※この作品には原作に登場していないキャラの存在や、設定の出ていないキャラの描写が含まれています。
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https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=10217759
〜車内〜
「今日のボクもカワイすぎましたね!!ねえPさん!」
「あーそうじゃないかな。」
「もう!いつも雑に返すんですから…」
「そんなに強調しなくたってお前は宇宙一カワイイアイドル輿水幸子だろ。プロデュースする俺が言うんだから間違いないって。」
「!…んもう、わかってればいいんですよ♪」
「…しかしお前の家から事務所までわりと遠いよな。大変じゃないのか?今更だけど。」
「まあ多少は大変ですが、このカワイさをアイドルとして振りまくのは使命のようなものですから!」
「へー…おっ、そろそろ着くぞー。」
ピンポーン
「今日は遅くなってしまってすみません…。」
『いえいえ、こちらこそうちの子を送っていただいてありがとうございます。…そうだ!せっかくですしお話しながらお茶でもいかがですか?』
「そうですね…せっかくなのでお言葉に甘えさせてもらいますかね。」
〜輿水家〜
「ーしかし、彼女にはバラエティ寄りの体を張った仕事が多くなってしまってPとして申し訳ないです…」
「いえいえ大丈夫ですよ。うちの子は昔からなんでも楽しそうにやる子でしたから!」
「昔からああいう子だったんですか?」
「ええ。昔から周りを笑顔にしていく子で、もっと多くの人を幸せにするんですってよく言ってました。今はその夢もPさんのお陰で叶えてもらえて親としても嬉しい限りです。」
「いえいえ、彼女の力があるからこその人気ですよ。それに、まだまだ多くの人に彼女の魅力を伝えられていませんから。私も全力でサポートさせて頂きます!」
「心強いですね。これからも幸子をどうかよろしくお願いします。…あら、もうこんな時間。」
「あれ、もうこんなに時間が経っていたとは…」
「こんな時間まですみません。お付き合い頂いてありがとうございました。」
「いえいえこちらこそお茶まで出して頂いてありがとうございました。ではそろそろー」
「あ、Pさん。もしよかったら幸子の様子を見ていっていただけませんか?」
「え?」
「うちの子はPさんといる時のほうがなんだか楽しそうにしているんです。けれど家に帰ってきたら勉強ばかりで… Pさんに顔を出してもらえれば少しは気分も楽になるんじゃないかと思いまして…」
「そういうことでしたら少し顔出してからにしましょうかね。」
「重ね重ねすみません。幸子の部屋は2階です。私は今から用事で少し家を離れますので。」
(そういえば昔の幸子とか家のことはよく知らないな…けっこう豪勢な家だよなあ。)
「幸子の部屋…ここか?」
コンコンコン
「はーい?」
「おう、俺だ。入るぞー。」
「えっ!?Pさん!?!?ちょ、待っ」
ガチャ
「へえ、こんな感じなんだな。」
「急に入ってきてなんなんですか!」
「いやなに、ちょっと顔だしてやれって言われてな。」
「もう!ママも余計なお世話を焼くんですから…」
「勉強中だったか?」
「ノートの清書中です!気が散るので出てください!!」
「わかんないところあったら俺のわかる範囲で教えるぞ?」
「いいですから!わからないところもありません!」
「そうか?じゃあ頑張ってな。仕事も勉強も無理しすぎないようにな。お疲れ様。」
「無茶な仕事持ってくるのはPさんでしょう!お疲れ様です!」
ガチャン
「最近だいぶ忙しくなってるから負担かけすぎてるかな…もっと考えないとな。」
(しかしほんと広いなこの家…)
(…ちょっとくらい見て回ってもバレないかな?)
