FGO ANOTHER TALE   作:風仙

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第219話 霊墓アルビオン1

 光己たちは追っ手を振り切ると、ひと休みがてらメドゥーサに事情を軽く説明した。

 メドゥーサとしてはアルトリアは別の聖杯戦争で敵ではあったが嫌いではないし、光己は姉2柱からご利益をもらった人だからぞんざいにはできない。それに人類が滅ぼされたら「彼女」が存在しなかったことになってしまうので、この特異点だけのことでもあるし彼らに協力することにした。

 

「分かりました。怪物の私でよければ、手伝わせていただきましょう」

「おお、ありがとうございます!」

 

 姉2柱は純然たる非戦闘員だったが、この末妹は戦闘的な宝具を3つも持っている。腕力も強いみたいだし、頼りになりそうだった。

 ただ光己は別の特異点で彼女にドラゴンブレスをぶっぱしたことがあるのだが、当人は気づいていない、もしくは当地の記憶がないようだからこちらから言い出すこともあるまい。

 

「それじゃそろそろ行きましょうか」

「はい」

 

 光己たちは話を切り上げると探索を再開したが、時計塔は横にも広いが縦にもずいぶん広かった。時々思い出したように襲ってくるヘルタースケルターとスペルブックを撃退しつつ歩いていたが、ふと気がついた時はキロメートル単位で地下に潜っていた。

 

「うーん、まさかここまで広いとは思わなかったな」

「ずいぶん時間が経ちましたし、ジキルさんたちに1度連絡を入れておいた方がいいのでは?」

「そうだな、そうしとくか」

 

 マシュの提案で途中経過を報告してからまた探索を続けていると、街のように人家が並んでいるエリアにたどり着いた。ただし人はいないが。

 ヘルタースケルターとスペルブックは来ないし、魔霧も届いていないから静かな風景だった。

 

「これは一体?」

「そういえば、時計塔には地下の遺跡―――霊墓アルビオンを発掘している人たちがいると聞いたことがあります。その人たちの住居ではないでしょうか? 過去形のようですが」

 

 ふと思い出してそう言ったマシュはこれで光己がこんな地下深くまで来た理由が分かったが、実際にどんなお宝があるかまでは知らない。

 この街にはお宝は残っていないようなので、さらに先を急ぐ一行。

 通路は石造りではなく岩肌が露出しており、しかも空気が今までと違っている。具体的には神秘が濃い。

 

「これは……アルビオンが生きて、はいないんだったね。魔力だけ残留しているか、それともこの土地自体が特別なものなのかな?」

 

 同じくアルビオンであるメリュジーヌが物珍しげに辺りをきょろきょろ見回しているが、仔細は分からないようだった。

 そればかりか、この時代にはいなくなっているはずの幻想種がどこからともなく出現して襲いかかってくるではないか。

 

「やはりこの場所が特殊だからか、それとも単に特異点だからでしょうか? いずれにしても打ち倒していくしかなさそうですね」

「おお、任せとけ父上!」

 

 アルトリアが戦闘態勢に入り、モードレッドもむしろ嬉しそうに剣を構えた。

 今回現れたのはケルピーが5頭ほど、ここイギリスの伝説で語られている、水上を歩ける青い馬である。人肉を好んで喰う上に魅了スキルまで持っているとされる危険な魔獣だ。

 今回は挟み撃ちではないし、一行が皆対魔力が強かったので問題なく倒せたが、この先は不意打ち等を受けないよう気をつけて進むべきだろう。

 

「古来より伝わる神秘の洞窟にて、魔獣を打ち倒しつつ宝を求めて進む勇者一行! まさに神話の一節のごとき状況(シチュエーション)ですな! 吾輩皆様と同行していることを心より嬉しく思っておりますぞ!」

「ならもう少し真面目に働け!」

 

 作家組とモードレッドの掛け合いはもはや風物詩になっていたが……。

 ところで光己の感覚とモルガンや太公望の探知によれば、この洞窟はまだまだ10キロ単位で続いているようである。普通に歩いていては何時間かかるか知れたものではない。

 といって走っていくのは不用心だが、そこで太公望が一案を出してくれた。

 

