CHRONO A CROSS 〜CHRONO in Elnido〜 作:Pazz bet
それから道中、何もないまま目的地についた。
集落と思わしき所の入り口につく。そこはアーチ状になっており、扉が設置されているわけではない。
まさに、来るものは拒まず、という雰囲気を醸し出している。この大地でも魔物?は出るというのに防衛手段を展開していなくて大丈夫なのだろうか。
中に入ると、入り口近くにいた老人が、声をかけてきた。
「おや、旅の方とは珍しい。ここアルニ村は何もないところですが、どうぞくつろいでいってくだされ。」
クロノは、その言葉に軽く会釈で返した。どうやら住んでいるのは人間で、さらにアルニ村で間違いなかったようだ。
...できることなら次の方針が決まるまで滞在するとしよう。他人を受け入れない風潮はないように思えるし、それくらいいいだろう。
というわけで、早速情報収集と垂れ込みたいところだが、
ーグ~~~~~~~~ッー
...この大地に来てから、全く食物を口にしていない。
仕方ない。まずは、腹ごしらえをしよう。
レストランは、村の入り口からそう遠くないところにあった。魚の看板を立ててあったので、すぐ分かる。
暖簾を潜り抜けて入ると、香ばしい香りと共に、もわっと煙が鼻をついた。
「へい、いらっしゃい!」
野太い声が聞こえてくる。
煙が一旦晴れて、声の主の姿を拝むことができた。...、見上げる程の巨躯に、多く脂肪ののった腹。そして上半身裸で、裸足。申し訳程度につけられたコック帽が、かろうじてシェフであることを認識させた。
なんというか、奇抜だな...。
クロノは、ウェイトレスに促されるまま席に座り、店内のおすすめメニューを注文した。
どうやらここは漁村であるようで、メニューのほとんどが海鮮料理で埋め尽くされている。
しかし、魚より肉を多く食うガルディア王国の領民にとっては、どれが良くて、どれが悪いのかさっぱりわからない...よって、店内の人気に合わせるしかない。
ほどなくして、机に料理がおかれた。見た目は貝料理、それもつぼ焼きっぽい物だ。
とてつもなく腹が減っていたクロノは、それが届くなりがっつくように口に入れた。
...うん、旨いといえば旨いな。貝なんてほとんど食ったことがないからくらべようがないけれども...。
それでも次々と口に運ぶその様子を見て、コックは嬉しそうに微笑んでいた。
「お前さん、外からやって来たんだろ?俺の料理が食えるなんざあ幸運だな。」
クロノは、首をかしげた。とすると、あなたはこの村で勤めているわけではないのか、と。
「あぁ、ここのやつが風邪引いちまってな。俺は蛇骨館専属のコックなんだが...非番の日だったから代わりにやってやっとるっちゅうわけだ。」
なるほど、そういうわけなのか...。蛇骨館というのがどこなのかわからないが、まあ確かにそういう意味では幸運だな。
そうだ。いっそのこと、この男に
「それにしても、お前さん何の用があってアルニ村に訪れなさったんだ?今時観光なんて流行りじゃねえだろう?」
...話を聞いてみようかと思っていたが、あっちから話しかけてきてくれた。こちらとしては好都合だった。
クロノは、実は、と言って話し始めた。
「...おい。それ本気で言ってるのか?」
クロノは、はい、と言って頷いた。
何だろう。「自分は流浪の旅人で、気がつけば知らないところにたどり着いてしまった。だから、どうかこの土地の情報を教えてもらえないだろうか。」
不審に思われないようになるべく本当の事情をかくして、このようなことをいったわけだが...何かおかしかったのだろうか。
コックは、腕を組み、かなり神妙な顔をして言った。
「それは俄には信じられん話だなぁ...。なにせ、ここエルニド諸島は、周りをびっちり高い岩礁に覆われている。一介の旅人が知らん内に迷い混むなどと言うことは普通ありえんと思うんだが...。」
...周りを岩礁に囲まれている...?となると、ここは随分閉鎖的な場所なんだな...。そして、まずこの大陸はエルニド諸島。
なるほど、そうだとしたら、この嘘はちょっとまずかったかもしれないな。
「なあ、一体お前さんはどこから来たんだ...?」
ええと...もう正直に言うしかないかないのだろうか。
ガルディア王国の出だ...、と言った。
「いや、ちょっと待て。何を言っとるんだ。」
クロノは、まあそう言われるも仕方ないだろうな、とため息をついた。
だが、この後彼の口から出てきたのは、思いもよらぬ一言だった。
「ガルディア王国は...今から15年前。A.D.1005
年に、滅亡したはずだ。辺境の島でもそれくらいの情報は届く。もしかして、いやもしかしなくとも、俺をおちょくろうとしとんのか?」