(和室もあるのか…ちょっと見せてもらおう。)
スゥー…
「ここも広いな…ん?仏壇かこれ…!?」
「子供の写真…というかこれ…」
「幸子?」
(遺影…だよなこれ?見た感じ小学生くらいか…?でもカラー写真だから新しめではあるよな…それに写真の一部のかこれ…?隣にも同じ髪の色の子がちょっと写ってるし…)
(でも幸子に兄弟姉妹がいたなんて話も他界してるなんて話も全く聞いたことがないし…)
「…とりあえず帰るか。見られたらなに言われるかわからんしな…」
(俺が知らないだけなのか…?確かに故人のこととなれば話はしづらいだろうけど… もっと幸子のことを知ったほうがいいんだろうか…)
〜後日、事務所〜
「なあ、幸子。」
「なんですか?」
「お前って兄弟とかいたりするの?」
「ほんとになんですか急に… いませんよ。」
「ふーん…いや、そういえば幸子のことよく知らないなと思ってな。Pとしていろいろ知ってたほうがより魅力を引き出せるってもんだろ?」
「確かにそうかもしれませんが…というかPさん最近様子がおかしいですよ?」
「えっ?」
「いつも以上に考え事ばかりしてて話もちゃんと聞いてないことが多いですよ?」
「そ、そうか…」
「何かあったんですか?そんな状態で仕事に支障をきたされては困りますから、ボクがお話聞いてあげないこともないですよ?」
「いや、べつになにがってわけじゃ…」
(ずっとあのこと考えてモヤモヤしてるのバレてるな…それならもういっそ…)
「…なあ幸子。」
「なんです?」
「お前の家の和室にある仏壇の写真の子…一体誰なんだ?」
「…?和室?仏壇?なんの事です??」
「…は?」
「いや、は?と言われてもボクの家にそんなものありませんよ?」
「いやいやいやいや、あったって。見たんだってこの前。」
「見たって何ですか?もしかして人の家を勝手に見回ったんですか!?」
「あー…それはその…俺ん家貧乏でさ…大きな家が珍しくてつい…」
「ついじゃないですよ! 下手すれば犯罪ですからね!?」
「それはすまん…でも本当に見たって!」
「住人が知らない部屋があるわけないでしょう!?働きすぎて変なもの見てるんじゃないんですか?」
「いや…そんな…」
「ちょっとちひろさんに話してPさんを休ませてもらいますから!嫌だって言ったって聞きませんよ!!」
「…」
「幸子ちゃんからお話聞きましたよ?あまり根を詰めて体調を崩さないで下さいね?あと変なことするのもダメですからね?今日の分のお仕事は私の方で出来るだけ処理しておきますからしっかり寝てください。」
「…はい。お願いします…」
「はあ…どうしちゃったんだろうなあ、俺…」
(確かにあったんだよ…変な場所にあったわけでもないし…でも住んでる本人が無いって言ってるし…兄弟いないって言ってるし…)
「あーもう分からん!不本意でも休みになったんだ!寝るぞ!」
〜翌日、事務所〜
「おはようございますPさん。しっかり休めましたか?」
「おはようございますちひろさん。昨日はどうもすみません…」
「アイドルに心配されるようではダメですよ?悩みがあるなら私でも聞きますから。」
「ええ…実はアイドルの子たちのことをどれくらい知っても良いものかと悩んでいまして…」
「どれくらい…と言うと?」
「この前幸子を家まで送ったときに保護者の方とお話しまして、そのときに思ったんです。幸子のことよく知らない部分があるなあと。幸子だけじゃなく、他の子も知らないことだらけだなあと。家庭の事情やら何やらに首を突っ込むのは良くないとは思いますけど、そういった事情を全く知らないのもどうかと思いまして…仕事中は言うなれば保護者の代わりになる面もあるわけですし。」
「うーん…私は変に踏み入るのは良くないと思います。彼女たちが知って欲しいと言うなら話は別ですけど…」
「望まれた分だけ、ですか…」
