FGO ANOTHER TALE   作:風仙

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第244話 絢爛なりし蒸気の果て4

 当然のことだが、気合いや根性で射撃の腕前は上がらない。ただ今回は両者の距離が(ロボ基準では)近かった上にテュフォンは横幅が大きいので、今の所流れ弾が公園の外に飛んでいく事態にはなっていなかった。

 戦車砲の弾より大きな巨弾がテュフォンの体表で轟音とともに何度も炸裂する。すさまじい光景だった。

 

「あわわわわ……あんなのが飛んできたらひとたまりもありませんね」

「うむ。余が戦った中には銃を使うサーヴァントも、デカブツを召喚したり自分がデカブツに化けたりするサーヴァントもいたが、巨大な銃というのは初めて見たな。大したものだ。

 ……しかしよく見るとテュフォンは体表がちょっとヘコんでいる程度だな。さすがは主神に勝った竜というところか。反撃まではできぬようだが」

 

 恐れおののいているマシュとは対照的に、ドラコーは劇の観客のように観戦を楽しみつつもしっかり状況を観察していた。

 なおマシュたちはすでに公園の隅の方に退避している。マシュが今言ったように、弾やビームが飛んできたら危なすぎるので。

 メリュジーヌの傷は太公望が治癒の術をかけている最中である。

 

「……ふうむ。するともしあのロボットがあの銃より強い武器を持っていないのであれば、僕たちが何とかするしかないわけですが……」

 

 光己は魔力量が桁違いに多いので、普段ならサーヴァントに供給できる魔力も多い。しかし今は宝具的サムシングを開帳中なので、サーヴァントに回ってきている量は非常に少なかった。

 これではマシュと太公望とメリュジーヌが宝具を再使用できるまで溜め込むには相当な時間がかかる。いやマシュは魔力だけ溜まっても難しいが。

 

「令呪もさっき使ってしまいましたしね。

 そういえばドラコー殿の宝具はまだ見ていませんが、テュフォンを倒せそうですか?」

「フ、余の力をもってすればあの程度の絡繰など……と言いたいところだが、足止めならともかく倒すのは難しいな。

 7頭の竜で7ヶ所を同時に攻撃することはできても、一点に7倍の力を籠めることはできぬ」

「……なるほど。奇襲もそう度々は通じないでしょうし、あのロボットが取り押さえてくれればいいのですが」

「最初にカラテの構えをとって、その後それをやめて銃を出したから望み薄なんじゃないかな。多分陛下が指摘したんだと思う」

 

 メリュジーヌは「無窮の武練」を持つだけに、そうしたことを見抜く眼力は他のメンツより優れているようだ。実際当たっていたが、もっと簡単な攻略法も実はある。

 

「バーゲストたちがこちらに来てくれれば1番楽なんだけど」

「そうですね、マスターは『あの公園』と言いましたから場所は分かるはずですから」

 

 通信機を持っているのば光己とマシュだけだから今は連絡できないのが残念だった。

 メリュジーヌやバーゲストのような前衛格闘組に持たせたらすぐ壊れそうだから、単に増やせばいいというわけではないが。

 太公望が土遁で迎えに行くという手はあるが、これも魔力がもう少し回復しないと難しかった。

 

「1番の問題は、先ほどの『雷霆』がいつ来るかですね。あれほどの大技ですから、リチャージにも時間がかかるとは思いますが」

「それだよね。陛下とお兄ちゃんも考えてはいると思うけど……。

 そういえばあのロボット、防御力はどれくらいなんだろう」

 

 話柄はいろいろあったが、巨大ロボット強いばんざーい!だけでは済まないのは確かのようだ。

 そしてもちろん、現にテュフォンと戦っている光己とトネリコもその辺のことは考えている。

 

「うーん。弾が当たった時に派手に炸裂したり音を立てたりしてますから効いているように見えますが、実際はさほどでもなさそうです」

「やっぱり? 一応牽制も入れてるんだけど」

 

