ドラゴンボールad astra 作:マジカル☆さくやちゃんスター
> 復活のF <
 ̄YYYYY ̄
ナメック星での戦いが終わってより130日後。
ナメック星のドラゴンボールが復活し、地球のドラゴンボールでフリーザ一味に殺された者達を蘇生させる事に成功したナメック星人達は新しい惑星を見付けてそこに移住していった。
更にそこから1年と130日……地球には強大な力を持つ二人の侵略者が近付きつつあった。
「あれが地球だよパパ……僕をこんな目に遭わせた超サイヤ人もあそこにいるんだ」
宇宙船の中で声を発するのは、確かに悟空が倒したはずの因縁の敵、フリーザだった。
何ともしぶとい事に彼はまだ生きており、身体のほとんどを機械化する事によって以前よりも力を増して復活したのだ。
もしも技術力が更に進んでいれば、あるいはサイボーグ化の必要すらなく生身のまま再生出来たのかもしれないが、その技術の完成には後10年はかかると言われている。
力を増したフリーザの隣にいるのは、そのフリーザよりも更に強大な気を持つ巨漢であった。
「小さな星だ。一発で消してしまえばよかろう」
「それじゃあ気が済まないよ。あいつに思い知らせてやりたいんだ、パワーアップした僕をね」
「超サイヤ人はともかく、白の女神だけは何としても消さねばならん。どんな手段を使ってもだ。
あいつ一人のせいで我が勢力の権威は地に堕ちた……これを回復するには奴を惨たらしく殺し、宇宙中にその死体を晒して我が一族への恐怖を再び植え付ける以外にない」
男――コルド大王は一族の異端児である。
元々彼らの一族とは、宇宙空間でも生存出来るほどの強種族には違いないが、1億を超えるような馬鹿げた戦闘力を持つ宇宙人ではない。
尊大でプライドの高い者が多いのは事実だが、どちらかといえば大人しい宇宙人だ。
だがある日、一族の中に異常とも言える力を持つ突然変異が生まれた。それがコルドだ。
彼は生まれ持った絶大な力で瞬く間に宇宙中に名を知らしめる事に成功し、様々な惑星を支配して一大帝国を築き上げた。
だが規模が大きくなれば管理も難しくなる。
彼には既にクウラという息子がいたが、残念ながら息子は天才ではあったもののコルドの強さを受け継いではいなかった。
そこでコルドは己の要素を色濃く継いで生まれたもう一人の子供に、他の星域の管理を任せる事にした。それがフリーザだ。
嬉しい誤算だったのは、フリーザの登場により劣等感を感じたクウラが猛トレーニングを始めてフリーザ以上の戦士となった事か。
流石は我が子、やれば出来るではないか。
コルドは感心し、クウラにもフリーザと同じだけの規模の星域を与えて管理を任せた。
こうして優秀な息子を二人得たコルドは効率よく様々な惑星を支配し、更に勢力圏を強めていたのだ。
……唯一の悩みの種は息子同士の仲が悪い事だろうか。
クウラは何の努力もせずに力を持って生まれたフリーザを苦労を知らない甘ちゃんと呼んで軽んじているし、フリーザは生まれつきの強者ではないクウラを自分や父とは違う劣等種と呼んで見下している。
しかしそのクウラも白の女神によって殺された。
今やコルド大王が築いた帝国はかつての見る影もなく、衰退している。
戦闘力が1000を超える優秀な戦士は悉く遠征先で白の女神に消され、戦力不足に陥った軍は様々な惑星の独立戦争を許す事となった。
更に彼女の登場からしばらくして『永遠の美』とか名乗る組織が出現し、今もその規模を増し続けてあちこちでコルド大王の軍を蹴散らしている。
……あのザーボンとかいう裏切り者もいつか消さねばなるまい。
しかしすぐに実行に移せないのは、ザーボンの組織と正面からぶつかり合えばこちらも無事では済まないからだ。
ザーボンは『宇宙一の傭兵』と名高いレジックを護衛に雇う事で己の安全を図り、更にいくつかの惑星と同盟を結ぶ事で守りを強固にしていた。
結果、いくつもの惑星や星系がコルド大王の傘下から離反して彼の勢力は急速に衰退させられた。
クウラに任せていた星域などはほぼ全滅だ。完全に支配域ではなくなってしまっている。
「これから起こる事は全宇宙に発信される。奴等の見ている前で希望の象徴とやらを殺すのだ。
そうする事で初めて我が一族の権威は復活する」
この日の為に宇宙の様々な惑星で親しまれている宇宙テレビ局を制圧し、番組を一つジャックした。
目的は勿論、そこに女神の最期を映して人々の希望をへし折る為だ。
ただ殺すのでは生温い。全ての尊厳と誇りを踏み躙り、恥辱と屈辱の中で後悔しながら死んで貰わなければならない。
無様に命乞いをさせ、映像を見ている全ての者に失望の念を抱かせる。その義務があの女にはあるのだ。
「楽しみだ……あの強者を気取った顔が恐怖に歪んで命乞いをする時がな」
