FGO ANOTHER TALE   作:風仙

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ぐだぐだ超五稜郭 殺しのサインはM51
第266話 時代が混ざった特異点


 現代日本ではそれなりの規模の街であれば金塊や砂金を売却できる店の1つや2つはあるのだが、高速道路のSA(サービスエリア)にあるとは思えない。といっても如意宝珠(小)があるから衣と食は大丈夫なので、そこまで急ぐ必要はなかった。

 ただ光己が思うに2人きりならお金が手に入れば旅館とかに泊まって(ぴー)なこともできそうなので、なるべく早く調達したいものである。

 

「とりあえず、このSAを見て回ってみるか……」

「そうですね」

 

 ざっと見渡したところ駐車場はごく一般的なアスファルトのもので、トラックや普通乗用車が何台か停まっているが不審な所はない。建物はトイレや食事処や売店などで、これも何の変哲もないものだった。

 しいて挙げるなら純和風なのはいいとして、電柱や電灯の類が見当たらないことだが……。

 

「イメージ重視でそういうのは見えないようにしてあるんかな? 木製の灯篭みたいなのがいくつも置いてあるし。

 まあいいか。それじゃ、次は店に入ってみよう」

「はい」

 

 そして売店に入ってみると、これまた和風の土産物屋のようだった。怪しい所はない……と思いきや、値札が現代の「円」ではなく昔の中国の貨幣のような「〇〇通宝」やら「銀〇〇(もんめ)」といった記載になっているではないか。

 売っている物は長野県あたりの名産品ぽいのだが……。

 

「何ぞこれ」

「まるで私の時代みたいですね……売っている物も、かつての信濃の産物を少し改良したような感じに見えます」

「ほむ、やはりここは長野県のどこか……しかし時代はまだ不明だな。

 おっと、あそこに両替屋があるじゃないか。何という幸運」

「砂金も替えてくれるようです……って、甲州金(こうしゅうきん)も挙がってますが本当でしょうか!?」

 

 甲州金というのは戦国時代の武田氏が発行した金貨で、主に甲斐国で流通していたものである。景虎だけがレムレムレイシフトに同行してきたことといい、どうやらここは文明が部分的に現代レベルまで進んだ戦国時代のようだ。

 いや戦国時代出身者というくくりなら段蔵もそうだが、該当者が全員来るというものではないということか? レムレムレイシフトは実例がまだ少ないので判断が難しかった。

 

「それはともかく、この状況は聖杯を手に入れた奴の仕業だろうな。何のためにかはまだ分からないけど、その聖杯を分捕……回収するのが今回の仕事か」

 

 途中で邪竜もしくは海賊的な単語が出かけたが、修正したので更生は進んでいると思われる。

 

「そのようですね。それでマスター、両替は致しますか?」

「うん。未成年の俺が大金持って行くと怪しまれるかも知れないから頼んでいい?」

「はい、承りました」

 

 こうして2人は現代換算でだいたい10万円分くらいになりそうな現地通貨を手に入れると、まさに今使った砂金などの行商人を装って店員に最近事件の類が起こっていないか聞いてみることにした。

 するとやはり何事か起こっているようではあるが、それを口にして客や他の店員に聞かれたくないらしく語ろうとしない。仕方ないので2人はその場を離れて、せっかくなので日持ちしそうな食べ物をいくつか買ってから売店を後にした。

 如意宝珠でいくらでも出せるものだが、現地で実際に生産されたものは味わいがまた違うのだ。

 

「それでもいくつか分かりはしたな。次にどこに行けばいいかは分からないけど」

「そうですねえ……。ところであの大きな建物、もしかして旅籠(はたご)の類なのでは?」

「おお、ハイウェイホテルというやつだな」

 

 いやこの特異点に高速道路の制度があるかどうかは知らないが、敷地内に宿泊場所があるSAというのは現代日本に実際に存在する。ここにあってもおかしくはない。

 

「やはりアラヤ、そしてガイアも俺に味方してくれてるようだな……。

 まだお昼過ぎだけど、他に手掛かりもないし行ってみない? お金も今手に入ったことだし」

「マスターのご希望とあれば」

 

