ドラゴンボールad astra   作:マジカル☆さくやちゃんスター

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第九十六話 破壊神選抜格闘試合

「第6第7宇宙破壊神選抜格闘試合?」

 

 リゼットが首をかしげ、復唱する。

 その前でベジータと悟空が頷いた。

 リゼットの後ろではセルとピッコロ、ターレスも話を聞いており面白そうに口の端を歪めている。

 

 フリーザを再び地獄に落としてより数日が経過した。

 あの戦いで一番得をしたのはブルマであり、フリーザの宇宙船を無傷で得たことにより以前よりも進歩した宇宙の技術をカプセルコーポレーションが独占してしまったのだ。

 特に大きかったのが新型治療ポッドの存在で、これは欠損した部位ですら再生可能なほどの凄まじい治療効果を見込める。

 それにより地球の医療は一気に発展し、人類は遂にあらゆる怪我を克服する事に成功したのだ。

 勿論その恩恵は当然、フリーザを倒したセル――つまりは彼が滞在する神殿にも及び、地球製新型治療ポッドの第一号機が神殿へと配備され、旧型はカプセルコーポレーションへと返却された。

 これにより今までよりも一層荒い修行を行う事も可能となったわけだが、元々ピッコロとセル、リゼットの3人は自力で欠損部位を治す事が出来るのであまり変化はしなかった。

 そうして更に数日が経過したある日、ウイスの元で修行をしているはずの悟空とベジータが神殿へと現れたのであった。

 そして現れるなり、彼らが告げた内容こそが『第6第7宇宙破壊神選抜格闘試合』だ。

 何でも、第6宇宙の破壊神であるシャンパ(ビルスの双子で太ったビルスのような外見らしい)が地球の食べ物(カップラーメン)を大層気に入り、地球を欲したそうだ。

 だが第6宇宙の地球は過去に人類が馬鹿な争いをしたせいで滅亡してしまっており、地球人が残っていない。

 だが地球を諦めきれないシャンパはビルスに格闘試合を申し込み、勝ったら互いの宇宙の地球を取り換える事になってしまったのだ。

 つまり、仮にも地球の神であるリゼットに何の許可もなく勝手に景品にされてしまったわけである。

 

「こちらに何の得もないですね」

「勝ったら超ドラゴンボールっていうすんげえドラゴンボールで願いを叶える事が出来るらしいぜ」

「でも願いを叶えるのはビルス様でしょう。やはり私達には損しかありませんが」

「そう堅え事言うなよ。折角、他の宇宙の強え奴と闘れるんだぜ。ワクワクしねえか?」

 

 あまり乗り気ではないリゼットに、何とか納得させようと悟空が説得する。

 どうせやる以上、ベストメンバーで挑みたい。

 そしてその一人に、本人の同意もなくリゼットは強制的に組み込まれているのだ。

 これはビルスの決定であり、それを無視してしまえば悟空とベジータが怒られてしまう。

 本来、神は参加不可能なのだが神は神でも、リゼットは辺境の小さな惑星の神だ。

 それを参加させたいと言ったビルスの事をシャンパは鼻で哂い、『そんなのでいいなら許可してやるよ』と言ってしまったらしい。

 恐らくこれで一勝は頂きだ、とでも思ったのだろう。

 

「それにしても驚いたぞ、皆。オラとベジータはウイスさんの所で修行してよ、自分で言うのもなんだけど凄え強くなったと思ってる。けどお前達から感じる気も以前とは比べもんにならねえ」

「ふん、貴様だけが強くなっていくのは俺のプライドが許さんからな。そうそう引き離せると思うなよ」

 

 悟空の言葉にピッコロが答え、セルとターレスも同意したように笑う。

 第7宇宙のメンバー5人は今更探す必要もない。

 ここにいる6人……、即ち悟空、ベジータ、リゼット、セル、ターレス、ピッコロこそが疑いの余地もなく彼らの知る限りの第7宇宙最強の6人だ。

 つまり第7宇宙のメンバー選定は、この6人のうちの誰を外すかだけを決めればいい簡単な作業なのだ。

 

「悪いけどオラとベジータ、それに神様は固定だ。出ねえとビルス様に怒られちまう。

それにモナカとかいう宇宙で一番強い奴も出るらしいから、空き枠は一つだけだな」

「なるほど、つまり私かターレス、ピッコロの中から一人だけを選べばいいのだな」

 

 悟空の言葉にセルが頷き、それからピッコロとターレスを見る。

 そこに口を挟んだのはベジータだ。

 

「悟飯は? はっきり言って潜在能力ならあいつが一番だろう。ゴッドにすれば俺や貴様を超える可能性もあるぞ」

「いや、悟飯はいい。今のあいつには地球よりも守るべきもんがある。

やっと夢だった偉い学者への道を歩いてんだ。オラが邪魔するわけにゃいかねえよ」

「……ふん」

 

