FGO ANOTHER TALE   作:風仙

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第204話 報告会3

 愛の神(カーマ)みずから性愛の教典(カーマスートラ)を実演指導するという大技でカーマが派手に点を稼いだので、同じくマスターガチ勢の清姫やメリュジーヌが光己に抱きついて点差を埋めようとする一幕があったがそれはさておき。ニューカマーの召喚が無事終わったので、一同は談話室に戻って今度こそ報告会をすることにした。

 特に今回はレイシフトと通信を妨害されるという重大なアクシデントがあったので、技術局にとっても重要な会合である。

 

「実際レイシフトの途中で妙な感覚があったんですよね。

 あの時はアルビオンになったせいかとも思いましたけど、黒幕のジャック・ド・モレーが、聖杯を手に入れるためにいろいろ細工してたみたいなこと言ってましたから、聖杯持ってる魔術系のサーヴァントならこういう妨害工作ができるみたいです」

「ジャック・ド・モレー……確か騎士団の総長だったね。なるほど、無辜られて悪魔崇拝者にされたから、その悪魔経由で魔術を使えるようになったってところかな。

 しかしサーヴァントだけ弾いてキミは入れるようにしたのはどうしてだろうね? それともマスター、あるいはアルビオンの侵入を阻止することはできなかったとか?」

 

 ダ・ヴィンチはさすがの推理力だったが、現時点では分からないこともあるようだ。

 幸い光己はこの問いの答えを知っているので、普通に教えることにする。

 

「モレーによれば、本来は彼女の物だった聖杯が何故か俺の体の中にあるのが判明したから、おびき寄せて取り返そうとしたそうです。

 で、都合のいいことに俺はカルデアのマスターですから、特異点をつくれば来るだろうっていう計画だったみたいですね。だから(マスター)だけ入れてサーヴァントは弾くっていう仕様は意図的だったと思います。

 ……あーでも聖杯なしで特異点つくるなんてできるわけないですから、その辺の前後関係はよく分からないですね」

「「―――!?」」

 

 ダ・ヴィンチと、ついでにオルガマリーとエルメロイⅡ世も目を剥いて一瞬思考停止した。彼は今、何かとても非現実的なことを言わなかっただろうか?

 

「……ええと。私の耳が確かなら、貴方は特異点に行く前から聖杯を体の中に持ってたってことになるのかしら?」

 

 代表してオルガマリーがそう訊ねると、マスター氏はあっけらかんと頷いた。

 

「そうなんですよね。でも異物感とかはなかったですから、いつからあったのかは分からないんですが」

 

 光己はそう言うと、聖杯は実は彼ではなく立香が制御しているので、脳内会話で出してくれるようにお願いすると、脳内少女は特にごねることもなく出してくれた。

 光己の胸元から見慣れた金色の杯が出現するのを見てオルガマリーたちがまた目を剥く。

 

「この魔力、確かに聖杯ね……どういうことなのかしら」

「さあ……!?」

 

 これについては光己にも立香にも見当がつかない。とりあえず聖杯をオルガマリーに引き渡しつつ、質問に対しては言葉を濁すしかなかった。

 

「うーん、まあ分からないものは仕方ないわね……。

 でもそういうことなら、身体検査しておいた方がいいのかしら?」

「いえ、それは大丈夫です。立香がケアしてくれてますので」

「リツカ?」

 

 オルガマリーが小さく首をかしげる。そういえばどこかで聞いたことがあるような名前だが……。

 

「思い出した、確か一般人のマスターの中にそんな名前の人がいたわね。もしかして知り合いなの?」

「はい、俺の幼馴染で、コフィンも隣でした」

「!?」

 

 オルガマリーは一般人マスターの名前まで覚えていたのは立派なものだったが、光己の返事を聞くと表情をぴしりと凍りつかせた。まさか彼だけでなく、親しい人まで爆破テロに巻き込んでしまっていたというのか!?