 光己は澄ました顔をしているが、発言内容からして考えていることは丸分かりである。隣の部屋との仕切りが薄い板1枚だけだったとしても、竜としての格が上がったので遮音ができるお宝くらいは出せるのだ。

 なお景虎は人の心が分からぬ人外メンタルだが光己のことなら分かるので彼の目的はすぐ察したが、不服やためらいは全くなさそうな顔つきでついて行っている。

 そしてくだんの建物は、最初の見立て通り和風木造旅館であった。高さは3階建てくらいで、閻魔亭と違って建築学的にはごく順当な構造のように見える。怪しい所は見当たらない。

 

「よし、入るか」

「はい」

 

 2人が中に入ってみると、ロビーいや帳場(ちょうば)はやはり和風であった。従業員がいたので説明を聞いてみると、戦国時代と現代が混在した場所だからか、部屋は基本相部屋だが料金高めの個室もあるという。食事処は外にあるのでここにはないが、一応木賃宿的に客が持ち込んだ食材を自炊する場所は用意してあるそうだ。

 湯治に適した天然温泉があって、それで宿屋も建てられたらしい。

 個室があるのは大変喜ばしいが、温泉の方は戦国準拠で混浴だったのは好ましくなかった。光己としては自分が他所の女性の肌を見るのはいいが、大奥国の王妃の肌を他の男性に見せるのは絶対に、絶対に、絶対に認められない。

 

「うーん、湯治の湯となると貸し切りは無理そうだなあ。事件も起こってないみたいだし」

「ですねえ。でも布の面積が広い湯浴み着を着るならいいのでは?」

「ふむ……」

 

 まあ温泉に入るのが義務というわけでもない。2人は今すぐ結論を出すのは避けて、今一度外を見回ってから宿屋に戻ったのだった。

 

 …………。

 

 ……。

 

 そして翌日の朝9時頃。光己と景虎が宿屋の外に出てみると、今日もいい天気で幸いだった。どちらに行けばいいかはまだ分からないが、景虎が馬を出せば魔力負担はあるもののそれなりの速さで移動できるので、道路沿いに街か何かを探すつもりである。

 玄関のそばで昨晩知り合った刑部姫(おさかべひめ)という名の1人で温泉旅行に来ている女性とまた出会ったが、特に親しくなったわけではないので同行等はしない。挨拶だけして別れた。

 サーヴァントはサーヴァントと遭遇するとお互いサーヴァントだと分かるので、(多分)戦国時代に若い女性が1人で旅行という不用心極まりない行為でも止める根拠はないのだった。刑部姫といえば結構な大物妖怪だし。

 なお彼女は城化物(しろばけもの)だから普段は本拠地を出ることはあまりないのだが、このたびは何故か水着霊基で現界したのでそれが緩和されており、水着サーヴァントだから水場が好みなので温泉に来た……ということらしかった。今は水場でない屋外だからか「第一再臨」のサマーパーカーにホットパンツという出で立ちで、水着ではないがむちっとしたおみ脚が大変眩しい。

 ……そういえば刑部姫は戦国時代も生存していたはずだから、やはりこの特異点に来られるサーヴァントは戦国時代出身(or存命?)者縛りなのだろうか。

 まあその辺の考察はおいおいということにして、光己がSAを出る前に今一度駐車場を見渡してみると、ちょっと気になるものが目に入った。

 

「……ん? あのキッチンカー、もしかしたら何か手掛かりになるかも」

「といいますと?」

「立て看板に『SAI☆KA』って書いてあるだろ。戦国時代でサイカといえば傭兵集団の雑賀だよな。

 何でアルファベット使ってるのかは分からないけど」

「ふむ。その割に売っているものは飲食物ばかりのようですが、どちらにしてもあちこちを巡っているなら色々知っていそうですね。昨日の店員のようなしがらみもないでしょうし」

「うん、そういうこと」

 

 というわけで2人がキッチンカーに行ってみると、店員は13~14歳くらいの女の子だった。黒い外套を着て、雑賀らしく黒い短筒(たんづつ)を腰に差している。彼女もサーヴァントみたいなので、1人でも傭兵は務まるだろう。

