MOMO TAROU 作:源治
謎の子供の正体を聞き終えたおじいさんは、未開封の桃缶を少年に渡しました。
それをやるから、オーガ機関について知っていることを教えろと聞きます。
謎の子供は首を左右に振りました。
なぜなら、謎の子供も特に知っていることはなかったからです。
おじいさんは特に落胆もせずに、そうか、と返事をしました。
ならもうここには用はない、とっとと面倒ごとを片付けて次に行こう。
そして、おじいさんはふところから銃を取り出します。
全長33.5cm、重量4kg、口径454カスール、装弾数7発、使用弾 13mm爆裂徹甲弾。
そんな規格外の拳銃を片手で持って構え、発砲しました。
美女と謎の子供はその迫力と爆音に驚きます。
そしてなにより、発射された銃弾の着弾先に。
弾は、一人目の被害者である漁師Cの遺体に着弾して爆発しました。
美女と謎の子供は唖然とします。
しかしおじいさんは吹き飛んだ漁師Cの遺体を未だににらみつけています。
『やれやれ、ひどいことをする』
突然酒場に響いたその声は、なぜか吹き飛んだ漁師Cから聞こえてきます。
そして漁師Cの身体がむくりと起き上がり、吹き飛んだ部分の身体が一瞬にして再生しました。
そして漁師Cだった存在は、黒い肌の恐ろしい悪魔に変わりました。
なんと彼の正体は人に紛れて諍いを起こし、それによって失われた魂を集める悪魔だったのです。
うるさいゴキブリやろう。
おじいさんは間髪を容れずに、残った弾を悪魔に全て撃ち込みます。
しかし、悪魔は身体を吹き飛ばされるものの、すぐに再生してしまいました。
おじいさんは舌打ちをします。
手持ちの装備では殺しきれないと理解したからです。
悪魔はくくくと笑います。
たまたまエサ場にしていた島で、久しぶりに人間の魂にありつけ。
おまけに因縁のあるおじいさんに、復讐できるチャンスが訪れたからです。
下級といえど悪魔、生半可な装備ではどうにもできません。
おじいさんは、弾をリロードしながらめんどくさそうな顔をします。
そして、こう言いました。
おい、いい加減に起きろ。
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一人殺せば、一人救ったことになるのか。
その命は、よい命か?
五十年前のその日、地獄の門が開き、世界に終わりが訪れようとしていました。
迎え撃ったのは、若かりしころのおじいさん。
いつだってそのそばに付き従っていたおばあさん。
ぶつくさと文句を言いながらも、共に来てくれた犬。
そして……
なんだ、せっかく気持ちよく寝てったってのに。
カウンターで死亡していた酔っ払いが、むくりと立ち上がります。
酔っ払いは、おじいさんと同じくらいの年齢のおじいさんでした。
ですが、くぼんだその目は深い絶望と凄みがあります。
酔っ払いは頭を振りながら、近くにあったワインを手に取りラッパ飲みをします。
そしてチラリと悪魔のほうに目をやりました。
悪魔が目に見えて動揺します。
なぜなら、その酔っ払いの男に見覚えがあったからです。
その男は、死んだ息子が地獄ではなく天国に送られるよう天と取引した父親。
その引き替えに何十年も神の代理人として戦い続けている修道士。
数々の名のある悪魔を祓い続けた、悪魔にとって恐るべきエクソシスト。
そしてキージ礼拝堂に所蔵されているベルニーニの彫刻「ハバククと天使」。
かつて神に捧げるその彫刻を守る為に、数百の悪魔を一夜で葬り去った聖騎士。
その功績から自らも、キージ、と名乗ることを許された、伝説の司祭だったからです。
なんだか色々な立場や肩書きがごっちゃになってる気がしますが、気にしてはいけません。
ああ、なんか気配がするから張ってたんだが、ようやく姿を現しやがったか。
キージの両の手に、黄金のグレネードランチャーが現れます。
それは『ダネルMGL』と呼ばれる装弾数6発の連射可能な擲弾発射機に似ていました。
しかし、その見た目はあまりにも神々しく、どう見ても神の加護を受けています。
悪魔は慌てて逃げだそうとしました、相手がやばすぎます。
しかし逃げるには既に遅すぎました。
キージの背中から純白ではなく、物語の都合上の演出でキジの羽が現れます。
そして聖なるグレネードランチャーを構え、逃げる悪魔に向けて撃ちます。
発射された弾は空中で破裂し、中から聖水に浸した純銀製のニードルが何十本も現れました。
12発全て発射されたため、そのニードルの数は百を超えます。
悪魔は逃げること叶わず、一瞬にして数百の杭により磔にされます。
そして恐ろしい断末魔の叫びをあげて、崩れるように溶けて消えてしまいました。
キージは悪魔の最期を確認して、そこでようやくおじいさんに気がつきました。
おじいさんはニヒルな笑みを浮かべて、挨拶をします。
そして、ちょっと一緒に来て欲しい場所があるんだ。と、言いました。
キージはなにがなんだかわかりませんでしたが、それはいつものことなのでこう返事をしました。
取りあえず一杯奢れ。
その言葉におじいさんは、もう奢ったよ、と笑みを浮かべます。
こうして、おじいさんの復讐の旅に、心強い味方が加わりました。
そう、おじいさんの復讐の旅は、次のステージに進もうとしていたのです。
MOMO TAROU 雉編(シーズン2) 完