FGO ANOTHER TALE   作:風仙

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第236話 竜と獣3

 こうしてドラコーとの戦闘もその事後処理も終わったので、光己は最初からの予定通りお風呂に入るためモードレッドたちにはジキルの部屋に戻ってもらうことにしたが、その最後尾にいた(おそらく意図的なものだろうが)天草がドラコーに問いかけた。

 

「初対面なのに不躾な質問だとは思いますが、生前の貴女は何故キリスト教徒を弾圧したのですか?」

 

 するとドラコーはちょっとびっくりしたのかぱちぱちっと目をしばたたかせたが、すぐに皮肉げな笑みを浮かべて反問した。

 

「ふむ。では逆に聞くが、キリスト教徒は何故異教徒や異端者を弾圧するのだ?」

「んぐっ!?」

 

 これには天草も返す言葉がなく、喉からしゃっくりめいた音を立てて硬直した。

 このたびの現界はどうも調子がよろしくない、いや新しい知見を得られたことを喜ぶべきか? と少し悩んで―――ふと光己の方に顔を向けた。

 無論援護を望んでいるのではなく、単にはるか未来から来た同郷(にほん)人、それもマスターをしている人物はどんな思想を持っているだろうか、という興味に過ぎないから口に出しはしなかったが、光己は察してあえて持論を開陳した。

 

「まあ宗教弾圧はよろしくないとは思うな。

 ただ俺が契約してるサーヴァントにはさっきのインドの女神(カーマ)に加えて、ここにはいないけど日本の太陽神の分け御霊(たまものまえ)北欧の主神の娘(ワルキューレ)キリスト教の聖女(ジャンヌ・ダルク)敬虔な毘沙門天信者(ながおかげとら)までいるから、特定の宗教や神話体系をえこひいきしたり非難したりするのはちょっと」

「そ、それは何ともはや。お、お疲れさまです」

 

 天草も人を統率する大変さは知っている。そんなガチ勢が何人もいるのならリーダーは宗教が絡む話題は避けたいだろうことはすぐ理解できるというか、労をねぎらう以外の言葉が出て来なかった……。

 

「すみません、失言してしまったようです。ではまた後で……」

 

 そして天草が小さく頭を下げて退室すると、ドラコーがやれやれといった風に軽く息をついた。

 

「ふむ、そういえばカルデアとはそういう所なのだったな。あのマスターどももよくやっていたものだ」

 

 集団統率の基本は信賞必罰なのだが、ドラコーが知っているカルデアのマスターたちにはサーヴァントに対してそれができるだけの権力も財力も武力もなかった。つまり人間力だけで数十人から数百人もの出自や経歴や価値観が異なる=いつ内ゲバを起こしてもおかしくない強者どもを率いて危険な戦場を渡り歩くという離れ業を演じてきたわけで、大したものだと素直に感心したのである。

 その点光己はルシフェルという最強者だからまだマシ……いやサタンが凡俗な大衆ではなく「英霊」を従えるのは逆に難易度高いか?

 

(まあどちらでもよいか……)

 

 黙示録の獣と赤い竜が組んで征くのだから、他のサーヴァントなどもはやオマケであろう。嫌な者はとっとと契約解除して英霊の座に還ればいい。こちらは何も困らぬどころか、光己を誑かす機会が増えるというものだ。

 試しに少しばかりやってみることにした。

 

「それはそうとマスターよ、余と契約できたことを改めて喜ぶが良い。何しろ余は力だけではなく、貴様がこれから行くことになる特異点の内容を知っているのだからな。

 値千金どころではないぞ!?」

「デジマ!?」

 

 ドラコーの唐突な自己アピールとその内容に光己は大いに驚愕した。

 そういえば彼女が作った「証明世界」とやらは、人理焼却で作られた特異点を模倣したものという話だった。それが事実なら、魔術王製の特異点の内容を知っているのは当然である。

 

「マジだ。といっても概略に過ぎぬ上に並行世界の話だから、鵜呑みにするのはお勧めせぬがな。違ってたからといって咎められてもつまらぬし、あくまで参考意見と考えてもらいたい」

