ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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参加してない宇宙を見てみると、1、12と5、8が免除されてるわけですが、この宇宙はそれぞれ対になってる同士なんですよね。
やっぱり人間レベルの高い宇宙は対の宇宙も高いし、逆に低い宇宙は対も低いって事なのでしょうか。


第百二十三話 開戦

 到着した無の界はその名の通り、武舞台以外は何もない暗い空間だ。

 他の宇宙の者達も到着し、リゼット達は早速敵の情報を集めるべく観察を始めた。

 無論向こうも同様にこちらを観察しており、いくつかの視線を感じる事が出来る。

 

「やはり、こちらのヒルデガーン同様に飛べるメンバーを連れてきている宇宙もありますね」

「ああ。翼を持つ者達だけは舞空術禁止のルールにも引っかからんわけだ」

「ところでセル。貴方も羽がありますが……」

「ふむ。私も舞空術ほどではないが、確かにこの羽で飛ぶ事は出来る。だが速度には余り期待せんでくれ」

 

 セルとリゼットがまず警戒したのは、やはり飛べる者達だ。

 このルールならば空を飛べる者が断然有利となる。

 こちらもヒルデガーンとセルが飛べるが、やはり考える事は同じだ。飛べる者を連れて来る宇宙はやはり他にもいた。

 

「この武舞台は不公平が出ないよう、生まれた星の重力がかかるようになっています」

「そいつは有り難い。私やリゼットにとっては有利な条件だ」

 

 生まれた星の重力、という事であればリゼット、セル、四星龍、悟飯には地球の重力がかかる。

 だが悟空やベジータ、ターレスには地球の十倍の重力がかかるだろう。

 ピッコロはナメック星の重力だが、ナメック星は地球と変わらないのでハンデにはならない。

 ミラとヒルデガーンは残念ながら若干の戦力ダウンがあるかもしれない。

 総じて、地球生まれが有利なルールだ。

 

「第2宇宙にヤードラット星人。第4宇宙は二人ほど姿が見えん……こちらのヒルデガーンと似たような能力の持ち主がいるかもしれんな。とりあえず警戒すべきはこの辺りか」

 

 ミラが注目したのは瞬間移動出来るヤードラット星人と、姿の見えない第4宇宙の二人だ。

 単にカメレオンのように景色と同化するなどして姿が見えなくなっているだけならばいい。

 だが最悪、こちらのヒルデガーンのように実体化している時以外は無敵という可能性もある。

 もしそうならば手強い相手となるだろう。

 しかし改めて考えると、強い、でかい、飛べる、オマケに攻撃時以外は無敵で姿も隠せるヒルデガーンの反則ぶりが半端ではない。

 

「おや? 第7宇宙は九人しかいないようですが……」

 

 大神官が不思議そうに言葉を発し、他の選手達の視線が集中する。

 姿の見えない選手がいるのは第4宇宙にも言える事だ。

 しかしヒルデガーンの完全なステルス性が仇となった。

 恐らく大神官は第4宇宙の選手は見えてるのだ。

 しかし攻撃の瞬間以外は存在していないヒルデガーンまでは探知出来ないという事だろう。

 あるいは気付いていて、あえて言っているのか……。

 どちらにせよギリギリまでヒルデガーンを隠しての奇襲はさせてくれないらしい。

 仕方ないか……そう思い、リゼットはヒルデガーンの幻化を解いた。

 

「グォアアアアアアアアッ!!」

 

 幻化を解除したヒルデガーンが武舞台に降り立ち、轟音を響かせる。

 その巨体に大神官が感心したような声をもらし、他の宇宙の選手達はぎょっとした。

 不幸にも一番近くでヒルデガーンを見てしまった第4宇宙のキャウェイは腰を抜かして震えている。

 強さというのは見た目では判断出来ないものだ。

 一見凄い弱そうな奴が実は凄い強いというのは珍しくない。

 だがこれは流石に一目で分かる。強い……それも半端ではなく。

 

「なんっじゃありゃあああ!」

 

 シャンパが絶叫し、他の神々も戦慄していた。

 その中で全王だけは「怪獣だー! かっくいー!」と喜んでいる。

 ペンギン村にも普通に怪獣はいるが、ヒルデガーンほどの巨体は流石にいないだろう。

 