 まずは情報料代わりにお高めの茶菓子を買ってから、諸所の情勢を訊ね……ようとした時、ふと視線を感じたのでそちらを向くとさっき別れたはずの刑部姫が仲間になりたそう、ではなく物欲しそうにこちらを見ていた。

 

「…………」

 

 どうやら甘味を食べたいようだがお金があまりないっぽい。

 サーヴァントが現界する時は無一文なので、マスターを持たないはぐれが手元不如意なのは当然である。雑賀と思われる少女がキッチンカーを持てるほどのお金を稼げたのは、むろん傭兵仕事によるものだろう。

 マスターとしては仲間ではないサーヴァントに奢る筋合いはないのだが、今回はおみ脚の拝観料としてご馳走することにした。

 

「刑部姫さん、袖すり合うも何とかっていうし、もしよかったら一緒に食べない?

 もちろん代金はこっちで持つから」

「え、いいの? カップルなのに心広~い……!」

 

 刑部姫はそちらも気にしていたようだが今更ためらいはせず、ずざざっと光己のそばに寄ってきた。そしてメニューを見て、おはぎだのぜんざいだの緑茶だのを両手に持ち切れないほど注文する。

 おそらく現界した後まともな食事をしていなかったのだろう。いやサーヴァントに食事は不要なのだが、それは栄養的な意味であって精神面は別なのだ。

 刑部姫は商品を受け取ると長椅子や傘が設置された休憩エリアに行ったが、光己と景虎は店員に話を聞かねばならない。

 

「ところで店主、このあたりの様子について少しお聞きしたいのですが、構いませんか?」

「……かまわない」

 

 店員はやや無愛想だが、嫌がってはいなさそうである。景虎は質問に入ることにした。

 

「実は私たちは旅の帰りでして、久しぶりに信濃に戻ったところ、だいぶ様変わりをしているようなのですが……」

「……聖杯の乱で今川が甲斐信濃を魔甲斐に変えてからはずっとこう」

「魔……、甲斐? 聖杯の乱?」

 

 怪しげな単語が出て来た。しかも当初の予想通り、聖杯案件だったようだ。

 

「本当に何も知らないの? なら、気を付けた方がいい。この魔甲斐の国では弱い者は生き残れない」

「それはどういう……」

「……ああいうこと」

 

 店員がそう言って指さした方を見てみると、駐車場の一角で何やら揉め事が起きていた。大きなトラックのそばで、大柄な鎧武者と僧兵が農村の住民ぽい高年男性を脅しつけているようだ。

 鎧武者は何かの邪法でもかけられてそうな禍々しい雰囲気が露骨に漂っており、僧兵はオケアノスで信長が連れていた兵士と雰囲気が似ている気がする。また高年男性は丁髷(ちょんまげ)を結っており、服は現代風のジャケットの下に和服というやはり戦国と現代が混じったスタイルだ。

 少し距離があるので3人の話はさだかには聞こえないが、鎧武者と僧兵が男性を拉致しようとしているように見える。母はもう立つこともできないとか、立てないならそのまま死ねば手間が省けるとか言っており、かなり強硬かつ薄情なやり方をしているようだ。

 

「あれは、もしや……」

「今川の人狩り……、ああやって集めた人間を、自分たちの兵士にしている」

「なんと……。ですが、ただの村人を集めたところで、すぐに兵として使えるわけでもないでしょうに」

「そう、だから連れていかれた者たちはみんな人じゃなくなる。連中の工場で魔力を送りこまれて今魔川兵にされる。

 そうやって作った強い兵で今川はこの国を支配してる」

「……そういうことでしたか」

 

 景虎と店員が話していると、また別のトラックが何台かやってきた。

 見れば荷台に子供が大勢乗っているではないか。子供まで拉致しているとは驚いたが、「大人は工場行きだ、子供は選別に回せ」と言ったのが聞こえたから扱い方が違うようである。

 その子供の中の1人が男性の息子であるらしく、親子は自分達を村に帰してくれるよう哀願したが、鎧武者は聞く耳を持たず男性を殴って黙らせた。

 

