FGO ANOTHER TALE   作:風仙

160 / 301
第160話 盗難事件

 幸いミス・クレーンは気付けをするとすぐ目を覚ましたが、その時たまたまジャンヌとジャンヌオルタが並んでいたのでまた溶けてしまった。

 

「ひぅぁ……!? こ、これは聖女様の妹様!? 光の姉と闇の妹!? エモい……はぅ」

「あらあら、やはり部外者からは姉妹に見えてしまうのですね。ふふっ」

「何たわけたこと言ってるのよこの節穴! 2度も気絶してないで起きなさい!」

 

 まあ今回は怒ったジャンヌオルタが斜め45度からのチョップをかましたおかげですぐ正気に戻ったけれど。

 

「え、ええと……それで、何のお話だったのでしょうか?」

「いえ、こうして出会ったのも何かの縁でしょうから、ちょっと話でもできたらいいなと思っただけですよ。

 私たちのことは女将さんに聞いたのですか?」

「はい、とてもお強い方々だと伺いました」

 

 クレーンは続けて3回も溶けたらさすがに恥ずかしいと考えたのか、気合いを入れて余所行き用のたおやかで礼儀正しい振舞いになっていた。

 カルデア側としては面倒がなくて有難い限りである。

 

「あ、申し遅れました。私、ファッションデザイナーをしているクレーンという者です。

 この旅館では『夕』と名乗っておりますが」

 

 「夕」というのは「夕鶴」という戯曲(ぎきょく)で人に化ける鶴が名乗っていた名前である。やはり彼女は「鶴の恩返し」の鶴で間違いないようだ。

 

「しかしまさかこのような地でまたカルデアの方とお会いするとは……。

 ロマニさんは息災でいらっしゃるでしょうか?」

 

 クレーンが自分から声をかけてきたのはカルデアに知人がいるからのようだったが、部下がサーヴァントと知り合いだったと聞いたオルガマリーは当然黙ってはいられなかった。

 

「!? み、ミス・クレーン!? 貴女もしかしてロマニと会ったことがあるのですか?

 あ、私はカルデアの所長のオルガマリー・アニムスフィアという者ですが」

「え、所長さんですか。これは失礼しました。

 はい、実は魔力が尽きて退去しそうになっていた時に偶然出会いまして。ご厚意に甘えて、ロストルームという所にしばらく住まわせていただいたことがあるのです」

「ほほぅ。トップに無断でサーヴァントを連れ込むとは、やってくれたわねあの優男」

 

 オルガマリーが右手で拳を握って左手でそれを包む仕草をすると、クレーンはちょっと怯えた顔をした。

 

「あ、あの……私を住まわせたのはそんなに悪いことだったのですか?」

「いえ、私の許可を得ていれば、そこまで問題視するほどのことではなかったのですが。

 ……もっとも以前の私からそんな許可を得るのは難しかったでしょうけれど。

 それで、貴女が今ここにいるということは、いったんカルデアから出て行ったということですか?」

「はい、あまり長く居座ってはご迷惑でしょうから、魔力が回復したらすぐに」

「そうですか……」

 

 事情はおおむね理解した。ロマニはあとでシバくが、クレーンを責める必要はあるまい。

 彼女がこの特異点をつくった黒幕とは思えないし、敵対もしてこないだろう。むしろ勧誘すればまたカルデアに来てくれるかも知れないが、初対面でいきなりというのはさすがに気が早い。

 そういえばクレーンは温泉に行くところだったようだから、そろそろお暇するべきだろうか。オルガマリーがそう考えた時、クレーンが話題を戻してきた。

 

「それにしても温泉が開放されるなんて。これでお客さんも少しは増えるでしょうから、女将さんもきっと喜んでおられますね。

 最近は本当に減ってしまっていますから」

 

 クレーンは単なる世間話のつもりなのだろうが、カルデア側にとっては深い意味を持つかも知れない話だ。オルガマリーは平静を装いつつ、さりげなく続きを促した。

 

「確かに旅館で温泉に入れないのはつらいですわね。

 しかしそれ以外の理由もあるのですか?」

「ええ、あくまで又聞きの話ではありますが……。

 何でも、500年ほど前にこの旅館で盗難事件があったそうで」

 

