MOMO TAROU   作:源治

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シーズン4(ファイナル)
第十六話 破城槌


 

空中要塞島『鬼ヶ島』

 

そのはっきりと目に見える脅威に対し、まずは米軍が攻撃を仕掛けました。

アメリカの希望を背負った航空兵器が次々に飛び立ちます。

 

が、鬼ヶ島に張り巡らされた対空兵器と電磁っぽいバリアの前では無力。

攻撃開始二日目で、米軍の航空戦力は半減してしまいます。

 

しかもその特殊なバリアには、核攻撃ですら通用しませんでした。

おそらくインデペンデンス・デイに攻めてきたエイリアンの宇宙船技術が使われています。

 

この未曾有の危機を前に、世界は一つにまとまり……ませんでした。

 

さすが人類、この程度でまとまるならとっくの昔にまとまっています。

闘争こそが人類の本能。

 

なので、各国個別に鬼ヶ島に攻撃を仕掛けます。

 

が、そのすべてはあっさりと撃退されてしまいました。

しかも恐ろしい兵器で反撃され、各国の首都を吹っ飛ばされました。

 

その兵器とは、鬼ヶ島に搭載された超高出力レーザー砲である『バベルの光』。

超高高度軌道に浮かぶ衛星(しもべの星)を使って撃ち出されたレーザーを反射し、世界中どこでも攻撃可能な『世界をひれ伏させる神の光』もしくは『世界を滅ぼす悪魔の光』です。

 

『バベルの光』に狙われれば、地球上のどこにも逃げ場はありません。

その力を前に、ようやく世界各国は協力し合うことにしました。

 

急遽京都で開催されたサミットで、一つの作戦が立案されます。

その作戦とは、世界最高のエージェントを集結させて、鬼ヶ島を内部から破壊するというもの。

 

まずバリアの突破無理だろ……。

という冷静な意見もありましたが、それは後で考えることになりました。

 

そして集められたのは以下のメンバー。

 

 

イギリスからは、英国諜報部の特務機関員、ダブルオーのナンバーを持つ男。

冷戦より前から、世界を飛び回り、過去全ての権力者の秘密を握る男。

女王陛下の僕にして伝説のスパイの名を冠する男。

天然由来の成分、多分遺伝子組み換え一切無しの、無農薬ナチュラル凝縮ワーウルフな狼男。

カンザス州のフォート・ウォルトン、聖マイケル教会に潜伏していたところをおじいさんのタレこみで確保されて連れて来られた男。

そして最近娘にラインを送っても二回に一回は既読スルーされる男。

 

そう、犬です。

 

 

バチカンからは、死んだ息子が地獄ではなく天国に送られるよう天と取引した父親。

その引き替えに何十年も神の代理人として戦い続けている修道士。

数々の名のある悪魔を祓い続けた、悪魔にとって恐るべきエクソシスト。

そしてキージ礼拝堂に所蔵されているベルニーニの彫刻「ハバククと天使」。

かつて神に捧げるその彫刻を守る為に、数百の悪魔を一夜で葬り去った聖騎士。

その功績から自らも、キージ、と名乗ることを許された、伝説の司祭。

最近腰痛に悩まされつつも、日課であるミカエルの鼻を折ることは欠かさない勤勉な男。

 

そう、雉です。

 

 

そしてアメリカからは、もはや説明不要。

ありとあらゆる厄災からニューヨークを守り続けた伝説の守護者の後継。

実績はあんまりないけれど、親の地盤を継いで支持率は常にMAXなボンボン。

正直あんまりスポーツ得意じゃないけど、体力はあるのでなんとかなるとみせかけて、最高は十徹が限界なゴリラ。

だけど真実はホットドッグ売りにして、医者志望、そして父親の跡を継ぐかどうかこの前まで悩んでいた男。

なにより、最近付き合い始めたゴジラがちょっとヤンデレっぽいことに気がついた王。

 

そう、猿です。

 

 

そしてそれらをまとめるのは、混乱のどさくさに紛れて世界各国の指導者を物理で従わせ。

さらに反逆されないように一人一人丁寧に桃缶(きびだんご)を食べさせて忠実な協力者(傀儡)にするというアフターケアもバッチリ。

もはや名実ともに世界の頂点に立った、桃太郎(ラスボス)。

しかして、そもそもその実体は未だ謎に包まれまくっている主人公。

 

そう、おじいさんです。

 

 

これぞまさにドリームメンバーと言えるでしょう。

なにより彼ら(大半除く)は、鬼ヶ島の攻略に対してノリノリでした。

 

ノリノリじゃないのは、犬と雉と猿だけです。

ですがおじいさんがノリノリな時点で、もはやチームでノリノリなのは間違いありません。

 

集結するまでに色々ありましたが、彼らが集まり、いよいよ最終決戦のメンバーがそろいました。

 

なので先送りにしてきた問題に向き合わないといけません。

そう、鬼ヶ島のバリアーをどう突破するかです。

 

あらゆる意味で基準が違う別文明のコンピューターに効くようなコンピューターウィルスを短期間で作り、しかも母船に潜入して撃ち込み、バリアを無力化して、ついでにキチッと母船を破壊してくれるような超ヤバイ科学者は不在なので、その正攻法は使えません。

 

そんな立ちはだかる難題に、世界各国の首脳とおじいさんたちがウンウン唸っていたときです。

 

愛しのダーリンにお昼ご飯を届けに来たゴジラが、メイド服姿で会議室にやって来ました。

それを見て、おじいさんに名案が浮かびます。

 

古今東西、敵から鹵獲したユニットで、敵を打ち破るのは約束された勝利の方程式。

 

そう……ゴジラこそが、鬼ヶ島のバリアを破る破城槌だったのです。

 

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