とある魔術の常識崩し   作:XY

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2話目です。


第2話 空間の支配者

聖ジョージ大聖堂。

ロンドン中心街、ウォータールー駅から徒歩10分の距離にあるその建物は、そこそこの大きさの教会で、大聖堂と名はつくが観光名所ほどのものと比較すると格段に小さい感じを受ける建物だ。

その聖ジョージ大聖堂の中の大きな椅子に腰かけ、とてもこの建物とは相容れそうにない機器のパソコンでモニターの向こう側の人間と対話しているのは、この建物を本拠地にしているイギリス清教のトップ、ローラ=スチュアートだ。

 

「してそちらの状況はどうなりけるのかしら?気づいているのでしょう?」

 

それに応じたのは巨大なビーカーの中に逆さまの状態で浮いている、アレイスター=クロウリーだ。

 

「それに関しては把握済みだ。まずは小手調べに能力者を向かわせている」

「そう。それにしても、まさかあの『学園都市』が魔術師の侵入を許す事になりけるとはね」

「そちらが言えた義理ではないだろう。まあ何であれ、しばらくは様子見といったところだ」

「もし万が一の事態になれば例の少年を・・・」

「アレイスター?」

「・・・」

(通信妨害・・・?)

 

突然の通信の切断に違和感を覚えるローラ=スチュアート。

 

(どうやら、敵は想像以上に厄介になりけるのかもね)

 

 

 

「通信切断完了っと。やっぱ上にはバレちゃってたかー。まあバレたところで私にかないっこないけどねぇ」

 

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第十学区。

学園都市中でも最も治安が悪い学区で、その影響で最も地価が安く『他の学区で敬遠される』様々な施設が凝縮されている。その中に少年院があるのだが、犯罪を犯した高位能力者も収容されていることもあってか普段から近寄る人はあまりいない。

 

「よう爆弾魔。元気してたか?」

「お、お前は・・・空賀操麻(くがそうま)!何でここにいる!?能力(ちから)を封じる装置があるはずだろ!?」

「ああ、あれ?あれなら、あの装置の周辺の空間を凍結させたよ」

「凍結・・・?」

「そう。俺の能力の一つでな、俺が指定した範囲内の空間の時間を止められるんだよ」

「そ、そんなことしてまで僕に何の用だ・・・」

「そんなさぁ、怖がんなって。なぁに、ちょっと釘を刺しに来たんだよ」

「お前はさぁ、これから取調べを受けることになる。そん時になぁ、俺達の事を色々と喋られると困るわけよ」

「だからさぁ、分かってるよね?俺はさぁ、いつだってテメェの首の空間を凍結出来るんだよ」

 

まるで小さい子に話しかけるかのようにゆっくりと、そしてどこか見下したような喋り方をする空賀。

 

「わ、分かってる!言わない!だから・・・殺さないでくれ!!」

「おいおい。人を殺人鬼みたい言うなよ。俺だってさぁ、ちゃんと言うこと聞く人間には優しくするぜ」

「それじゃ俺は次の奴に幻想御手(レベルアッパー)を売りに行くから。じゃあな爆弾魔」

 

自分を睨みつける介旅初矢(かいたびはつや)を無視し、彼は次の場所へ向かった。

 

 

空賀はまだ第十学区にいた。理由は簡単で、ここが治安の問題で一番取引しやすいからである。彼は極めて善人の顔をして、武装無能力集団(スキルアウト)と取引をしていた。

 

「そんじゃこの額でどうです?」

「よし!買った!まさかこんな簡単に幻想御手が手に入るとは思わなかったぜ。兄ちゃんありがとな!」

「毎度ありー。呑気なもんだね、まったく。さて次の場所に・・・ん?」

 

彼が振り向いた先には少女が二人立っていた。

 

「あなたが幻想御手を売りさばいてる超張本人ですね?」

「大人しくした方が身のためって訳よ!」

 

空賀の行く手を阻んだのは、学園都市の暗部の一つである『アイテム』に所属している絹旗最愛(きぬはたさいあい)とフレンダ=セイヴェルンの二人である。

 

「誰かと思えば『アイテム』の方じゃないですか。で私に何の用で?」

「とぼけても超無駄です。大人しく幻想御手を渡してもらいますよ」

「渡せって言われてもなぁ。命令されてるんだよね。これで騒ぎを起こせってさぁ」

「こちらも統括理事会(うえ)から超命令されてるんですよ。『幻想御手の回収及び売人の始末』を」

 