「ほむ……それでも確かに千金どころか万金だな。

 でも何で今になって言うんだ? もっと早く言ってれば、俺たちがあんたを助命する確率がもっと上がったのに」

「それも考えはしたが、命乞いのようで嫌だったのだ。

 情報を吐かされた後で、もう用済みだと言って始末されたりしたら屈辱だしな」

「んー、なるほど」

 

 その心情は理解できる。光己が大きく頷くと、ドラコーも満足げに微笑んだ。

 

「ふむ、やはり貴様は話が分かる方のようだな。

 だからさっそく1つ教えてやろう。実はこの特異点では、最後にゲーティアが突然現れるのだ。カルデアを殺しに来るのではなく、散歩感覚らしいがな。

 とはいえ仮に奴をここで倒しても本拠地に逃亡されるだけだから、貴様はマーリンにでも頼んで正体がバレぬよう隠しておくのが賢明であろう」

「マ」

 

 何という爆弾情報。光己はまともな返答すらできなかった。

 まあこういう重大な話はオルガマリーやエルメロイⅡ世や太公望やモルガンといった幹部と頭脳派組も交えてじっくりするべきことだから、今は(メンタル的に)疲れていることだし予定通りお風呂にしたいところである。

 光己がそう言うと、ドラコーはきゅぴーんと目を光らせた。

 

「なに、風呂とな?」

 

 そう、彼女は生前に「テルマエ☆エンペラー」と讃えられたこともあるほどの風呂好きなのだ。

 そこで光己が今は魔霧その他の問題でここの公衆浴場は閉店中なので、この部屋に浴槽と湯を用意して入浴するつもりだったことを話すと、ドラコーは深く頷いて感心した。

 

「なるほど、余が来たのは貴様たちがまさに入浴しようとしていた所だったのか……それはすまぬことをしたな。

 しかしそれだけの手間をかけてでもそんな小さな風呂に入りたいとは、貴様もよほどの風呂好きのようだな。ちょっと親近感が湧いたぞ。

 うむ、せっかくだから余もご相伴してやろう」

 

 ドラコーは己が風呂好きだからか、それを邪魔するのはとても悪いことだと思っているようで素直に謝罪してきた。

 ただその次に、自分が入浴したいのに「してやろう」なんて言い方をするあたり、皇帝気質なのか素直じゃないだけなのか……。

 

「おお、マジか」

 

 光己はその辺にツッコミを入れることもなく素直に了承して喜んだ顔を見せたが、そこには思春期的な色合いはなかった。清姫やカーマを大奥に入れている身だから幼女NGというわけではないはずだが、内心は不明である。

 もっとももしドラコーがローマや閻魔亭で会ったネロと同じ年代だったら小躍りして、いやこの露出度激高の服で現れた時点でヘブン状態だっただろうが。

 なお湯舟は戦闘が始まった直後にマーリンが避難させており、今から入る(正確には洗濯が先だが)ことになったので、これから戻してもらうところである。

 そしてマーリンが湯舟を戻すと、ドラコーはそれを物珍しげにしげしげと眺め回した。生前には見たことがない品物のようだ。

 まあローマ皇帝ともなればプライベートテルマエでもどでかいモノだった、というか湯を調達する仕組みがない単なる湯舟というもの自体が無かったかも知れないが。

 

「それで、肝心の湯はどうするのだ? マーリンが魔術で作るのか?」

 

 湯舟を避難させた時に湯はこぼれてしまったので、改めて入れ直さないといけないのだ。

 

「その方が早くはあるけど、今回は俺が作ってるんだ」

 

 光己はそう答えつつ、「蔵」にしまってあった氷の剣(アイスソード)をまた取り出して湯舟に氷粉を入れ始めた。

 ドラコーは彼が「疲れている」と言っていたくせにわざわざ自分で湯を作り始めたのを少し疑問に思ったが、新入りの身なのでこのたびは深く突っ込むのは避けて黙って見守る。

 なおドラコーは「蔵」のスキルは初見なのだが、天使長にして魔王であるならこの程度の芸当はできて当然くらいに思っているのか、特に反応しなかった。

 すると氷粉が湯舟の半分くらいまで溜まったところで、彼の方から話しかけてきた。

 