 光己が言う牽制とは、銃を撃つのは初めてであることを踏まえて基本的には的として大きい胸や腹を狙って撃ってはいるものの、時には頭部も撃っているという意味だ。

 テュフォンがいくら頑丈でも、雷霆を吐こうとした瞬間に口の中に弾丸を喰らえばただでは済むまい。それを狙っていることをあえて示すことで、雷霆を使わないよう圧力をかけているのである。

 

「意図は分かりますが、多少ためらわせるくらいならともかく完全に諦めさせるのは難しいかと」

「むう……ならもっと強い武器使うしかないのかな?」

「そうですね。ですが銃はこれより強い物は大き過ぎて機動力が下がるので、1対1の接近戦では使いづらいです。

 かといって殴り合いは厳しいのはさっき言った通りですが、剣や薙刀や斧、あと盾もありますよ。よく分からないテクノロジーで、見た目以上の切れ味があるみたいです」

「ほむ……」

 

 テュフォンの装甲がなかなかに硬いということが判明した今、比較的脆いと思われる頭部を刃物で狙うというのは十分にアリだろう。銃と違って部外者を巻き添えにするおそれがないので安心してやれるし。

 あと前腕はロケットだからかとても大きいが、それと胴体をつないでいる上腕は細くて脆そうなので、こちらも狙い目のように見える。

 

「竜特攻のバルムンクとかがあったら一択なんだけど」

「残念ながら、そのような都合のいいものはないですねえ……。

 あ、でも剣だけはバリアーを上乗せして威力を増すことができるみたいです。マスターに分かりやすく言うなら魔法剣」

「おお、まさに勇者の武器だな! じゃあ剣と盾で」

 

 そこで光己が剣と盾の2点を選んだのは間違いではなかったが、銃と持ち替えて構えたところで前方からビームが飛んできた。

 

「人のトラウマを突いて動揺させた隙に飛び道具を連射してさらに動きを止めるとは考えたものだが、その連射を止めたのは失敗だったな!」

「何の話!?」

 

 光己はトラウマ云々の件は理解できなかったが、敵に反撃する余裕を与えてしまったことは分かった。しかしビームはもう何度も見ているので、すかさず盾をかざして防ぐ。

 この盾は逆三角形型のかなり大きなもので、特に熱や光波に対して耐性がある。対テュフォン用として設計された物ではないがたまたま相性が良く、ビームを2条受けてもいくらかヒビが入るだけで済んだ。

 なお剣はどちらかというと日本刀に似た形状である。光己が日本人だからだろうか。

 

「おお、なかなか硬いな!」

「むう、これはまた厄介そうな……」

 

 ビームが通じないのでは、「雷霆」のチャージが終わるまでテュフォンには敵ロボットに対する有効な攻撃手段が―――ないわけではない。

 

「愚直にビームを撃つと見せかけて……『我、願望反す無常の果実』!!」

 

 うつ伏せの姿勢から腕のロケットで敵に向かって頭から突進し、命中すれば通常のダメージに加えてデバフも与えるという攻撃宝具だ。巨体と推進力を活かした、単純だが強力な技といえよう。

 

「おおぅ、いきなり体当たりだと!?」

 

 テュフォンは今までエネルギー兵器ばかりだったのに、突然プリミティブなグラップル芸に転向してくるとは。光己もトネリコも驚いたが、スプライトノッカーがこれを喰らうのは常人が普通車に()ねられるようなものだ。盾で受けるのも当然論外である。

 しかもテュフォンは翼を左右に広げ尻尾を垂直に立てているので、真上と左右には避けられない。では斜めに跳ぶか? 翼と尾を動かされたら同じことだ。

 

「ええい、仕方ない。UNDバリアー全開!」

 

 バリアーには副作用があるという説明だったがやむを得ない。直撃だけは喰らわないよう1歩横にずれてから、光己はバリアーを前面に展開した。

 ところがテュフォンは巧妙にもわずかに曲がって、きっちり光己の真正面からぶつかってきたではないか。

 