「第7宇宙……あんな最終兵器を隠しておったか……」

 

 第10宇宙の界王神であり、ザマスの師でもあったゴワスがスマホのようなもので撮影しながら声を震わせる。

 余談だが彼は神チューブなるものに動画を上げる神チューバーであり、最近その筋で有名らしい。

 そんな彼らの驚く姿を見ながらビルスは笑いを堪える。

 そいつ、うちの選手で一番弱いんだよとカミングアウトしたい気持ちを抑えるのにも苦労しそうだ。

 だがそもそも、第7宇宙がこんな魔境と化したのは彼がサボっていたのが原因である。 

 全員が見守る中でリゼットはヒルデガーンを再び幻に戻し、大神官を見る。

 彼も今ので納得したのか、静かに頷いてからルール説明に移った。

 

「力の大会のルールを説明いたします。

制限時間は100タック(48分)。中央にある柱が時間と共に下がっていき、床と同じ高さになったら終了です。

術以外の武器の使用を禁止。また死亡させてもいけません。

とにかく武舞台から対戦相手を落として下さい。落とされない限り負けにはなりません。

そして、どんなに瀕死になっても回復するための道具の使用は禁止にさせてもらいます」

 

 ルールを聞き、第7宇宙全員の視線が一瞬リゼットへと集まった。

 回復の道具禁止……つまり仙豆などは使えない。

 だがリゼットの使う回復の術ならば使用禁止ではない。

 ならばこの大会、第7宇宙が勝ち残るにはヒルデガーンの制御も含めてリゼットを残す事が勝ちへの近道になるだろう。

 彼女さえいれば、落ちない限りどれだけ瀕死になっても復帰出来るのだから。

 

「それで、我々はどう動けばいい?」

「チームワーク……と言ってもどうせベジータやターレスは聞かないでしょうから、暴れたい人は好きにして下さい。私が戦局を観察しつつ、必要な時はこちらから念話を飛ばします」

 

 セルの問いにリゼットは意外にも、ほぼ無計画に等しい答えを出した。

 作戦だの、チームワークだの、これらの事はいくら事前に考えても無駄だと分かっているからだ。

 まず間違いなく、ベジータ、ターレスなどがスタンドプレーに走る。ミラも仲間になって間がないので下手に連携させようとすれば、かえって動きにくいだろう。悟空もそういうのは余り得意ではない。

 ならばいっそ、全員の好きにさせてしまった方が第7宇宙は力を発揮出来る。

 リゼットならば武舞台の状況を全て把握する事は出来るし、誰かが危なくなれば一番近い者に救援に入るよう念話で指示も出来る。

 基本は自由にさせつつ、必要な時だけ指示を出す。乱暴なようだが、恐らくこれが第7宇宙の取るべき戦術だ。

 出来もしないチームワークを無理にさせようとするのは、単なる悪手でしかない。

 

「そうこなくっちゃな。そんじゃあ神さんの許可も下りた事だし、俺は好きに暴れさせて貰うぜ」

「よっしゃ! オラも一暴れすっか」

「俺一人で全て片付けてやろう」

 

 ターレスが喜々として拳を鳴らし、悟空とベジータも前に一歩踏み出す。

 予想通り、サイヤ人純血組は最初から連携など頭に入れていない。強い奴と戦えるかどうかが彼等にとっては重要な事なのだ。

 

「宇宙の強者達か……楽しめそうだな」

「俺も好きにやらせて貰おうか」

 

 続いてミラと四星龍も好戦的に前に出る。

 この二人はその気になればチームプレイも出来るだろうが、やはり本質的には武人。チームプレイは出来るが、得意ではない。

 特に四星龍はその力の性質上、むしろ一人の方がやりやすいだろう。

 

「悟飯、俺達は組んでいくぞ」

「はい、ピッコロさん」

 

 悟飯とピッコロだけは二人組で戦いに挑むらしい。

 この二人ならば信頼関係は問題なく、このメンバーの中では珍しく組んで力を発揮出来るタイプだ。

 

「ならば私はリゼットと組むとしようか。貴女はこのチームの生命線だからな……一人くらいは護衛がいた方がいいだろう」

「助かります」

 

