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それはともかく本編
賞金稼ぎ。海軍と呼ばれる治安維持の軍隊から賞金をかけられた人間を殺して生計を立てる者達の事を言う。
海軍が賞金をかけると言うことは、すなわち海軍がその相手の力を認めると言うことに他ならない。そんな賞金首を狩ってる賞金稼ぎはすなわち相応の実力が必要だ。
『か、紙一重………か……』
そんな二人を赤子の手を捻るようにあしらうあのキザな男が強いのか、はたまた意気揚々と突っ込んで簡単にあしらわれたジョニーとヨサクが弱いのか、結論を出すと心が折れる奴がいそうなので止めておくことにしよう
「お前らやっぱすげェ弱いんじゃねェか?」
「やめたげてルフィ。それ以上は私も見てられない」
ぼろぼろになった二人は「カミヒトエ……カミヒト…」と呟きながら力尽きた。口の近くに手を持っていくと息をしてるから生きてはいるみたいだけど
いま、私たちは海上レストランバラティエの前まで来ている。偉大なる航路に向けた旅路の傍らコックを探すために立ち寄ったレストランだ。前評判はすこぶる良く、海の上で本格的なフレンチを食べれるとわざわざ陸からやって来る人もいるくらいだそうだ
しかしそんなレストランの前に軍艦が在るもんだから私たち海賊にはたまったものではない。私達は懸賞金こそかけられていないが海賊旗を掲げたれっきとした海賊だ。二人が飛びかかる前にやる気がないみたいなことを言っていたが、どこまで鵜呑みにできるか解らない。軽くでも臨戦態勢をとっておいた方がいいとそんな事を思っていたときだった
『わー!!! フルボディさん待って待ってください!! 交戦なんかしたら始末書………じゃなくて、休暇が……でもなくて、あーーもーー折角食事に来たのにこんなところでまで仕事なんかしなくていいじゃないですかーーーーー!!!』
そんな叫びが聞こえたと思ったら、砲弾が飛んできたってちょっと待てや!!
「ン任せろォオ!!」
くそ海軍め、いきなりぶっぱなして来る奴があるか!! 折角手に入れた船が早くもお釈迦になるのかと頭を抱えていたら、ルフィが砲弾の前に飛び出した。流石に死ぬんじゃないかと思っていると
『ゴムゴムのっ風船!!!』
‘膨らんだ’
比喩表現なしだ。めっちゃ膨らんだ。ルフィはおもっきり空気を吸い込んで、それによって自分の体を膨らませる。まさしくゴム風船だ。
ゴム風船と化したルフィは飛んできた砲弾を柔らかく受け止める?すなわち、爆発しない
『なぬーーーーーーっ!!!!!???』
ウソップ達が目玉を飛び立たせながら叫ぶ。正直私も彼らと一緒に叫びたい気分だ。もしも自分の体がゴムであの防御技を思い付いたとしても、‘やらない’
当たり前だ、なにか間違えて体に触れているときに爆発したら普通に死ぬ。あと膨らみたくない。
「返すぞ!! 砲弾っ!!」
ルフィは叫び、ゴムの張力によって砲弾は跳ね返る。跳ね返った砲弾はそのまま跳び、海軍の船を‘飛び越して’、件のレストランに跳んでいった
「どこに返してんだバカッ!!!」
レストランの屋根は吹き飛び、なかに人がいたらきっと大ケガ程度では済まないだろう。ってか、良く考えたら寸分たがわすとばしてきた方向に跳ね返すなんて出来こっない。ナミの小さなため息が妙に耳に残った
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その後、コックスーツを来た強面の男達がやって来てあれをやったのは誰だと聞いてきた。私は海軍のバカが撃ってきやがったと言おうとしたのだが、その前にルフィは
『屋根を吹っ飛ばしたのは俺だ』
と、鼻をほじりながら行ったためにその男達に連行されてしまった。アホである
「遅ェなルフィ……雑用でもさせられんじゃねェのか? 一ヶ月くらい」
「海軍のせいにしちゃえばよかったのに……。バカ正直なんだから」
「見に行くか!! メシ食いがてら!! な!!!」
「私、金ないからパスよ。自前の食料があるうちに外食なんて出来るわけ無いじゃない」
私はお嬢様に積んでもらった食料を指差しながら言う。ルフィに食い荒らされて七割は消えたが、まだ残ってる
ってかあのバカのせいで、保存食も含めて3ヶ月分くらいは有った食料が半月もしないうちに無くなりそうなんだけど
「貧乏性ねぇ。貸してあげよっか? 倍返しにするならだけど?」
