FGO ANOTHER TALE   作:風仙

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第265話 第四特異点エピローグ

 特異点からの退去がみんな同時ということは、カルデア本部への帰還も同時ということだ。つまり光己やマシュたちがコフィンから出るより、新入りのアルクェイド・マーリン・ドラコー・ティアマトが管制室に出現するのが先というわけで……。

 状況はパルミラの時と同じだが、メンツの危険度は比較にならぬ。オルガマリーの悲鳴が響いた。

 

「アイエエエ!? 真祖に獣に創世神!? 真祖に獣に創世神ナンデ!?」

 

 彼女の立場と性格からして無理からぬことだが、マーリンは危険度が低いからか除外しているあたりまだ余裕があるのかも知れない。

 

「んん? 所長さんってば顔合わせはしたのにずいぶんな驚きようねえ」

「もしかして余たちが直接来るとは思っていなかったのか? まあ来てしまったものは仕方ないな!」

「大丈夫、母が来たからには安心するといい」

「うんうん、私はマスターの親愛なる友だからね」

 

「あー……ホントに味方してくれるのね」

 

 しかし4人ともいたって友好的な雰囲気で、特にドラコーに敵意がなかったのでオルガマリーは何とか正気を取り戻した。

 

「え、ええと、し、失礼しました。真祖が仰られたようにすでに顔合わせは済ませていますが、私が人理継続保障機関フィニス・カルデアの所長、オルガマリー・アニムスフィアです。改めて宜しくお願い致します。

 しかしまだお会いしていない者もいますので、まずはお互いの自己紹介からでよろしいですか?」

「そうね、いいんじゃないかしら」

 

 今回は職員とサーヴァントが管制室に集合済みなので、館内放送で呼び出す必要はない。知り合いがいてどうこうなんて騒ぎも起こらず、自己紹介会は滞りなく終了した。

 それにしても単独顕現だのガイアの後押しだのであの時空の乱れが特に酷かったロンドン特異点から当然のように追いかけて来られるとは、この4人本当にハンパじゃない。味方としてはとても頼もしいのだけれど……。

 

「でもゲー、いえ名前を呼ぶのは避けた方がいいわね。ビーストⅠとでも呼ぼうかしら。

 彼は本物の成体ビーストだけあってここからの観測でもとんでもないパワーでした。率直に言って、勝てる見込みはありますか?」

 

 オルガマリー初め職員たちは敵の強大さを目の当たりにして衝撃を受けていたし、特にロマニがひどく落ち込んでいるので何か良い話を聞きたいのだった。まさか勝ち目がないとは言うまいし。

 すると期待通り、1番詳しいと思われるドラコーがニヤッと薄い笑みを浮かべた。

 

「当然だな。

 最も確実なのは、余をビースト真体に戻すことだ。何しろ奴の存在規模が『二等惑星級』なのに対し、真体の余は一等惑星級だからな。マスターと2人がかりなら、奴を根城ごと吹き飛ばすのも容易い。

 ……ああ、心配するな。前にも言ったが、この世界に悪さはせぬ。他の世界についてはマスター次第だがな!」

「………………」

 

 清姫がいる席での発言だから嘘ではないだろうが、それにしても不穏すぎる。

 これは最後とは言わないが、なるべく後の方の手段にするべきだろう……。

 

「わたしが受肉して単騎突撃っていう手もあるわよ。

 あいつの根城だとどんなえげつない仕掛けがあるか分からないから確実とは言えないけど。

 それと受肉したら後でわたしが邪魔になっても契約解除して退去っていう方法は使えないから、熟慮してからにするべきね」

「マスターが現地仕事を控えて訓練に専念するというのは期間が1年足らずしかないから厳しいかな?