 悟飯を推薦したベジータだが、それを切り捨てたのは意外にも悟空であった。

 悟飯は幼少より偉い学者になる事を夢見ていたが、サイヤ人の襲来やナメック星への冒険、人造人間との闘いなどでなかなか夢に邁進する事が出来ずにいた。

 悟空もその事に責任を感じていたのだろう。

 昔の彼ならば何も思わなかったのかもしれないが、悟空だってもういい年齢(とし)だ。

 彼は彼なりに老成(せいちょう)しているのである。

 その言葉に誰も反論せず、ターレスがパン、と手を叩いた。

 ここで「サイヤ人はサイヤ人に相応しい生き方をしろ!」などと言わない辺り、彼もまた変わっているのかもしれない。

 

「なら決まりだ。セル、お前はこの前俺達をさしおいて楽しい思いをしただろう?

なら今回は俺かピッコロの番だ」

「ぬ……それを引き合いに出されると弱いな。だがドーピングは禁止なんだろう?

ならばターレス、お前こそ出場は出来んはずだが。過去に何度も神精樹を口にしているだろう」

「神精樹は薬物(ドーピング)じゃねえ、果物だ。引っかかりゃしねえよ。

第一それを言ったら、人造人間のお前なんか武器そのものじゃねえか」

 

 リゼットの持つ前世の知識の中においてターレスは度々『ドーピングサイヤ人』と比喩されてきたが、それは決して正しい表現ではない。

 何故ならドーピングとは運動能力の向上を目的とした薬物の調合、接種を意味するが神精樹はれっきとした果物なのだ。

 例えばブルーベリーは目の疲労回復効果がある事で知られ、アスリートなどが食べる事は決して珍しい事ではないし、勿論これはドーピングとは見なされない。

 神精樹はこれと同じようなものなのだ。

 要するに『そういう効果の果物』でしかなく、当然ドーピングには引っかからない。

 ターレスがそう言うと、セルは黙り込んでしまった。

 

「地球の神にドーピング疑惑、人造人間か……ルール違反スレスレの面子候補だな」

「なあに、それでも違反じゃねえさ」

 

 ベジータが険しい顔で言うが、ターレスは気にした様子もない。

 後はターレスかピッコロのどちらが出るかだ。

 戦力重視でターレスか、それともバランス重視でピッコロか。

 単純な戦力ならばターレスが勝るが、サイヤ人3人は流石にバランスが悪い。

 だがピッコロは戦闘力でターレスに一歩劣る。

 6人はしばらく話し合ったが、今回はターレスを選ぶことにした。

 やはりここは戦闘力重視だ。

 悟空もそれに納得したようで、「決まりだな」と呟く。

 次の試合に出る面子は悟空、ベジータ、リゼット、ターレス、そしてビルスが連れてくる宇宙最強の5人だ。

 

「それで、どうします? 今の精神と時の部屋ならば試合までの3日間で3年分の修行をこなせますが」

「いや、悪いけどオラは遠慮しておくよ。もうオラ達の強さはとっくに限界まで行っちまってる。

多分これ以上修行しても伸び代はほとんどねえだろう……そんなんで無理に修行したってそんなのは辛いだけで修行じゃねえ。

試合までの3日間はうんと休んで備えるさ。神様もそのつもりだろ?」

「ええ。私はもう十分に鍛えましたしね。部屋を使いたい方がいれば譲りますよ」

 

 悟空とリゼットは精神と時の部屋の使用を辞退し、他のメンバーへと譲る。

 だがベジータとターレスもあまり乗り気ではない。

 

「俺もいい。しばらくは身体を休めるさ」

「俺もパスだ。まだジジイにゃなりたくねえ。多分俺があそこに入ることはもうねえだろう」

「ならば私が使わせてもらおう。手慰みにタピオンとポポ、ついでにカリンでも鍛えておいてやる」

 

 結局試合に出場する5人は誰も精神と時の部屋を使わず、皮肉にも試合に出ないセルだけが部屋へと入ってしまった。

 災難なのは巻き込まれてしまったタピオン達か。

 未来の地球の為に今から彼らを鍛えるのは悪くないが、どちらかというとセル自身がスパーリングの相手として鍛えようとしているようにしか見えない。

 ともかく、試合まで3日間。彼らは思い思いの方法でそれまでを過ごす事となった。

 

 

 試合当日。

 悟空達は『キューブ』という宇宙間移動用の乗り物に乗り、第7宇宙と第6宇宙の中間に位置するという名もなき星へと向かっていた。

 キューブの中には試合に出場する5人とビルス、ウイスの他に観戦に来たブルマ達もいる。

 更にジャコと、彼が連れてきた銀河で二番目に偉いという銀河王までいるが、誰も銀河王には驚かなかった。

 まあ、今更銀河で二番目に偉いとか言われてもインパクト不足である。

 ブルマの助手であるタコの科学者に「タコですじゃ。うわへへ」と笑われて終わりであった。

 ちなみに一番偉いのは超銀河王というらしいが、この場には来ていない。

 まあ、宇宙で一番偉い破壊神様はといえば、バーベキューの肉を美味しそうに食べているので、あまり威厳がないのが問題ではあるが。

 というか脂っこいものは苦手とか言っていた気がするのだが、その辺はどうなったのだろうか。

 聞けばピザやカップラーメンを好んで食べているらしいし、実はそんなに拘りはないのかもしれない。

 

