MOMO TAROU 作:源治
第十一話 猿の王
キングコングです。
なにがと聞かれれば、おじいさんの最後の仲間です。
キングコングです、ゴリラの王です。
最強のほ乳類です、サイズ的に鯨でも絞め殺します。
全長は40から50フィート(12.2から15.2メートル)
監督によっては髑髏島では5.5メートル、ニューヨークでは7.3メートルに調整されます。
ゴジラ対キングコングでは45メートルくらいになったりします。
マジパナイです。
女性に優しい、身体が大きい強き紳士のことをキングコング。
そう呼ぶこともあると、私は勝手に思っています。
そのキングコングですが、現在はニューヨークの路上でホットドッグを売っていました。
おい王様、ちょっとホットドッグ買ってこいよ。ってパシられるレベルを超えています。
売ってます、路上で。
しかもそこそこ売れてます、他よりサイズが大きいからです。
ラシャイマセー、ラッシャイマセー。
一つ頼む。
と、おじいさんは猿(※ゴリラだけど以後猿と記載)に注文しました。
猿は手早くパンに熱々のウインナーをのせて、たっぷりとケチャップとマスタードをかけました。
そして〆といわんばかりに、ピクルスとサワークラフトをモリモリとのせます。
おじいさんは一ドルはらって、ホットドッグを受け取ります。
そこそこ大きなホットドッグでしたが、おじいさんは二口で平らげてしまいました。
がぶり、もきゅもきゅしてから、ゴクンという流れ二回です。
どうだい、調子は?
おじいさんがそう聞くと、猿はニカッとした笑みを浮かべ答えます。
「悪くないッスネ」
人なつっこい上に、なんだか安心するチャライ声でした。
ちなみに猿の身長は二メートルほど。
人としては大きいですが、ゴリラとしてはチビなサイズです。
それゆえ、周りの人間からはちょっと毛深くて身体の大きなホットドッグ売ってるにいちゃんにしか思われていませんでした。
看板にも『キングコングのホットドッグ』と書かれているので、違和感ゼロです。
なにに対する違和感なのかは、よくわからないので流してください。
それはよかった、ところで今はどこに住んでるんだ?
おじいさんが続けて聞きます。
猿は店じまいの準備をしながら返事をします。
「そりゃモチロン、エンパイア・ステート・ビルの屋上ッスよぉ↑」
割と嘘か本当か判断に困る答えでした。
でもおじいさんが珍しくゲラゲラと膝を叩きながら笑っていることから、恐らくジョークだというのが察せられます。
猿もジョークが受けてうれしいのか、ニッコニコです。
「いいピーチカクテル出すバーがあるんすけど、行かないッスか?」
店じまいが終わって、猿は指を立てて器用にウインクしながらおじいさんを誘います。
おじいさんは、孫を見るような優しい表情を浮かべました。
ああ、是非。色々と話したいこともある、色々な。
少し寂しげなおじいさんの空気を、猿は感じ取ります。
でも、そんな空気を吹き飛ばすような笑顔で言いました。
「へへへ、あれ聞かせてくださいよ。ほら、父ちゃんとタイマン張って女とりあった話とか!!」
おじいさんは、ああ、いいぞ。お前の親父の拳骨と石頭の堅さに関してなら、論文かけるくらい色々話すことがある。と、言って、猿と肩を組んで歩き出しました。
そう、猿はキングコング、そのJr(ジュニア)だったのです。