 ビーストカーマを喰えば訓練なしでも勝てると思うけど、彼女が第7特異点修正より前に来る可能性は低いし」

 

 ついでアルクェイドとマーリンが案を出してくれたが、いずれも難点があるようだ。

 ビーストカーマを喰うとかいうこれまた不穏な発言にカーマがぴしりと眉根をひくつかせた気配を感じたが、口は開かなかったのでオルガマリーも知らないフリをした。

 いや案があるだけでもありがたいのだけれど。しかもさらに追加が出た。

 

「状況によりますが、巨大ロボットも選択肢に入ると思いますよ。破壊力だけならアルビオンのブレスに比肩できる兵器もありますから。

 魔神柱の群れを踏み潰して進めるのが強みです」

「ああ、それがあったな。マスターよ、余に『破却宣言(キャッサー・デ・ロジェスティラ)』を寄越すがよい。

 欲しがる者は他にもいようが、余の力で会得した技なのだからまず余に与えるのがスジであろう」

「ちょ、人がせっかく手に入れたオンリーワンの座に割り込むつもりですか!?」

「あー、えーと。お土産の分配はまた後でね?」

 

「……そういえばそんなトンチキもあったわね」

 

 アルビオンでは大き過ぎて動きが取れないがロボなら何とかなる戦場というのはあり得るから、トネリコが言うように状況次第では有力な選択肢になるだろう。そんな場所でアルビオンのブレスに比肩できる兵器なんて代物を使っていいかどうか不安だが。

 なお現地組が手に入れた物品については、聖杯や聖晶石や今回の魔術書などカルデアにとって重要な物は提出してもらうが、それ以外は彼らに委ねている。何しろ拉致した未成年の一般人に経費ゼロで特異点修正なんて大仕事をやらせている上に本部の運営でも世話になっているので、あまり強気には出られないのだ。

 それにせっかく宝物を手に入れても全部取り上げられてしまうのではモチベーションに関わるし、任務自体にも影響が出かねない。たとえば今回遠見の水晶や破却宣言を入手していなければ、メディア戦、ひいてはゾォルケン戦の結果も違うものになっていただろう。

 

「ま、まあその辺はそちらで協議してもらうとして。勝つ方法があるというのは大変良い話ですね。皆安心すると思います。

 ―――それでは現地班の皆さん。今回もお疲れさまでした。特にビーストⅠと対峙しながらも無事帰ってきてくれたのをとても嬉しく思います。

 今日のところはゆっくり休んで下さい。ブリュンスタッドさんたちにもすぐ部屋を用意しますので。

 ……そうそう。藤宮、魔術書はかさばるから後でいいけど、聖杯と聖晶石はダ・ヴィンチに渡して行ってね」

「あー、はい。所長たちもお疲れさまです」

 

 オルガマリーたちにはこの後も特異点の消滅の推移を観測する仕事があるので、いつも通り光己とサーヴァントたちはそれぞれの個室に戻る、いやその前に彼が口にしたお土産の分配をするために談話室に行くことにした。

 その途中、マシュが光己のそばに来てやや物憂げな顔つきで話しかける。

 

「あの、先輩。すみません、どうしても話したい事があるんです。

 ……先輩は、ビーストⅠの話をどう思いましたか? 人類など燃料、噴射装置に過ぎん、というくだりです」

「んん? ……んー、マシュはどう思った?」」

 

 質問の趣旨がよく分からなかった光己がとりあえずもう少し詳しい説明を求めると、マシュは「今を生きる人類」としてはちょっと問題ありそうなことを言い出した。

 

「私は……私は、否定できませんでした。

 自分でも分からないんです。でも、あの言葉には無視できないものがあって……。

 命は無意味で、未来には救いがない……。

 そんな悲観的な主観を、彼は希望的に語っていた。

 ……あ、いえ。肯定してはいけない話なのは分かってるんです。それで先輩の見解を聞いてみたくなりまして」

「……ほむ」

 

 マシュは箱入りの上に、多感な揺れ動く年頃という所があるから、インパクトがある人物に衝撃的なことを聞かされて動揺しているのだと思われた。ここは先輩、リーダーとして落ち着かせてやらねばなるまい。

 もとより修羅の道を往く者として、この手の問答は得意とするところだし。

 

「じゃあまず今マシュが言った、奴の主観についてから話すかな。

 奴は『死が前提になっている時点で、その視点に価値はない』とか言ってたから死や寿命がある生物を見下してるみたいだけど、輪廻転生説を採用すれば奴の人類観を根っこから引っ繰り返せるよな」

「え……あ、そ、それは。

 冬木でカーマさんが言っていたことですね」

 