「私たちとはあくまで仕事としての関わりですからね。それに距離の近さはお互いのリスクにもなり得ますし…」
「そうですね…気をつけてみます。聞いてもらってありがとうございます。」
「…何かまだ悩みがあるんじゃないですか?」
「え?」
「何か悩みがあるにしても仕事中に上の空になるなんてそうそう無いでしょうし、それが数日続いているとなれば何か心に引っかかることでもあるんじゃないんですか?…あ、もちろん言いたくなければいいんですけども。」
「…ちひろさんには敵いませんね。」
「伊達に長くPさんのアシスタントしてませんから。」
「ははは…実はですね、幸子の家で仏壇を見つけたんです。そこに幸子と瓜二つの子供の遺影があってとても驚いたんです。姉妹がいるなんて話も、ましてや他界してるなんて話も全く聞いたことありませんでしたから…そのことを幸子に聞いてみたら兄弟姉妹どころかそもそも仏壇も、仏壇のある和室すら家には無いなんて言われて俺がどうかしてるとか言われてしまって…」
「そして私に幸子ちゃんがPさんを休ませるよう言いにきた、ということですね?」
「はい…人の家の部屋を勝手に見るなんて無作法にも程があるというのは重々承知の上ですが…ただ本当に部屋はあったんです!でも何故幸子が無いと言うのか本当に分からなくて…」
「人の家でそんなことをしたんですか!?もう…でも確かにおかしいですね。」
「ちひろさんは何か幸子のそういうことについて聞いたりしたことあります?」
「いえ…そういった話ならアイドルの子たちの方が聞いてるんじゃないですか?もちろんそういった内容のことであれば詮索するのは良くないと思いますけど…」
「そう…ですよね。すみません。昨日も今日もお世話になりっぱなしで…でも少し楽になった気がします。俺には少し重すぎる悩みだったもので…」
「大丈夫ですよ。でも変な行動は謹んで下さいね?」
「そこも本当にすみません…」
「ほら、もうすぐみんな来る頃ですからシャキッとして下さいよ!」
「…そうですね。心配かけてしまいましたからしっかりしないと!」
(でも…やっぱり気になるんだよな。)
〜後日、事務所〜
「…なあ、小梅。」
「どうしたの…?Pさん…」
「んーと…幸子が家族の話とかしてたりするか?」
「幸子ちゃん…? たまにお父さんやお母さんの話をしたりはするけど…どうして?」
「ああいや、別に深い意味はないんだ。ただそういう話してるのかなーってだけで。」
「…幸子ちゃんに何かあったの…?」
「いや、だから特にそういうのじゃなくて…」
「…仏壇?」
「! なんでそれを…」
「ごめんなさい…『あの子』が聞いちゃってたみたいで…」
「…わかってるなら白状するよ。ちひろさんには止められたけどどうしても気になってな。」
「実は私も…『あの子』に聞いてから気がかりなことがあって…」
「気がかり?」
「幸子ちゃんが怖がるから言ってないけど…幸子ちゃんの近くに…いつもいるんです…」
「いるって…もしかして…」
「その子はすごく優しくて…幸子ちゃんがのぼせちゃったときも心配して手をつけて冷やしてあげたり…それに…幸子ちゃんと雰囲気が似てて…」
「…それで話を聞いたらもしかしてと思ったってことか?」
「うん…」
「…そうか。」
「あ、それと…この前Pさんが早退した時に…幸子ちゃんがPさんに聞かれたことも話してくれたけど…『兄弟なんていない』って言ってたとき、その子…少し寂しそうだったの…だから多分…」
「…その子が何か言ってたりはするのか?」
「それが…話せない子みたいで…」
「話は聞けないか…」
「あ…この事は…幸子ちゃんには言わない方がいいかも…」
「だろうな。ありがとう、小梅。」
「ううん…私よりも…『あの子』が色々教えてくれたから…」
「そうか…ありがとな。」
(やっぱり居たって考えていいんだろうけど…なんで幸子は居ないって言うんだ?)
