MOMO TAROU   作:源治

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第十四話 大決戦の時

 

おじいさんは猿の口に桃缶を突っ込んだ後。

組織の頭目らしき男の口にも桃缶を突っ込みました。

 

二人は『んほぉおおおおお!!』と、汚い声を上げて覚醒します。

勿論ダブルピースも忘れていません。

 

おじいさんはの頭目の額に、やさしくデコピンを一発くらわして落ち着かせます。

 

頭目はもう一度サンズリバーに行きかけましたが、ギリギリのところで堪えます。

そして忌々しそうな目つきでおじいさんをにらみつけました。

 

やはり貴様か……と、頭目は呟きます。

おじいさんはそれには答えず、ズバリ聞きました。

 

ばあさんの魂はどこだ?

 

魔都ニューヨークは、誕生したときから幽霊が街を行き交うような霊的都市です。

それは世界最大の心霊スポットを意味し、世界のあらゆる魔術結社はこの街に集結しました。

 

なぜなら、この街では上質な霊的エネルギーである魂の確保が容易だからです。

 

それはつまり、ニューヨークの魔術結社は、魂の扱いにおいては世界最高峰を意味します。

おばあさんの魂をどさくさに紛れて猫ばばできるとしたら、この街の誰かしかいません。

 

それがわかっていたおじいさんは、片っ端から魔術結社を襲撃し。

そしてついに、この魔術結社がそれに一枚噛んでいるという情報を手に入れました。

 

おじいさんの問いかけに、頭目は冷や汗をガロン単位で流します。

 

が、頭目としての意地なのか、それとも他の何かがあったのか。

キッとおじいさんをにらみ返してそれに答えました。

 

オーガ機関に売った。

 

おじいさんの表情が険しくなります。

その様子に失禁しかけた頭目は、聞いていない情報まで早口で語り出しました。

 

だ、だがそれは他の魂も同様だ、オーガ機関は何年も前からこの街の魔術結社全てから魂を買いあさり、時に奪いさった。この街の魔術結社はもう全て骨抜きだ。だが、仕方なかった、やつらには勝てない、それが時代の流れだ……仲間を守るためにはそれしかなくて……仕方なかったんだ。

 

頭目の涙ながらの苦悩を聞き流しながら、おじいさんは考えます。

猿はずっとダブルピース状態だったので、桃缶を投げて黙らせます。

 

確かに、生体兵器開発などを行っているオーガ機関ならば、生物を構築するための最後のパーツである魂や技術の確保に行き着くのは自然な流れ。

 

ですが、ならその集めた魂をもって何をするのかが問題です。

ニューヨーク中、そしてそこに集まる世界中の魂。

 

それを使って、やつらは何を創り出そうというのか。

 

おじいさんですら嫌な予感が頭をよぎります。

やさしい猿は、頭目の愚痴を聞いてあげてました。

 

「大変だったんすね……俺も実は七徹目でつらくて……」

 

二人はオイオイと涙ながらに慰め合います。

おじいさんは、お前のオヤジは十四徹まで頑張った、七徹くらいでめそめそするな。

と、猿を叱りつけました。

 

が、その瞬間。

 

ビルを大きな震動が襲います。

いえ、それはビルだけでは有りません。

 

街全体です、そしてそれはマンハッタン島そのものが揺れているということ。

 

慌てふためく頭目と猿を横目に、おじいさんはテレビをつけます。

すると、ニューヨーク付近のアッパー湾を歩く、巨大ななにかが映し出されていました。

 

そしてそのなにかの口から、白い光線が放射されます。

 

光線はバッテリーパーク(マンハッタン島にある公園)に着弾。

そして大爆発を起こします。

 

揺れの正体はこれでした。

 

テレビキャスターが必死に島から逃げるように伝え続けています。

そして、その迫り来るなにかの名前を何度も口にします。

 

GODZILLA! GODZILLA!

 

……そう、ゴジラです。

迫り来る正体不明の巨大な怪物の正体は、ゴジラだったのです。

 

そして、それこそがオーガ機関が魂を買いあさり創り出した、人類殲滅のための生物兵器だというのはタイミング的に明らか。

 

その事に気がついた頭目は叫びます。

 

なんてことだ、私たちは私たちを滅ぼすために魂を売ってしまったのか、と。

オーガ機関はこの愛すべきマンハッタン島を、そしてニューヨークを滅ぼすつもりだったのかと。

 

ですが、これまで数々の困難に見舞われてきたニューヨーク。

そう簡単にはやられません。

 

まず自由の女神がロボットに変形して、ゴジラに攻撃を仕掛けます。

 

さらに、空母打撃群からも戦闘機が発艦し、援護を開始します。

が、善戦虚しくその全てが破壊されてしまいました。

 

ゴジラには現代の科学力では太刀打ちできません。

 

その様子をテレビ越しに、そして生で見ていたニューヨーク市民の目から光が失われてゆきます。

 

誰の目にも諦めが浮かんでいました。

そしてそれは猿や頭目も同様です。

 

もう……おしまいだ。

誰もがそう呟きました。

 

ですが、たった一人。

強き光を宿す人間が存在します。

 

そう、おじいさんです。

 

おじいさんは猿に言いました。

ちょっと近所にお使いを頼むような気軽さで。

 

おい猿、お前のオヤジの代わりに、ちょっとあのハ虫類しばいてこい。

 

ええ、だってそれは当然です。

何故なら猿は、いえ、先代のキングコングは。

 

ニューヨークの守護者だったからです。

 

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