「それはそれとして、ドラコーにはちょっと感謝しないとな。

 100%自己基準で自己満足で名前だけの話なんだけどグランドマスターにもなれたし」

「グランドマスター……マスターの中の冠位ということか? ふむ、余のマスターになったのだから当然の自己評価よな」

 

 ドラコーがふんすと胸を張る。

 その台詞は前半は当たりでも後半はハズレだったが光己はあからさまにそうは言わず、しかし正解はきちんと語った。

 

「んー、まあそれもそうだけど、何しろ男の夢、巨大ロボットを召喚できるようになったからさ。まさかこんなに早くフラグ回収できるとは思ってなかった」

「巨大ロボット!?」

 

 ここでドラコーの目が点になったのは無理もないことといえよう……。

 しかし光己は構わず続きを話した。

 

「ああ。あの竜腕とか出す形態を解析してもらったところ、天使長形態(ルツィフェル・フォルム)と併用はできない上にスペックも劣るんだけど、専用の宝具的サムシングがあるらしくてさ。

 ドラコーの宝具の『抱き融す黄金劇場(ベイバロン・ドムス・アウレア)』だっけ? あれがカスタマイズされたわけだな。『獣の機神(デウス・エクス・マキナ)』とでも名づけるか……」

 

 ただしこの宝具は光己1人では開帳できず、同乗してくれる相方が必要だ。またロボットの性能や特徴がその相方の魔術的性質に影響を受けるのは逆に楽しみなことだとしても、相方はある特殊な属性を持っていなければならないらしいのはちと困りものであった。

 なおその「特殊な属性」の詳細についてはまだ解析中だが、ここにいるメンツの中ではナーサリー・ライムが該当するようだ。

 

「まあ巨大ロボットって安全性や操作性その他諸々の問題があるから、あくまでロマンなんだけどね……」

 

 一応光己が出すものは(ビースト)の宝具的サムシングだけあってその辺りはおおむね解消されているのだが、巨大ロボットを使えるような状況なら竜モードになれば済むわけで、やはりロマンの域を出られな……いや仮にも男のロマンであるならば、サイズ的に考えて総エネルギー量では竜モードにとても及ばないにしても、それを補って余りあるグレートな武器やマーベラスな機能を持っていてしかるべきではあるまいか。

 

「うむ、それでこそ男のロマンだな! 早いとここの目で見てみたいもんだ」

「貴様の感性はよく分からぬな……いや、そういえば巨大な動く彫像を宝具にしているサーヴァントもいたな。名前は分からなかったが、ギリシャぽい風貌の男と女だった」

「へえー、ギリシャで彫像というとコロッサスとかタロスかな? 味方として会いたいものだけど。

 ……ところでドラコーの竜の腕や尻尾って引っ込められるの? そのままで入浴するのはちょっと邪魔かなと思うんだけど」

「ああ、できるぞ」

 

 ドラコーが軽く腕を振ると、その腕と脚を覆っていた竜身と尾と、両肩にあった金の冠がフッと消えた。代わりにノースリーブの真っ赤なドレスをまとっている。

 だいぶ可憐で楚々とした印象になったが、赤い眼光の鋭さは変わっていないのでお子様扱いするのはやめておいた方が良さそうだ。

 そして氷粉が十分たまったら、先ほど同様炎の剣で加熱である。

 

「……ふむ、ちゃんと沸かせるようだな。確か洗濯を先にするのだったか?」

「うん、魔霧の中をずいぶん歩き回ったから。というわけでマーリンさん、水着お願い」

「ああ、もうできてるよ。もちろんサイズもぴったりさ」

 

