とある魔術の常識崩し   作:XY

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8話目です


第8話 真犯人

「だから! 『書庫(バンク)』にないのはそっちのミスでしょ!」

 

ルーナは今、風紀委員(ジャッジメント)第一七七支部にいた。決して、悪い意味で連れてこられたわけではなく、どうしてあの場に居合わせていたかと彼女が能力を行使した所を一部ではあるが白井(しらい)に見られてしまい、それについての話があり連れてこられたのだ。

 

「しかし『書庫(バンク)』に不備があるとは思えませんし……」

 

ここで一つ確認をしておくが、ルーナという少女は学園都市の学生ではない。立派な不法侵入者だ。だから『書庫(バンク)』に彼女の情報がないのは当然で、白井の言っている事は正しいのである。

 

だが、今だけはルーナが言っている事が『常識』になっている。彼女は今この時も能力を行使し、ルーナは学園都市の学生ではない、という常識に介入し、ルーナは学園都市の学生である、と書き換えたのだ。しかし、あくまで書き換えたのは人々の認識だけで、『書庫(バンク)』の情報には介入していない。その為、学園都市の学生(そう認識させている)であるのだが『書庫(バンク)』には記載がない、というおかしな状況になっているのだ。

 

「能力の件はもういいですわ。あとでこちらで確認致しますの。もう一つ聞きたいのは、なぜ貴女があの場に居合わせていたのか」

「何でって、う~ん……」

 

彼女は思案した。素直にたまたま、と言ってもいいのだろうが、ここで彼女の悪知恵が働いた。

 

(あの研究者と超電磁砲(レールガン)をぶつけみるのも面白そうねぇ)

「ちょっと幻想御手(レベルアッパー)について調べてたの。そしたら、それを巡ってトラブルになっていたところを見つけて、行ってみたら佐天(さてん)さんが襲われてたわけ。だから助けたのよ」

「佐天さんの件については感謝していますわ。それで、幻想御手(レベルアッパー)について何かお分かりになったんですか? もし、何か情報があるのでしたら・・・」

 

ルーナはニヤリと笑った。だが、それに気づいた人は誰もいない。

 

「まあ情報は多い方がいいからね。私が調べた限りだと、幻想御手(レベルアッパー)って曲なんでしょ?」

「ええ。先日捕まえた方もそう言っていました。聞いただけで強度(レベル)が上がるなんて、にわかには信じられませんが」

「私が考えるに曲自体に五感に働きかける何かがあるんじゃないかしら?」

 

彼女の推察を初春(ういはる)が否定する。

 

「ですが木山先生っていう方がいうには、『学習装置(テスタメント)』と呼ばれるような物で五感に働きかける事で初めて強度(レベル)が上がるみたいなんです。だから、曲……つまり聴覚だけで上げるのは不可能だとおっしゃってました」

 

初春のその発言すら予想していたかのように彼女は間髪入れずに答えた。

 

「ええ、だからその曲で複数の感覚を同時に刺激する事で、その『学習装置(テスタメント)』と同じ効果を得ているんじゃないかな、って思うんだけど・・・。まあこれは私の勝手な推察だから気にしないで。じゃあ私は帰るわ」

 

事実確認も取れ特に引き止める意味もないので、白井は一言挨拶し彼女を帰した。

彼女が出て行ったあと、白井達はさっきの事について話し合っていた。

 

「曲自体が五感に働きかける……いったいどういう事なんでしょう?」

 

初春が白井に声をかけるが、当の本人は頭に手を当て考え事をしているようだった。

 

「どうしたんですか? 白井さん?」

「実はどこかで似たような話を聞いたような気がして……」

 

うーん、と白井が考えているとそこに一人の来訪者がやって来た。

 

「おーす。黒子、何か分かった?」

 

やって来たのは御坂(みさか)だ。頭を抱えて考えている白井を見て、御坂は声をかける。

 

「何悩んでるのよ?」

「実は、幻想御手(レベルアッパー)に五感に働きかける何かがあるではなにか、という推察をした方が先程までいまして、それを聞いた時から私何か引っ掛ているんですの」

「ああ。それなんだけど、前かき氷食べた時の事覚えてる?」

「ええと、食べ比べ……?」

「いや、そっちじゃなくて」

 

苦笑しながら御坂は続けた。そして白井も閃いたらしく二人で仲良くを口を揃え

 

「「共感覚性!」」

「共感覚性?」

 

初春の頭に?マークが浮かんでいるのが見えるが、白井は興奮気味に続けた。一通りの解説を受け、初春は理解した。

 

「つまり、音で五感を刺激して『学習装置(テスタメント)』と同じような効果を得ている、と。木山先生に連絡してみます」

「頼みますわ」

 

 

木山先生にその事を伝え結果待ちをしている中、予想だにしない事態が起こってしまった。初春の同級生である佐天涙子(るいこ)幻想御手(レベルアッパー)を使ってしまい、その副作用で倒れてしまったのだ。他の使用者と同様に外傷はないのだが、意識だけが戻らない状態になっている。初春は佐天を助ける為木山先生の元へ、御坂と白井は佐天が搬送された病院に来ていた。

 

「君達、ちょっといいかい?」

 

カエル顔の医師に声をかけられ、御坂達はついて行った。その先でモニターを見せながら説明された。

 

「これは被害者の全脳波パターンだ。脳波は指紋と同じようにみんな違うんだね。ところが、被害者には共通の脳波パターンがある事に気がついたんだよ」

「どういうことですの?」

 

白井が医師に詰め寄る。

 

「もし、誰か他人の脳波パターンで無理やり脳が動かされているとしたら、人体に大きな影響が出るだろうね」

「そんな事、一体誰が……」

「それを調べるのは君達の仕事だろ?」

 

 

「私の所為なんです……」

 

初春は今、木山の元にいた。佐天をいち早く助ける為にここに来ていた。

 

「あまり気に病むな。友達が目覚めた時に君が倒れていては意味がないだろう?」

「……はい」

「よろしい。コーヒーでも淹れてこよう。少し待っていてくれ」

 

木山が部屋を出る。一人になった初春の目に一つの紙が目に入る。

 

「これは……全部、共感覚性の論文。何で……? この名前って……!」

「いけないな。勝手に他人の研究成果を見るのは」

 

 

御坂と白井は一七七支部に戻り、脳波パターンを『書庫(バンク)』に載っているものと照合する作業をしていた。その作業中にこの支部の一員である固法美偉(このりみい)が参加した事により、作業スピードは格段に上がった。そして、その脳波パターンはある人物と一致した。

 

「出たわよ。脳波パターン一致率99%!」

「「!?」」

 

そこに映し出された人物は二人がよく知っている人物だった。二人は思わず声を失う。

 

「「木山……春生!」」「初春さんが!」「初春が!」「「危ない!!」」

 

 

 




8話目も読んで頂きありがとうございます!
御坂編では、オリキャラはあんまり絡んできませんが、上条編ではかなり絡ませていこうと思うのでお願いします。

誤字脱字や批評、その他何かありましたらお願いします。
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