儚き恋に喝采を   作:Slurve

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今気づいたけど黛と薫って字が似てますね
それでは本編をどうぞ!


変化

 突然の出来事だった。何故ならあの純也が演劇部に入れてほしいと言ってきたからだ。しかし私の心はどこかモヤモヤしていた。許したといえど、あんなにも酷いことを言ってきた人を入部させることに違和感を感じていたからだ。仮に入部させたとしても彼に何が出来るのだろうか。恐らく実力は私以上だろう。しかしそれ以前に、これから先、もしもあのようなことをまた言われたらと考えると、恐怖しか感じない。だから、

「すまない、もう少し考えさせてくれ。」

そう返すしかなかった。

 

 

 

 

 

 

「しかし、俺が入部したところで何ができるんだろうか。」

 瀬田を支えていくと誓ったとはいえ、具体的に何をすればいいのだろうか。そこまでは考えていなかった。結果的には保留ということになったが、もし入部したとなると周りに迷惑はかけられない。…最悪役として出るかもしれないな。あまり悩んでも仕方がない。今日は夜更かししよう。なにかと最近は早めに寝すぎだ。今日ぐらいは大丈夫だろう。そして俺はスマホに手を伸ばし、夜通し歌を聴き続けた。

 

 

 

 

 

 

「やべえ!」

 澄みきった青空。そんな中で俺は絶望していた。今日は現代文の小テストの日だった。俺の最も苦手としている教科だ。筆者の最も伝えたいことは何ですかとかさらさら興味がない。考えるだけ無駄だろ。テストで赤点を取るほどではないが、小テストごときで追試を受けるのだけは勘弁だ。猛ダッシュで学校まで走り、授業が始まるまで死ぬ気で勉強したーーー。

-不合格-

 放課後に渡されたプリント。無情なる現実。必死に勉強したにも関わらず、あと1点を取れなかったせいで追試。担任には教室で待機しておくようにと言われたが、いつまで経っても来ない。職員室に行こうと席を立つと、同じタイミングで誰かが入ってきた。

「おや、純也じゃないか。君もかい?」

「瀬田も追試か。」

「そうさ。そういえば先生は会議で来れないから終わったら職員室の机に置いておくようにと言っていたよ。」

「そうか。プリント持ってきてくれたのか。すまなかったな。」

「いいさこれぐらい。」

そう言い瀬田は俺の隣に座った。今気づいたけど瀬田ってほんと美人だな。オーラが違う。見とれてしまいそうだ。

「そういや瀬田は現代文はどれくらいできるんだ?」

「い、いや。全くできないというわけじゃないのさ。今回は凡ミスが多かっただけで…。」

すると彼女の手からプリントが落ちた。授業で使用した小テストのプリントだ。そこには2という数字。15点中2点ということを表している。

「なにが凡ミスだ。間違えすぎじゃねえか。瀬田は現代文が苦手なのか。」

「フフッ、純也には全てお見通しということだね。君には敵わないよ。」

「いや、誰が見てもそう思うだろ。合ってるとこ記号だけじゃねえか。これ勘で書いたろ?」

「…すまないね。」

「ったく、仕方ねえな。俺はあと1点で合格だったんだけどな。俺が教えれる範囲なら教えるぞ?」

「うぇ!?」

いや、そんなに驚くことじゃないだろ。でも教えるならちゃんと理解してもらわないとな。自分のが優先だけど。

ーーーーーーーーーーーーー

 ふう、やっと終わった。先生がいなかったからちょっとは楽だったけどその分内容が難しすぎる。そういや瀬田は何も言ってこなかったが一人で解けたのか?隣を見ると幸せそうな顔で寝ている瀬田の顔があった。…可愛い。普段は凛々しいが、今は子供のような感じだった。いかんいかん。まだ時間は大丈夫だが、一人で寝させるのは気が引ける。…起こすか。

「おい瀬田、起きろ。」

「んん…」

「…お前全然終わってねえじゃねえか。」

彼女はまだ夢の中だ。このままだと帰る頃には真っ暗になってしまう。実力行使といくか。俺は瀬田の脇腹をつついた。

「ひゃうん!?」

物凄い勢いで起きた瀬田は、真っ赤な顔で俺を睨みつけてきた。

「…私の寝顔見たのかい?」

「ああ、バッチリとな。可愛かったぞ?」

そう言うと、さらに顔を真っ赤にした。

「もういい!早く教えてくれ。このままだと君も帰れないよ。」

目つきがマジだったので、仕方なく付き合うことにした。言いだしたのは俺だから。仕方ないが。30分ほどで終えた。幸いまだ周りは明るい。余裕をもって帰れそうだ。すると、

「純也。まだ明るいし、どこかに寄らないかい?今日は世話になったからね。礼をさせてくれ。」

別にいいのに。礼をされるようなことをした覚えはない。…そういやさっきはからかいすぎて申し訳なかったな。ここは乗っておくか。

「そうか。ありがとう。どこに行くんだ?」

「そうだね。近くにいい店があるんだ。そこに寄ろう。」

「分かった。じゃあさっさと行くぞ。」

そう言い、俺は瀬田の手を引っ張った。

「…全く。」

そんな彼女は笑顔だった。

 

 

 

 

 

 

 ここに来るのは何度目だろうか。リサに相談に乗ってもらうときはいつもここだったな。空いた席に移動し、コーヒーを頼んだ。

「私もコーヒーで頼むよ。」

なんだかこの感じ、カップルみたいだ。別に俺は瀬田に恋愛感情は抱いていない。だが、他の女子より抱いている感情が違うのは明白だった。俺は冗談で、

「なんだか俺たちカップルみたいだな。」

と言った。もちろん冗談だ。しかし瀬田は、

「わ、私たちが恋人!?そんなわけないだろう!」

今日何度目かの赤面でそう言ってきた。冗談のつもりだったんだがな。

そこから俺たちは色々話した。主に勉強のことだ。瀬田は、国語系の教科はさっぱりらしい。俺もだ。周りも暗くなってきて、帰ることにした。

「そういえばお互い連絡先を交換していなかったね。」

瀬田は小さい紙を渡してきた。帰って登録しておくか。

「ありがと。帰ったらしとくよ。」

「じゃあ私はこれで。」

「家まで送っていくぞ?暗いし危ないだろ。」

「…ああ、頼むよ。」

何故か帰り道は二人とも黙ったままだった。

 

 

 

 

 

 

 家に帰り着いた私は、最近の気持ちの変化を考えていた。今までに抱いたことのない感情。これは何なのだろう。すると、スマホの通知音が鳴った。彼からだった。

「今日はありがとな。現代文ちゃんと勉強しとけよ?」

余計なお世話だ。

「ああ、勉強しとくよ。今日はありがとう。また何かあったらよろしく頼むよ。」

返信を終えると、ベッドに倒れこんだ。…実は前から薄々気づいていたのかもしれない。私の抱いていた感情。

それはーーー

 

 

「これは参ったね。」

 

私は彼に惹かれたようだ。人生初の"恋"だった。

 




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