ドラゴンボールad astra 作:マジカル☆さくやちゃんスター
「……っ」
何かに弾かれるようにジレンが飛び出した。
何が変わったかは分からない。
だが何かが不味いと彼の直感が告げていた。
だからこそこれ以上雰囲気に呑まれる前に仕留めようと焦ったのかもしれない。
ジレンがリゼットへと迫り、またも拳を繰り出す。
そこに合わせ、リゼットは極限の脱力から放たれる鞭打をジレンの股間に放った。
何の事はない一打……言うまでもなくジレンの肉体へのダメージはゼロだ。
だが次の瞬間、ジレンはこれまでのポーカーフェイスを崩して激痛にのたうち回る事となった。
「~~~~~~~ッッ!!!?」
痛がっていた。
イタがっていた。
あのジレンが。揺るがぬ最強の象徴が恥を捨て、汗と唾を流し、激痛にのたうっていた。
全てを忘れ去り、股間を押さえてゴロゴロと武舞台の上を転げまわるその姿に今までのような威厳はない。
「ど、どうした、ジレン! そんなビンタが何だというのだ!」
ジレンの異常にベルモッドが立ち上がり、叫んだ。
ベルモッドとジレンの付き合いは短くない。
だがベルモッドの知るジレンは常にクールで、落ち着きを失わない男であった。強さの象徴だった。
そのジレンがあんなに痛みに悶え狂う姿など、見た事がない。
ベルモッドが説明を求めるようにリゼットを睨むと、リゼットはそれを察して簡単な説明をしてやる事にした。
「いかに肉体が強くとも、耐えられない攻撃というものがあるのです。
圧倒的弱者が強者と戦う為に編み出した、悪辣な人の技……神である貴方には縁のないものだったでしょうね」
鞭打は全身の力を抜き、それによって成立する一撃だ。つまり破壊力という点で見ればこの上なく弱い攻撃である。
実際はダメージなどない。ただ痛みのみを、この技は与える。
『ドカン!』と攻撃をすれば鍛えた大人と少女とで感じる
だが『ピシャン!』と叩かれたならば、その痛みは平等だ。
皮膚という最大の器官に対する、苦痛のみを目的とした一撃。これが当たればジレンといえど無表情ではいられない。
「趣味のいい技とは言えませんが、惜しみなく使わせて頂きます。
正攻法では勝てる気が全くしませんからね」
「そこまでして、何を超ドラゴンボールに求める? お前の欲しいものは何だ?」
畳みかけようとするリゼットへ、尚もベルモッドが話しかけた。
ジレンが痛みから復帰するまでの時間稼ぎをする気なのだろう。
しかし時間稼ぎはこちらも好都合。悟空が復活するまでの時間が欲しいのはリゼットも同じなのだ。
なので、あえてベルモッドの話に乗る事にした。
「特に何も。あえて言うならば、第7宇宙を消させない事が目的でしょうか。
叶えたい願いはないので、そちらは他に何か叶えたい人がいれば譲りますよ」
宇宙の復活、とはまだ言わない。
ここでそれを言ってしまえば、大神官が『それはなしにしましょう』とか言い出す可能性がある。
だからギリギリまで待ち、神龍に直接言うのが確実だろう。
とはいえ、リゼットは神の言語を使えないのでビルスにでも代弁してもらう必要があるだろう。
「ふざけているのか? そんな事でジレンの願いを阻むなど……」
ベルモッドはリゼットを強く睨み、そして少しは落ち着いてきたのか椅子へと座った。
そして、絞り出すように声を発する。
「お前たちにも教えよう、ジレンの強さへの執着の理由を。
ジレンはある悪党に両親を殺されたんだ。そして師匠となる男に助けられ一命を取り留めた。
それからジレンは師匠の下でさらなる強さと正しい道を極めようとした。
一人、二人、三人……ジレンの周りには仲間ができた。そこに再び奴がやって来た。
仲間とともに戦った。ジレンには勝てる自信があったんだ。だが奴は強すぎた。
ジレンの仲間は次々と殺された。ジレンの師匠までも奴との戦いで命を落とした。