「では土遁の術を自動車くらいの速さで使いましょう。マシュ殿がスキルで我々を囲むようにドームをつくれば万全ですね」

「なるほど、まさに自動車……!」

 

 さっき遭遇したケルピーくらいなら、逆に加速すれば跳ね飛ばしてそのまま離脱できる。なかなかのアイデアだった。

 それでも一応はなるべく回避しつつ、まさに本物の洞窟のようになってきた通路を飛ばしていく光己たち。やがて周りの雰囲気がまた変わってきた。

 

「これは……この辺り一帯に強力な魔術回路がクモの巣のように広がっていますね。通路はそれを避ける形で続いているようです」

「やっぱりアルビオンの?」

「その可能性が高いですが、最初からこの土地が持っていたものという線もあります」

「うーん、謎は深まる一方だなあ」

 

 モルガンがその変化の理由を説明してくれたが、霊墓アルビオンとは一体何なのか、光己もマシュも首をひねるばかりであった。

 先に進むにつれ、神秘が濃くなると共にデーモンやソウルイーターといった強力なエネミーが出現するようになったので、なるべく回避してさらに進む。

 そしてついに、明らかにいわくありげな大きな空洞に到着した。こここそがアルビオンの心臓が発掘された場所なのだが、光己もマシュもそれは知らない。

 その真ん中に、ちょっと古い感じの議場めいた建物が建っている。

 しかも空洞の岩壁には大きな生き物の背骨と肋骨が埋まっていた。肋骨の内側が空洞になっている形だが、もしかしてアルビオンの遺骨なのだろうか?

 

「…………太公望さん、止めてくれる?」

「分かりました」

 

 どうやらここが目的地らしい。太公望が土遁の術を解除し、マシュも「誉れ堅き雪花の壁」を消すと、一同議場に向かって歩き出した。

 ただ肝心の光己は、何だかぼんやりして夢遊病者のような頼りない足取りである。メリュジーヌが心配して声をかけると、それが刺激になったのか光己が突然変身を始めた。

 

「え、何!?」

 

 いきなりのことでメリュジーヌもマシュたちも反応できず吹き飛ばされ、転倒してしまう。その間に光己は竜モードへの変化を終えると、ふわっと空中に浮き上がった。

 

「先輩!?」

「お兄ちゃん!?」

 

 マシュたちが慌てて呼びかけるが、反応はない。光己はそのまま浮上して天井に接触すると、そのまま溶けるように吸い込まれてしまった。

 

「…………!?」

 

 アルビオンである光己がここに来れば何らかの影響を受ける可能性があることは誰しも予想していたが、吸収されるとまでは思っていなかった。そういえば彼は初めて来る地下迷宮を知っているかのようにナビゲートしていたが、もしかしてこの遺骨が誘導していたのか!?

 

「もう死んでるくせに! お兄ちゃんを返せ!」

 

 兄を奪われて激昂したメリュジーヌが飛び上がって光己が消えた辺りを剣で斬りつけたが、驚くべきことに、いや順当というべきかまったく効き目がない。さすがに彼女と光己の大元だけあって、死後相当な年数が経った今でも桁違いの硬度を保っているようだ。

 かといって変身してドラゴンブレスをぶつけるとモルガンたちを巻き添えにしかねないと考えてためらっていると、何やら地響きのような音が聞こえてきた。

 

「いったい何が……!?」

「これは……何かがここに集まって来てるみたいですね」

 

 太公望がそう言うと、モルガンははっと気がついたような顔をした。

 

「そうか、バラバラになってこの迷宮一帯に散らばっていた遺骨がここに集まろうとしているのだ。我が夫を取り込んだことで生き返って、身体を再生しようとしているのだろう。

