ドラゴンボールad astra 作:マジカル☆さくやちゃんスター
> 復活のF <
 ̄YYYYY ̄
「それで、どうでしたか? テストの結果は」
戦いが終わったトランクス達は再び時の巣へと戻り、合否をビルスへと尋ねていた。
ある程度の実力を示す事は出来たが、それでもビルスから見れば子供の遊びのようなレベルではあったはずだ。
それだけに彼の返答に緊張してしまうのも無理のない事だろう。
ビルスは眠そうに目を擦ると、面倒そうに言う。
「悪いけど、今日は久しぶりに運動をしたから眠くなってきちゃったよ。
だから僕はもう寝るけど、寝てる間に誰かがドミグラを倒してしまっても、それは仕方のない事だよね」
「ビルス様は一度寝てしまうと数年は目を覚ましません。
したがってビルス様のお力を借りる事は出来ませんので、そのおつもりで」
それは遠まわしで分かり難い合格宣言だった。
自分はもう寝るから、寝てる間にドミグラでも何でも倒してしまえと、そうビルスは告げているのだ。
その事に気付いたトランクスは破顔して頭を下げ、感謝を述べた。
「あ、ありがとうございます!」
ビルスは猫のように目を細めてトランクス達を一瞥し、それから目元を擦って背を向けた。
見た目といい気紛れさといい素直じゃない所といい、無意味に猫っぽい神様もいたものだ。
ウイスの背に手を当て、リゼットの手を引く。
それと同時に3人はその場から消え、ドミグラの事をこの場の戦士達へと託した。
★
ビルスとの戦いから数週間が経過した。
リゼットはドミグラがいつ動くかに気を払いながら、普段は瞑想をして過ごしていた。
普段行っているハードなトレーニングは一時中断だ。それよりも今は神の世界に何とか身体を慣らしたいと思っていた。
自らを神の領域へ押し上げる技法――『ゼノバース』。
これはまだ完成していない。
現時点では制御する事に力の大半を持っていかれてしまい、ただの強い変身にしかなっていないのだ。
だが本当はこんなものではないはずだ。朧げに覚えている、かつて暴走してしまった時の力は、もっと凄まじかった。
これを完全なものとすればドミグラとて恐れるに値する敵ではなくなるだろう。
そうして神の力を吸収すべく己の世界に埋没して、飲まず喰わずでひたすら瞑想を続ける事数週間。
少しは慣れたが、まだまだ目的には程遠い。
そして、どうやら今回は間に合わなかったらしい。
神殿にいくつもの見知った気が接近しているのを感知し、リゼットは瞑想を終えた。
やって来たのはベジータ、ターレス、ピッコロ、悟飯、セルの5人。地球でも最強クラスに入る戦士達だ。
だが様子がおかしい。
全員が禍々しい気を発し、黒いオーラを纏っている。
どうやらドミグラは地球の主力勢を纏めて凶悪化し、リゼットへぶつけてきたようだ。
そればかりかフリーザまで紛れ込んでおり、恐らくこれは別の時間軸のドラゴンボールを使ったのだろうと考えられる。
しかし今のリゼットならばフリーザ以外を殺さずに無力化する事も不可能ではない。
すぐに終わらせようと一歩踏み出し――予想外の速度で突撃してきた悟飯に不意を打たれた。
「っ!」
悟飯の初撃を避け、続く連撃をも的確にいなす。
だがそのどれもが速く、鋭い。
どうやら凶悪化によって潜在能力が引き出されているらしく、強さが全盛期であった10歳の頃と同等に……否、それ以上に跳ね上がっている。
無論、今のリゼットならば不覚を取る相手ではない。1対1ならば。
だが悟飯の隙を埋めるようにターレスとベジータが突撃し、リゼットを挟みこむように猛攻を仕掛けた。
「っ、厄介ですね」
こちらも凶悪化により限界を超えて力を引き出されたのか、ターレスは超サイヤ人3、ベジータはビルスと戦った時の
二人を気合砲で弾き飛ばし、時間差で攻めてきたピッコロの右ストレートを避けて、無防備な顔へと掌を当てた。
ただ当てただけではない。特殊な力の操作により、掌の中に真空に近い状態を作り出した上で当てたのだ。
更にリゼットはそこから応用して、酸素濃度の極端に低い状態を作り出していた。
人は数秒、あるいは数分間息をしなくても生きていける。
だが酸素濃度が極端に低い空気を吸引すると一瞬で失神してしまうのだ。
いわば神の設計ミス……ナメック星人にこれが適用されるかは五分五分だったが、彼等も空気を吸って生きている生物であり、地球で問題なく暮らせている以上は地球人と大差ない。
地球上で最も強力な毒とは何か?