 するとマシュは憑き物が半分くらい落ちたような感じですっきりした様子になった。

 半分残っているのは、人間の本質たる魂が不死であったとしても肉体はそうではないし、少なくとも肉体に宿っている間は死への恐怖もあるからだろう。当然、光己はその点についても論じねばならない。

 

「マシュが考えてることは分かるよ。でも俺は、単純な不老不死より輪廻転生の方が公平だし救いもあると思ってる」

「公平で救いもある、ですか……?」

「うん、モルガンが天草に言ったこと覚えてるか? 死がない世界だと、死んで楽になることもできないっていうの」

「ああ、そ、それは……」

 

 第三魔法に加えて善性も同時に与えるならともかく、不老不死だけでは争いはなくならない。死が救いになるような事態があり得るのは事実だろう。

 

「それで、公平というのは?」

「単純な不老不死だと、王侯貴族はずっと王侯貴族のままだし、貧乏奴隷もそうだよな。強くて賢いイケメンに生まれる人もいれば、弱くておバカなブサメンに生まれる人もいる。そういう生まれつきの格差が永遠に続くなんて不公平にも程があるだろ。

 でも輪廻転生なら、みんなが王も奴隷もイケメンもブサメンも体験できる。公平で多様性があるシステムじゃないか?」

「うーん、それは確かに。今現在王侯な人や強い人は納得できなさそうですが」

 

 皆が善性からさらに進んで、冬木でアルトリアが言った「キリストやブッダのような聖者」になれば身分や強弱や賢愚や美醜などには捉われなくなるし、「死への恐怖」や「死が救いになる事態」もなくなるだろうから万事解決だが、ゲーティアがそんなことを考えているとは思えない。それどころか「知性を捨てるべきだった」と言っていたが、昆虫や微生物でも死を嫌うのだからその方向は現実的ではないと思う。

 もしかして彼は全ての生物が心身ともに均質かつ不死で食事も要らないとか、そんな世界を構想しているのだろうか? そうだとしてそれが具体的にどのようなものなのか、マシュにはちょっと想像がつかなかった。

 

「そういうことだな。あとは命の価値とか生きる意味とかそういう話だけど、これは奴に限らず大勢の人が考えてきて、それでも今現在誰もが納得する統一見解は出てないよな。

 だから1人1人が自分で決めればいい。むしろ自分の価値や意味を他人に決められちゃうのが1番価値がないと思う」

「自分で決める、ですか。そういえば先輩はエフェメロスさんにもそんなことを仰っていましたね」

「うん。ただ自分には大した価値や意味はない、それこそ燃料にされても仕方ないなんてレベルで自己評価が低いのはメンタルヘルスに悪そうだからお勧めしないけど」

「……それはそうですね」

 

 確かにその通りだ。ましてマシュの場合精神状態が宝具の強さに直結するので尚更である。

 ではどんな価値や意味を自分に見出せばいいのか……は、それこそ自分で考えろという話だ。答えをくれないという点では、光己の持論には厳しい面もあるのかも知れない。

 

「でも何だか気分が晴れました。ありがとうございます」

「そっか、それなら良かった」

 

 実際マシュの憑き物は残り半分もきれいに落ちたみたいなので、光己は先輩の使命を果たせてほっとした。

 そしてちょうど話に一段落ついたところで談話室についたので、気分を切り替えてお土産の分配に移ることになる。

 

「ふっふっふ、今回のお土産はすごいから皆刮目するがいい!

 まずは景虎、『都牟刈村正(つむかりむらまさ)』をちゃんと持ってきたぞ」

「おお、ありがとうございます!」

「!?」

 

 光己と景虎両人にとっては予定通りのやり取りだったが、「都牟刈」「村正」という、日本の刀剣について知識がある者ならとても看過できない単語に何人かのサーヴァントが口には出さないながらも色めき立った。

 どれほど凄い刀なんだとか何故彼女を名指しでとか思う所はさまざまだったが、それを見落とす光己ではない。

 

「ああ、日本刀を得物にしてる人たちには別途貰ってるから安心してくれ。

 ただ景虎は有名な軍神様だから、打ってくれた人が数打ちじゃない一品物にしたいって言ってきただけだから」

「つまり現地で刀鍛冶の村正と出会って、刀を打ってもらったということでありまするか?」

 

