんたって質より量じゃ無いの? 食べれたら何でもいい的な」

 

「お前失礼だな!! 何でもいいわけないだろ、肉だ!!」

 

「…………………ちなみに牛と豚と鳥が並んでたらどれを食べるのよ?」

 

 私のその言葉にルフィは一切の迷いを見せずに

 

「全部だな!!」

 

「やっぱりなんでもいいんでしょ、アンタ」

 

 それならと、ジョニーが言葉を発する。すなわち、海上レストラン。そこなら海のコックがいっぱいいる、海賊になりたいって物好きがいるかは解らないが、行ってみる価値は有るだろうと

 

 その台詞を言う時に、ゾロに何やら呟いていたが小さい声だったので聞こえなかった。しかしまぁ些事だろう

 

 かくして、装いを新たにした海賊船ゴーイングメリー号の次なる目的地は‘海上レストランバラティエ’に決まったのだった

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 

 …………………暑い

 

 暑い、暑くて暑くて堪らない。目が覚めて、辺り一面砂だらけ、空には光輝く太陽が辺りの砂を熱し続けていた。忌々しい

 

 どれだけ睨み付けても太陽は無くなったりはしない。いや、夜になれば消えて死ぬほど寒くなる。私はきっと、今太陽を忌々しく思ってることも忘れてそれを切望するんだろう

 

「ぁぁ……」

 

 道なんてない砂の地平を宛もなくさ迷い続けている。強いて言うならひたすらに真っ直ぐに歩けばいつかは何処かにたどり着くだろうと思い、真っ直ぐ歩いているだけだ

 

 なぜ私はこんなところに居るんだろうか? 思い出せない。目が覚めたとき、私が倒れていた横に一緒に転がっていた二振りの刀、それだけがきっと私の記憶の手掛かりだろう。他に覚えていることなんて後は自分の名前くらいのものだ

 

「…………………ぁ」

 

 ふとした拍子に、砂に足をとられて転げてしまった。砂が口の中に入るが、それを吐き出すのも億劫だ。口の中がジャリジャリと音を立てるのが解る。気持ち悪い

 

「………………」

 

 もう三日も歩き通しだ。飲まず食わずで刀を二本も背負って、もう限界だと思ってしまう

 そう思ってしまえばもうだめだった。あぁ、考えないようにしていたのに、もうかもう体が言うことを聞いてくれない。

 

 仰向きで倒れて砂が顔やお腹に張り付いて熱い。直射日光に背中が晒されて燃えそうに熱い。あぁ私は…………このまま死んでしまうのだろうか? なにかやらなければ成らないことが有ったような気がするのに

 

「こんなところでお昼寝? いい趣味とは言えないわね」

 

 そんな言葉が聞こえてくる。気力を振り絞って前を向くと、黒髪の女の人が私を覗き込むように屈んでいた

 

「……………ずを………み………を」

 

 それを聞いて女の人は懐から水の入った瓶を取り出す。私はそれを見て体に力が戻ってきた。我ながら現金なものだ

 

「あげるわ。でも、一気に飲めば体がビックリするわ。ゆっくり、ゆっくりと、ね」

 

 その言葉に従わず、と言うか従えず、女の人から受け取った水を一気に煽る。体に水分が染み渡っていくような感覚がした

 

「あ、あぁ………い、生き返りました。あ、ありがとうございます。もう本当にダメかと……」

 

「まぁ……あなた、運が良かったわ。こんな砂漠のど真ん中で人が通りかかるなんて有ることじゃないわよ。もっとも、そんな所で倒れてるなんてのもあんまり聞かないけれど。そんな格好で砂漠越えをしようとするのも聞かない話だしね」

 

 女の人はそう言うと、私のことを助け起こして肩を貸してくれた。ありがたい、正直もう体に力が入らなかったんだ

 

「あの…………お名前は?」

 

「フフ、それを聞くときは自分から言うのが礼儀じゃなくって?」

 

 あぁ、それはそうだ。なにも覚えてないけれど、それは覚えてる。よかった。命の恩人に礼を損ねずに済みそうだ

 

「妖夢、私は、魂魄妖夢と言います……」

 

 




 構想は出来ているのですが、いかんせん遅筆で………。東方キャラ同士で出会うまでいつまでかかるやら……。更新速度を上げねば!!
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