 そしてセルはリゼットに付き、ヒルデガーンも制御出来るのがリゼットだけなので必然的に彼女と組む事になる。

 つまりここだけは二人組に見せかけた三人組だ。

 第7宇宙の司令塔であり、生命線でもあるので最大の戦力が集まるのは必然の事であった。

 

「ところで、好きに動いて下さいとは言いましたが……最初の一手だけは私がやります。皆は巻き込まれないように私と共にいて下さい」

「ん? 神様、何かやんのか?」

「ええ。私達は他の宇宙から集中砲火を浴びるのが目に見えています。

ならばいっそ、試合開始と同時……まだ他の宇宙の態勢が整う前に……」

 

 リゼットが全員に念話を飛ばし、次の手を伝える。

 それを聞いた全員が頷き、大神官が開始を宣言した。

 

「力の大会! 始め!」

 

「――速攻を仕掛けて、落とせるだけ落とします!」

 

 大神官の開始宣言。それと同時に瞬間移動をし、第7宇宙全員が武舞台の中央へと転移した。

 突然の移動に何人かが驚くが、遅い。

 オープニングヒットは第7宇宙が貰う。そして、同時にこれで一気に落ちて貰う。

 リゼットが腕をクロスし、気を高めた。

 狙うは――全方位!

 

「Hyper Dimension!」

 

 リゼットを中心に、白い気が雷光を伴って全方位へと拡散した。

 ハイパーディメンション――この技はリゼットを中心とした僅かな空間のみを安全空域とし、それ以外の全てに対して無差別攻撃を行う殲滅技だ。

 しかも、かつてセルとの模擬戦で使った時よりも改良が加えられており、気だけではなく魔法による攻撃も重ねられていた。

 これは、この大会のルールを聞いてからリゼットがまず最初に使うと決めていた技である。

 一つの武舞台の上で総勢八十人が戦うバトルロイヤルと聞き、リゼットは真っ先に全方位を攻撃対象とした広範囲攻撃が必要であると考えた。

 拡散する分威力は気弾や気功波に劣り、とても一対一の戦いでは使い物にならない。

 それ故にリゼットは今まで、こういう全方位攻撃というものをあまり使いはしなかった。

 気の消耗が大きい上に威力が低いとなれば、使う意味がないからだ。

 そういう意味では、かつて悟空との一対一の戦いでわざわざ全方位を対象とした攻撃を行ったピッコロは若かったという事なのだろう。

 実際、彼はあの技が原因で気を消耗して悟空に逆転されてしまっている。

 しかしバトルロイヤルとなれば話は変わる。

 一対一の戦いなど望むべくもなく、戦いの最中に他の選手から奇襲されるかもしれない。

 逃げ回る敵がいるかもしれない。隠れ続ける敵がいるかもしれない。狙撃してくる敵がいるかもしれない。罠を張る敵がいるかもしれない。

 囲まれる可能性は常に考慮しなければならず、一対一の戦いを繰り返していては体力が保たない。

 故にこその全体攻撃。上下左右前後、その全てを攻撃対象として七十人の敵全てを駆逐する。

 放たれた気と魔法の波動は、その圧力により空間すらも歪ませながら他の宇宙全てに襲い掛かった。

 この全方位攻撃に他の宇宙はほとんどの戦士が反応出来ず、弱い者は成すすべなく吹き飛ばされて次々と武舞台から叩き落された。

 

 第2宇宙は狙撃を得意とするハーミラと、飛行可能なビカル。

 ヤードラット星人のジーミズは瞬間移動をしても舞台全てが攻撃対象では何も出来ずに吹き飛び、気功波を跳ね返せるプランは第2宇宙の希望である乙女達を守ろうと我が身を盾にするも、技の中に気功波でも何でもない魔法が混じっていた為、その一撃でダウン。

 計四人がこの先制攻撃で脱落した。

 ザーロイン、ザーブト、ラバンラの男三人組はかろうじて脱落は免れるも満身創痍で失神。

 実質上乙女三人のみを残しての全滅となった。

 