ジレンは再び立ち上がろうとしたが生き残った門下生に立ち上がる者はいなかった。
力なき者は強者に従うしかなかったのだ。ジレンは独りになった。信頼していた連中に裏切られたジレンの悲しみは計り知れない……。
そのとき痛感したんだ。信頼など無価値だと。それと同時に理解したのさ、強さこそ正義。強さこそ絶対なのだと。
勝てば周りがついてくる。勝利すればすべてが手に入る。
そこに感情など不要。オレはそんなジレンのとてつもない強さへの渇望とその孤独心に惚れたんだ」
「……………………あ、はい」
何だか、唐突にジレンの過去を語り始めたベルモッドに、リゼットはつい間抜けな声で返事をしてしまった。
いや、特にそういうの聞いてませんので……と、言いたいのを何とか堪えた結果、出て来たのがこの間抜けな声だ。
こんな所でいきなりジレン語りをされても何と言うか、反応に困る。
いや、確かに悲劇と言えば悲劇なのだろうし、壮絶と言えば壮絶なのだ。
だがいきなりそれを語られて心に響くかどうかは、全くの別問題だ。
とりあえずジレンが可哀想な男だという事だけは理解した。
しかも本人の同意なしに過去の恥部を明かされるというオマケつきだ。
彼も彼なりの叶えたい願いを抱いてこの大会に来ているのだろう。
それを踏み躙ってしまうのは心が痛むが、こちらも宇宙の存亡がかかっているのだ。
いくら悲劇自慢をされても、それで『それは可哀想です。負けてあげましょう』などと手を抜くわけにはいかない。
第一、そんな真似をしてはそれこそジレンに失礼だろう。
「おの、れ……」
ジレンが鬼のような形相で立ち上がったのを見て、リゼットは即座に気を引き締めなおした。
立ち上がるのは最初から分かっていた事だ。
倒れた時に立ち上がるか、それともそのまま沈むか。
それは打たれた瞬間、その一瞬の心の内でこそ決まる。
『やられた! 許してくれッ!』と思うのか?
『やられた! 許さんッ!』と思うのか?
倒れ込むほんの数瞬の表情……心に残された闘争心の残量はその表情にこそ表れる。
そしてジレンは、実にいい貌で倒れた。
だから立ち上がる事は最初から分かっていたし、何度同じ攻撃をしても彼は立ち上がるだろう。
「…………」
こちらからは攻撃しない。あくまでジレンの攻撃待ちだ。
舐めているわけではない。こうしなければすぐに負けてしまうから、そうするしかないのだ。
ジレンと正面からやり合えば叩き潰されるのは目に見えている
故に専守防衛。ジレンの攻撃を待ち、彼自身の力も加えてカウンターで切って落とす。
戦えば負ける。だが護身に徹すれば時間を稼ぐ事は可能だ。
武とは何か。
亀仙人ならばそれは、楽しく生きる為のものと答えるだろう。
悟空にとっては強くなるための道なのだろう。
だがリゼットにとっての武は、いってしまえば武器だ。
弱者が強者から身を守る為の、護身……守る為の力。それこそがリゼットの考える武である。
ならば、彼女の真価が発揮されるのは対格上との戦闘時に他ならない。
自分よりも遥かに強い相手から身を守る、弱者の為の技術。
故にここからが――リゼットの本領発揮だ。
「おおおおお!」
地を蹴り、ジレンが右拳を突き出した。
しかしそれが当たったと思った刹那、ジレンの巨体が宙を舞った。
相手の力を100%相手へ返し、完璧な合気で投げ飛ばしたのだ。
殺意や敵意を伴った攻撃であれば、それがどれだけの速度だろうと物の数ではない。
たとえ光より速かろうと、攻撃に移る前に敵意が先にリゼットへ届いてしまう。
『これから攻撃するぞ』という信号が先に届いてしまうのだから、リゼットはそれに合わせて攻撃が来る前にカウンターの準備を終えればいいだけだ。
いわばこれは未来予知にも等しい絶対予測。これを抜けたくば、意を完全に消した攻撃を放つ以外に手段はない。
背中から地面に衝突し、ジレンが痛みに呻く。