 マーリンはどうやってサイズを測ったのかは言わなかったが、おそらく魔術的サムシングで何とかしたのであろう……。

 光己用がただの手拭いだったのは手抜きではなく、彼の故国のスタイルを尊重したものと思われる。女性用はシンプルな白いビキニで、海やプールならともかく個室での洗濯と入浴であまり凝ったものにしても邪魔なだけだろうという判断だった。

 

「ドラコー、キミはどうするんだい?」

「この時代では風呂に入る時は湯浴み着を着るのか……それとも男女混浴の時だけか? まあいい、今回は皆に合わせておくことにしようか」

 

 ドラコーの生前は公衆浴場(テルマエ)は裸で混浴だったから、その流儀で行くことにして1人だけ脱げば光己へのアピールになるとも思ったが、初対面で突っ走り過ぎると逆に引かれるかも知れない。なので自重したのだった。

 

「わかった、じゃあこちらをどうぞ」

 

 マーリンがその台詞を言い終えた時には、ドラコー用の水着がその手の中に現れていた。さすがは冠位級魔術師というところか。

 ―――こうして水着の準備ができたわけだが、すると光己は奸智を働かせて、いかにも無造作な様子で服を脱ぎ始めた。このまま自然に女性陣の着替えを鑑賞しようという企みである。

 

「せ、先輩はむこう向いてて下さいっっ!!」

 

 当然マシュにバレて回れ右させられたわけだが、部屋の外に追い出されなかっただけ有情というべきだろう……。

 仕方ないので光己がその位置のまま着替えると、やがて後ろからマシュが女性陣も着替えが終わった旨を知らせてきた。

 

「先輩、もういいですよ」

「おお、やっとか」

 

 振り向いた思春期少年の視線の先は、まさに花も恥じらう美の競艶の舞台だった。

 水着は全員同じデザインで、布面積少なめで露出度高めの仕様である。水に濡れたら透けそうな、しかしおそらく透けないであろう絶妙な厚みと材質で作られているというのが光己アイによる鑑定結果だ。

 そのため先頭のマシュはちょっと恥ずかしげに頬を薄く染めて、両手で胸と股間の辺りを隠している。股間はともかく、大きな胸は片手ではあんまり隠せていなかったが。

 マーリンは自分が作った水着だけにさほど意識した様子はなく、いたって平然としている。ウインクなどしながら、水着の感想を訊ねてきた。

 

「どうかなマスター、気に入ってくれたかな?」

「おお、水着も着てる人もバッチリ」

「うん、それはよかった」

 

 光己が芸が無い台詞ながらも本心から褒め称えると、マーリンもにこやかに微笑んだ。

 美貌に加えてスタイルも大変よろしい上に、夢魔とのハーフだからか露出した艶っぽい素肌から蠱惑的な匂いまで漂ってくる。光己は理性とポーカーフェイスを保つのに一苦労であった。

 

「うーむ。湯浴みをするのだから布が少なめになるのは分かるが、やはり男性の前だとちょっと恥ずかしいな……」

 

 アタランテは野性味あふれるしなやかなボディが売り(光己的感覚)の美人だが、胸部はともかく腰部の露出度はそんなに変わらないのに恥ずかしそうにしているのは、やはり布の強度の問題であろうか? 光己としては基本強気な彼女が頬を赤らめてそわそわおろおろしている様子は大変レアで結構な風情であった。

 

「ふむ、これが当世風の湯浴み着か。まあ良かろう」

 

 そしてドラコーは対照的に実に堂々としていた。まあ露出度的には先ほどのスリングショットの方が高いくらいなので当然といえば当然だが。

 しかし白ビキニだと犯罪感がさらに増したように思えるのは気のせいであろうか……?