「…………。

 見ての通り、命が惜しければ関わらないほうが身のため」

 

 店員は痛ましそうな顔はしているが、助けに入る気はないようだ。実際ごく常識的な意見であろう。

 雑賀のサーヴァントなら今ここで鎧武者たちを倒すことはできるだろうが、聖杯を使って暴虐を働いている大大名を敵に回すのは得策ではない。

 

「……とのことですが?」

 

 しかし景虎はメンタルが人外なので同調せず、微笑すら浮かべて光己の方を顧みた。彼なら助けに行くだろうと確信しているようだ。

 しかし光己がすぐ答えず腕組みして考え込むと、逆に得心がいったらしく、ああ、と嬉しそうな顔をした。

 

「そうですね、マスターは心やさしい方ですが大局的な視点も忘れない方。ここはあえて見逃して、連中の後をつけて工場とやらの場所を突き止めるのが上策かなどと考えているのでは?

 兵士に送りこんでいる魔力を聖杯から調達しているのなら、その場で事件解決まで持っていけるかも知れませんし」

「おお、さすが軍神様。それでいこう」

 

 事実光己はせっかく手掛かりが向こうからやって来たのにただ人助けして終わりではもったいないと思っていたところなので、景虎の提案に諸手を挙げて賛同した。徒歩や馬では見つかる恐れがあるが、獣モードになれば空から追跡できるし。

 なお工場の場所を知るだけなら今ここにいる鎧武者たちを生け捕りにして尋問すればいいという案もあったが、これはうまくいく可能性は低いと光己も景虎も判断していた。というのも彼らが拉致された上で改造された兵士だというのなら、頭の中身も改造されている、つまり尋問しても素直に白状するとは思えないからだ。だって彼らの頭を元のままにしておいたら、強くなったら徒党を組んで反乱を起こすに決まっているから対策を取らないはずがない。

 ただしこれは常識人から見ればこの場限りの人助けよりはるかに危険度が高い狂気の沙汰であり、店員も心配を通り越して可哀そうな人を見る目になった。

 

「……正気?

 あいつら数も多いし、ただの雑兵じゃない。特に、今魔川兵の実力は甘く見ない方がいい。たった2人で行くのは無謀。

 まして片方がマスター(にんげんのまじゅつし)だと守りながらになるから論外だと思う」

 

 やはり鎧武者はなかなかの強者のようである。

 もっとも光己は人間の魔術師ではなく、ニュービー(かけだし)ながら竜人間のニンジャなのだが、この少年は性格や自己認識の関係でよほどの眼力がある者以外には一般人よりちょっと場数踏んでそうなくらいの半素人にしか見えないので、店員にこう言われても仕方ないのだった。

 

「ですよねー、うちの大将にも困ったものです。まあ、だからこそという感じですが」

「……尾行を提案したのはあなた」

「いえいえ、私はマスターが考えそうなことをちょっと先回りして言ってみただけですよ」

 

 景虎のどの面めいた発言に店員が乾いた声でツッコミを入れたが、軍神様はお気楽そうににぱーっと笑っただけだった……。

 

(……ま、2人じゃ少ないってのは分かってるんだけどなー)

 

 景虎と店員のやり取りを聞きながら、光己は2人に聞こえないよう心の中だけで呟いた。

 とはいえ手をこまねいていても状況は良くなるどころか悪くなる一方であろうから、多少のリスクは承知で動くしかないのだ。

 

「それじゃせっかく買ったんだから、連中がここを出てく前に食べとくか」

「そうですね、食べ物を粗末にしてはいけませんから」

 

 そんなわけで、光己と景虎が言葉だけ聞けば実に真っ当なことを話しつつ、刑部姫のところに移動する。

 刑部姫は食事に夢中で気づかないという(てい)を装っていたが実はちゃんと聞いていたらしく、2人が椅子に腰を下ろすと心配そうに訊ねてきた。

 

「2人とも、本当にその工場とやらに行くの?」

「うん、でも刑部姫さんについて来いとは言わないから安心して」

「それはまあ、一食分の甘味だけで大大名にケンカ売れと言われても困るけど……」

 