 それに親しい人がすぐそばでコフィンに入っているとなれば、人理修復に対する切実さとか責任感といったものが重くなって精神的につらくなりそうだし。

 ―――すると光己はその辺の機微に気づいたのかフォローしてくれた。

 

「いえ、気にしないで下さい。所長のせいじゃないですし、むしろこうなったおかげでケアしてもらえてるんですから、めぐり合わせとしては良かったというか」

「…………ありがとう」

 

 オルガマリーは光己のために具体的に何かしてあげられたことは少ないのに、彼はいつもこうして気遣ってくれる。嬉しいのと申し訳ないのが半々だったが、それはそれとして彼が言う「ケアしてもらえてる」というのは何なのだろうか?

 オルガマリーがそれを訊ねると、光己は何やら途方もないことを言い出した。

 

「立香が言うには、俺たちがいうレムレムレイシフトと同じ理屈で意識だけ俺のニューロンに来てるらしいです。それで俺が魔力切れで倒れた時とかドラゴンになった時とかは回復の手伝いしてくれてたそうで」

「……?? それはまあ……絶対にあり得ないとは言わないけど。要は憑依ってことだしね。

 でもええと、こんなこと言いたくないけど幻聴とかじゃないわよね?」

 

 オルガマリーがこう言うのは客観的には妥当というか、光己も逆の立場ならそう思ったであろうから不快には思わなかった。

 なおこの時太公望は(んん? 今マスター「ドラゴンになった」とか言いませんでしたか? 聞き間違いでしょうか)と首をかしげたが、今は話に水を差すのは控えた。

 

「所長がそう思うのは分かりますけど、モレーが俺の体から聖杯抜き取ろうとした時にそれを防いでくれましたから、幻聴という線はないです」

「そ、そう……それなら幻聴ではなさそうね……。

 でもそれならそれで、確か彼女は素人枠だったのに何でそんなことできるのかという疑問が」

「そこはそれ、17年の付き合いですし、ずっと俺のニューロンの中にいたそうですから色々練習してたんじゃないでしょうか。あるいはアラヤの加護という可能性も」

「……そうね、そういうことにしておくわ」

 

 オルガマリーは光己の説明を聞いても完全に納得はできないようだったが、害はなさそうなので深く追及するのはやめておくことにした。

 

「でもそうなると、リツカを貴方のニューロン?から出すのはやめておいた方がいいのかしら?

 いえ、今は彼女を解凍することはできないんだけど。当人は何か言ってた?」

 

 そこは聞いていなかった光己が当人に訊ねてみると「解凍できないならこのままでいい」と言われたのでそのまま伝えるとオルガマリーはほっと安堵したような顔をした。

 

「そう、じゃあとりあえずこのままにしておくわね。

 でも何か希望があったら遠慮なく言ってね。できる限りのことはするから」

 

 といっても実際にできることはあんまりなさそうに思えたが、それでもこう言ったのは立香と光己への誠意のつもりである。素人をこんな修羅場に巻き込んでしまったのだから。

 

「―――それで、ええと。じゃあリツカの件は今はここまでとして、レイシフトした後はどうなったの?」

 

 そして話を元に戻すと、光己も立香関連のことはとりあえず話し終えたと判断してオルガマリーの質問に答えることにした。

 ちなみに新米の太公望はこの時点で(人類最後の砦とはいえ、ずいぶんキテレツな所に来たものだなァ……)などと思っていたが、この程度はまだ序の口だったりする。

 

「気がついた時は洞窟の奥でしたね。マシュたちがいなくてびっくりして、通信も反応なくてどうしようかと思ってたところに頭がカボチャで胴体が西洋甲冑の兵士が5~6人くらい現れまして。

 ぼっち状態だったんで関わり合うのは避けて熾天使形態(ゼーラフフォルム)で洞窟の外に脱出したんですけど、今度は頭がカボチャで首から下が骸骨な奴らまでいたんで2度びっくりです」

 

 またトンチキなのが来たようだ。崑崙(こんろん)山にも黄巾力士(こうきんりきし)という仙術ロボ、こちら風にいえばゴーレムがあったが、その類であろうか? 一介の道士としては好奇心がそそられてしまう。

 あと熾天使形態とは何なのだろうか?

