帰宅早々に説教されたケレスは現在、とりあえず元気の出るもの作っちゃいますから彼女を寝かせて治療してあげてくださいとカルに言われ人形専用の病室のベッドに寝かせた彼女の処置を施していた
元はとても綺麗な人形だったはずの彼女、だが見るだけで分かるほど度重なった暴行、虐待、性欲のはけ口にも使われたのだろうという傷や痕が到るところに存在し、ケレス自身もここまで酷いのは初めてだよと悪態をつくほどだった。なので彼女が先ずしたことは髪の手入れ、本当ならば肌の傷の手入れもしたいのだが下手に服を脱がすと言う行為を行えば起きてトラウマを刺激してしまう可能性を考慮してのこと、ゆっくりと櫛を入れれば少し引っ掛かる感触が彼女の手に伝わる、やはり傷んでるかと眉を顰める
(相当長い期間、そういった扱いを受けたんだろうね……そりゃあれだけ擦れるわよ)
これは彼女が起きてからじゃないと本格的なのは難しいわね、そう考えたケレスは髪の手入れは簡単に済ませ、近くの機械を起動させる、すると機械が展開され180度から特殊なセンサーが当てられる。これはグリフィンのペルシカリアとの仕事の報酬で貰った機械でありコードなどを刺さずともシステム面でのメンテナンスを可能にする物、なのだが微妙に精度が悪かったりするので基本的にはコードを刺したりパッチタイプの物を付けたりするのだが今回の彼女は何かしらでトラウマを刺激してしまうかもしれないというのを孕んでいるため、とりあえずこれで何か問題がないかを調べてしまおうという魂胆だ
読み込まれモニターに表示されるデータ、それを見たケレスは驚く、型番だけを見れば旧式の彼女だが内部は高性能であり今の人形とも引けを取らないどころか一部は優位に立ててしまう性能をしていたのだ。だが同時にその一部の優位の項目で彼女がどういった目的で造られたかを簡単に想定できてしまった。その一部とは
(感情と表情のデータが異常に割り振られてる……ちっ、やっぱりそういう事か。最初っから真っ当な所で使う気はなかったようで)
今日だけで何回目かは数えてない悪態をつくケレス、またそれ以外にもなにか彼女に不利益になっているデータ、または盗聴などの監視データなどは入ってないかを一通り調べ、丁寧に削除、それから機械を停止させる
安心しきった顔の少女、もしかしたら生まれてからあのように誰かに守られるということすらもされずに生きてきたのかもしれない彼女の寝顔に思わず優しい笑みが溢れたケレスはベッド横の丸イスに座ってそっと頭を撫でればそのタイミングで
「うっ……あ、れ?」
「起きた?」
「っ!!??」
突如声を掛けられ驚いた少女は反射したかのように身体をケレスから離そうとするが彼女が寝ていたのは一人用の普通の大きさのベッドであり、そんな事をすれば
「ひゃああ!?」
可愛らしい悲鳴とともにドスンと落ちる、その反応を見てしまったなぁと思いつつ覗き込めば目を回している少女の姿、どうやら明確な拒否ではなく覚醒しきってないとことに声を掛けられ反射的な防衛的な反応だったらしい
「だ、大丈夫かしら?」
「貴女は……え、夢、じゃない?」
「まぁ、夢ではないと思うわよ?それに人形は夢見ないでしょう?」
「あ……い、今のは言葉の綾というのです」
はいはい、と何とも可愛らしい言い訳に適当な反応をすれば本当に分かってますかという視線が飛んでくる、その後自分でベッドに戻った少女にケレスはいくつか簡単な診断を行う。動きに異常はないか、気分に異常は出てないか、ところでお腹は空いてないか等など、必要なことから雑談までしていき、いよいよ本題
「さて、大体こんなもんか、じゃあ次、肌と髪の手入れ、したいんだけど大丈夫かしら?」
「あ、えっと……」