 第3宇宙はニグリッシ、ナリラーマ、ザ・プリーチョ、カトペスラの四人が何も出来ずに脱落。

 ビアラは自慢の防御力で耐えきるも大ダメージを負い、ボラレータ、コイツカイ、パンチアの三体は咄嗟にドクターパパロニを庇う事で、この初撃を僅か四人の犠牲で凌ぐという快挙を為した。

 浅いダメージで済んだのはマジ=カーヨだけだ。

 

 第4宇宙は高い成長性を誇るガノスが成長の暇もなく吹き飛び、ショウサ、マジョラ、ダーコリの合計四人が脱落。

 ここでファインプレーをしたのは女戦士モンナだ。

 彼女は咄嗟に巨大化をする事で残る五人の戦士を守り抜き、被害を最小限に食い止めた。

 ただし、その代償としてモンナ自身のダメージは決して軽いものではない。

 

 第6宇宙は流石に強く、Dr.ロタ一人だけが『私が何故ドクターと呼ばれているか教えてやろう!』とか言いながら結局教える事が出来ずに脱落したものの、他は全員無事であった。

 マゲッタが壁になり、ヒットが時飛ばしで弱いメンバーを救出したのも大きいだろう。

 

 第9宇宙の被害は深刻だ。

 『トリオ・デ・デンジャーズ』の三人がかろうじて耐えるも、それ以外の全員が叩き落とされてしまった。

 この時点で第9宇宙は崖っぷちである。

 

 第10宇宙ももう後がない。

 ムリチム、ナパパ、オブニのエース格を除き、残る七人が揃って落とされた。

 このまさかの事態にゴワスとラムーシは唖然としている。

 

 第11宇宙はジレンがノーダメージ。

 トッポとディスポ、カーセラルも耐え、異空間を作り出せるココットもかろうじて耐えるも、他の五人が場外へと吹き飛んでしまった。

 

 ――合計32名。これが力の大会開始と同時に第7宇宙によって落とされた選手の数である。




敵の数70人とかちょっと多すぎて書ききれないんで、半分くらい落としておきますね。
とりあえず、ある程度の実力があるキャラ以外は全員サヨナラ!
リゼットのこの攻撃は相手を殺してしまわないように加減されたものですが、それでも「こいつ残っててもどうせすぐ落ちるだろ」と私が思ったキャラは容赦なく落としています。
ただ、プラン(気弾を跳ね返す奴)などの強者も一部紛れていますが、彼は乙女達を守るために犠牲になりました。

ちなみにリゼットが本気でこの攻撃を行っていた場合、ジレン、トッポ、ヒット、ココットの4人しか残りません。
他は問答無用で全滅します。
ただし、これをやると亀仙人にも勝てないキャウェイちゃんとかが消し炭になってしまい、とても可愛そうで、リゼットも失格してしまうのでやりませんでした。あくまで加減した結果が↑の数だと思って下さい。
ところでキャウェイちゃん可愛いですよね。

え? 第2宇宙の乙女?
…………。
……まあ、デブ以外の二人はまだいいんじゃないですかね。

【RTA成功?】
最初に範囲攻撃をブチ込む事で敵を一気に減らした。
落とせる数はランダムだが、今回は運が腐って半数も落とせなかった。
ここで落とす数によってタイムが10秒以上変わる。

【真RTA】
まずヒルデガーンに乗って飛び、ヘブンズゲートで武舞台を消します。
すると一部の飛べるキャラ以外の全選手が脱落するので一瞬で勝てます。
しかしあまりに早く終わってしまうので全王が楽しめず、再走要求をされるので結果的にはタイムロスになります。

【残り選手】
第2宇宙
ザーロイン ザーブト
ラバンラ リブリアン
カクンサ ロージィ

第3宇宙
ビアラ ボラレータ
コイツカイ パンチア
パパロニ マジ=カーヨ

第4宇宙
モンナ シャンツァ
ニンク キャウェイ
ガミサラス ダモン

第6宇宙
ヒット キャベ
カリフラ ケール
マゲッタ ボタモ
フロスト サオネル
ピリナ

第9宇宙
ベルガモ ラベンダ
バジル

第10宇宙
ムリチム ナパパ
オブニ

第11宇宙
ジレン トッポ
ディスポ カーセラル
ココット

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