「アイエッ!?」

 

 ビジュアル的にはものすごく怖い光景なので、巨大ロボに乗って戦うという男のロマンを実現したことでハイになっていた光己のメンタルの化けの皮が少しはがれてパンピーな悲鳴を上げてしまったのを責めるのは酷というものだろう……。

 そしてテュフォンがスプライトノッカーの5メートルほど手前まで来たところで輝く光の板のような物が現れて、いやすでに準備されていたバリアーが具現化して彼女の突進を阻んだ。

 耳をつんざくような衝突音とともにテュフォンの突進が停止する。バリアーの方は小揺るぎもしない。

 ビーストスキル由来だけのことはある防御力だったが、しかしその分代償も大きかった。

 

「お、おぉぉ……!?」

 

 まさに世界から切り離されたかのような、世界中の人間が自分を無視するどころか存在に気づいてさえくれないかのような困惑と恐怖と孤独感が少年の精神を塗り潰す。今まで人類の命運を背負っているという重圧こそあったが、人間関係は良好で大勢のサーヴァントたちに好かれていた彼にとって不慣れで苛烈な痛みだった。

 無敵アーマーは本来は精神的な干渉に対しても有効なのだが、自分の宝具(的サムシング)の副作用までは防げないようだ。

 

「まさかここまでキツかったとは……心の準備してなかったら悶絶してたかも」

 

 幸い痛みが発生するのはバリアーが実際に防御効果を発揮している瞬間だけなので何とか耐えられたが、立て続けに喰らったらまずい。光己はいったん跳び下がって間合いを取った。

 エフェメロスの方は敵が高性能の防御技まで持っていたことに驚嘆しつつ、こちらも硬い壁に頭突きした形で結構痛かったので、やはり1歩退いて態勢を整える。

 この後は両者回復のためにしばらく睨み合いになるかとも思われたが、光己には時間制限があるのであまり悠長なことはできない。すぐまた前に出ようとしたが、その時テュフォンの背後にドラゴン、形状的には西洋竜より東洋龍に近い感じの赤いドラゴンが7頭現れるのが見えた。

 

「フフ。最高のタイミングで敵を横合いから思い切り殴りつけて援護するとは、我ながらベストパートナー過ぎるムーブよな!」

 

 ただし当のドラコー自身は宝具開帳直後にマシュたちと一緒にかなり離れた場所まで遁走しているが。まあテュフォンのビームはともかく、あの巨体に殴られたり蹴られたりしたらS級サーヴァントでもミンチ必至なので、見つからないよう避難するのはむしろ当然の行動といえよう。

 

「うぐっ!?」

 

 前方の敵を注視している時に背後から不意打ちされてはたまらない。テュフォンは7頭の竜に頭3つと両腕両脚に咬みつかれてしまった。

 牙が刺さる傷より、動きを鈍らされる方がつらい。振り払おうともがいてみたが、敵の竜はなかなかに剛力でテュフォンのパワーをもってしてもすぐにとはいかなかった。

 

「おのれ、面倒な……」

「おお、ナイスアシスト!」

 

 光己はこの戦いは正々堂々とやりたいと思ってはいたが、優勢とはいえない戦況で仲間が支援してくれたのを無駄にするほど頑固ではない。テュフォンの頭はドラコーの竜に咬まれていて狙いづらいので、先ほどもターゲット候補にしていた上腕を斬ることにした。

 

「これが勇者の必殺剣、名づけてバリアストラッシュだ! イヤーッ!」

 

 バリアーの副作用の痛さは先ほど身をもって経験したが、これほどの勝負所でためらってはいられない。勇者なのかニンジャなのかよく分からない喊声を上げながら斬りかかる。盾を投げ捨てて両手で剣を持つと、渾身の唐竹割りでテュフォンの右上腕を一刀の下に両断した!

