MOMO TAROU   作:源治

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第三話 人の業

 

数日後、ネイビーシールズ(アメリカ海軍の特殊部隊)と供に、海中からザ・ロックに潜入したおじいさんたちは、ピンチになっていました。

 

潜入する前に(女王陛下の)犬が逃げ出して、おじいさんやFBIと街のど真ん中でカーチェイスして追いかけるも逃げられたり。

犬が逃げ出してまで会いたかった、若い頃に出会った恋人との間にできた娘と話しているところを、警官隊が包囲したり。

それをおじいさんが機転をきかせて、警察に協力してくれてるお父さんは立派だよと、犬の娘に説明してくれたりと色々ありましたが。

 

とりあえず、どったんばったんすったもんだの末、使われていない排水溝から、おじいさんたちとネイビーシールズは無事に施設への潜入に成功しました。

 

ですが、施設に張り巡らされたハイテクの侵入振動監視装置などで潜入を察知され、敵の待ち伏せに遭い、おじいさんと犬以外は全滅してしまったのです。

 

隙あらば逃げようとする犬ですが、犬がロックから脱獄して、泳いで逃げ切ったのはすでに何十年も前です。

犬は腹を決めて、おじいさんと施設の探索をしていたのですが、お互い潜入破壊工作のレベルが高すぎたせいか、息をするように歩きながら施設を破壊していたら、何だか施設の破壊してはいけない場所を破壊してしまったようなのです。

 

破壊された場所は、なにやら特殊なウィルスの開発を行っていたようで、それが漏れ出した結果、島はあっという間にそのウィルスで汚染されてしまいます。

 

つまり、気がつけば島中ゾンビだらけになっていました。

 

なんということでしょう。

オーガ機関はバイオ兵器の開発を行っていたのです。

 

おじいさんたちは、一先ず救助のヘリを呼ぼうと、地下から地上施設の屋上を目指すことにしました。

しかし、恐ろしいゾンビの群がその行く手を阻みます。

 

もっとも、走ったり銃を撃てないゾンビ程度では、おじいさんたちにとって脅威ではありません。

おじいさんと犬は、頭5点、胴3点、手足1点、ハゲ100点な、というルールでどっちが沢山倒せるか競争出来るくらいは余裕がありました。

 

ですが、開発中だったと思われる、戦闘能力の高い人型の化け物たちが、突如立ちはだかります。

 

中でも太くて長い両腕に鋭い爪を備え、恐ろしい速度で迫りながら、KUBIKARIIIII!!、TORAUMAAAAA!!等と、叫びながら襲ってくる化け物たちは手強く、さすがの犬もハンドガンからショットガンに持ち替えたほどです。

 

おじいさんも頑張ってナイフ縛りで戦いました。

 

点数を数えるのをめんどくさくなって、止める程度には苦戦しましたが、なんとかもうすぐ屋上という所まで、おじいさんたちはたどり着きます。

ですがそのとき、おじいさんたちの前に、完成形と思われる人型生物兵器が立ちふさがりました。

 

二メートル半を超える身長、全身隆起した異常な量の筋肉、硬質で灰色の肌、両手には一本一本がマチェット(山刀)程もある、鋭く太い爪、そして何の感情も抱いていないかのような、無機質な目。

 

どう見てもラスボスです。

 

犬が目にもとまらぬ速度で、ショットガンの弾を全弾撃ち込みましたが、人型生物兵器は全く応えた様子がありません。

その硬質化した肌には、12ゲージ程度のショットシェルでは効果が無いようです。

 

犬はうんざりした顔でいいました。

人間の業だな、自分たちを焼き尽くすと知らずに火をつける、贖罪の炎いらずだよ、と。

 

おじいさんはいいました。

天国の門を目指してるのさ、あそこには死ななきゃいけないからな、と。

 

瞬間、人型生物兵器が襲いかかってきます。

おじいさんたちは辛うじて攻撃をかわしましたが、人型生物兵器の戦闘能力は高く、かわして逃げることが精一杯です。

 

犬がいいました、ここは任せて屋上に行け、と。

 

おじいさんは少し悩んでから

死ぬなよ、天国の門は俺たちには似合わない、と、犬にいって駆け出しました。

 

犬はニヤリと笑いました。

自然に、もう随分長いこと浮かべていなかった、笑みを浮かべました。

 

そして、犬は力を解放します。

 

身長が伸び、筋肉が隆起し、牙が生え変わり、瞳は鋭く、鼻が長くなります。

そして犬の体は、銀色の毛で覆いつくされました。

 

そう、犬はワーウルフ(狼男)だったのです。

 

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