 これがこの骨の狙いだったのか!? 何千年も前に死んだはずなのに、よくここまでしたものだ」

「しかし陛下。お兄ちゃんが取り込まれたなら、僕たちも無事では済まないはずですが……?」

「うむ、我が夫は少なくともまだ生きてはいる……しかしこの後どうなるかは予想できぬ」

「お兄ちゃん……」

 

 メリュジーヌにはもはや打つ手がなく、光己が消えた辺りを心配そうに見上げるばかりだったが、現状では別の危険も存在する。

 

「ところでおまえたち。この辺一帯に散らばった巨大な骨がここに集まって来るとなると、その進路に大きな穴が開いて地盤が崩落する可能性があるのではないか?」

「しかもこの空洞はいわば肋骨の内側ですからな。もののついでに我々も餌にされるおそれがないとは言えませんぞ」

「え!? あ、うーん」

 

 作家組の発言は我が身可愛さで自分たちだけ逃げたがっているようにも聞こえるが、実際は客観的かつ必要な指摘である。むろんマシュたちはマスターを残して避難するわけにはいかないが、指摘については考えざるを得ない。

 しかしすぐには善後策が浮かばず考え込んでいると、アルクェイドが手を挙げてくれた。

 

「つまり肋骨の外側に出ればいいわけね。まっかせて!

 えーい、『空想具現化(マーブルストライク)』ーーッ!」

 

 アルクェイドがアンデッド軍との戦闘でも使った隕石めいた落下技を使うと、轟音と共に地面に深いクレーターができた。何とも荒っぽい大技だったが、この底にいれば取り込まれる危険は少ないだろう。

 後は地盤崩落の件だが、これも何とかできるようだった。

 

「要は骨がこっちに来る時にできる空洞が崩れないように周りの土を固くすればいいんでしょ? それなら空想具現化でできるわよ」

「その通りだが、骨の位置を把握できるのか?」

 

 モルガンならずとも気になることだったが、真祖の姫君ともなれば十分可能なことのようだった。

 

「ええ。

 マスターさんが取り込まれたのに生きてるってことは、あの骨がマスターさんの体ってことでもあるでしょ? 幸いサーヴァント契約してるから、パスを通じて感覚共有すれば何とか。

 ()()()()()()()()()()()()()から、パワー不足にはならないしね」

「ほう、真祖とは大したものだな。ならよろしく頼む」

「良かった、お兄ちゃん土砂崩れで生き埋めにならずに済むんだね」

 

 メリュジーヌは諸々の問題や疑問点より、まずそこに思考が行くようだ。

 アルクェイドもそういうのは嫌いではない。

 

「そうね、せっかく契約したんだし、いっちょやってみますか!

 ……って、何これ!? 2キロどころじゃないわよ。その10倍以上あるじゃない」

 

 どうやら遺骨はよほど広範囲に点在しているようだ。アルビオンが地下に潜った時にそうなったのか、死後地殻変動などで散らばったのかは分からないが。

 

「まあここまで来たらやるしかないか。『空想具現化(マーブルファンタズム)』連続使用ぉぉ!!」

 

 いかに出力が上がってもこれは結構な大仕事なのだが、とにかくアルクェイドは地盤崩落を防ぐため土を固めたり支柱を作ったりする作業を始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 一方渦中の光己はといえば。身体はアルビオンに取り込まれて一体化したように思われたが、意識の方は残っていた。ただし失神寸前でぼんやりして、ものを考えるのもままならぬ有り様だったが。

 そこに自分の名を呼ぶ大きな声が聞こえてきた。

 

(光己! 光己! 起きて! 今気を失ったら、2度と起きられなくなるよ!

 ええい、起きなさい! いいから起きろ!! 返事しろー!!!)

 

 どうやらかなり危険な状況らしく、口調と内容がだんだん乱暴になってきている。しかも普通の音声ではなく、立香からの脳内通信のようだ。

 ちょっとうるさいがそのおかげで少し意識がはっきりしたので、まずは彼女の要求通り返事をすることにした。

 

(おお、立香か!? 気を失ったら起きられなくなるってどういうこと!?)