リゼットの攻撃は効かずとも、ジレン自身の力を返されれば流石にダメージが通ってしまう。
「ぐおおお!」
すぐに立ち上がり、気功波を放った。
しかしそれもリゼットの前に出現した亜空間に吸い込まれ、ジレンの後頭部に炸裂する。
防御とカウンターに徹した時のリゼットの悪辣さは群を抜いている。第7宇宙一と言ってもいい。
近距離で戦おうが遠距離で戦おうが関係なく、全ての力を跳ね返されるのだ。
身勝手の極みとはまた異なる、いわば護身の極み。
これを撃ち崩すのはこの上なく困難だろう。
ジレンを最強の矛とするならばリゼットは最強の盾だ。
対技術戦で彼女を凌駕しない限り、この牙城は崩れない。
何度もジレンが攻めるが、その都度地面を転がるのは常にジレンの方だ。
向けた力をそのまま返されるなど、ジレンにとっては初めての事であった。
自分の方が強いのに。自分の方が速いのに。
誰がどう見てもジレンの方が強くて速くて硬くてデカくて重くてタフで、全ての面で勝っている。
より強い方が勝つという、この世界の絶対の法則。常識。
それが通じない。弱い者が強い者を打ちのめすという、あってはならない現実が展開されている。
いかにジレンが強くとも、当たらなくては意味がない。
瞳を輝かせて拳のラッシュを放つも、それはもう散々見た技だ。
リゼットはジレンの拳を全て回避し、逆に渾身の蹴り上げをジレンの股間へとめり込ませた。
いかに強力な技だろうが何度も見せるものではない。こう何度も見せられてはベジータや悟空だって見切ってしまえるだろう。
戦闘の天才であるベジータならばリゼット同様にカウンターを合わせる事すら可能かもしれない。
「私の強さを見切った。そう言いましたね」
ジャストヒットさせず、あえてジレンの顎の皮一枚を掠めるように拳打を放った。
たったそれだけの事で難攻不落を誇ったジレンが呆気なく膝を突く。
強く顎を叩くのではなく、あえて皮一枚だけを超速で掠める。これが意外なほどに脳を揺さぶるのだ。
そこに容赦なく追撃。掌に真空を生み出し、ジレンの顔を叩いた。
『空掌』。特殊な力の操作により掌に真空を生み出し、相手の口に当てて肺の中の酸素を全て吸い出して酸欠に追い込む技である。
宇宙人であるジレンならば真空の中でも生存出来るかもしれないが、呼吸している事もまた確認している。
この世界にはフリーザのように真空でも生存出来るくせに疲労すると何故か息切れを起こす不思議生物もいるので確実とは言えないが、ジレンはその場で激しく咳き込んでしまった。
とはいえ、本来は相手の実力など無関係に一撃で失神させる技である事を考えれば、やはり地球人の常識は当てはまらない。
「確かに力も速さも体力も、フィジカル面では全てにおいて貴方が勝ります。
しかし私の強さは悟空君達のようにフィジカルに特化したものではありません」
今度は耳を狙う。
宇宙人であるが、目、鼻、口の位置が地球人と大差ない以上、そう大きな構造上の違いもないだろう。
ジレンの耳を叩き、そこから一点照射で気を送り込んだ。
地球人ならばこれで、反対側の耳から脳が飛び出して即死するだろうがやはりジレンは身体の造りが違うのだろう。
両耳の穴から鮮血を吹き出しながらダウンするも、死の気配は全くない。
言うまでもなく、リゼットは本気でこの攻撃を行っている。全く手心を加えずに殺す気でやっている。
だが矛盾しているようだが、殺す気で攻撃していてもジレンは死なないという確信があった。
ジレンは強い。強すぎるほどに強い。
だからこそ、信じる事が出来る。
自分がどれだけやっても彼は生き延びてくれると、そう信じたからリゼットは本当の戦い方を解禁したのだ。
「……ご……ぉ……ッ!」
死なないまでも効果はあった。
ジレンの手は震え、立ち上がる事すら出来ていない。
しかし立てないならばそこで終わる。リゼットとはそういう相手だ。
突然ジレンの足元が開き、彼は本能的に跳躍して難を逃れる。