 

「後で判明したんですけど、これ俺を捕えるためにモレーがつくって特異点各地に送り出してたゴーレムなんですよね。頭がカボチャなのはハロウィンだったからということで」

「「……は?」」

 

 これには太公望もオルガマリーたちも目が点になってしまった……。

 ハロウィンとはいったい。

 

「や、俺もそこはよく分からないんですけど。

 ともかくその洞窟があった山の頂上まで避難してから、お姉ちゃんとジャンヌオルタとメリュに来てもらったわけです」

「なるほど、レイシフトの到着先を固定した上で捕縛部隊を送り込んでたってわけか。

 だとしたら敵がその程度の数で良かったというべきなのかな? 周到なのかおざなりなのかよく分からない敵だね」

 

 するとダ・ヴィンチがそんなことを言ったが、実際カボチャ兵は100人単位でいたわけだから、もっと大勢送り込むことは可能だったろう。あるいは到着先を1ヶ所に固定することはできず、いくつかの小部隊に分けて複数の地点を巡回していたのかも知れない。

 

「いずれにしても、モルガン女王が言ってた『サーヴァントの侵入を拒む特異点』が実在することが証明されたわけだ。つまり一時召喚の必要性も証明されたのだけれど、これについては今しばらく待って欲しい」

 

 まず「サーヴァントの侵入を拒む特異点」の中でサーヴァントを召喚するというのがなかなか難しい上に、このたびソロモンオルタ対策という難題も出てきたので技術局は忙しいのである。

 一応ひとつの案として、「白夜」のようなサーヴァントを憑依させておけるアイテムを作るというのがあるが、これはそのための素材が非常にレアなので今現在は無理だった。

 

「ほむ、やっぱり難しいですか……。

 じゃあそれはそれとして報告の続きに戻りますと、その岩山の周りは砂漠だったんですが、麓の近くに何故か大きな一軒家がぽつんと建ってたんですよね。しかもそこにサーヴァント反応があるという」

「砂漠に一軒家でサーヴァントがいるって、怪しんでくれと言わんばかりねえ……」

 

 どう考えても黒幕の仕込みの罠である。オルガマリーがそう言ってため息をついたが、情報収集のためにも行かないわけにはいかないのが難儀だった。

 

「はい、でも罠じゃなかったんですよね。家の前にいたのは童話のシンデレラの役を付けられた上で現界したエリザベート・バートリーでした」

「??????」

 

 話がまたトンチキになったせいで、オルガマリーたちの頭の上にはてなマークがふわふわ浮かび上がるのだった。

 

 

 

「ええと、つまりどういうことなの?」

「そうですねえ、戦国時代に行った時に景虎やリリィが殿様だったり後継ぎだったりしたのと同じようなものだと思います」

「あー、なるほど」

 

 そういえば似たような事例は過去にあった。はぐれサーヴァントにもいろいろあるようだ。

 光己は一同の理解が得られたと判断すると、エリザベートが自己拘束(セルフギアス)していたのを光己の呪文で解除したとかそういうしょーもないパートは省いて次のパートに移った。

 

「で、その時にエリザベートがチェイテシンデレラ城に行くとか今はハロウィンだとか言い出したんで、とりあえず当面の行動目標は決まったかな~~、となったわけです」

「そ、そう。大変だったわね」

 

 オルガマリーにはもうその言葉しか思い浮かばなかった……。

 こんなトンチキな仕事でも投げ出さずに果たしてくれる光己には本当に頭が上がらない。

 

「はい、どう致しまして。

 といっても城がどこにあるかは分からなかったんですが、そこにバーヴァン・シーたちが現れまして」

 

 光己はそこまで語ると、ここは当人に譲るべきかと判断してバーヴァン・シーに目を向けた。

 すると妖精少女も自分で語りたいと思ったのか、今までモルガンの隣にいた席から立って光己のそばに腰を下ろした。

 

「私は気がついたら特異点にいた、いわゆるはぐれサーヴァントってやつなんだけど、私もなぜかシンデレラの義姉っていう役を付けられてたんだよな。

 んですぐそばにカーミラっていう女がいたんだけど、こいつはエリザベートの10年くらい後の未来の姿でエリザベートとは相容れぬ関係らしくて、ついでにシンデレラの義母の役もついてたんだ」

 

 その時バーヴァン・シーは自分が何をしていいかまるで分からなかったので、童話の役柄上の関係とはいえ親子だからカーミラについて行くことにしたわけである。

 ただここで、バーヴァン・シーには声を大にして述べておかねばならないことがあった。

 

「でもお母様、誤解しないでね! 私のお母様はお母様だけだから!