 現地にいたジャンヌオルタを除く日本刀使い、つまり段蔵・沖田オルタ・紅閻魔を代表して段蔵がそう訊ねると、光己は首を縦に振った。

 

「うん、そういうこと」

「なるほど、了解致しました」

 

 3人とも物欲は薄い方なので、光己が自分をないがしろにしたのでなければ文句はない。光己が予想した通り、沖田オルタが受け取るのをためらったくらいである。

 

「うーん。私自身は佐幕派でも討幕派でもないが、ノーマルは間違いなく佐幕派だからな。私がこれを持っていると不快に思われるかも知れない。どうしよう」

「無理に仕事場に持ち込まなくても、個室に置いたままでもいいよ。村正と衛宮には沖田ちゃんの名前出してその辺承知してもらってるから」

「そうか、そういうことならありがたくいただこう」

 

 こうして3人は「明神切村正」を貰ったが、アルトリア・キャスターがその光景をちょっと羨ましそうな目で見つめていたのは、彼女が生前千子村正、それも士郎メインではない村正メインの彼と戦友だったことがあるからだ。

 しかしそれを光己には言っていなかったのだから、貰えなくても仕方がない。代わりに後で話を聞かせてもらおうと思う。

 ……キャスターがそんなことを考えている間に、光己は次の品物を出していた。

 

「じゃあ次は『破却宣言』だな。俺がゲットした物だから、譲ってもいいといえばいいんだけど……」

 

 アゾット剣や遠見の水晶などは他者から貰った物だから人に譲るのは義理悪いが、破却宣言にはそうした問題はない。

 とはいえ魔導書属性をつけるには当人と本を霊基的にも精神的にもがっちり紐付けする必要があるので、簡単に貸したり返してもらったりというわけにはいかず、1度与えたらもうそれっきりなので慎重に判断すべきなのである。

 ……が、要求している側がそんなことを気にするはずもなく、当然のように言葉を重ねてきた。

 

「それなら良かろう。先ほどはスジ論を述べたが、余は逸話的にデカブツに乗るのは得意だしな」

 

 大淫婦は「獣」に乗った姿で描かれることが多いので、ドラコーは「騎乗」スキルこそないもののそうした芸当は持っているのだ。

 しかしそこに、ドラコーが予想した通り他に欲しがる者が現れた。

 

「そういうことなら私が貰います! 騎乗スキルならAですし、聞けばマスターさんはルシフェルになったそうですから、魔王同士まさにベストパートナーですからね。

 それにさっきこの世界の私を喰うとかいう話が出ましたから、その慰謝料も兼ねて」

「……ふむ。その言い分には一理あるが、余と貴様がマスターの寵愛を争うなら口舌や武力や魔術でというのは無粋だな。マスターをより悦ばせた方が本を貰うというのはどうだ?」

「望むところです!」

 

 マスターを悦ばせるという勝負方法の具体的な内容はさだかでないが両名には自明のことらしく、ドラコーとカーマはやる気たっぷりな様子で視線をぶつけ合った。

 

「……って、お2人とも何を言っているんですか! 破廉恥です、ご禁制です!!」

「えーっとぉ、カルデアの構内では遠慮していただきたいですねぇ……」

 

 しかしそこにマシュに加えて、アイテム鑑定のために呼ばれて来ていたシバの女王も止めに入ったので、勝負はいったんお預けになったのだった。

 なおロボはともかく「光己の特別な相方」という地位に関心がある者は他にもいたのだが、騎乗スキルがなかったりドラコーやカーマの土俵に上がるのは避けたかったりといった理由で手を挙げるのは控えていたという内幕もあったりする。

 ―――それはそれとして、お土産分配の続きだ。

 

「うーむ、カルデア構内ではNGか……いや当たり前といえば当たり前なんだけど。

 じゃあ次はシバさんに鑑定してもらう分を。この杖と服と花と素材類と、あとハサンから分捕った短剣に何か特殊効果があるかどうかも見て欲しいかな?」

「はい、承知しましたぁ~」

 

 何がなぜ当たり前なのかはやはり不明だが、とにかく光己が床にお宝を並べると、シバはそれを1つ1つ手に取って鑑定し始めてくれた。

 