ヘブンズゲート。
ガーリックJr.のデッドゾーンを参考に編み出されたそれは、今や別の技と化している。
本家と異なり、空間移動として用いる事が出来るのは勿論としてゲートを出す場所すら選ばない。
その特性を理解したわけではない。
だがジレンは長年の経験から、それが受けてはならない技だと直感的に悟っていた。
まさに超一流の戦士のみが持つ戦闘勘と言えるだろう。
だがまだ終わらない。ジレンを囲むように複数のゲートが同時展開され、そこから一斉に気功波が発射された。
「ぐおおおおっ!」
腕をクロスしてガードし、ダメージを抑える。
吹き飛んだ先にまたしてもゲートが開いたので気弾を撃った反動で何とか逃れれば、今度はそれを読んでいたようにリゼット本人が跳んでジレンの額へ拳打を放った。
リゼットにしては珍しいグーのパンチだ。
勿論それもただの拳打ではない。拳の握りは開かず、閉じず……人が生まれてから最初に形作る赤子の手の握り。
まるで菩薩の手のような半端な握りから、完全に攻撃の意を消して攻撃を放ったのだ。
衝突――それと同時に拳を握り、一打で二度の衝撃をジレンの脳天に叩き込んだ。
まだ終わらない。今度は手を開き、三発目の衝撃……その手の甲に更に掌打を打ち込む事で一度の拳打で四発の衝撃をジレンに与えた。
一発目の衝撃に二発目、三発目、四発目の衝撃が追いつき合流する。
するとジレンの中でそれらが凄まじい破壊力を発揮し、内部から破壊せんと荒れ狂った。
「ぐっ、ああああ……!」
並の強度ならば……いや、トッポ程の戦士であっても今の拳打を受けたならば頭部が砂のように砕け散っていた事だろう。
これも紛れもなく一撃必殺の殺人技だ。
それでもジレンは砕けない。
宙で回転して着地し、揺らぐ事なく構える。
――負けるわけにはいかない。
俺は柱でなければならない。誰にも負けぬ最強でなければならない。
二度とあの日の悲劇が繰り返されないように……弱き者達が踏みにじられない為に。
それを守る正義で在り続ける為に。
正義に全てを捧げた孤独な決意で、ジレンは雄々しく立つ。
「HEROES・GOD MISSION!」
だがそんなジレンの孤独を嘲るように、別宇宙の女神が更に畳みかける。
空を割るように光が差し込み、武舞台を照らし出した。
その光と共に天から舞い降りるのは、数えるのも馬鹿らしくなるほどの光の戦士達だ。
リゼットの気によって高められた彼等は一人の例外もなく神の領域に立っている。
それらはかつての強敵の姿を形作り、今ここに本来あり得ぬはずの第7宇宙連合軍が編成されていた。
フリーザがいた。
コルドがいた。
ボージャックが、ザンギャが、ゴクアが、ビドーが、ブージンが。
ジャネンバがケラケラと笑い、パラガスが両手を広げる。
ガーリックJr.、ドクターウィロー、タンバリン、シンバル、ピアノ。
四星龍以外の邪悪龍達。
パイクーハンやオリブーといったあの世の戦士達。
そして伝説の超サイヤ人ブロリーが壮絶に笑った。
善悪関係なく、第7宇宙の強戦士達が一堂に集結してジレンを見下ろしている。
勿論本物ではない。気をかつての強敵達の姿にしただけだ。
しかしリゼットの模倣の技術をもってすれば、その戦法や技はオリジナルと遜色なく、本物をここに呼び出しているのと何も違わない。
一人一人がヒルデガーンを凌駕する戦士達。それが数十、数百という軍勢を編成して次々と降り立つ光景は神話の一ページのようでもあり、罪人を裁きに来た天の使者にも見える。
そして敵対する宇宙にとっては最早悪夢以外の何物でもなかった。
彼等は思い違いをしていた。
リゼットは十人のうちの一人などでは断じてない。
彼女が参戦している時点でそれは、第7宇宙総軍が参戦しているに等しいのだ。
「うおおおォォォォい!? アレありかよォォ!? あんなのありかよォォォ!