 一宿一飯の恩という言葉があるが、物事には釣り合いというものがあると思う。というか刑部姫は元が引きこもり&めんどくさがり気質だけに、水着霊基になっても荒事は好みではないのだった。

 

「昨日知り合ったばかりだから無理に止める気はないけど、勝てる見込みとかはあるの?」

「うーん、状況次第かなあ」

 

 たとえば工場が人里離れた所に建っていて中に改造前の一般人もいないのであれば、竜モードで踏み潰すといったことも選択肢になる。しかし街中に建っていて未改造者が大勢いて人質みたいな形になっていたら難しいところだ。

 

「へえー、大変なのね」

 

 刑部姫はカルデアの仕事についてはまだ聞いていないが、2人がただのお人好しなのではなく何らかの使命や義務があるのは察して同情的な顔をした。

 だからといって手伝いはしないのだが……。

 

「……って、誰か来たみたいよ」

「おお、昭和の頑固爺さんのような人……?」

 

 見れば白いシャツと青い作務衣っぽいズボンという服装で茶色い杖を持っている白髪の男性が鎧武者たちに突っかかっているではないか。しかも杖は仕込み杖で、持ち手を引っ張ると柄が外れて刃が現れた!

 

「わあー、もしかしてあっち界隈の人なのかしら」

「いや、永倉新八って名乗ったからむしろ警察関係……だけど、戦国時代の人じゃないな」

 

 戦国時代出身者限定という考察は外れだったようだ。そして永倉が勇敢、あるいは無謀にも鎧武者たちと戦い始める。

 永倉新八といえば新選組でも最強格だから、腕っぷしには自信があるのだろう。

 

「むう、新選組が人助けしてるのなら加勢せざるを得ないか……」

 

 尾行作戦は破棄になるが、土方や沖田もいる可能性があるしここは助太刀すべきだろう。

 鎧武者たちが頭を改造されているなら責任能力なしで無罪どころか被害者だが、だからといって好き放題させておいて良いわけはなく、元に戻せないなら退治するのはやむを得ない。なおその場合、鎧武者たちが犯した罪は彼らをつくった者がかぶることになるのは当然である。

 それはそれとして獣モードは一般人に見られたら魔物扱い必至だし、サーヴァントでも竜言語魔術だと主張してもすぐ信じてくれるかどうか怪しいから、今回は使わない方が良さそうだ。

 光己は景虎を促して現場に赴こうとしたが、その景虎がふと表情を鋭くして別の方に目を向ける。

 

「いえ、お待ち下さい。こちらにも……」

 

 いつの間にか若い女性が2人、反対側から近づいてきていた。当然サーヴァントである。

 1人は黒い外套の下にレオタードぽいインナーを着た、銀髪で青と赤のオッドアイの正体不明の人物、1人は青と白の修験者風の服を着て火縄銃を持った戦国時代的日本人だ。

 

「……はぐれサーヴァント2人とマスターが1人。大漁」

「悪いね、これも仕事だからさ」

「え、私も標的になってるの? 私不参加なのに?」

 

 ルーラーがいればサーヴァントに知らない内に会話可能な距離まで接近されることはないし、今の時点で真名も判明したのだが、今回の仕事は本当に条件が不利だった。

 巻き込まれた刑部姫には申し訳ないと思うが彼女にも原因の一端はあることだし、こうなっては皆で戦うしかない。

 

「といって向こうを放置して永倉さんが負けでもしたらまずいしな……。

 俺が向こう行くから、その間この2人を抑えといてくれる?」

「はい、お気をつけて」

「え、貴方1人で戦う気!?」

 

 刑部姫はマスターが1人で行くという発言に驚愕したが、止める間もなく彼は走り去ってしまった。

 

「……そう、貴女も1人で戦うことになる。正しくは2対2だけど」

「あーもう、何でこんなことに!?」

 

 そして彼女自身も、望まざる闘争の淵に引きずり込まれたのだった。

 

 

 




 宿屋での一晩については、妄想力(コスモ)が高まり次第書きたいなあと思っております。個室があるのは、主人公が言っているようにアラヤとガイアの加護ですねw


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