「……えーと。まずこの杖ですが、かなり強力な魔術師が愛用した礼装ですねぇ。普通の魔術師が持っても魔術の増幅・補助・強化に使えますが、なぜかブリュンスタッドさんが持つといわゆる魔法少女になれるようですぅ」

「あ、そうなんだ。最初見た時から何だか気になってたのよね。

 それじゃマスターさん、これわたしが貰っていい?」

「OKOK。ただし変身するとこ……は変身の仕方次第だと思うけど、変身した後の姿は見せてね」

「そうね、よほどアレなデザインじゃなかったらいいわよ」

 

 こうして交渉が成立し、杖はアルクェイドが引き取った。

 

「短剣は神秘はこもってますからサーヴァント相手でも有効ですが、特別な効果はなさそうですぅ。

 この花は……以前は何か特殊な効能があったようですが、今は単に寿命が長いだけですねぇ。なぜか、マーリンさんと縁があるように感じますぅ」

「ふむ、やっぱりこれがマスターとの縁になったんだね。それじゃ私が貰っていいかな?」

「うん、もちろん」

 

 ついで謎の花はマーリンが受け取り、ハサンの短刀は欲しがる者がいなかったので光己の「蔵」に戻した。

 

「素材類はぁ……励振火薬とか精霊根とか八連双晶とか、道具を使うタイプの魔術師なら重宝しそうな物ばかりですねぇ。もし藤宮さんに必要でないのなら、技術開発部に差し上げたらいろいろ捗ると思いますぅ」

「へえ、じゃあそうするか」

 

 光己は武具や書物や金銀宝石以外のお宝にも執着はあるが、技術開発部の役割の重要性は理解している。特に用がある物ではないので、シバの勧めに従いダ・ヴィンチたちに提供することにした。

 

「あとはこの服ですかぁ。ええと、3着ともパルミラにあったのと同じでアインツベルン関係の物みたいですねぇ」

「あ、やっぱり? うちは服の専門家じゃないんだけど……」

 

 アイリスフィールは不思議そうに首をかしげたが、特に白い服は自分の物と似ているので認めざるを得ない。誰がどんな意図でこんなに何着もつくったのであろうか……?

 

「この白いのは『冬の聖女』という名前で、『ハロウィン・プリンセス』の類似品ですねぇ。攻撃力と宝具の効果、そして魔力貯留能力を上げてくれますぅ。

 黒い方は『逆堕つ泥雨』といいまして、『冬の聖女』以上の攻撃力と宝具効果アップ、ただし着ているだけで体力が奪われていくデメリットもありますねぇ。

 1着だけ小さいのは『チョコ・エンゼル』ですぅ。攻撃力と魔力貯留能力が上がりますが、『冬の聖女』より効果は低いみたいですねぇ」

「デメリット付きの礼装……それだけの効果はあるんでしょうけど、使いどころが難しいわね。戦闘が始まってから着替えるわけにもいかないし」

 

 本当にどんな意図でそんな物をつくったのか、実に不可思議であった。

 それとも戦闘ではない場で、宝具に相当する大きな魔術の効果を高めるためのものか?

 

「うーん。白いのとは逆の方向でアイリスフィールさんに似合うかと思ったんだけど、デメリット付きじゃ厳しいか……」

 

 光己的には仮装パーティで両方着てもらってコントラストを楽しみたかったのだが、何らかの対策を講じないと難しそうである。アインツベルン関係なのは間違いなさそうなので、とりあえず2着ともアイリに渡すことにした。

 

「そうね、せっかくだから受け取っておくわ。ありがとう」

 

 これで「冬の聖女」と「逆堕つ泥雨」の行き先は決まったが、「チョコ・エンゼル」はアイリにはサイズが合わない。しかしドラコーにはぴったりだった。

 

「ふむ。性能的には余にマッチしているし、デザイン的にも露出多めで透けた部分まであるとはこれまた余向きだな。その上弓矢で長距離攻撃も可能になるとは盛り沢山だ。

 次回の仕事場でさっそく試してみるとしよう」

「うーん。私にはちょっと大きいですし、弓矢は自前で持ってますから私向きじゃないですね……。

 でもドラコーさんがそれ貰うなら、本は私が貰ってもいいですよね?」

 