 カーミラについて行ったのは他に行くあてがなかったからで、用が済んだらポイ捨てしたから!」

 

 その弁明は21世紀の汎人類史のモラル的には少々問題があるものだったが、モルガンは満足げに大きく頷いた。

 

「うむ、よくやった。それでこそ我が娘だ」

「えへへ~~」

 

 娘が母に褒められて喜んでいる絵面自体は大変微笑ましいのだったけれど、やはり異聞帯ともなるとモラルや常識も違うのかも知れない……。

 

「それで、その後どうなったのだ?」

「うん、カーミラと手下のカボチャ兵たちと一緒に少し歩いてたら、今マスターが言った一軒家についたんだ。エリザベート(シンデレラ)を襲撃しに行ったのか、単に自宅に帰るつもりだったのかは分からないけど」

「ふむ、それで我が夫たちと遭遇してこちら側についたというわけだな」

「うん、メリュジーヌがお母様がいるって教えてくれたから。

 その時のカーミラの間抜け面は傑作だったな! そこですぐ逃げたのは、見た目歳喰ってるだけあって判断速かったけど」

 

 あの後現れた黒髭や武則天も逃げ足は速かったが、静謐のハサンのように最後まで戦う者もいたのでこの辺は人によるようである。

 その後バーヴァン・シーはメリュジーヌと一悶着あったが、皆に語るような話ではないので飛ばした。

 

「その後はメリュジーヌに仲介してもらってマスターと契約して、その次は……ええと、砂漠にいるっていうサーヴァントを探しに行ったんだっけ」

 

 正確には契約してから砂漠に行く前に靴箱の件があったが、それは家探しの件と一緒に話した方が分かりやすいだろう。そう判断したバーヴァン・シーは自分の役目はこれで終わりということにして、モルガンの隣に戻った。かなりはしょったが、問題はないと思う。

 そして次の語り手としてゼノビアが進み出る。

 ここで光己としてはスタイル抜群の高露出美女が隣に座ってくれたのはいいが、彼女が下着姿である理由はまだ判明していないので、じっくり鑑賞するのは避けてチラ見程度にとどめねばならない。

 

「ふむ、私の番か。私もはぐれサーヴァントだが、同じ時代の現地人だったからか童話の役は付けられなかったな。

 最初は私も何をしていいか分からなかったが、しかしいろいろ見て回っている内に、地形を変えられていたり怪しい盗賊がいたりといった異変が起きていることが分かった。それを解決するために、まずは近辺を調査していた時にマスターたちに遭遇したんだ。

 いやジャンヌはサーヴァント探知ができるそうだから、発見されたというべきか」

 

 そこまで言うと、ゼノビアはちょっとバツが悪そうな顔をした。

 

「その時マスターが接近してくるのを見てつい宝具を使ってしまったが、サーヴァントとはいえ人間が巨大な竜に先制攻撃されたら一巻の終わりなのだからそこは勘弁してほしい」

「あー、それはもういいよ。話がついたことだから」

 

 光己が鷹揚にそう言うと、ゼノビアも「うむ、ありがとう」と軽く頷いて話を戻した。

 このまた時太公望は(んん? やっぱりマスターはドラゴンということになるんでしょうか? しかし21世紀の表世界に竜種など存在しないはずなのですが……!?)とさらに首をかしげたが、他の人は誰も疑問を持っていないようなのでやはり口出しは避けた。

 

「で、ちょっと信じがたいというか少し自信をなくしてしまうことにマスターには宝具がまったく効かなかったのが逆に良かったのか、すぐに和解できて私も合流したというわけだな」

「なるほど、やっぱり硬いのは正義ね」

 

 するとオルガマリーがうんうんと得心げに頷く。光己が人間でなくなったのは申し訳なく思っているが、そのおかげで彼が死なずに済んで、ひいては人理修復も順調に進んでいるのは喜ばしいことなのだった。

 

「あとジャンヌがついて行けたのはやっぱり大きいわね。サーヴァント探知がなかったら多分出会えなかったわけでしょ?」

「そうだな。あの砂漠は砂嵐がひどくて視界も狭かったから、よほど幸運でなければすれ違いになっていただろう。

 その上敵の真名や宝具まで看破してくれるから戦闘ではとても有効だ」

「やはりお姉ちゃん……お姉ちゃんは全てを解決するな」

「だからいい加減洗脳から抜け出しなさいよ……」

 

