とある魔術の常識崩し   作:XY

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6話目です


第6話 一つの可能性

「毎度ありー」

 

いつも通り空賀(くが)無能力者(レベル0)幻想御手(レベルアッパー)の売買をしていた。

 

「順調ね」

 

一人の少女が壁にもたれながら話しかけてきた。彼は特に振り向く動作もせず会話を始めた。

 

「まあな」

「『アイテム』の二人を病院送りにしたそうね」

「病院送りにはしてねぇよ、戦意を喪失させただけだ。それに病院送りにしたのはリーダーの方だろ」

「あれ?知ってた?」

錯誤(さくご)から聞いたよ」

「ホント、耳の速いヤツね」

 

いつの間にか彼も壁にもたれかかって話していた。

 

「あと、施設破壊もやってんだって?大丈夫なのか?」

「あら?私の事心配してくれてるの?」

「そうじゃない。計画についてだよ。あまり目立つと『学園都市総括理事会(うえ)』からも目を付けられかねんぞ。アレイスターは俺達の事知ってるんだろ?」

「ええ。ローラ=スチュアートとの会話を聞く限りね」

「大丈夫なのか?」

 

心配する彼だが、少女は特に心配をする仕草は見せない。

 

「問題ないわ。『あれ』にはバレないように妨害術式を何重にも施してあるし、バレたところで邪魔するヤツは叩きのめせばいいだけよ」

「10歳の子が使う言葉とは思えんな。相変わらず」

「この見た目の方が都合が良いからね。精神年齢は20歳台よ?」

「人は見かけによらんとはこの事だな」

 

いつの間にか話が脱線している二人だが、ここで空賀が話を切り替える。

 

「んで、本当の用は何だ?まさかこのくだらないをしに来たわけじゃないよな」

「ああ、そうだった。ちょっと面倒な事になりそうなのよ」

「面倒?」

「イギリス清教の魔術師二人が『幻想殺し(イマジンブレイカー)』と接触したみたいなの。その魔術師の名前は、ステイル=マグヌスと神裂火織(かんざきかおり)

「それのどこが問題なんだ?邪魔するヤツは叩きのめすんでは?」

 

彼の質問に彼女は少し強めの口調で言った。

 

「勿論そのつもりよ。聖人だろうがなんだろうが潰すわ。それより問題なのは『幻想殺し(あいつ)』よ。『幻想殺し(あいつ)』自体には魔術の知識はないけど、もし魔術師を介して知られれば、間違いなく動くわ。いくら術式を張ってもあの右手に触れられちゃえば一発で終わりだからね」

「でも何か対策はしてあるんだろ?」

「ええ、それを含め錯誤に『幻想殺し(あいつ)』の監視をさせてるわ。今日来たのは注意喚起よ。バレないようにね」

「そんなヘマはしねぇよ」

「頼もしわね。それじゃ引き続きお願いね」

「ああ」

 

二人は別々の方向に行き、そして暗闇に消えていった。

 

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「お姉様、いつまで引きずってらっしゃいますの」

 

いつも帰り道、御坂(みさか)白井(しらい)は一緒に帰りながら話していた。御坂は悔しそうに答えた。

 

「だって悔しいじゃない!能力が分かっていた上で負けたのよ!次あったら絶対に倒してやるんだから!!」

「お姉様ったら・・・。それにしてもあの水谷(みずたに)という方、あれは間違いなく大能力者(レベル4)クラスですわね」

「私を負かしたんだから、そのぐらいじゃないと困るわよ」

 

ただ、と白井は付け加える。

 

「どうやら『書庫(バンク)』と食い違いがあるみたいですの。水谷さんにしても、介旅初矢(かいたびはつや)にしても。どちらもレベル2、信じられませんわ」

 

その事実を聞かされ、御坂は驚いた表情で食いつく。

 

「そんな訳ないでしょ!だって、あれだけの能力があってレベル2なんて・・・」

「お姉様、落ち着いて」

 