 カーマがちょっと残念そうにしつつも抜け目なく一撃を繰り出すと、さすがにドラコーもちょっとひるんだ顔をした。

 

「むむ、そう来たか。

 しかしこの服の効果がそれに値するかどうかまだ確かめておらぬからな。どのみち勝負は今すぐはできぬみたいだし、返事はその辺が解決してからにしよう」

「仕方ありませんね。まあクレーンさんなら服のサイズを変えたり出力を上げたりすることもできるかも知れませんし」

「ああ、その手もあったか」

 

 とか何とかいうやり取りの後、とりあえずチョコ・エンゼルはドラコーが仮受け取りで破却宣言は保留という結論になったのだった。

 

 

 

 お土産分配が終わったら一同解散して、光己も自室に戻った。

 シャワーを浴びた後、今回の仕事は密度と難易度が高くて疲れたので夕食まで昼寝でもしようとベッドにもぐりこむ。

 そしてすぐにうつらうつらし始めて―――。

 

 

 

 光己がはっと気がつくと、そこは現代日本の山の中の高速道路のSA(サービスエリア)のような場所だった。

 太陽の位置を見るに時刻はお昼過ぎくらいで、青い空に小さな白い雲がいくつか浮かんでいる。山林特有の、少し冷たい澄んだ空気が心地いい。

 荒事の気配はなく、いたって平穏な感じだ。

 

「でもこの感覚、ただの夢じゃないな。またレムレムか!?」

 

 しかも今回は昼寝だったからか1人きり……ではなかった。

 

「あ、何か変な所にいるなあと思ったらマスターじゃないですか。

 もしかしてあの時みたいに、また夢で特異点に来たんですか?」

「おお、景虎じゃないか。1人きりじゃなくてよかった」

「はい、私もマスターにお会いできて嬉しいです」

 

 光己が声がした方に顔を向けると、先ほど一緒にいた軍神様がその言葉通り嬉しそうな様子で立っていた。

 彼女も今来たばかりのようだ。どんな事情でこうなったかは分からないが、あらゆる面で1人よりずっと良いのは確かである。

 

「うん、俺も嬉しい。

 しかしハードワークが終わって一休みと思った次の瞬間にまた突発の仕事とは、さすがにつらいものがあるな」

「そ、それはまた。お、お疲れさまです……」

 

 光己が珍しくグチをこぼしたことに景虎はちょっと驚いたが、彼が今口にしたような理由なら多少のことは仕方ない。少し乾いた口調になってしまったが、とりあえずねぎらいの言葉を述べておいた。

 すると彼は気を取り直したのか、普段の調子に戻って詫びてきた。

 

「あー、変なこと言っちゃってごめん。

 しかしこれ、ほんとに2人きりになりそうだな」

 

 ジャンヌズはお土産分配会の時に外に出したから今は召喚できないし、レムレムレイシフトではカルデア本部と通信できない上に今は令呪が残っていないから清姫やヒロインXXやカーマに来てもらうこともできない。波紋を出してしばらく待ってみたが、メリュジーヌも今回は気づかなかったのか来なかった。

 

「むう、本当に2人きりみたいですね……。

 デートみたいで嬉しいですが、その分責任重大ですね」

「うん、いろいろよろしく。

 ところで都牟刈村正は持って来られた?」

「え? あ、はい、大丈夫です」

 

 景虎は腰には刀を差していなかったが、左手を上げて軽く念じると一振りの日本刀が鞘ぐるみで出現した。「毘天八相車懸りの陣(びてんはっそうくるまがかりのじん)」で武器を出す時同様、普段は消してあって使う時だけ出す仕組みのようだ。

 

「よかった、心強いな。

 じゃあまずは情報収集とお金の調達から始めようか」

「はい。しかし情報収集はその辺の人に聞けばいいとして、お金の方はどのように?」

「冬木やパルミラの時みたいに金塊とか砂金を売るつもりだよ。今回は仲介人がいないからボラれるかも知れないけど仕方ない」

「なるほど、分かりました」

 

 こうしてお互いの状況確認が終わり行動方針も決まったので、2人はいよいよ現地調査に入ったのだった。

 

 

 