「脂っこいけど、このバーベキューっていうのも実に美味いね。

ただの焼いた肉だと思ったけど、タレが絶品だ。

後はこれで甘いデザートがあれば最高なんだけどなあ」

 

 そう言いながらビルスがチラチラとリゼットを見る。

 リゼットは肩をすくめると、仕方ないので亜空間を開いて今朝に人参化に買わせておいたデザートを取り寄せた。ビルスの動きなど予測済みである。

 皿に乗せたモンブランをビルスに渡すと、彼は嬉しそうにモンブランを貪る。

 とりあえず東西南北の都の中で最も美味いと評判のケーキ店のモンブランなので外れはまず有り得ないだろう。

 ウイスが物欲しそうにこちらを見ているのをしばらく無視してみたが、するとずっとこちらを凝視してきたので、仕方なくもう一つ出してウイスにもあげた。

 

「おいリゼット、もう一つだ!」

「もうないです」

「何!? 今ウイスに渡してたろ!」

「ですから、あれで最後です」

 

 リゼットが無情に答えるとビルスは射殺さんばかりの視線でウイスを睨み、そちらへとダッシュした。

 しかしウイスも奪われてなるものかと逃げ出し、キューブの中で宇宙最強の破壊神とその従者が走り回る。

 威厳とは一体何だったのか……。

 リゼットはそんな姿に呆れ、それから端の方にいる見覚えのない小柄な宇宙人を見る。

 肌に密着するタイプのボディスーツを着込み、無駄にでかい乳首を突起させた変な宇宙人だ。

 彼がビルスの言う所の『第7宇宙最強』なわけだが、何か妙だ。

 近くにいても気を全く感じず、かといって神の気というわけでもない。

 気を抑えてゼロにしているのかとも思ったがそれも違う。

 

(……まさか)

 

 リゼットは嫌な予感がして彼の心の中を覗いた。そして確信する。

 間違いない、彼は素人だ。格闘の経験など全くない!

 ただ悟空を奮起させるべく用意された偽りの強者であり、つまり完全な戦力外。

 つまりリゼット達はいきなり実質4人に減らされてしまったのだ。

 

「ちょっと、ビルス様」

「ん? 何だ? もしかしてモンブランのお代わりがあったか?」

「ないです。そんな事よりも、どういうおつもりですか。あんな素人を連れてくるなんて」

「……な、なんの事だか……」

「誤魔化さないで下さい」

 

 じっとビルスの目を見る。

 ビルスが目を背けたので手の上に皿ごとチョコレートケーキを出して無理やりこちらを向かせ、その上で彼にはまだ渡さない。

 素直に答えないと渡さないというポーズだ。

 それに対しビルスはしばらく悩んだが、やがて食欲に負けて舌打ちをした。

 

「ちっ……悟空達には言うなよ」

「ホホホ、悟空さん達を奮起させる為にただの素人さんを連れてきてしまったんですよね」

「ウイス!」

 

 ウイスがあっさりとバラした事実にリゼットは額を押さえ、ピッコロとセルがピクリと反応した。

 どうやら彼らにも聞こえたようだ。

 そしてリゼットが隙を見せた瞬間にビルスが猫のような俊敏な動作でチョコレートケーキを掠め取ってしまい、美味しそうに齧り付いている。

 本当、どうしてくれようか、この馬鹿猫様……。




~3日間の間にあった出来事~
ジャコ「ズノー様は何でも知っておられる。
しかし話を聞きたければズノー様の頬にキッスをしなければならないのだ」
ブルマ「ええ……超ドラゴンボールの情報を知る為とはいえそれは……」
リゼット「何で私までここに……」←ブルマに移動手段として連れて来られた
ズノー(よっしゃああ! 白の女神キタコレ!)ドキドキドキ……
リゼット「では失礼して……」
ズノー(よしこい、こい、こいこいこい……こいやああああ!)

・リゼットは亜空間から魔人ブウを召喚した!

リゼット「ブウ。ちょっと悪いんですけど、そこの顔の大きい人のほっぺたにキスしてもらっていいですか? 後でケーキあげますから」
ブウ「いいぞ」
ズノー「」
ブウ「……」ババババババッ←イケメンフェイスにチェンジ中
ブウ「さあ、チューしてやる!」
ズノー「」

ズノー「あァァァんまりだァァアァ!!」


【戦闘力】
※タピオンとポポ、カリン様だけ上昇。セルは3人を鍛えただけなので変化なし。

・タピオン:50億→75億

・Mr.ポポ:6億→9億
バーストポポ20倍:180億

・カリン様:7億→10億5000万
バーストカリン20倍:210億

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