第7宇宙多すぎだろ! あいつもう参加禁止にしろよ! あいついるだけで無限に増えるじゃねえかああ!」
シャンパが取り乱すのも無理はない。
自分の技だから大会ルールに引っかからないといえ、いくら何でも反則過ぎる。
さしもの大神官も気のせいか頬が引き攣っているように見える。
そしてキャウェイは物陰に隠れて岩のように蹲っていた。
見た目はともかく、これはいい構え……護身完成である。
「雑魚が何人集まろうと……俺は負けん!」
ジレンが吠え、光の軍勢にたった一人で突撃した。
それを戦士達が迎え撃ち、一対数百の絶望的な戦いが開始された。
ジレンが拳を出す度に数十人が一斉に消し飛び、だがどうしても出来てしまう隙を狙う様に次々と攻撃が炸裂する。
ジレンといえど攻撃直後の無防備を狙い撃たれれば無傷ではいられない。
ジャネンバの剣が背中を切り付ける。
フリーザのデスビームが胸を撃つ。
ブロリーのラリアットが首にめり込む。
一星龍の蹴りが脇腹を抉る。
だがジレンは倒れない、退かない。諦めない。
どれだけ傷付こうと、彼には退けない理由がある。
――負けるものか……。
第11宇宙の英雄は絶対に負けない。
負ける事は許されない。
あの日、師匠の墓前に誓ったのだ。
俺が守って見せると……俺が最強になってみせると……。
――たとえこの身体がバラバラに砕けようと……。
「強さの先にあるものを、まだ俺は見付けていない!」
ジレンを中心として光が爆発し、神の軍勢を薙ぎ払った。
そして無防備になったリゼットへと突撃する。
あいつだ。あいつさえ倒せば第7宇宙は瓦解する。
奴を仕留めなければ勝利はない。
今度こそ決める為に放たれた豪腕。だがリゼットはこれを軽々と流し、またしても投げ飛ばしてしまった。
ジレンが地面にぶつかり、何とか立ち上がろうとするも膝を折ってしまう。
それを見下ろしながらリゼットは呼吸を整える。
一見圧倒的優位に見えるが、ジレンほどの男の攻撃を全て回避し、カウンターまで合わせているのだ。
彼女もまた、その肉体的、精神的疲労は計り知れない。
「たとえ身体能力で大きく負けていようと、戦い方などいくらでもあります。
貴方が見切ったのは、私の表面上だけの強さに過ぎません」
ジレンを冷たく見下ろしながら、リゼットは悟空を見た。
セルが彼の体力を回復させているが、まだ時間がかかりそうだ。
普段ならば一瞬で回復出来るはずなのだが……やはり神の奥義は普通と違うのだろう。
もう少しだけ、ジレンの相手をする必要があるらしい。
(なるべく急いで欲しいんですけどね……)
現状はリゼットの圧倒的優位――に見える事だろう。
しかしジレンという絶対強者の攻撃に晒されて無事で済むはずがない。
ジレンの攻撃が掠っただけの脚が。完璧に受け流したはずの手が。
それぞれが激しい痛みをリゼットへと訴え続けている。
恐らく、四肢を支える骨の全てに細かい亀裂が走っている事だろう、とリゼットは考えていた。
(悟空君の気の回復量から予測するに、完全復活まで凡そ一分。
それまでは、何とかジレンを引き付けなければ)
リゼットでは“負けない”戦いは出来ても“勝つ”戦いが出来ない。ジレンはそれほどに別次元の強者なのだ。
故にこの身を的とし、悟空復活までの時間を何としても稼ぐ。
その意思の元、リゼットはジレンの全身に鞭打の嵐を叩き込んだ。
ヒット(俺には
むしろ俺に近い……いや、むしろ俺以上の『殺す』技だッ!
あんな戦い方があったとはッッ!)
【第7宇宙総軍】
リゼットによって生み出された自立気弾の軍。
今回は部外者参加禁止なので魂の召喚はしていない。全て偽物。
しかし動きや技は限りなく本物に近い。
ちなみにクウラは何か出したくなかったので出していない。
【四重の衝撃】
ゴブリンバット。
ゴブリンバットォ。
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売~れんかいな~(1000円)
ゴブリンバット。
ゴブリンバットォ。
売~れんかいな~(100円)
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