 主人公はゲーティアに会いませんでしたので監獄塔はなしで、代わりにフラグを立てたぐだぐだ超五稜郭になります。夫婦でしっぽり2人旅というやつですね(違)。
 原作と違って景虎が無傷の上に都牟刈村正まで持ってますが、代わりにこの世界はお金関係がシビアですから難易度は原作並み……のはず!
 チョコ・エンゼルがカーマには大きくてドラコーにはぴったりだというのは、礼装に描かれてるイリヤの身長が133cmで、カーマというかZeroの桜が120cm、ドラコーが135cmだからですね。あと清姫が158cm、メリュ子が147cm、ティアマトが140cm台ですので、サイズが合うのはドラコーだけなのです。
 本文で言っているように服のサイズを変えるという手はありますが、性能面でもカーマにはあんまり向いてないのですなw アルトリアリリィあたりが着て似合う度含めてマッチしそうです。
 あと恒例の主人公の現時点での(サーヴァント基準での)ステータスと絆レベルを開示致します。
 以前のものは第39話、56話、75話、91話、108話、132話、152話、175話、209話、241話の後書きにあります。

 性別   :男性
 クラス  :---
 属性   :中立・善
 真名   :藤宮 光己
 時代、地域:20~21世紀日本
 身長、体重:172センチ、67キロ
 ステータス:筋力A+ 耐久A+ 敏捷B+ 魔力EX 幸運B+ 宝具EX
 コマンド :AABBQ


【保有スキル】

獣形態(ビーストフォーム):EX
 冠竜の翼と赤い竜の翼と竜の尾を生やし、腕と脚に竜の外皮をまとった姿に変身します。時間制限はありません。

冠竜形態(ドラゴンフォーム):EX
 体長2キロメートルの巨竜に変身します。天使長の翼、熾天使の翼、冠竜の翼、水晶の翼、赤い竜の翼、魔王の翼を持っています。こちらも時間制限はありません。

〇アルビオンカラテ:E
 フウマカラテとドラゴンブレスと翼の御業・権能による結界・バフ等を組み合わせたオリジナルの戦闘スタイルです。御業・権能は獣形態では境界属性を、冠竜形態では光・量子・電脳・境界・星・闇の属性を扱えます。

〇コレクター:D
 お宝に執着心があり、その匂いにも敏感です。多少の鑑定もできます。常人には発見できない隠された財宝を感知できるかも知れません。

竜の遺産(レガシーオブドラゴン):C
 財宝奪取スキルの進化形で、「王の財宝」の亜種です。竜たちが表世界に残した財宝が「蔵」に入っています。ただし持ち出すには相応の格が必要です。
 新しく手に入れた財宝を収納することもできます。
 現在取り出せる財宝:テュケイダイト(第3再臨のメリュジーヌが持っている武器)、如意宝珠(小、大)、竜言語魔術の解説書の石板、竜の体の一部を使って作られたアイテム数点、守り刀「白夜」、ポルクスの剣、ダインスレフ、フロッティ、エーギスヒャールム、アンドヴァラナウト、ヴィーヴルの宝石の瞳、ウィングドブーツ、騎士アーサーの武具一式、聖なる手榴弾(複製品)、蓬莱の玉の枝、太平要術の書、遁甲天書、考古学的にヤバい陶磁器10点、縛鯖索、ギルガメッシュから奪った刀剣類(例:氷の剣の原典、炎の剣の原典、破邪の剣の原典、魔術師殺しの剣の原典(貸出中))、ハルペー、アゾット剣、マーリン製遠見の水晶、テュフォンの牙、呪腕のハサンの短刀、破却宣言、明神切村正1本、サーヴァントたちのサインと写真、ネロにもらった金貨、その他金銀財宝類。

神恩/神罰(グレース/パニッシュ):C
 味方全員のデバフを解除した後、絆レベルに比例した強さのバフを付与します。さらに敵全員に敵対度に比例したデバフがかかります。冠竜形態中のみ使用可能。