(良かった、やっと声が届いたよ。

 今言った通りだよ。光己は身体はアルビオンに取り込まれて、意識は残ってるけど、アルビオンの身体全体に広がりつつあって、それで薄くなってるの)

 

 元々人間サイズで、竜モードでも体長25メートルの意識だったのだ。それが準備もなく体長2キロにまで拡大されつつあり、密度がどんどん薄くなってまともに働かなくなっているのだ。

 アルビオンの身体は神秘が光己よりはるかに濃いので尚更である。コップ1杯のジュースをプールに放り込んだようなものだ。

 そんな状態で気絶したら最悪は意識が消滅、良くても再起動できなくなるということらしい。

 

(マジか……街に来たあたりからずっとぼんやりしてたけど、もしかしてかなりマズいのか? てかどうすればいいんだ?)

 

 光己は会話はできてもまだかなり朦朧としているようで今イチ危機感が足りない様子だったが、立香は一言も咎めなかった。

 

(そうだねえ。外での会話によるとアルビオンの遺骨は結構広くまで散らばってて、それがここに集まって来てるそうだから、今はそれが終わるまでこのまま耐えてみるべきだと思うよ)

(そっかあ。痛いとか苦しいとかはないんだけど、とにかくぼうっとして力が入らないんだよな……でも寝たら死ぬっていうなら仕方ないからやってみるか)

(うん。光己が消えたら私も貴方のご両親も、もちろんマシュさんたちも悲しむんだから頑張ってね)

(おおぅ、そんなこと言われたら死んでも死ぬわけにはいかんな)

(それはシャレのつもりなのかな?)

 

 こんな状況でもいつも通り仲よく、光己の気つけのために雑談などしつつとにかく遺骨が集まり終えるのを待つ2人。

 

(おおぉぅ、気合い入れようとはしてるけどこれはヤバい……意識がずんどこかすれてく……)

(うん、こっちでも起こす操作はしてるけど、覚醒度の数値がもう寝落ち寸前レベル……とにかく頑張って、今がホント正念場なんだから)

 

 しかし状況は悪くなる一方のようだ。なにぶん光己は勇者や英雄ではなく、メンタル面ではまだ一般人なのだから、精神力の勝負になると分が悪いのだった。

 

 

 

 

 

 

 しかしそこにアラヤ、いやガイアの助けか。また別の女性の声が聞こえた。

 

(あ、もしかして身体感覚つなげたらテレパス回路までつながっちゃったのかしら?

 でも何この金塊を極薄金箔にしてさらに網状にしたみたいなペラペラスカスカ状態。おーい、マスターさん生きてる?)

 

 アルクェイドのようだ。口調はあっけらかんとしているが、一応心配してくれているようである。

 光己が気力を振り絞って事情を話すと、アルクェイドは彼女の状況も説明してくれた。

 

(なるほどね。わたしは散らばった遺骨が集まる拍子に地盤崩落が起きないように空想具現化で土を固めてる最中なんだけど、こうなったら仕方ないわね。マスターさんが落ち着くまでメンタルケアもしてあげるわ)

(おお、そんなことできるのか?)

(あんまりアテにされても困るけどね。それじゃいくわよー)

 

 すると光己は何か精神的な力が流れ込んでくるのを感じて、意識が少しはっきりしてきた。

 これでまたしばらく保ちそうだったが、本人が言った通りさほどアテにできるものではないらしく、意識の拡散が進むと共にまたぼやけてきてしまった。

 

(おおぉ、また落ちそうになってきた……2人とも出力アップお願い)

(うん、これでも最初から全力なんだけどね……)

(わたし、こういうことは慣れてないからなぁ……)

 

 2人がかりの支援でも足りないとは、アルビオンの図体のデカさと神秘の深さは文字通りの桁違いのようだ。

 しかし2人の支援が稼いだ時間は無駄ではなかった。まさに光己が寝落ちしようとした直前、真打ちが忽然と現れたのだ!

 

(良かった、間に合ったみたいだね。私が来たからにはもう大丈夫だよ。

 そう、花の魔術師マーリ……げふんげふん。このレディ・アヴァロンが来たからにはね!)

