儚き恋に喝采を   作:Slurve

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小説書き始めて思いましたが、楽しいですね。
それでは本編をどうぞ!



各々

私が初めて彼を見た時、確信した。名前までは分からなかったが、あの瞳は本物だっただろう。早速声をかけてみたが、正直いつでも見に来てくれればいい。今はあの状態だが、いつか蘇らせてみせる。彼の「演じる」ことへの思いを。

 

 

 

 

 

 

「さて、どうしたもんかな。」

俺は盛大にため息をついた。俺が元子役であることを知っているやつがいるとはな。まあ小学校低学年までは学校中に知られていたが、小3の時に転校したからな。当時の俺を知る奴はいないと思っていた。だが、演劇部である瀬田薫に知られてしまった。彼女は口外しないと言ってくれたが、まだ安心はできない。彼女の気に障ることとかを言ってしまえば、口外される可能性もある。………一応注意しておくか。

「純也、さっき瀬田さんと何話してたんだ?」

「あぁ、なんか演劇部に見学に来ないかって言われてさ。」

「ふーん。それで?行くの?」

「まあ、見るだけならな。あ、俺が演劇部に入るとかそういうことはないからな?」

「わーってるよ。このことは誰にも言わないからさ。息抜き程度に行くってのもアリだと思うぜ。」

「そうだな。」

そう言い、俺と祐樹は別れた。でも色々と面倒だ。よりによって演劇部かよ…でも誘われて行かないってのも悪いし、さっさと行って終わらせるか。今日は無理だから、明日行ってみよう。……にしても引っかかるな。瀬田薫、どこかで見たことがあると思うんだが気のせいか?帰ってちょっと調べてみるか。

 

 

 

 

 

 

[…この辺じゃ有名人だな。」

羽丘は言わずもがな、花咲川でも有名人だな。瀬田ってひょっとしてすごい人なんじゃないか?道理でクラスでもあんなに人気なんだな。でもなんか違う。瀬田薫がこの辺で有名人だからというわけではなく、もっと昔に聞いたことのある名前だったんだが。うーん。悩んでも仕方がない。…寝るか。そして俺はいつもより早い眠りについた。

 

 

 

 

 

 

「もしもし、千聖かい?」

「はぁ、何よ薫。私仕事終わりだから疲れているのだけれど。要件があるなら手短にね。」

「あぁ、分かったよ。じゃあ率直に言うが、…君が昔から言っている黛君。覚えているだろう?」

「もちろんよ、彼は凄かったものね。今は何をしているのか分からないけど。」

「その彼なんだが、今日から1年、同じクラスメイトとして過ごしていくことになってね。私も正直驚いたよ。」

「嘘でしょ?黛純也君よ?彼は羽丘に通っていたのね。」

「こんなチャンスは二度とないよ。私が演劇部に入部させてみせるよ。」

そう言い、私は電話を切った。やはり間違いない。彼は昔、私たちと会ったことがある。昔の彼は本当にすごかった。女優の千聖が賞賛するんだからな尚更だ。運命というのは時に粋な計らいというものをしてくれる。明日が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

「えへへ~今年も純也君と同じクラスだ~。」

今日からまた学校というのもあり、多少体が疲れているが、彼のことを思うと明日も頑張ろうって思える。去年は彼に色々助けてもらったしなあ。自慢じゃないんだけど、私って一度見たものは何でもできてしまって、友達と喧嘩してしまうこともたまにあったんだよね。でも彼はそんな私をいつも助けてくれた。おかげで今ではみんなと仲良くやっていけてる。いつかお礼をしないとなあ。

「日菜、早く寝なさい。」

「わかったよお姉ちゃん。」

明日からまた楽しみだな。

 

 

 

 

 

 

「な、なんでだ。」

いつも通りの朝のはずだった。軽い食事を済ませ、家を出たら、瀬田とばったり会ってしまった。そして今、彼女と一緒に登校している。周りからの視線が痛い。

「やあ子猫ちゃんたち、おはよう。」

歓声が上がる。そしてさらに視線が集まる。はあ、早く学校に着いてほしい。すると、瀬田が話しかけてきた。

「少しいいかい?」

「…何?」

少し不機嫌そうに答えた。こうすれば多少は対応を変えてくれるだろう。正直あまり関わりたくない。一緒にいるだけで疲れてしまう。

「…こういうことを聞くのは変だが、黛君は私といることに抵抗を感じているかい?」

「まあ、多少はな。」

意外な質問だった。なぜそんなことを聞くんだ?

「フフッ、そうかい。私は「演じる」ことが好きでね。昔からこんな感じなのさ。」

口調こそは明るかったが、目はどこか寂しげだった。過去になにかあったのだろうか。あえて言及しなかった。聞かれたくないこともあるのだろう。しかし、このまま学校に行くのもなんだか気まずい。演劇部について聞いてみた。

「そういえば、今日は演劇部の練習あるの?」

「もちろんさ。もしかして来てくれるのかい?」

「まあ暇だしな。」

そういうと彼女はさっきの表情とは一転、明るい笑顔になった。ああ、眩しい。

「じゃあ、16時からあるから。私と一緒に行こうか。」

まじか。場所さえ言ってくれれば一人で行けるのに。まあいいか。気づけばもう学校に着いていた。教室に入るなり、瀬田は女子に、俺は男子に囲まれた。瀬田は楽しげに話しているが、俺は昨日と同様、尋問が行われた。地獄だろこんなの。それが終わると、一人の女子に話しかけられた。

「やっほ~純也、おはよう。」

「リサ?なんでお前がここに?」

「え~それひどくない?私もこのクラスの一員だよ?まあ昨日は体調崩して来れなかったからわからなかったのも仕方ないか。今年もよろしくね!」

こいつは今井リサ。小学校の頃からの付き合いでよく話す数少ない女友達だ。去年も俺と同じクラスで、日菜と同様、扱いが少々疲れる。まあまだリサの方がましか。そんなことを思っていると、授業開始のチャイムが鳴った。今日からまた、長い一日が始まるのだった。




いかがだったでしょうか。楽しんでいただけたら幸いです。ここから主人公の本音をどんどん出していこうかと思います。
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