そう空賀に告げながら、臨戦態勢に入る二人だが彼は身構えようとはしなかった。

 

「始末ねぇ・・・ん?、とすると、第4位もいるのか?姿が見えねぇようだが」

 

絹旗が答える。

 

「麦野は今別の案件です。なんでも怪しい事をしてる奴の拘束だとか」

 

すると彼から笑みが溢れる。

 

「てことは今、うちリーダーと戦ってるのか。おい、お前ら。俺なんか放っておいて、早くあいつの手助けに行った方がいいぞ」

「あいつじゃリーダーは倒せない。下手したらあいつ・・・死ぬぞ」

 

そう言った空賀に対し、絹旗達は呆れた様子で答えた。

 

「何言ってるんですか?麦野は学園都市に7人しかいない超能力者(レベル5)の第4位ですよ」

「そこら辺の能力者ごとき瞬殺ですよ」

「そうそう!結局、麦野が最強って訳よ!」

「それに・・・人の心配してる場合ですか?」

 

絹旗はそう言い終わると同時に、自分の腕の射程範囲内に空賀を捉えた。彼の腹部をめがけ彼女の左ストレートが炸裂する。彼女の能力である『 窒素装甲(オフェンスアーマー)』によって強化されたパンチは、常人ならば軽く数十メートル程の威力なのだが、それを受けた彼は苦痛の表情を浮かべることはなかった。

 

「なかなかいいパンチじゃねぇか。だけど・・・」

 

突如絹旗の脇腹辺りに強い衝撃が走る。彼女はそれに耐え切れず吹き飛ぶ。

 

「俺の能力の前じゃ意味ないぜ。それでさぁさっきの話だけど・・・」

 

全身に走る痛みに耐えながら、絹旗は立ち上がる。

 

「妙な・・・能力ですね。でも・・・もう一人仲間がいる事忘れてませんか?」

「私を忘れてもらっちゃ困るって訳よ!」

「おいおい。人の話の腰を折るなよ」

 

空賀の死角から複数の爆弾を投げつけるフレンダ。しかし彼は動じない。爆弾が彼の周辺で爆発する。

常人ならばそれで終わりなのだが、その煙の中から現れたのは全身無傷の彼だった。

 

「いやぁホント容赦ないよね君達。人に爆弾を投げるってどういう事か分かる?こういう事なんだけどさぁ」

 

彼は指をパチッ!と鳴らした。すると、突如フレンダの周辺に爆発が起きる。先程彼の周辺起きたものと同じものが彼女の周辺で起きた。

爆発の衝撃でフレンダは数メートル吹き飛ばされる。何とか立ち上がろうとする彼女らだが、体の損傷が大きく立ち上がる事が出来ない。

空賀はそれを確認すると、さっきの話の続きを始めた。

 

「それでさぁ、話の続きなんだけど・・・あれ?どこまで話したか忘れちまったじゃねぇか」

 

彼はしばらく考えたあと

 

「あー思い出した。俺が助けに行った方がいいって言ったのは、戦闘の手助けの事じゃねよ。逃げる為の手助けだ」

 

彼女達は不思議そうな顔をしたが、空賀は構わず続ける。

 

「リーダーの強さは相当なモンでな。この学園都市(まち)では『超能力』が主流だが、彼女の能力はそれには分類されない。『魔術』ってモンに分類されるんだが、まあ信じねぇか」

「それで名目上は『魔術』に分類されてるんだが、あれに『魔術』って言葉は不相応だ。魔術に疎い俺すらそう感じちまうんだ」

「あれは人の成せる『能力(ちから)』じゃねぇ。そう・・・例えるならば・・・『神の御業(The works of the gods)』」

「そして何よりも恐ろしいのは彼女が、能力を使う奴が大ッ嫌いって事だ。その中でも特に自分の能力を誇示する奴が一番嫌いなんだ」

「彼女の前で能力を使ったら最後、塵・・・いや魂一つ残らず消されちまうんだ」

「第4位が相手にしようと思っているのは、そういう奴なんだよ」

 

 




2話目も読んで頂きありがとうございます!
しばらくはオリジナル展開が続きます。

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