答えは酸素……分かった時にはもう遅い。
ピッコロは白目を向いて倒れ、地面に落ちる前に念力で支えて寝かせた。
まずは厄介なピッコロを先に潰す事に成功し、すぐに次の敵へと意識を移す。
フリーザは……まあ、こう言うと可哀想だが完全に戦力外だ。今更フリーザが出て来ても話にならない。
視線すら向けずに念力で爆散させ、気功波で消滅させた。
続けてターレスを倒そうとするも、そこに新しい気が接近している事に気付き一度距離を開けた。
「パンパカパーン! 正義の死神ゴテンクス様参上!」
「……いや、何でフュージョンを習得してるんですか」
何故か誰も教えていないはずのフュージョンを会得したゴテンクスが、何故か神殿へと乗りこんできた。
どうやらドミグラが教えるか何かしたのだろう。
あらゆる時間軸を覗ける彼ならば、悟天とトランクスがフュージョンを会得した世界線を知っていても不思議ではない。
とはいえ……やはり今のリゼットの敵ではない。
リゼットは瞬間移動でゴテンクスの真上へと転移すると、掌打の一撃で地面へと叩き落とした。
更に追い討ちで魔法を発動し、落雷でゴテンクスを麻痺させる。
「っちゃあああああ!」
ベジータが叫びながら向かってくるが、リゼットの前に悟空が瞬間移動で現われてベジータの攻撃を防いだ。
どうやら彼は操られていないらしく、正気のままだ。
悟空はベジータを蹴り上げ、リゼットへ告げる。
「神様、ベジータはオラに任せてくれ!」
悟空はそれだけ言うと上空へと飛翔し、ベジータと攻防を開始した。
戦闘力はほぼ互角。
しかし不完全とはいえ神の気を会得した今の悟空ならば負ける戦いではない。
目に見えて悟空がベジータを圧倒しているのが見える。
「よう、援護は必要なかったか?」
「バーダック。貴方も来たんですか」
「ああ。ドミグラの野郎が本格的に仕掛けてきたみてえだな」
更にリゼットの援護に、タイムパトローラーのバーダックが時空を越えて出現した。
彼は不敵に笑うとターレスを視界に収め、ターレスもまたバーダックへと狙いを定めた。
そして二人はまるで最初から戦う相手を決めていたようにダッシュし、正面から愚直に衝突する。
見た目が酷似している二人だけあって、ああして戦闘に入ってしまうと全く見分けが付かないのが困りものだ。
「この馬鹿は俺に任せろ! ちょいとヤキ入れてやるぜ!」
「バーダックゥゥゥ!」
「はっ! みっともねえ事になってるじゃねえかターレス! 俺がブン殴って正気に戻してやらあ!」
バーダックも流石の強さで完全にターレスを圧倒していた。
頼もしい助っ人二人の登場によりリゼットが戦うべき相手はセルと悟飯の二人だけとなり、同時に飛翔してきた二人の拳を難なく受け流した。
そして相手の攻撃こそが最大の好機。
リゼットは掌を開かず閉じず、まるで菩薩の手のような緩い握りとする。
人間が生まれた時に最初に形作る手の形。このいい具合に脱力した手の形こそが打撃の理想だ。
余計な動きは必要ない。肩から肘、肘から手首、手首から指。
攻撃に
「――」
悟飯が白目を剥き、その場に膝を突いた。
パワーがいくら上がろうと、やはり修行不足。体術と身体能力は別物だ。
反射神経はいい。動体視力も素晴らしいものがある。
だが身体に馴染んだ動きというものがない。危機的状況において咄嗟に、考えるよりも早く動く為には弛まぬ修練が必須だ。身体に動きを覚えさせる事で初めて自然に、頭で考える前に動いてくれる。
いかに無理矢理潜在能力を引き出そうと、九年間もブランクがあってはそれを活かしきれない。
孫悟飯は戦いの天才である。
だが本人が望んだ才能ではなく、むしろ戦いを嫌っている。
ならばもう、戦いからは遠ざけてやるべきだろう。
妻がいて、子供も出来たのだ。ならば家庭を守る事こそが彼の戦いで、こんな事は自分達だけがやっていればいい。
だからリゼットは、気絶した悟飯をそっと横たえた。
「ぶるわああああああ!」
今度はセルが凄まじい速度で攻撃を繰り出す。
だがこれもリゼットは冷静に流し、的確にカウンターを放った。
一手先、二手先、三手先――先の先を読み、更にその先を読む。セルにはその技術がある。
だがそれは未来のリゼットから得た細胞による技術でしかなく、今のリゼットの技術ではない。
前までならばそれでもよかっただろう。リゼットよりも未来のリゼットの方が経験で勝っていたのだから、必然的にセルの方がリゼットよりも技巧の面で上となる。
だが今や戦いは未来世界にもなかった世界へと突入しており、完全に未知の領域にある。
こうなっては未来リゼットの技術はもう時代遅れでしかなく、今ここにいるリゼットの方が勝ってしまっていた。
リゼットの掌打をセルが両手で円を描くようにして受け流す。
あらゆる受け技の要素を入れた基礎にして奥義たる廻し受けならば多少の格上の攻撃すら捌き切る事が可能だ。
そして反撃の掌打! しかしリゼットはそれを読んでいたように当たらないギリギリの間合いまで逃れており、セルのカウンターに更にカウンターを合わせた。