 

 ちょっと間が抜けてそうな感じもするけれど。

 

 

 

(マーリンっていうと、アーサー王の宮廷魔術師だったというあのマーリン!?)

 

 光己はアルトリアズと契約しているから、マーリンとの縁はあるといえる。しかしレディ・アヴァロンと名乗った者はあくまで自分はマーリンではないと言い張った。

 

(ああ、マーリンは私の兄だよ。でも私個人としては、アーサー王やモルガン王妃とは世界で最も無関係な存在といえるだろうね。

 そんなことより今はキミだよ。気絶したらマズいんだろう? でも私は人間と夢魔の混血だからね、その手のサポートはお手のものさ!)

(おお、そういえば!)

 

 レディ・アヴァロンの台詞の前半は怪しいが、後半は確かにそうだ。これは頼りになりそうである。

 彼女がどんな経緯と理由で今ここに現れて助けてくれるのかは気になるが、それは後回しでもいい。

 夢幻的なまでに美しい若い女性が額にそっと手を触れてくれたような感触の後、光己の意識は急速に覚醒し始めていた。

 

(これはすごい……さすがはあのマーリンの妹、えっと、ればのんさんだっけ)

(寝ぼけてるとはいえその略し方はさすがにどうかと思うよ? ちゃんとレディ・アヴァロンと呼んでほしいな)

(あー、すいません。

 そういえば日本でも領主が領土の地名を姓にすることはよくあったし、それと同じようなもんか……)

 

 アヴァロンというのは人名ではなく地名のはずだが、花の魔術師の妹ならそういうこともあるのだろうと光己は納得することにした。

 レディと付ける時点で敬称込みだから、さらにさん付けする必要はあるまい。エルメロイⅡ世もそうだし。

 いや本当に妹かどうかはすこぶる怪しいが、助けてくれている人をそこまで疑って見捨てられたら大変である。下手に藪を突っつくのは避けることにした。

 

(それで、レディ・アヴァロンはどうして俺を助けてくれるんですか?)

 

 彼女のたおやかな手のひらの感触を味わいつつ光己がそう訊ねると、レディ・アヴァロンはフフッと薄く笑った。

 

(別に深い理由はないよ。

 この洞窟が星の内海(アヴァロン)に通じる路だってことは知ってるよね? 何しろアルビオンの遺体があるんだから。

 で、その遺体で何か騒ぎが起こったみたいだから見に来たら妙なことになってたから、気まぐれで人助けをしてるってわけさ)

(ああ、そういえばマーリンはアヴァロンに幽閉されてるって話がありましたねえ)

(うん、私は閉じ込められてないけどね)

 

 とにかくこれで話がつながった。本当に間一髪で助かった!

 

(でもこう都合よく間に合ったということはあれだね。キミは何か私に所縁のある品を持ってたりしないかい?)

(へ? うーん、アルトリアたちと関係ないと言われると……あ、そうだ。さっきお宝として価値がある花を見つけたから、それかも知れません)

(なるほど、地上に私かお兄ちゃんが残した花か……それなら大いにあり得るね、キミはなかなかの幸運児みたいだ。

 いやこんな騒ぎに巻き込まれてるんだから不幸なのかも知れないけれど!)

(褒めてるのかくさしてるのかどっちなんでしょう?)

 

 この女性、人助けするくらいだから善人だとは思うが、何だかつかみどころがない。面白ければそれでいい、というタイプのような気もする……というか、施術してもらっているからか彼女の心と触れ合えているのだが、それで感じた彼女の性格は基本善良だし混血ながら人間好きではあるのだけれど、本当に面白いこと好きで自由奔放で混沌(カオス)属性みたいなので、この辺のコンボが決まると厄介そうである。

 まあ悪いことしないならいいのだけれど……。

 

(それで、レディ・アヴァロンならこの骨が何のつもりで俺を取り込もうとしたのか分かったりします? 生き返ろうとしてるんじゃないかとは思うんですけど)

