MOMO TAROU 作:源治
第一話 誕生
昔々ある所に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ柴刈りに。
おばあさんが川に洗濯に行っていた時のことです。
山で柴刈りをしていたおじいさんは、ふと、胸騒ぎを感じました。
なのでおじいさんは、柴刈りを途中で切り上げ川に向かいました。
その途中、おじいさんは攻撃を受けました。
岩陰に潜んでいた五人の伏兵による、自動小銃による銃撃です。
おじいさんは地面に伏せながら、柴刈り用の鎌を投げました。
鎌は、伏兵の一人の首に深々と刺さります。
手応えを感じつつ、おじいさんは腰から熊対策として持っていた『S&W M500』という、凄く大きなリボルバー拳銃をとりだし、狙いを定め発砲。
それを見て、伏兵の一人が木の裏に隠れますが、発射された特注のタングステン弾の威力は凄まじく、弾は木を貫通して後ろに隠れていた伏兵を撃ち抜きます。
更におじいさんは、岩陰に逃げ込んだ相手に向けて目にもとまらぬ早撃ちで、三度発砲します。
凄まじい反動にもかかわらず、撃ち込まれた三発の銃弾は、全く同じ場所に着弾。
弾は三発目で岩を貫通し、隠れていた伏兵を撃ち抜きました。
これに慌てた生き残った伏兵二人は、すぐさま隠してあったジープに乗り込み、逃げ出します。
おじいさんはゆっくり立ち上がると、遠ざかってゆくジープに向けて、最後の弾丸である五発目を撃ちました。
弾はジープのシャーシを貫通、中の伏兵が持っていた手榴弾に着弾し爆発しました。
『S&W M500』は五発しか弾が装填出来ないので、弾はこれで全て撃ち尽した計算になります。
あくまで熊対策のものだったので、予備の弾丸はありません。
おじいさんは、弾の切れた『S&W M500』を捨て、伏兵が持っていた自動小銃と拳銃を回収して、川に向かって走ります。
伏兵を調べれば何かわかることはあったかもしれませんが、今は一刻でも時間がおしかったからです。
川に着くと、おばあさんが武装集団と交戦していました。
おじいさんはノータイムで、後ろから援護射撃します。
おばあさんはその隙を逃さず、特殊カーボンとチタンの複合装甲で作られた洗濯板で、武装集団の攻撃を防ぎつつ、後ろに格納してあったククリナイフで武装集団の一人の喉を切りつけます。
そうして、沢山いた武装集団はあっという間に全滅しました。
残党が居ないか確認し終えたおじいさんは、慌てておばあさんの元に駆け寄ります。
おばあさんは悲しそうな顔で、洗濯物が汚れてしまいました、とつぶやきました。
おじいさんはホッとした表情を浮かべます。
そして、手ぬぐいで返り血を浴びたおばあさんの顔を、拭いて上げました。
おばあさんはそれに身を任せ、少し気持ちよさそうな表情を浮かべました。
が、おばあさんは突然おじいさんを掴んで、地面に押さえつけます。
おじいさんは驚きましたが、おばあさんは洗濯板に搭載されていたギミックを作動させます。
小型のテントのような、ドーム状に展開された洗濯板の防壁。
更におばあさんは、おじいさんの上にのしかかり、抱きしめます。
その瞬間、B-2戦略ステルス爆撃機より投下された、特殊焼夷爆弾がおじいさん達の頭上で爆発しました。
河原一面が、一瞬にして炎に包まれます。
おじいさんは何が起きたのか、しばらく気がつけませんでした。
それは、おじいさんを見つめる、おばあさんの顔があまりに優しかったからかもしれません。
辺りは高温になり、ドームの中の温度も人が耐えられないものになっていきます。
おばあさんは、おじいさんを抱きかかえ、ドームから飛び出して川に飛び込みます。
飛び込んだ場所は浅く、おじいさんの上にのしかかるおばあさんの体は水の外です。
おばあさんの体を炎が襲いますが、おばあさんはじっと耐えます。
そして、自分の中にあるありったけの酸素を、口移しでおじいさんに届けました。
やがて炎が少しおさまり、おじいさんは立ち上がります。
塩化リチウムを含んだ、特殊焼夷爆弾の桃色の炎の中。
おじいさんは、変わり果てたおばあさんの亡骸を抱え、慟哭をあげました。
この日、ある所に住んでいたおじいさんとおばあさんは居なくなり。
桃色の炎を割って、一人の復讐者が誕生しました。
復讐者であるおじいさんは、歯を食いしばって空を見上げます。
B-2戦略ステルス爆撃機を保有するのは、ただ一国。
そう、犯人は米軍だったのです。