〇魂喰い:E+
 大気中もしくは敵単体から魔力を強力に吸収します。冠竜形態中のみ使用可能。

〇慣性制御:E+
 慣性とその反動を操作して、急激な加速や減速を行えます。獣形態中と冠竜形態中のみ使用可能。

〇量子&電脳テレポーテーション的単独顕現:E
 ビーストが持つ単独顕現と同種のものです。獣形態中と冠竜形態中のみ使用可能。


【クラススキル】

八巨竜の血鎧(アーマー・オブ・オクテットスター):EX
 神・魔・光・闇・対界・対星・量子・電脳・地球の内海・高熱・毒・誘眠・麻痺・電撃に対する完全耐性。これらの属性による攻撃をランクや威力に関わらず無効化します。
 それ以外の攻撃のダメージは22ランク下げます。
 弱体付与に対しても同様です。

〇境界竜:A
 ??????
 毎ターンNPが上昇します。

〇ネガ・ディヴィジョン:E-
 光己の魔術起源がビーストスケールまで成長・拡張する余地を持ったものですが、現時点では精神交流現象が多少発生しやすくなる程度です。獣形態中のみ使用可能。

〇神性&魔性:A+
 冠竜形態中は相反する属性を高いレベルで持っています。


【宝具的サムシング(形態不問)】

〇ギャラク〇アンエクスプ〇ージョン:EX
 敵全体に強力な攻撃<オーバーチャージで効果アップ>。対銀河宝具。
 銀河の星々をも砕くという概念を持った爆圧を放出します。
 使用する時はポルクスの剣を装備している必要があり、かつギャグシーン限定です(ぉ

人類悪もびっくり(ビーストエクスクラメーション):EX
 敵単体に超強力な〔ビーストまたは人類の脅威〕特攻攻撃<人数増で効果アップ>。対界宝具。
 邪〇眼もしくは愛の力に目覚めた者が3人以上集まって、宇宙開闢(ビッグバン)的なパワーを放つ究極の必殺技です。当然ギャグシーン限定です。


【宝具的サムシング(獣形態限定)】

獣の機神(デウス・エクス・マキナ):EX
 人型巨大ロボットを召喚します。魔導書属性を持つ相方が必要で、その相方の特性によりロボの性質や性能が変化します。宝具種別も不定。


【宝具的サムシング(冠竜形態限定)】

蒼穹よりの絶光(ガンマ・レイ):EX
 自身に宝具威力アップ状態を付与(1ターン)<オーバーチャージで効果アップ>+敵単体もしくは全体に超強力な無敵貫通&防御力無視攻撃+命中対象にガッツ封印(1ターン)。対霊宝具。
 超高エネルギー状態の光子の塊を撃ち出す技……らしいです。直線状ビーム、円錐形に広がる拡散ビーム、などのバリエーションがあります。

水底より招き蕩う常世の城(パレスオブドラゴン):B
 水晶宮(竜宮城)を顕現させる固有結界です。現時点では食べ物は用意できますが、それ以外のお土産は出せません。結界宝具。

終末の時きたれり、其は神に叛くもの(ハルマゲドン・ゴグ・マゴグ):D~A
 神(多神教の神霊やその化身等であっても可)の軍団と戦う時限定で、悪魔や不信心者の軍団を召喚します。軍団の規模や内容はその場の状況や光己の熟練度で変化します。対神宝具。


【絆レベル】
・オルガマリー:7      ・ロマニ:3       ・ダ・ヴィンチ:3
・エルメロイⅡ世:3     ・マシュ:5       ・アイリスフィール:1
・芥ヒナコ:3        ・項羽:1        ・藤丸立香:14
・クレーン:1        ・紅閻魔:2       ・シバの女王:1
・ルーラーアルトリア:8   ・ヒロインXX:10   ・アルトリア:4
・アルトリアオルタ:2    ・アルトリアリリィ:4
・モルガン/トネリコ:7   ・バーヴァン・シー:2  ・メリュジーヌ:8
・バーゲスト:2       ・キャストリア:2
・ワルキューレ3姉妹:8
・加藤段蔵:6        ・清姫:7        ・ブラダマンテ:9
・カーマ:10        ・長尾景虎:10     ・玉藻の前:3
・タマモキャット:2     ・ジャンヌ:6      ・ジャンヌオルタ:6
・宇津見エリセ:4      ・沖田オルタ:4     ・ゼノビア:1
・太公望:1         ・アルクェイド:2    ・マーリン:4
・ドラコー:2        ・ティアマト:1


〇備考
 特になし。


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