とある魔術の常識崩し   作:XY

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第3話です。
今回もオリジナルです。


第3話 神の御業

赤い服の少女は第十六学区を訪れていた。時刻は午後9時。子供にとってはかなり危ない時間なのだが、お構いなしに歩いている。彼女がふらふらと歩いていると広場を見つけた。そして彼女は周りにある邪魔な物を退かすと、地面に何やら図形を描き始めた。その図形も佳境に入りかけたその時、不意に声をかけられた。

 

「あんたが一連の施設破壊と変な図形を描いている本人?」

 

少女は図形を描く手を止め、挑発的な態度で答えた。

 

「だったらどうするの?」

「そうか・・・。ならさっさと消えろ!」

 

声をかけた人物の周辺から緑色の光線が放たれる。その正体は暗部『アイテム』のリーダーであり、学園都市序列第4位の『原子崩し(メルトダウナー)』という能力を持つ麦野沈利(むぎのしずり)だ。

並の能力者では彼女の攻撃を防ぐ事は出来ない。しかし、少女はそれを軽々とやってのけた。

 

「命令する。かの光線を三十度右に」

 

本来彼女に命中するはずだった光線は、不自然に右に軌道を変え消滅した。

 

「あん?手元が狂ったか?」

 

不自然な軌道に麦野は違和感を覚えながらも、今度こそ命中させるべく狙いを定める。

 

「さっきは外したが、次は当てるぞ!ガキィ!」

 

再び彼女から光線が放たれる。しかし

 

「命令する。かの光線を三十度右に」

 

またも不自然な軌道を描き、光線は外れる。さすがの彼女もおかしいと思い

 

「お前何しやがった?まさかお前も第3位みたいな能力(ちから)持ってんじゃねぇだろうな?」

 

能力という単語を聞いて不機嫌な顔になる赤い服の少女。

 

「あんなのと一緒にしないでもらえる?私の能力は『超能力』とか『魔術』とかそういうのじゃないわ」

「そうねぇ・・・。『神の御業(The works of the gods)』とでも言っておこうかしら」

「あぁ?さっきから何言ってんだお前?」

「あら?先の聞いてきたのはあなたじゃなかったかしら?」

 

相変わらず挑発的な態度な少女に麦野は苛立つ。

 

「あーもういい!滝壺!あいつのAIM拡散力場に干渉出来るか?」

「分かった。やってみる」

 

麦野の指示に応じたのは、『アイテム』の構成員の一人である滝壺理后(たきつぼりこう)だ。彼女の能力は『能力追跡(AIMストーカー)』。一度記録したAIM拡散力場の持ち主を、たとえ太陽系の外に出ても追い続け検索・補足出来る能力で、応用次第では相手のAIM拡散力場を介して自分だけの現実(パーソナルリアリティ)を乱す事で攻撃も可能。

今回もその手段を取ろうとする滝壺だが、彼女は驚いていた。

 

「麦野・・・!あの人、AIM拡散力場がないの!」

「はぁ!?何言ってんだ!?あんだけの能力があるのに、AIM拡散力場がないわけねぇだろ!」

 

動揺を隠せない二人に対し少女は答える。

 

「だから言ったでしょ?私の能力は『超能力』でも『魔術』でもない、『神の御業』なの」

「あんた達凡人が敵う能力じゃないのよ。さてもう時間もないし終わらせようかな」

「な、何をするつもりだ・・・?」

「ん?簡単な事よ。ちょっと常識に介入するの」

「どういう意味・・・」

 

麦野が何か言おうとした瞬間、彼女が発した。

 

「ねぇ?人体にとって酸素は必要不可欠よね?でも、もしその常識をこう書き換えたらどうなるかしら?」

「『酸素は人体にとって猛毒である』ってね」

 

その瞬間、二人の女性の苦しむ声が響いた。

 

「どう?人体にとって必要であるはずの酸素で苦しむ気分は?」

 

二人を嘲笑するかのように少女は言った。しばらくすると、騒ぎを聞きつけた警備員(アンチスキル)が駆けつけてくる音が聞こえた。

 

「あら?さっきの騒ぎで気づいちゃったか。仕方ない、ここはまた今度にするかな。今回は久しぶりに楽しめたし、これくらいで勘弁してあげるわ」

 

少女がそう言うと、二人の女性から苦しみの表情が消えた。少女が去っていこうとすると麦野が弱々しい声でこう尋ねた。

 

「お前・・・な、名前は・・・」

「私の名前?私の名前は、ルーナ=イデアール。この世界の理に介入する者」

 

その夜、二人は病院へ搬送された。

 

 




3話目も読んで頂きありがとうございます!
今回の話で彼女の能力の大まかな感じは分かってもらえるとありがたいです。

誤字脱字や批評、その他何かありましたらご連絡下さい。
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