コルド大王は己の勝利を疑いもせず、青く小さい惑星を眺めていた。
★
――来たか。
リゼットは神殿の中から、フリーザ親子の来襲を誰よりも早く感知していた。
遠視で見る限り、どうやらいきなり地球を消してしまうつもりはないらしい。
あくまで地球に降り立って、素手で決着を付ける気のようだ。
勿論いきなり地球を砲撃されてもリゼットならば対処出来るが、降りてきてくれるならその方がやりやすいのは事実だ。
とはいえあまり戦いが長引くと地球が戦いの余波で滅んでしまいかねないので、早急に片付けねばなるまい。
リゼットはポポと兎人参化を連れて神殿から飛翔し、地上へと向かった。
地上で待つ事数十分。
まず最初にやって来たのはピッコロだった。
彼はリゼットを見るなり、「今までどこにいたんだ?」などと聞いてきたが、ずっと神殿にいたとだけ返答した。
どうやら彼もリゼットの気は感知出来ていないらしい。
やがて悟空を初めとするメンバーが勢ぞろいし、全員が出会いがしらにリゼットの気に関して尋ねてきた。
何でも、もしかしたら死んだんじゃないかと本気で心配されていたらしい。
「大丈夫ですよ。ちょっと修行の影響で他者から気を感知されにくくなっただけです。
先代様や界王様といった、私と同じ神様なら私の気も感知出来ます」
「神様だけが持つクリアな気かあ、すっげーなあ。そんなんもあるんか」
気の感知というのは戦いにおいて大きな要素である。
例えば目だけに頼って戦っていた場合、背後に回られてもすぐには気付けない。
だが気の感知があればすぐに場所を特定して反撃に移る事も可能となり、悟空達が多少ならば格上と渡り合えるのもこれがあるからだ。
だがこれから先、リゼットの気を感知して戦うという事は出来無くなるのだ。
それは全力を出したまま気配を消して動いているに等しく、それだけで戦いの天秤が大きく揺らぐほどに有利な能力だ。
もっとも、悟空達とリゼットが戦うという事がまず有り得ないわけだが。
「ところでターレス……ですよね? まだ地球にいたんですか?」
「ああ。結構住み心地がいいんでな」
リゼットが視線を向けた先にいたのは、黒いシャツをラフに着こなした悟空そっくりの男、ターレスであった。
肌の色が黒いので悟空との区別が付かない事はないが、二人が並ぶと一瞬どっちがどっちだか分からなくなる。
「今はどちらに?」
「ジングル村って場所だ。今はそこで果樹園をやってるぜ。
果物を育てるのは嫌いじゃないからな」
「そのお金は一体どこから?」
「金ってーか、元々あったモンを手伝ったっていうか、引き継いだっていうか……まあ元手がないわけじゃねえ。
持っていたスカウターをあのブルマって女に渡したら大金をポンとくれたしな。
気前がよくて嬉しくなるね。本当は俺の宇宙船もくれてやりたかったんだが、ナメック星と一緒に宇宙の塵になっちまったからなあ……。
ま、一度遊びに来いよ。流石に神精樹はないが、大体の果物は揃えてるぜ。
地球には存在しない果物もいくつか取り扱ってるしよ」
こいつ神精樹以外にも果物の種を持ち歩いていたのか。
そんな意外な一面に驚きながらも、リゼットは曖昧に頷いておいた。
「そうそう、ナッパの奴は野菜の栽培をやってるんだぜ。これがなかなか……」
「話はそこまでだ。来たぞ!」
ピッコロが叫び、それと同時にフリーザの宇宙船が彼等の頭上を通過した。
相変わらず無駄に大きい宇宙船だ。
リゼットは顔を上げると宇宙船の着地した方向へと無言で歩を進める。
戦いを避けるという選択はない。奴等はここで倒す。
そのリゼットのすぐ後に続いたのは悟空、ピッコロ、ターレスだ。
戦いが始まればこの4人を中心とした編成で挑む事になるので、この順番は正しい。
リゼット達が宇宙船の前に立ち、フリーザ達が出て来る。
隣にはフリーザ第二形態のような巨漢が立ち、その前を守るようにゾロゾロと兵士達が沸き出てきた。
「これはこれは。お揃いで出迎えご苦労様」
「フリーザ……おめえやっぱ生きてたんか」
「おかげさまでね」
フリーザが一歩前に歩み出し、彼と因縁の深い悟空、ターレス、ベジータ、ピッコロが迎え撃つ体勢を取った。
コルド大王や部下は動く様子を見せない。
超サイヤ人相手では雑魚をいくらぶつけても無駄と悟っているからだろう。
大王自らが動かないのは……目的が他にあるからか。
先ほどから、憎悪を込めた視線をずっとリゼットへと向けている。
「悟空君。フリーザを半端に追い詰めるような事はせずに。一気に倒してしまうように。
彼がその気になれば地球を消せる事を忘れないで下さい」
「ああ、わかっている」
悟空は上空を示して飛翔し、それに続いてフリーザも飛んだ。