「そうよね、ごめん、流石にこれは私が無神経過ぎたわね、はぁこれ聞かれたらカルになんてどヤされるか」
「少なくとも少女心が分からないおばさんですかね、院長?」
わぁい辛辣と振り向けばエプロン姿で笑顔のカル、開かれた扉からはシチューと思われる食欲をそそる匂いが部屋に入ってきていた、どうやら昼食の準備が済んでたらしい
ケレスはそんな事務員の辛辣な言葉に凹み、少女は現れてそうそうそんな言葉を吐いたカルに驚いた顔をしていた。いや、それよりもと少女は今の会話に思ったことを口にした
「院長?それに、おばさん?」
「二度刺し!?」
「静かにしててくださいね、初めまして私はこの整体院【Guarigione】での助手と事務等などを担当してます【カルカノM1891】です。でこっちの凹んでいるのがケレス院長です、一応この整体院の院長さんで、年齢は35です」
「ねぇ、カル、怒ってます?」
「はい、とても」
だよね……と再度凹むケレス、それから二人の会話を聞いててカルは別のことに気付き、まさかと思いつつ
「所で、貴女は名前とかは?」
「……ないです。『おい』とか『お前』とかばかりでしたから」
「ちょっと、私だって流石にそれは聞かなかったわよ」
「寧ろ聞いてたらおかずが一品無くなってましたよ、でもそうですか……」
うぅむと目を閉じて悩むカル、彼女は気付いていた、ケレスがここに住まわせる気満々だということに、じゃなければ彼処までの会話が出てくることはないからだ
しかし、このまま悩んでいては折角のの料理が冷めてしまうと思考を切り替え先に食べてしまいましょうかと言おうとした時、凹んでいたケレスが顔を上げて
「ところでさ、アンタは行く宛がないわけだよね。ここで住まないかい?」
「随分と唐突に切り出しましたね、ああ、忘れてたのですね」
「悪かったって、ね、もう本当にそろそろ心折れるから私」
「あ、あの、え、居ても良いんです、か?だって、私あんな奴らに狙われて、きっとまた……」
少女が不安を最後まで言い切る前にケレスが彼女を抱きしめる、優しく、だけど力強く、まるで母親のそれのような抱擁、言葉にしないが彼女には分かった、安心しなさい、ともう怖がる必要はないと
「いい、のですか?」
「ええ、アンタさえ良ければ、ね」
「はい、これでも私達、腕っぷしは強いですからね」
「……ひっぐ、えぐ、おね゛がいじます、いさせてくだざい」
自然と涙がこぼれた、ここまで優しい物を感じたことがなかった少女は感情を抑えることが出来なかった、そんな彼女をよしよしと頭を撫でてそれから
「順序がいろいろごちゃごちゃしたけど、これからはもう家族ならアンタは悪いからね。【リベルタ】っていうのはどうかしら?」
「自由、ですか。悪くないのでは?」
「はい、ありがとうございます。リベルタ、私の名前……」
クゥぅと感動的な雰囲気の場に可愛らしい腹の虫がなる、その発信源を見れば、先程まで泣いていた少女【リベルタ】からだった
「なるほど、自由だ」
「ええ、自由ですね」
「ち、違います!これは自由とは関係ないですよね!?」
賑やかになるなこれは、ケレスとカルは互いにそう思いながら今度は恥ずかしさで枕で顔を隠しているリベルタを見て笑みをこぼすのであった
おかずが一品減ってた(そもそも昼食はシチューのみ)
リベルタ
今後のGuarigioneのツッコミ担当、カルと同じく事務員として働く、但しこっちは完全に民間な為に現状は戦闘能力は無い、近い内にペルシカの所に行くかもしれない、因みにだが名前こそ変わってるがドルフロのサンダーその人、これってオリジナル人形タグ入れたほうがいいんですかね……
なんか書けたので、次回からはいつ上がるかは分からないよ!!