 

「まあいいや、それじゃ予定通り洗濯だな」

「はい。ですが先輩の分は私に任せて、先輩はその辺でご休憩なさってて下さい」

「……? 別にそこまで疲れてないけど」

「いえその、下着を洗っている所を見られるのは恥ずかしいので」

「あー」

 

 言われてみればその通りだ。光己はマシュの希望を容れて、おとなしく部屋の隅っこに腰を下ろして―――することもなかったので、チャドー呼吸法で暇潰しすることにした。先ほどアタランテと話をした、天使や竜人の戦闘術について啓示を得られればいいなあという狙いもある。

 天使長形態になって胡坐を組み、静かに呼吸に集中すると、やがてぼやけてはいるものの、2人の男が空中で激しく戦っている映像が見えてきた。クマバチのようにちょこまか飛び回りつつ砲弾めいた強烈なパンチを打ち合うと同時に、結界やバフの張り合いや剥がし合いもしているようだ。

 

(おお、こんな感じなのか……てかすごいパワーだな)

 

 一撃ごとに閃光がはじけ轟音が響き、映像自体ががくがく揺れる。今の光己の感覚で見ても凄まじい戦闘であった。

 かつてどこかの誰かが実際にやったことなのか、それともフィクションなのかは判然としないが。

 あと攻性防壁的なものがないのも気にかかった。攻撃をくらったら毒や呪いを返す的な。それともそういうのは術者自身に毒になるのだろうか。

 ……光己がそんなことを考えている間にも戦況は進み、小柄な方が優勢になってきた。大柄な方の結界とバフが削られていき、ついにクリティカルなブローが―――。

 

「……先輩、先輩。お風呂沸きましたよ」

 

 入るかと思われた直前、マシュの声で集中が乱れて映像は消えた。

 

「……あ、マシュ」

 

 我に返った光己がのろくさと目を開けると、マシュたちがこちらをじっと覗き込んでいた。少し没頭しすぎていたようだ。

 

「訓練の邪魔をするのは申し訳ないとは思ったのですが、このままだとお湯が冷めてしまいますから」

「お湯? 冷める? どういうこと?」

「はい、洗濯も乾燥も終わったんですが、先輩が訓練中ということでマーリンさんがお湯を入れ直して下さったんです」

「そっか、それは手間かけさせたな。ありがとマーリンさん」

「なあに、お安い御用さ」

 

 そういう流れで、洗濯と乾燥と湯の入れ替えはすでに終わっていたようだ。湯舟の中では、新しい綺麗な湯がほかほかと白い湯気を立てている。

 

「よし、それじゃいよいよお待ちかねの入浴だな! まずは掛け湯だ」

「……うむ。マスターは風呂好きだけあって分かっているようだな」

 

 光己が浴場でのマナーを遵守して、あらかじめ作ってもらってあった桶を手に取ると、ドラコーがうんうんと嬉しそうに何度も頷いた。

 マスターが逸話的にベストというか唯一のパートナーであるばかりか、文化面でも気が合う相手だったことをいたく喜んでいるようである。

 そして掛け湯をして、水ならぬ湯もしたたるいい女状態になった4人の艶姿に光己は大変ご満悦であったが、その時部屋の隅に、今度は白い蒸気のようなものが湧き始めた。

 

「何だ!? もしかしてまたサーヴァントか!?」

 

 せっかくのお風呂が何故こうも邪魔されるのか。怨嗟の声を上げつつ、とりあえず蒸気に向かって身構える光己。マシュは盾を出し、マーリンとアタランテとドラコーも警戒態勢に入った。

 5人の視線の先で蒸気は向こう側がまったく見えなくなるほど濃くなってきて―――その中に人影らしきものが現れる。

 やがて蒸気が薄らぐと、1人の少女が佇んでいるのが見えた。

 銀髪紅眼で白いワンピースを着ており、頭の左右には「3」とそれを左右逆にしたような形の特徴的な角が生えている。特徴的といえば、瞳孔も「X」のような珍しい形だ。

 武器の類は持っていないようだが、何者であろうか? 光己がそれを問う前に、少女の方から声をかけてきた。

 

「追いつきましたよ、ソドムズビースト! 子供たちを貴女の好きにはさせません!」

「ティアマトか!? しつこい奴め」

 

 ドラコーが敵に追われる身なのはある意味当然だったが、追っ手がメソポタミア神話の創世神の1柱という超大物であったとは。光己たちは戦慄とともに難しい判断を迫られたのだった。

 

 

 

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