 それもただの盗難ではなく、被害者はかの「竹取の翁」で、盗まれたものは「仏の御石(みいし)の鉢」「蓬莱(ほうらい)の玉の枝」「火鼠(ひねずみ)(かわごろも)」「龍の首の珠」「燕の子安貝」の5点だという。

 旅館側は犯人を捕まえてこれらの宝物を取り返すことができなかったので、責任を取らされ、巨額の賠償金を背負わされたのだった。

 しかも閻魔亭は物盗りの悪評が立って客が減ったため、今では賠償金の利息を払うのが精一杯という惨状になっているのだという。

 

「………………」

 

 オルガマリーは自身の状況と引き比べて思うところはあったが、それを顔には出さなかった。

 

「なるほど、あの女将さんも苦労しているのですね。

 しかしずいぶん長話してしまいましたが、貴女は温泉に行くところなのでしょう? 私たちもそろそろ部屋に帰りますので、また明日お話しませんか」

「はい、喜んでっ! それで皆様はどの部屋にお泊まりなのですか?」

 

 何しろカルデア一行には、ジャンヌ姉妹の他にもダイヤの原石のような逸材が何人もいるのだ。クレーンとしてはプロデュースとまではいかずともお話くらいはしてみたいし、よければ服を贈らせてほしいなどとも思っていたりする。

 

「翡翠の間です。ずっと室内にいるわけではありませんが、お待ちしていますね」

 

 オルガマリーはオルガマリーでクレーンをカルデアに勧誘したいと思っているので、愛想よく部屋名を教えていた。合意に達するのは時間の問題といえよう……。

 

「はい、ではまた明日!」

 

 部屋名を教えてくれたからには、社交辞令ではなく本当に訪問してよいのだ。クレーンは喜びのあまり、スキップしながら去って行った。

 オルガマリーはそんな彼女の後ろ姿を苦笑しながら見つめていたが、会話の声が届かない距離になると笑みを消して光己たちに向き直った。

 

「……それじゃ、私たちも帰りましょうか」

「……はい」

 

 光己たちもさすがに深刻な顔になって、翡翠の間に引き揚げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 一行は部屋に戻ると、まず防音の魔術を施してからクレーンの話についての会議を始めた。

 

「……バカな話もあったものね。盗難の責任をホテル側が負うなんて、いったい何時(いつ)の時代の話なのかしら」

「いえ、神代(おおむかし)のままのルールですよ、ここ。隠れ里なんですから」

 

 オルガマリーの憤懣(ふんまん)は玉藻の前に軽くいなされてしまったが、これはずいぶん怖いことなのではなかろうか。

 

「ええー……でもさっきの話だと、警察とか盗難保険もないんでしょう?

 それじゃ旅館経営なんてリスキー過ぎてやってられないんじゃない? いえ閻魔様ならむしろ警察側だから自分たちで逮捕……できなかったから借金負ったわけよね。

 やっぱりリスキーだわ。女将さんよく500年も続けてられたものね」

 

 全人類の命運がかかってるとかじゃなくてただの旅館であるならさっさと投げ出してしまえばいいのにとも思うが、女将にはおそらく何か譲れない想いがあるのだろう。

 それを問い質そうなんて不躾なことは考えないが、共感は覚える。

 

「いえ、もちろんただのお客に過ぎない私たちがとやかくいうことではないのだけれど。

 でも私たちが『この旅館の近くに』呼ばれた理由だとは考えられないかしら?」

 

 なのでまずそう言って皆の意見を求めてみると、光己が手を挙げて発言を求めた。

 

「はい、どうぞ」

「はい。舌『斬り』雀と鶴の恩返しに続いて竹取物語ってもうホントに日本昔話のオンパレードでびっくりしてるんですけど、ぶっちゃけ翁が盗まれたっていう『5つの宝』って偽物か、盗まれたという話自体が嘘だと思うんですよ」

「はあっ!?」

 

 いきなりちゃぶ台返しをされたオルガマリーが裏返った声を上げる。何か根拠があるのだろうか?