 なお当の光己は相変わらずファミパン状態だった……。

 

「その後はもう夜だからということで、先ほど話に出た一軒家に帰ったんだったな?」

「うん。時間移動するんだから仕方ないとはいえ、出発した時と時刻が大きく違うとつらいんだよな……。

 まあそれはともかく。次は家の住人(シンデレラしまい)の許可を取って家探ししたんですよ。特異点修正に役立つ物があるかも知れませんし」

「確かにね……それでどうだったの?」

 

 オルガマリーがそう訊ねると、光己は会心を笑みを浮かべた。

 

「それはもう。今回の仕事は人的な成果は極大でしたが、物的成果も十分でしたよ。

 まずはこれ、バーヴァン・シーから預かってた靴箱。それとバーヴァン・シーが街で買った分もだな」

「おお、ちゃんと持って来られたんだな。良かった。

 ……って、エリザベートの奴が来なかったってことは、金の靴も銀の靴も私の物ってことだよな。やったぜ!」

 

 そして光己がブツを出すと、バーヴァン・シーが大喜びで受け取りに来た。

 バーヴァン・シーはエリザベートのことは嫌いではなかったが、物欲を上回るほどの好意も抱いていないのだった。

 

「あー、そういえばそうなるか。

 戦利品はなるべく公平に分配することにしてるけど、俺が知る限り他に靴集めてる人はいないからバーヴァン・シーの分はそれってことで」

「あー、なるほど、そうなるのか。うん、それでいいかな」

 

 マスターの言い分は妥当である。それどころかバーヴァン・シーの価値観では靴を全部もらえるのは優遇なくらいなので、一も二もなく了承した。

 モルガンへのお土産については、人前で見せるのは気恥ずかしかったので後で渡すことにする。

 

「それじゃ次。まずはいつどこのものかは分からないけど金貨や銀貨と、お高そうな宝石とアクセサリー。この辺はまた後で山分けかな。

 そしてここからはマジックアイテム! この紫色の毛玉を紐でつないだ服はマシュに、こちらのコウモリの羽がついたレオタード風の服はアイリスフィールさんへのお土産にしようと思う。ぜひ後で着てみせてほしい!」

「せ、先輩のえっち学派ーーーー!!」

 

 手渡された服をマシュが見てみるに、マフラーとドレスグローブとタイツとケモ耳はともかく、肝心の胴体部分は三角ビキニ並みの露出度ではないか。箱入り少女は顔を真っ赤にして、服を光己の顔面に投げつけた。

 

「何をするマシュ! それはシバさん公式鑑定済みの、サーヴァントでもパワーアップできるすごい服だというのに」

「え!?」

 

 信じがたいことを聞いてしまったが本当だろうか。マシュがシバの女王に顔を向けると、シバはこっくり頷いた。

 

「はい、本当ですぅ~。その礼装『デンジャラス・ビースト』は攻撃力を高めるのに加えて、文字通り危険な獣のごとく、敵の急所を狙い撃つセンスをも高めてくれるんですぅ」

「えええ!?」

 

 シバの女王ほどの人物がここまで細かく解析したのであれば信じざるを得ない。誰が何の目的でこんなハレンチなデザインにしたのかは想像もつかないが、有効なのは確かだ。

 

「あ、でもそれだと盾兵(シールダー)である私にはアンマッチなんじゃ……」

 

 こういうのは元々軽装かつテクニカルアタッカーのブラダマンテや沖田オルタあたりが使う方がいいのではないかと思ったが、自分が着たくない服を他人に着ろとは言えない。マシュがちょっと悩んでいると、光己がまた口を開いた。

 

「そりゃまあ、性能面より見栄えのマッチングで誰に贈るか決めたからな。マシュだと似合うのはもちろん、俺の前にいることが多いから俺からはしっかり見える上に、前面に盾構えてるから敵、つまり俺以外の男には見られにくいし」

「せ、先輩の超えっち学派ーーーー!!」

 

 マシュは光己の手から服を取り上げて、もう1度彼の顔面に両手で投げつけた。

 

 

 

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