一閃! 顎に白い拳打が炸裂し、セルの核を揺らす。
膝から崩れ落ち、そこに駄目押しの手刀。延髄を叩いてセルを地面へ沈めた。
悟空とバーダックを見ればあちらも決着が付いたようで、二人共リゼットの前へと戻ってくる。
バーダックは何故か、妙に嬉しそうだ。
「へっ。ターレスの野郎、随分強くなりやがって……」
どうやらターレスとバーダックは顔見知りらしい。
一体どういう接点があるのかは不明だが、そのうち尋ねてみる事にしよう、とリゼットは思った。
だが今はそんな場合ではない。
「バーダック。これは……」
「ああ、ドミグラの野郎がいよいよ動きやがった。
俺は今から時の巣に戻ってあの野郎と決着を付けてくる」
「一人で大丈夫ですか?」
「さあな。だが何とかするしかねえ。
そんじゃ、行って来るぜ」
バーダックは拳を握り、その場から消え去った。
ここより先は時間軸を越えた先で行われる戦いであり、リゼットが行ける場所ではない。
つまりはバーダックとトランクスに任せる他なく、彼等の勝利を信じる事しか出来ない。
「おいリゼット。何かこいつら暴れたから、やっつけちゃったぞ」
神殿の奥からそう言いながら出てきたのは魔人ブウだ。
その手には気絶したMr.ポポや人参化、タピオンを引きずっている。
見かけないと思ったら魔人ブウが取り押さえていてくれたらしい。
流石に魔法にも長けた魔人というべきか。今回はしっかり洗脳に抵抗してくれたらしい。
「よくやってくれました、ブウ。えらいですよ」
「えっへん。もっと褒めろ」
ブウの頭を撫でてやると、彼は目に見えて上機嫌になる。
それにしてもすべすべしていながらモチモチで、なかなか触り心地がいい。
リゼットは基本的にモフモフの方が好きだが、これはこれでありかもしれない、などと思い始めていた。
そうして魔人ブウを褒めながら彼のお腹をタプタプしていると、悟空が不思議そうに声をかけてきた。
「なあ神様。今の奴は誰だったんだ?
オラやターレスによく似てたけどよ……」
「……貴方のお父さんですよ、彼は」
「いいっ!? お、オラの父ちゃん!? 何でオラの父ちゃんが生きてるんだよ!
惑星ベジータの爆発で死んだってターレスが言ってたぞ!」
「それは私にも分かりませんし、もしかしたら彼は別の時間軸のバーダックの可能性もあります。
けど、それでも紛れもなく彼は孫悟空の父です」
突然の事に混乱しているらしい悟空にリゼットはバーダックの事や、これまでに起きていた時の異変の事を話して聞かせた。
トワとミラという二人の魔族。彼等が行ってきた時の改変。
そして魔神ドミグラにタイムパトローラーとなったトランクス。時の界王神と時の巣。
それらを聞き終え、悟空は「なるほど」と呟く。
「悪い。正直なところ、色々複雑すぎてイマイチわかんねえ」
「……まあ、そうでしょうね」
「けど、とにかくドミグラって奴が悪い事だけは分かったぞ。
『時の巣』っちゅうんはどうやって行けばいいんだ?」
「いえ、それが……時間軸を越えた先にあるものなので、私の力でもそこまでは行けないんですよ」
「いいっ!? じゃ、じゃあどうすんだよ! オラ達何も出来ねえんか!?」
倒すべき敵は分かっている。場所も判明している。
だがそこへ行く方法だけがない。
その事にリゼットと悟空は途方に暮れ、空を見上げた。
このままでは本当に今回は出番なしで終わってしまう。
全時間の命運をかけた戦いなのだから参加してドミグラを倒したい気持ちはあるのだが、行けないものは行けないのだ。
「こ、困りましたね」
リゼットは頬をかき、どうしたものかと頭を悩ませた。
いかに彼女の転移でも時間までは越える事が出来ない。
つまり、現状において彼女達が最終決戦の場へ赴く事は不可能という事になってしまう。
「お困りのようですね?」
しかしそこに、待ってましたとばかりにウイスが現われる事で問題は解決した。
どうやら、何だかんだで状況をずっと見守っていたらしい。
何とも人の悪い事だ。
【戦闘力】
・リゼット:20億
アルティメット化:1兆
ゼノバース:4兆
・孫悟空:9億
超サイヤ人:450億
超サイヤ人2:900億
超サイヤ人3:3600億
疑似ゴッド:5400億
※神の力を上乗せした超サイヤ人。ビルス戦で見せたあれ。
初回に比べると大幅に弱体化している。
まだウイスの修行を受けていないのでゴッドにはなれない。
・ベジータ:8億
俺のブルマ:4800億
・バーダック:8億
アルティメット化:4000億
・セル:900億
パーフェクトセル:1800億
バーストリミット:3600億
・ピッコロ:100億
界王拳(最大30倍):3000億
・ターレス
基本戦闘力:7億5千万
超サイヤ人3:3000億
・孫悟飯:4億
超サイヤ人2:400億
・ゴテンクス:4億6800万
超サイヤ人:234億
※精神と時の部屋で修行していないので超3なし&原作より大幅弱体化
・フリーザ:1億2千万