白井に言われ、御坂は冷静を取り戻す。

 

「何にせよ、今回の事件は分からない事が多すぎですわ。お姉様も軽はずみな行動は控えて下さいですの」

「分かってるわよ」

 

そこへ知り合いが声が聞こえた。

 

「御坂さーん!白井さーん!」

「「佐天さん」」

 

 

「やっぱ、夏はかき氷ですよね」

 

佐天の提案で三人はかき氷を出店に注文しに来ている。御坂と白井はいちご味、佐天はレモン味を注文した。

 

「不思議なものですわねー、風鈴の音を聞くだけで涼しくなった気がしますわ」

「そうですよね」

 

二人のその会話に、御坂がお金を払いながら入る

 

「共感覚性ってやつね」

「「共感覚・・・?」」

「一つの刺激で複数の感覚を得る事よ」

「へぇー」

 

三人分のかき氷も来たところで、近くのベンチに腰掛ける。しばらく話しながらかき氷をたべていると、御坂が佐天にある事を聞いた。

 

「そういえば、初春さんは一緒じゃないの?」

「今日風邪で休んだんですよ。だからお見舞いに行く途中なんです」

「大丈夫なの?」

「大したことはないって言ってたんですけど、やっぱ心配で・・・。良かったら、二人も来ませんか?」

 

 

「というわけで、みんなで来ちゃいましたー」

「「お邪魔」」「しまーす」「いたします」

 

佐天に誘われ、二人は初春の住むマンションに来ていた。

 

「初春さん、具合はどう?」

「だいぶ良くなりましたよ。今からでも仕事にふっ・・・」

「病人は寝てなさい」

 

佐天に止められて初春は再び横になる。

 

「あ、そうだ白井さん。 虚空爆破(グラビトン)事件について何か進展はありましたか?」

「なんとも言えませんわ。分かったのはあの犯人の能力がレベル2だということだけですの」

「そうですか・・・」

 

 

白井と初春はため息をついた。と、そこへ佐天がタオルとお茶を持ってきた。御坂も白井も一息入れたところで、御坂が思い出したように佐天に質問した。

 

「そういえば、佐天さん。前に幻想御手(レベルアッパー)がどうとか言ってなかったけ?」

幻想御手(レベルアッパー)?」

 

白井が不思議そうな顔をして二人に詳しく聞き始めた。

 

「能力の強度(レベル)を上げる?」

「噂ですよ、噂。実態もよく分かってないんです」

 

その話を聞いて、白井は少し考え込む表情をする。

 

「実は他にも被害状況と実際の能力の強度(レベル)が異なる場合が報告されてますの。もしかしたら本当に・・・」

「佐天さん。他に何かない?」

「えっ!?えーっと・・・」

「これじゃないですか?」

 

初春がベットから身を乗り出し画面を見せてきた。どうやら掲示板のようだ。

 

幻想御手(レベルアッパー)を使った人達が書き込みをしてるみたいなんですよ。それにホラ。ここによく集まってるみたいなんです」

「お手柄ですわ、初春!そいつらに話を聞けば・・・!あとは私に任せて、貴方はちゃんと休養を取ってくださいですの」

「ありがとう!初春さん!行ってみるわ。あ、あとお大事に!」

「えっ!?ちょっとお姉様!それは私の仕事ですの!」

 

二人の声が段々と遠のいていった。部屋が静かになり、最初に喋ったのは初春だった。

 

「大丈夫ですかね?」

「大丈夫でしょ。学園都市が誇る超能力者(レベル5)大能力者(レベル4)だもん。私達が行ってもね・・・。私も幻想御手(レベルアッパー)使えば、強度(レベル)上がるのかな・・・?」

「佐天さん・・・。あっ、でもズルはダメですよ!ズルは」

「わ、分かってるよ。大丈夫、使ったりしないって!それより『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』について、ちょっと教えて欲しいんだけど・・・」

 

 




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