そんないい笑顔で言ったナミの言葉に、私は舌を出して威嚇する。ナミは心外そうな表情で「これでも譲歩してるんだけど?」なんて呟くが。こいつから金を借りたら高利貸で首が回らなくなる未来が容易に想像できるわ
「それに船に誰かいなくちゃいけないでしょ? こいつら二人じゃちょっと……いやかなり頼りないし」
「そりゃねぇっすよレイムの姉御!!」
なんか二人が抗議の声をあげるがひと睨みで大人しくなる。また「カミヒトエ……」と呟き出すが知ったことか
「あと鬱陶しいからこいつらも連れていきなさいよ。お土産はよろしくね」
私はそう言って、お茶を入れるためにお湯を沸かしに行くのだった
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ルフィの奴が騒ぎを起こさないわけがない。レストランから結構離れた位置にいるのに怒声とか悲鳴とか銃声とが聞こえてくる。買い出し用の小舟で無か向かおうとしていたウチのクルーの表情が曇るが、そのまま放っておく方がめんどくさいことになると踏んだんだろう。一瞬帰ってこようとして、そのままバラティエへ向かっていった
「さて」
私は私でゆっくりしよう。お茶を用意して、ルフィに見つからないように確保していた饅頭をキッチンの奥から取り出す。なんか「ゆっ!!」とかしゃべった気がするが気のせいだろう。
饅頭にかぶりついて、お茶を一口啜る。甘味が洗い流されて心地いい渋味が口の中に残る。はぁ、至福……
海を眺めながらお茶を飲むのが最近の楽しみだ。そんな幸せに浸っていると、何やら甲板の上に降ってきた
「すいません、お邪魔しますよー」
降ってきたのは髪の赤い長髪の大女だった。180はあるんじゃないだろうか? その服装は白く、まさに船員と言ったものだ。右手を頭の後ろに置いて、物腰低そうにペコペコしてる。顔には愛想笑いだ。めんどくさい
「邪魔するなら帰りなさい。今、私は寛いでるのが解らないの? 来客の相手をする気分じゃないの」
「あ、あははー。やっぱり機嫌悪いですよね? ウチの上官がすいません。いきなりぶっぱなしちゃって」
そういう女に私はようやく注意を向ける。上官がとかぶっぱなしたって言ってると言うことは
「あんた海兵? なに? やるの?」
私は袖の中の針を触りながら口を開く。ほらみろ、やっぱり見張りは必須じゃないか
しかし女は慌てた様子で手を前に出して振る。自分が丸腰なのをアピールしてるらしい
「いや違いますよ!! いや、海兵なのは間違いじゃないですけど。
ウチが大砲撃ったせいでなにやらめんどくさそうなことになってるじゃないですか。フルボディさん………上官なんですけど、あの人謝る気とか全く無さそうなんで、代わりに私が来たんですよ。いや本当にすいません」
と、愛想笑いのまま頭を下げた。何やら苦労人のオーラが漂ってるなこいつ
「……………まぁ謝罪するってなら受け取っとくわよ。ってかいいの? その謝罪って独断でしょ? 怒られるんじゃ無いの?」
「あー、まぁそうですね。怒られるかもです。まぁ怒られるのには慣れてるんで大丈夫ですよ」
そう言うことじゃないんだが……。本人がいいって言ってるならいいか
私は再びお茶に集中するためにその女に背を向けて再びお茶を一口飲んでから口を開いた
「解ったから自分の船に帰りなさいよ。普通の海賊だったらあんた袋叩きよ。ルフィには私から伝えとくから」
しっしっと手を降って追い返そうとするが、そいつは首を傾げたまま動こうとしない。いったい何の用かと振り返ると怪訝な表情でこちらを見ていた
「……………何よ?」
「えーっと色々疑問は有るんですけど、今一番聞きたいことを聞きますね?
私たち、何処かで会ったこと…………」
「フォン軍曹!! クリークの手下が逃げ出して………それと大尉が大変なんです!!」
そんな叫び声が聞こえてきた。聞こえた方をみると、ヘッドキャップを被った男が軍艦の上で叫んでいた。
「へ? フルボディさんがってってうわぁぁああ!!! なんでレストランに食べに行ってボロボロに成ってるんですか!!! ちょ、タンカーーー!!」
赤髪女は叫ぶと自分の船に帰っていく。おぉ、凄い跳躍力ね、あいつ。
………………にしてもあの赤髪の長髪、何処かで見たことがあるような無いような………? もしかして無くした記憶に関係あるのかな?
そう思って立ち上がる。そいつは丁度、血まみれの男を介抱しているところだった。ってかあの男、ジョニーとヨサクをボコボコにした奴じゃない? あの二人がボコられてるのを遠目に見てたけど、あの鉄拳とか言う男、決して弱くは無かったぞ。この短時間でいったい何が有ったんだ?