 

「あー、所長は日本人じゃないから竹取物語なんて知らないですよね。俺も文章暗記してるわけじゃないんで、軽くあらすじだけお話しましょうか」

 

 竹取物語というのは平安時代前期、ちょうど清姫の生前の頃に成立した物語である。

 昔ある所に竹取の翁という者がいて、竹を取って食べたり売ったりして暮らしていた。ある日根元が光る竹が1本あって、よく見てみると中に身長9センチくらいの女の子がいるではないか。引き取って娘として育てることにしたのだが、それ以降黄金が入った竹を見つけることが何度もあって大金持ちになった。

 娘は娘で驚くべきことに、たった3ヶ月で成人女性になってしまった。しかもすごい美人なので求婚者が大勢訪れたが、「なよ竹のかぐや姫」と名づけられたこの娘は邸内に隠れていて、姿を見ることすら難しかった。手紙の類には返事すらない。

 それでほとんどの者は諦めたが、色好みの公達(きんだち)が5人、最後まで残った。

 そこでかぐや姫は公達たちに例の5つの宝の名を挙げて、これを持ってきた者と結婚すると告げたのである。

 

「それでどうなったの?」

「はい。偽物を持ってきた人はバレて破談になったのと、あとは見つけることができなかった人だけですね。どれが偽物だったのかまでは覚えてませんけど」

「つまり本物は1つもないってわけね。それじゃやっぱりここに来た翁は嘘ついてたってことじゃない!」

 

 オルガマリーは憤慨したが、これだけで翁を断罪するわけにはいかない。

 

「いえ、これはあくまで昔話であって、すべてが事実とは限りませんから。

 ただ翁が5つの宝を自分の物にするためには、まず5人の公達が全員本物を持ってきて、しかも姫が全員と結婚しなきゃいけないんですよね。

 その上で、姫が月に帰る時に宝を持っていかず、公達たちに返しもせず、翁に全部渡してようやく、翁が宝を持って旅行できる状態になるわけです」

「ちょっと待って。その姫って地球人じゃなくて月人なの?」

 

 光己の話の大部分は筋が通ったものだったが、1ヶ所だけおかしな点があった。

 まさか宇宙人が、それも地球に1番近い星に実在したというのだろうか?

 それにしても身長9センチで生まれた者が3ヶ月で成人サイズにまで育つとは、地球人とは生態が違い過ぎる。まあ月の環境は地球とはまるで違うから、地球の常識が当てはまらないのは当然かも知れないが……。

 

「物語の中ではそうなってますね。月人が姫を迎えに来た時は、それを阻止するために帝が送り込んだ軍隊も役に立たなかったとあります」

「へえ……」

 

 なるほど月から地球に来たり姫の居場所を特定できたりするテクノロジーがあるのなら、古代や中世の軍隊なんて軽く蹴散らせるだろう。姫が連れ去られたのは順当である。

 

「でも今の貴方の話だと、翁が5つの宝を所有してた可能性なんてほとんどないんじゃない?」

「そうですね、99.9%サギでしょう」

 

 と光己は思うのだが、1つだけ引っかかることがあった。

 

「でももしサギだったら、閻魔様がすぐ見抜いて悪・即・斬になりますよね。それがなかったってことは、やはり本物という可能性が微レ存……」

 

 閻魔亭で行われた悪事について考察する時は毎回これがネックになるのだが、今回はこの前提もちゃぶ台返しされた。

 

「いえマスター。先生は確かに『閻魔』を名乗ることを許されていますが、裁判官をしているわけではありませんから、その種の権能はお持ちでないのですけれど……」

「……デジマ!?」

 

 光己が壊れた人形のようにぎぎーっと首を回しながら、発言主の玉藻の前にそう聞き直す。すると狐の巫女さんは「はい」と知れ切ったことであるかのように首を縦に振った。

 

「いえ、先生も人並み程度の察し力はあるのですが、清姫さんの真似事はできませんねー」

「…………」

 

 なんてことだ、当然の前提にしていたことがまったくの間違いだったとは!

 しかしこうなると紅閻魔がサギ師に騙されてもおかしくはない。そう判断した清姫が全身から怒りのオーラを噴き上げる。

 

「おのれ外道、人の良い先生を騙して500年もの間売り上げをかすめ取っていたとは……!