 そこでドラコーの竜が切り落とされたテュフォンの前腕を公園の隅に運び去ったのはなかなかの機転といえよう……。

 

「う、あ……」

「よし、このまま左腕も!」

 

 ドラコーの宝具も長くは保たないだろうから、その間に戦果を稼げるだけ稼いでおくべきだ。光己は心の痛みに耐えて再び剣を振り上げた。

 一方エフェメロスとしてはこのまま左腕まで落とされたら万事休すである。何としても防がねばならないが、竜を振り払うのは間に合いそうにない。

 ではどうするか―――手は1つしかなかった。

 

「チャージはまだ不十分だが、仕方ない。ネ……『汝、宙を裂く雷霆(ネガ・ケラウノス)』!!」

「―――! マスター、テュフォンの魔力が急激に上昇を……前回より量が少ない分早い!」

「向こうも勝負かけてきたか! 首を斬るのは……無理だな」

 

 トネリコと光己はテュフォンが雷霆を使おうとしていることは察知できたが、阻止するのは無理だった。せめてものダメージ軽減策として、真横に跳びつつ自分を包む形でバリアーを展開する。

 するとテュフォンは律義にスプライトノッカーの真正面に向き直ってからブレスを吐き出してきた。

 光己とトネリコの視界が真っ白に染まった。

 

 

 

 チャージ不十分であってもゼウスの雷霆の威力はすさまじく、急ごしらえのバリアーをガラスのように叩き割ってロボ本体に到達した。装甲板も貫通して、生体細胞を大量に焼き焦がす。

 

「ぐあああああ!!」

「いたたたたた!!」

 

 光己とトネリコが入っているカプセル自体は無事だったが、全身を内側から焼かれる強烈な感覚が2人を襲う。光己はバリアーの副作用もあってあっさり気絶したが、トネリコは精神面の苦痛耐性が極めて高いので最後まで意識を保つことができた。

 ロボの身体を動かすのは基本的には光己の役割だが、補助的にトネリコが動かすことは可能である。しかし今は電撃のダメージが深いのか、地面に尻餅をついたまま動けなくなっていた。

 武器は出せるが、体を動かさずに使えるものはない。つまり戦闘不能ということだ。

 トネリコからは見えないが、ロボの眼も光が消えて黒く閉ざされていた。

 

「こ、これはマズいですね……。

 本格的にロボが壊れそうになったらカプセルを外に射出して逃げることはできますが、それをビームで撃たれたら大変です。主に私が」

 

 もしくはロボの時間制限が先に来るだろうか。この場合はカプセルも消えるのでトネリコが光己を抱っこして逃げることになるが、やっぱりトネリコが危険だった。

 

「まあやられてもカルデア本部に帰るだけではあるのですが……気絶したマスターを1人きりで残すわけにもいきません」

 

 いくら光己の無敵アーマーが硬くても、失神中に大怪獣に踏んづけられたらさすがに死にそうな気もする。せめて彼が起きるまでは面倒見るべきだろう。

 いやメリュジーヌたちがどこかにいるはずなのだが、彼女たちも雷霆でケガして動けなくなっているかも知れないからアテにするべきではあるまい。

 

「なので早く起きて下さいマスター!」

 

 半分ヤケになってそう呼びかけてみたが、反応はまったくない。

 そういえばマーリンとアルクェイドが時計塔で似たようなことをしていたが、トネリコにはその手のスキルはなかった。何しろ元祖魔猪の氏族なので。

 

「むむ。あんまり時間はないのですが、ほんとこれどうしましょうか」

 

 などとトネリコが悩んでいる間に、ロボの全身にテュフォンのビームが飛んできた。近づいて殴る蹴るをするとまたどんな反撃を喰らうか分からないので、飛び道具でトドメを刺そうということか。

 ロボの装甲板が割られ、露出した生体細胞が撃たれて焼けていく。わりと痛い。

 