リゼットはその場に留まり、コルド大王と相対する。
コルドは余裕の笑みのまま腕組みを解き、一歩前へと出た。
「おい、こいつの戦闘力は?」
「そ、それが……故障でもしたんでしょうか? 先ほどから計っているのですが数値が出てきません」
「ふん。新型もアテにならんな」
今のリゼットの気は神でなければ計る事が出来ない。
当然機械などで計測出来るわけもなく、実際に戦うまでは誰もリゼットの実力を掴めないのだ。
だがそんなコルド大王達を嘲笑うようにブルマが懐から出したスカウターをセットしてコルドに合わせ、そして驚いたように言葉を発した。
「ちょ、ちょっと! 神様、あいつやばいわよ! 戦闘力2億あるわ!?」
「……計れるんですか? それ」
「ええ。ターレスから貰ったスカウターを改造して最大で10億まで計測出来るようにしたわ。
やっぱり私って天才よね!」
「否定する言葉が見付かりません」
リゼットはブルマの天才ぶりに心底呆れていた。勿論感心もしているのだが、あまりにブルマがぶっ飛んでいるせいで感心が一周して呆れになってしまったのだ。
コルド大王も同じ感想のようで、表情を崩して目が点になっている。
それはそうだ。最新式のスカウターでも数十万を計測すれば壊れてしまうのに、ブルマは10億までOKというふざけた発言をしているのである。
コルド大王はすぐに表情を戻すと、ブルマへと声をかけた。
「おい、地球人の女。どうだ? 儂の部下になってその頭脳を活かしてみる気はないか?
こんな辺境の惑星でその頭脳を埋もれさせるのは余りにも惜しい……宇宙の損失と呼んでも過言ではない。貴様の頭脳はこんな小さな惑星ではなく宇宙で発揮されるべきだ」
「はん、おっ断りよ! 誰が侵略者なんかに付いて行くもんですか!」
「貴様が望むままの待遇を与えよう。惑星だろうが富だろうが好きなだけくれてやる。
宇宙の最先端医療技術で永遠の若さも与えよう。
必要ならばこの星に手を出さずに帰ってもよい……その女神だけは殺すがな。
フリーザも儂が言い聞かせる。どうだ……考えてはみぬか?」
「しつこいわよ!」
「……そうか」
コルド大王は残念そうに溜息を吐き、それからブルマの付けているスカウターを物欲しそうに見る。
やはり彼女ほどの天才はそう簡単には諦められないのだろう。
「おいお前達。儂が白の女神を殺している間にあの女を生け捕りにしろ。
傷は決して付けるな。それとあのスカウターは後で儂に渡せ」
「はっ!」
ブルマが首を縦に振ってくれないので結局強硬手段に出るようだ。
こういう所は実にフリーザの父親らしい。
しかし、技術者の大事さとブルマという存在の得がたさを知っている辺りは流石大王というべきか。
気に入らなければすぐに消してしまうフリーザとは違う。
「待たせたな。そろそろ始めようか」
マントを翻し、コルド大王が構えた。
リゼットもそれに合わせて構えを取る。
とはいえ、それは傍から見れば構えには見えないだろう。
あらゆる格闘技を身に付けたリゼットに決まった型や構えは存在せず、状況と敵に応じて構えそのものが変幻自在に変わる。
故に彼女が最初に取るべきスタンダードな構えとは、無型。
両手を下げて自然体とし、どの構えにも瞬時に移行出来るように備える。
気弾を二つ生成。繰気弾のように打撃性を与えたそれはリゼットに近付かず離れず、クルクルと彼女の周囲を旋回し続ける。
これは彼女の手が足らない時に敵の攻撃を自動で防ぎ、また敵が隙を見せれば自動で攻撃、迎撃を行うサポート用の気弾だ。
最後にバーストリミットの倍率を上げ、コルド大王にも匹敵する戦闘力まで上昇させた。
もっとも傍から見れば彼女の纏う輝きが一層強まったようにしか見えないだろう。
「ええ、
あくまで微笑のままそう告げ――リゼットは一瞬でコルドの懐へと飛び込んだ。
【各キャラ戦闘力】
―味方陣営―
・リゼット
基本戦闘力:1400万
バーストリミット(最大40倍):5億6千万
(重装備や気霊錠はあるものの、面倒なのでここからは省きます)
・孫悟空(免許取得)
基本戦闘力:500万
超サイヤ人:2億5千万
・ピッコロ(免許取得)
基本戦闘力:1500万
界王拳(最大15倍):2億2500万
・ベジータ:500万
・ターレス:490万
・ナッパ:470万
・孫悟飯:50万
※瀕死強化をあまりしなかったから……
・天津飯:44万
・クリリン:42万
・ヤムチャ:42万
・兎人参化:40万
・餃子:35万
・Mr.ポポ:38万
・バーストポポ:76万
・岩陰に隠れている謎のイケメン:450万
超サイヤ人:2億2500万
―不参加―
・カリン様:37万
・バーストカリン:74万
―フリーザ陣営―
・サイボーグフリーザ:1億5千万
・コルド大王:2億