 許せません、今すぐ消し炭にしてしまいましょう旦那さま!」

「ま、まあまあ落ち着いて清姫。まだ結論が出たわけじゃない」

「え? それはまあ今すぐというのは確かに気が早かったですが、翁が本物を持っていた可能性など、もはや無いと言っていいのでは?」

「うん、平安時代の貴族に五夫一妻なんてありえないだろうから、ほぼギルティといって言いんだけどね……。

 一応最後の可能性として、姫とは無関係に翁が自分で宝を買ったとか探したという線が」

「1つでも難しいのに5つともなんてとても無理だと思いますが、仮にできたとして、それはもう『竹取の翁』ではないのでは?」

「うん、俺もそう思う」

 

 なのであとはオルガマリーが言ったように、部外者である自分たちが関わること自体の是非についてだが、ここにはこういう事についての専門家がいた。

 

「そういうことでしたら私にお任せを! 宇宙刑事として犯罪の取り調べをするという形なら、女将さんも文句はないでしょう」

 

 そういえばヒロインXXはそんな仕事をしていたのだった。確かに彼女が言う形なら問題はない。

 

「とはいえこの立派な旅館の中で捕り物というのはよろしくありませんので、まずワルキューレさんにアンブッシュで睡眠のルーンをかましてもらって、その後外に連れ出してから銀河警察謹製のスペース自白剤を盛れば真偽はすぐに」

「スペース自白剤って……人道的に大丈夫なものなのそれ?」

「はて、何か問題が? 嘘の自白をさせるわけじゃありませんし、拷問したり長期間拘束したりするわけでもありませんから、むしろ人道に沿っているのでは」

「ええ!? う、うーん、そう言われれば」

 

 オルガマリーはXXの手段を選ばないやり方に異議を唱えたが、確かにXXの言い分にも一理はある。

 

「ではそれで行きましょう。みんな不服はないかしら?」

 

 こうして内心での希望通りの結論を得たオルガマリーだったが、念のために今一度皆の意向を確かめてみたところ、なぜか光己がまた手を挙げた。

 

「あら、まだ何かあるのかしら?」

「いえ、閻魔亭の件についてはそれでいいと思うんですが、全く違うことでちょっと」

「どんなこと?」

「そうですね、所長は『龍の首の珠』の作り方をご存知ですか?」

「え!? うーん、そちら方面はちょっと」

 

 オルガマリーは東洋の神獣についてはそこまで詳しくないようだったが、すると光己はカーマに水を向けた。

 

「カーマは知ってるよな?」

「ええ、もちろん。龍の首の珠、すなわち如意宝珠(にょいほうじゅ)は――――――。

 龍王の脳みそや海獣マカラの脳みそから採れるんですよ」

 

 その時のカーマの凄絶な笑みはまさに魔王を思わせるものでオルガマリーはびくっと体を震わせたが、なぜ彼女がそんな笑い方をしたのかは分かっている。

 

「マカラって確か貴女の……」

「ええ、私のシンボルですね。

 でもそれだけじゃないんです。マカラはヴァルナやガンガーの乗り物(ヴァーハナ)でもあるんですよ」

「ヴァ、ヴァルナ……!?」

 

 ヴァルナといえば古代インドのアーディティヤ神群の最高神にして、天空と司法をつかさどる神である。ガンガーはパールヴァティーの姉とも妹ともいわれる、ガンジス川が神格化された存在だ。

 ガンガーはともかく、ヴァルナはヤバいのではなかろうか。

 

「ヤバいですねー。かぐや姫が求婚者の熱意を測ろうとしたのか、それとも断るダシにしただけなのかは分かりませんけど、どっちにしても個人の都合で最高神の乗り物を殺させようだなんて、無知は罪とはよく言ったものですね。

 月の人にとっては地球の神なんて恐れるに足りなかったという線もありますが」

「……」

 

 確かにこれはヤバい。いやオルガマリーとしてはかぐや姫や竹取の翁が神罰を受けるのはかまわないのだが、関係者だと思われて巻き添えになるのは全力で避けねばならぬ。

 

「もちろん1番悪いのは姫ですが、当人が地球にいないのなら、その不肖の娘の悪事を止めなかった育ての親が責任を取るべきですよね。

 まして用が済んだ後も珠をしかるべき筋に返納せず、地獄の旅館にまで持ち歩いていたとあっては罪の意識自体が無いと言わざるを得ません」

「……」

 

 オルガマリーの感覚でもカーマの言い分は否定できないものだったが、1つだけ穴があった。

 