………まぁいいや、そんなことより
「ねぇ赤髪女」
少し大きく声をあげて、必死に鉄拳野郎の傷を縫い合わせてる大女に声をかけた
「何ですか!! 今ちょっと手が放せなくて」
「んな奴どうでもいいわよ。アンタ、名前は?」
「一応上官なんでどうでも良くないですよ?! 私はメイリン!! 紅美鈴です!!」
ふむ、フォンね。聞き覚えは…………まるで無いわね。
「あっそ、じゃあいいわ。もう用はないわよ。頑張ってそこのオッサンの面倒を見てあげなさいな」
「言われなくても!! あーもー、この船じゃやれることに限界が有ります。近くの駐屯基地まで行きますよ!! え? クリークの手下? そんなこと言ってる場合ですか!!この人ほっといたら出血だけで死にますよ!! 出港準備いそげーーー!!!」
『イエス!! マム!!』
息の合った水兵たちの叫びとともに、慌ただしくなる海軍の船。そしてそのまま3分もしないうちに何処かに行ってしまった
「慌ただしいわねぇ……………ふぅ、」
あぁ……お茶が美味しい
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ルフィはあの船で雑用一年に決まったらしい。アホらしい。私はこんなところで一年も足止め喰らう気はないぞ?
なんとか雑用期間を一週間にまけて貰うと意気込んでるルフィの頭にチョップを入れてから二日後の昼下がり、突如としてそれは現れた
「何よアレ」
それは船だった。しかしそれは余りにも巨大な船。私達のゴーイングメリー号を何倍にしたらあのサイズになるんだろうか? それほどまでに巨大な船。しかしその船はボロボロだ。マストは折れ、甲板はぐちゃぐちゃ、で、船の象徴である船首は半分が砕かれている。そんな浮いているのがやっとと言ったような姿の船には海賊旗が掲げられていた
「アレは……まさか
「クリーク? 有名な海賊なの?」
ウソップとナミは目を見開いて足を震わせている。その様子を見るに、簡単な相手じゃ無さそうだ
「お前、知らねぇのか………っ!!?? あぁ、そう言えば記憶喪失だとか言ってたっけか?」
「なんでどいつもこいつもそのこと忘れてんのよ」
「オメェがいつも飄々とした態度だからだろうが!!
首領・クリークと言えばこのイーストブルーじゃ最強にして‘最悪’の海賊だ!!50隻もの海賊船の船長を統括する首領!! あぁ、そんなことはどうでもいい、早くルフィを回収して船を出そうぜ!! 逃げた方が………ってゾロ!! テメェ何処に」
ゾロは荒事の気配を感じ取ったのだろう。凶悪な笑みを浮かべて刀の様子を確かめながら立ち上がった
「どこ行くのよ?」
「決まってんだろ?」
ゾロは更に笑みを深めて口を開く。バトルジャンキーめ
「仕方ない、私かウソップ、どっちか着いていくべきかしら?」
「い!!?? いや、俺は持病の海賊船に近づいてはいけない病が……」
「海賊が何言ってんのよ」
何を日和ってやがるかこの長っ鼻は。ギャーギャー言ってるウソップの襟首を掴んで飛び降りようとした所でふと振り返る。
今、私とゾロとウソップが向こう行ったら、この船の守りってヨサクとジョニーとナミだけになるのか。
………………………………頼りねぇ
「はぁ、仕方ない。ゾロ、ウソップ連れていきなさい。何かの役には立つでしょう。私はまた船番してるわ」
折角だから件の海賊を見たかったなぁと思いながら言う。なんかここ数日、これしかしてない気がするわね、お茶飲めるからいいけど
二人がルフィを連れ戻しに、まぁ連れ戻せるかはともかく行って、例の巨大帆船をボーッと見ていると、横から私の湯飲みを手渡された
「はい、レイム。お茶入ったわよ」
「あら? 気が利くじゃない。ありがと」
そう言って一口、手渡されたお茶を口に含む。いつもの渋い優しい味わいと苦味。ふむ? あんまり美味しくないわね。私は振り返って湯飲みを渡してきたナミに文句を言うことにした
「あなたお茶いれるの下手? なんか何時もより苦いんだけど」
「え!!?? あ、いやー。まぁ初めてだしね。あんまり美味しくないかしら?」
「ふーん?」
何企んでんだか。その微妙なお茶を飲み干して、立ち上がる。何にせよ、不足の事態に備えて船を出す準備くらいはしといた方がいいだろう。私は大きくあくびをして、いつでも出港できる様に操舵室へと向かうのだった
…………………眠。
あれ? 眠い。なんかめっちゃ眠
い
な にこ れ ヤバ 寝る
あ、くそ、盛られた
今回、ラストはうどんげのターンだったのですが、美鈴出したしいいやと思って飛ばすことにしました