「うぐぐ。これで起きないマスターも深刻ですが、メリュジーヌたちが出て来ないのはやっぱり感電して動けなくなってるんですかね?」

 

 正解である。メリュジーヌたちはテュフォンに見つからないよう木の陰に隠れていたのだが、雷霆はそこにも届いて4人とも全身が麻痺して倒れているのだった。

 一方エフェメロスはいちかばちかの反撃が見事に成功して喜ぶというより安堵していたが、トネリコが察した通り油断まではしていなかった。

 

「はあ、はあ……きわどい所だったが、今度こそ勝てたか。

 ……いやまだだな。あの小竜たちがまた奇襲して来るかも知れないし、少なくともあのマスターを殺すまでは気は抜けん」

 

 なのでエネルギー消費量的には近づいて踏みつける方が楽なところを、あえて距離を取ってビームで攻撃しているのである。それでもダメージは着実に与えているので、巨人はそのうち完全に機能停止するだろう。

 その認識はトネリコも同じで、打つ手も援軍もなく焦燥感は深まる一方だった。

 

「どうしたものでしょうねえ。バーヴァン・シーたちも来ないところを見ると、バベッジが予想以上に強いのでしょうか? それとも道中にまたはぐれサーヴァントが出たのでしょうか」

 

 こうぼやいている間にもビームが当たって痛いし、ロボの残り時間は減っていく。本当にどうすればいいのか?

 

「せめてマーリンだけでも来てくれればいいのですが。グランドロクデナシなんて揶揄されてる身なんですから、こんな時くらい真面目に役に立ってくれればいいのに」

「呼んだかな王妃様?」

「!?」

 

 するとまったく突然に、カプセルの中にそのマーリンが出現した。

 噂をすれば影という言葉そのもののタイミングの良さにトネリコは心底びっくりしたが、それにしても宝具的サムシングであるロボの中のカプセルの中に空間転移して来られるとは、この世界でも実力()()は本物のようだ。

 

「まあ契約してるし、2度もひとつになった仲だしね!

 何だか胸騒ぎがしたから来てみたんだけど、こんなことになってるとは思わなかったよ。とりあえず、マスターを起こせばいいのかな?」

「ええ、お願いします」

 

 トネリコはマーリンが「ひとつになった」とやらが自慢げなのがちょっとカンにさわったが、それより状況を理解してくれていて説明を省けるのは助かる。些事はスルーして最優先案件を依頼すると、マーリンは光己の正面に移動して額と額をくっつけた。

 

「……ム」

 

 身体的に接触する方がやりやすいのは分かるが、そういう所だぞ!と言ってやりたくなったのをぐっと抑えて、マーリンの施術を見守るトネリコ。待つことしばし、カプセルの中の雰囲気が急に変わった。

 いやそんな小さな規模の話ではない。この公園どころかロンドン全域を圧するほどの巨大な気配だ。

 

「な、何事……!?」

 

 その困惑はロボの敵として相対しているエフェメロスにとってはさらに深刻だ。ついでロボの眼に禍々しげな赤い光が灯るに及んで、困惑は前の現界で「杉谷善住坊」に「聖杯の雫弾」を撃ち込まれた時にも似た恐怖に変わった。

 その上ロボは生体細胞も装甲板も急速に修復し始めている。いったい何が起こっているのか!?

 

「……WuOOOOOOOーーーッ!!!」

「ひっ……!?」

 

 巨人の獣めいた咆哮にエフェメロスはびくっと身をすくめて、思わず1歩下がった。

 すると巨人は低い姿勢のまま異様な速さで追いすがってきて、テュフォンの左腰に掌を上にした右の貫手を繰り出す。それは指が4本根元近くまで突き刺さる威力で―――さらに巨人がその右手を思い切り振り上げると、テュフォンの外板は豆腐のようにやすやすと切り裂かれて、4筋の深い裂傷が刻まれたのだった。

 

 

 

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