「でもカーマ神。珠を取りに行った公達がマカラを殺したとは限らないのでは?」

「そうですね。龍王を殺したか、すでに珠を持っていた龍を殺して奪ったという可能性もあります。ですがその場合でも、最初にケンカを売った罪まではなくなりません。

 そもそも三者のうち誰からであろうと珠を奪った時点で、マスターにとって仇になります。竜の遺産を相続した以上、因縁も受け継ぐはずですから」

 

 カーマが光己に目を向けると、光己も当然といった風に頷いた。

 

「そうだなー。暴虐を働いて討伐されたなら仕方ないとして、色欲のために殺されたとなると放置するわけには」

「ちょ、ちょっと待って下さい。殺して奪うなんてことしなくても、話し合いで譲ってもらったという可能性はないのですか?」

 

 そこにマシュが慌てた顔で割り込んだが、光己の返事はつれないものだった。

 

「如意宝珠ってのはつまり小型の聖杯みたいなものでね。だから『ゆずってくれ たのむ!』なんて言われたら、『だめだ!! いくらつまれても ゆずれん』じゃ済まなくて、『矮小なる人間ごときが色欲のために我が至宝を望むだと!? ならば色欲など感じなくて済む世界に送ってやるわ!』って感じになるかな」

「……」

 

 マシュは二の句も継げなかった。

 

「ところでマシュ、アイスソードって欲しくない? ギルガメッシュから分捕った武器にあったんだけど」

「いえ、それは死亡フラグみたいな気がするので遠慮しておきます……」

「おお、さすがシールダー。身を守るセンスはしっかりしてるな」

「……」

 

 どうやら今の台詞はマシュを試したもののようだ。もし欲しいと言っていたら彼はどんな反応をしたのだろうか?

 それはともかく、もし翁が本当に珠を持っていた場合は光己の仇敵になるのは必至のようだ。さらに公達が殺したのがマカラの場合はカーマとヴァルナとガンガーも加わる地獄絵図である。

 

「ではもし公達が珠を入手できていなかったとしたらどうなるのですか?」

「その場合はさっきカーマが言った通り、『ケンカを売った罪』だけになるかな。俺はそれくらいなら気にしない……代わりに閻魔様を騙した罪が確定するけど」

 

 それでも翁が強弁するとしたら「龍の首の珠は偽物だがそれ以外は本物だ」ということになるだろうが、それは後付けにもほどがある。「5つの宝」と言った時点で5つとも本物と主張したと解釈するのが当然だからだ。

 

「つまり翁に『5つの宝を持ってたというのは本当ですか?』と聞いて、答えがイエスだろうとノーだろうとギルティになるんだ。どっちに転んでも勝つと分かってる裁判って愉悦そうだな」

「そもそも龍の首の珠を要求した時点で有罪ですからねー。下手に情けかけたら私がヴァルナに怒られますので、たっぷりお仕置きしてあげましょうね♡」

 

 光己が言葉の内容に似合わぬのんびりした口調で言うと、カーマもそれに乗ってニヤソと笑った。

 その光己の横から清姫が抱きついてくる。

 

「もう旦那さまってば! 『まだ結論が出たわけじゃない』なんて言ってたのはわたくしをじらすためだったなんていけないお方ですのね」

「ああ、ごめんごめん。竹取物語なんて知らない人の方が多いから、しっかり説明しとかないとまずいかなと思ってさ。

 ―――そういうわけで、みんな手伝ってくれる?」

 

 光己が念のためということでサーヴァントたちに意向を確認すると、「99.9%サギ」の時点でみなやる気になっていたので異論は出なかった。

 

「はい、もちろんです! 閻魔様をたばかる不届き者に、我が義を見せてやるとしましょう!」

「はい! シャルルマーニュ大王に代わって、正義を為します!」

 

 特に景虎とブラダマンテは正義派の上に光己と仲がいいので意欲十分な様子である。

 こうしてカルデア一行は(自称)竹取の翁と対決することになったのだった。

 

 

 




 クレーンさんがただ仲間になるだけでは芸がないので、その前に情報を1つ出してもらいました。
 竹取物語の内容知ってる人なら、あの自称竹取の翁の話を怪しむと思うのです。ここのカルデアはそれ以前の理由で殴りますが(ぉ


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。