プルルルル…プルルルル…
「っと…誰からだ…!?」
「幸子の…お父さんから…!?」
〜後日、応接室〜
「本日は時間を作って頂いて本当にありがとうございます。」
「いえ。それで本日はお話をさせて頂きたいとお伺いしましたが、どういった内容で?」
「はい…実は娘についてお話させて頂きたくて連絡させて頂きました。…正確には過去のこと、と言いましょうか。」
「…娘さんから何かお聞きになりましたか?」
「ええ。Pさんが変なことを聞いてきたと言いまして…どうしてご存知なのかは分かりませんが。」
「それは…」
「いえ、今は大丈夫です。私も、親として何もできてない問題なので…」
「…一体何があったんでしょうか。過去の彼女に。」
「…お話させて頂きますが、恐らく混乱されるでしょう。」
「貴方が見た通り、あの家には和室があり、仏壇もあります。そこにある子どもの遺影は双子の娘の姉のものなのです。」
「双子…ですか?でも幸子は自分が一人っ子だと言っていたんですが…」
「…そうですね。娘と妻にとってはその部屋ともう一人の娘の存在はなかったことになっています。病院の先生によれば強い精神的なショックによる精神の障害だと…」
「亡くなられたことによる…でしょうか。」
「あまりに突然でしたから…娘2人で遊んでたときにトラックにと…」
「あの…もし辛いようでしたら無理にお話されなくても…」
「いえ、私は…ずっと逃げていたんです。だから、貴方にお話することも私の自己満足に過ぎませんが…向かい合うべきだと思ったのです。だから…」
「…私は大丈夫です。お話を続けていただけるなら私は聞きます。」
「ありがとうございます…」
「それで、事故の後に何かがあったのでしょうか。」
「はい…それからはただただ泣き続けました。私も、妻も、娘も…ですがある時、娘に変化があったんです。」
「変化…というと?」
「もともと娘たちは姿は似ていても性格はほぼ真逆でした。とても明るくなんでもできる姉と、引っ込み思案で不器用な妹でした。」
「明るくてなんでもできる…今の幸子のような感じですか?」
「ええ…というよりは、幸子は姉なんです。」
「…?でも、先程遺影は姉のものだと…」
「そうです。それが変化だったんです。」
「…すみません。意味が理解できてないんですが…」
「貴方が仏壇で見たあの写真の子こそがー」
「『輿水幸子』なんです。貴方がよく知る『輿水幸子』は、本当は別の名前なんです。」
「…え?ちょ、ちょっと待ってください。え?幸子は幸子ではなくてもう亡くなってて…??」
「…貴方がよく知るあの子は、本当は『**』という名前なんです。」
「『**』…ですか。」
「『**』にとって、幸子は憧れそのものでした。みんなに好かれ、なんでもできる…引っ込み思案で友達も少なかった『**』は、たびたび自分はダメな子だと言っていました。私も親として娘達を平等に扱ってあげられなかった…そのせいで『**』の心に闇のようなものを作り出してしまったんです。事故の後も自分が死ねばよかったんだと何回も何回も言っていて…」
「…」
「少ししてからでした。『**』は自分を『幸子』だと言ったんです。服装も、話し方も、幸子になろうとし始めたんです。最初は私も妻も、思い出して辛くなるからやめてくれと言っていたんです。でも、何度言おうと『**』ではなく、『幸子』になろうとしていたんです。そして、いつしか『**』と妻から『**』が消えてしまったんです。事故によって『幸子』が亡くなった事実が、『**』の存在とともに消えていってしまったんです…そういった中で周囲の環境や心の負担を考えて引越しをしてしまったことで、本当の『幸子』と『**』の存在があの和室にしかもう残ってないんです…そして、幸子も妻も、その部屋が、2人の存在を証明するあの部屋が、知覚できなくなっているんです…」
「…だから一人っ子だと言っていたんですね。」
「私も…私もそれを信じたかった。事故なんて無くて、一人の娘がいる平凡な家庭だと思いたかった。でも…でも、私には、この苦しさとともに『**』を失うなんてできなかった。娘を2度も失うなんて…そんなことできなかったんです…」
「…」
「それに…すっかり『幸子』に変わってしまった今でも…『**』は追っているんです…『幸子』である自分に『カワイイ』と言い続けているんです…」
〜事務所〜
(…どうしよう…あんな話を聞いて俺はどうすればいいんだ…むしろ何かしていいのか…?でも…)
「お疲れ様ですPさん!カワイイボクが帰ってきましたよ!」
「お、おう、お疲れ様。」
「どうしたんですかPさん?…もしかしてまた考え事ですか!?根を詰め過ぎないよう前も言ったばかりですよ!!」
「あ、ああ…すまん。」
(話してくれたって事は…)
「なあ幸子。」
「なんですか!」
「『**』はもう、完全に消えてしまったのか?」
幸子のカワイイへの執着やすべてのカードに【自称・】が付く理由を考えてみた結果の文章でした。この後どうなるかはご想像におまかせ致します。