 

 光己が気つけも兼ねて真面目な話をしてみると、レディ・アヴァロンもちょっと真面目になった気がした。

 

(そうだね。地上の知的生命体は普通肉体・精神・魂の3要素でできてるわけだけど、この遺骨は当然肉体だけになってる。

 でも神秘の濃さが濃さだから、肉は土に還っても骨と神秘は残ってた。つまり自身の存在を維持しようとする身体的な本能はあるわけだ。

 そこにキミというアルビオンの新たな精神と魂として相応しい者が現れたから、一も二もなく食いついちゃったということだね)

 

 だからアルビオンに光己の精神を消す気はなく、むしろ消えられては困る立場だった。しかし細かい配慮や制御ができる思考や判断力は残っていなかったので、一直線に手加減なしで取り込んでしまったと推測される。

 

(え、あの、ちょっと待ってちょっと待って。アルビオンに相応しい精神と魂って何?

 マスターさんはドラゴン関係のヒトかなとは思ってたけど、そこまで古代のヒトなわけ?)

 

 するとアルクェイドが泡喰った顔で割り込んできた。まあ驚くのも当然といえよう……。

 

(あー、それはね。ブリュンスタッドさんとは知り合ったばかりだからまだ話してなかったんだけど……)

 

 話をする時間はある、というかそれしかすることがないので光己がファヴニールの血を飲んでからアルビオン(幼生)になるまでの経緯を簡単に説明すると、普通なら真に受けてはもらえない話だが今は状況が状況なのですぐ信じてくれた。

 

(―――なるほど。そりゃ人に話せないっていうか、話してもあたおか扱いされるのがオチよね。

 異変解決担当のマスターとしては優秀なんでしょうけど、無理しない程度にね。実際こんな目に遭ってるんだし)

(うん、ありがと)

 

 アルクェイドは光己が本当に竜だと知ってもまったく態度を変えず、むしろいたわってくれた。

 まあ彼女自身が人外というのもあるのだろうけれど。

 

(―――さて、そろそろ遺骨の集合が終わるみたいだ。

 そのまましばらく待てばキミの意識は落ち着いて……具体的にいうと今日の夜まで普通に起きてればその後は寝ても大丈夫になるよ。

 私も頑張ったけど、キミもよく耐えたね。褒めてあげよう!)

(おお、ようやくですか! ありがとうございます)

 

 光己はほーーっと大きな安堵の息をついた。ガチで生命の危機に陥ったのは久しぶりなのだ。

 ところでレディ・アヴァロンはこの大きな骨がどうやって地上に出て、さらには人間社会で活動するのかという点はまったく心配していないようである。実際その必要はなかった。

 

(うん、骨の接着は無事終わったみたいだよ。

 人間の姿に戻る能力は無事だったけど、アヴァロンさんの言う通りもう少し待ってからの方がいいかもね)

(そっか、じゃあそうするかな)

 

 何しろ美女美少女3人とハートでつながるやさしく甘酸っぱい感触は大変幸せで満ち足りて気持ちいいので、合法的に引き延ばせるならそれに越したことはないのだ。

 ……と思ったが、世の中そこまで甘くはなかった。

 

(じゃあ私はこの辺で引き揚げるかな。ちょっと疲れたしね)

(え、帰っちゃうんですか? お礼もしてないのに)

(なあに、すぐまた会えるさ。それじゃ!)

(ならわたしも接続切ろうかしらね。土固めながらだからハードだし)

 

 3人中2人が、用が済んだとたんに帰ってしまったのだから。

 しかしこの大変な試練を乗り切ったのだから、まずは幸甚というべきだろう―――。

 

 

 




 ねんがんの卑弥呼様をお迎えできたので、卑LAトリアが自力で可能になりました(マーリンは持ってない)。周回向きではなさそうですが、耐久戦は強いですね。
 LAは相手次第で変えてもいいので融通が効くのも良いですな。
 というか卑弥呼様と壱与ちゃんあの服で飛んだり跳ねたり蹴ったりとか(ry


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