FGO ANOTHER TALE   作:風仙

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第286話 川中島24時1

 光己が五稜郭を「蔵」に収納した頃、今川側の氏真・伊東・服部が率いる本軍25万人はまだ川中島に着いておらず中央自動車道を北上している最中だった。

 しかし今魔川兵は常人より体力がずっと強いので行軍速度は速く、今日の夕方には到着する予定である。

 氏真自身は偉大なる父に(なら)って、軍の中央で兵士に担がせた輿(こし)の上に座っていた。

 義元が輿に乗っていたことが桶狭間の戦で織田側に彼がいる所を発見される原因だったという説があるが、当時輿に乗れたのは幕府の許可を得た者だけであり権威を示すことでもあった。氏真自身はもはや幕府の権威など要らない身だが、このたびはあえて父の在りようを踏襲したわけである。というのも川中島への進軍は氏真にとって「上洛」であり、いわば父の本懐を遂げることでもあるので。

 伊東と服部は徒歩で、輿の左右に控えていた。

 桶狭間の時のような奇襲を受けても敗れぬよう、警戒は怠っていない。何しろ敵には飛行や軍勢召喚といった、まさに奇襲に打ってつけのスキルを持つ者もいるのだから。

 そこでふと、氏真が顔を上げて何かを(いぶか)しむように視線を周囲に走らせた。

 

「これは……!? 五稜郭からの魔力が来なくなった、のか……!?」

 

 むろんその五稜郭が浮かんでいるはずの西の空にも目を向けたが、今日は雲が少し多いせいか見えなかった。

 

「ふぅむ……!?」

 

 五稜郭はこの特異点を崩壊させるためだけのものではなく、魔力を送って聖杯の持ち主である氏真を強化し、さらに人造義元と今魔川兵の耐久力を上げるという役目も負っている。なので五稜郭を失う、あるいは故障等で機能停止することは今川軍にとって非常な打撃であり、いつも沈毅(ちんき)に振る舞っている氏真もさすがに動揺が顔に現れた。

 

「義元様、どうかなさいましたか?」

 

 それに気づいた伊東に声をかけられたので、氏真は特に隠したりせず素直に事実を述べた。

 

「五稜郭からの魔力が来なくなった。何か起こった……もしかするとカルデアと武田に()とされたのかも知れぬ。

 いや地上に墜落したのではなく、占拠されたという意味だが」

 

 五稜郭が物理的に地上に落ちたのであれば、衝撃音や地震がここまで来るだろう。それがないから墜落はしていないと思うが、本当に占拠されて機能停止したかどうかは魔力が来なくなったという以外の根拠がないので断言できないのだ。

 戦闘その他の理由で故障しただけという可能性もあるので。いやそちらでも重大な問題だが。

 

「なんと……!?

 しかし仰られてみれば、今魔川兵たちが急に力が抜けたように見えますね」

 

 伊東も大いに驚いて周りを見回し、主君の言葉が事実であることを理解した。

 だが五稜郭にはカルデア・武田側の襲撃に備えて人造義元4人と今魔川兵10万人、さらに鉄砲隊を5千人も置いてきたのだ。連中のサーヴァントと召喚軍勢全員が来ても楽々返り討ちにできる戦力だと思っていたのに、それが敗れたというのか!? ましてや物見の報告によれば、連中はこちらにもサーヴァントを複数残しているというのに。

 

「とりあえず、忍びに見に行かせましょうか。そばまで行っても地上からでは下部しか見えませんが、何も見えないよりはマシかと」

「うむ」

 

 しかしすぐ立ち直ってまずは情報収集を提案すると、主君も短く頷いて同意した。

 そこにもう1人の仲間が別の策を申し出る。

 

「では私が威力偵察に行ってきましょうか。

 ただの物見ではなくサーヴァントなら連中のサーヴァントと(じか)に対面できますから、情報を聞き出すのは無理でも雰囲気くらいは分かるかと」

 

 五稜郭が停止した(かも知れない)のがカルデア・武田側の攻撃の結果なら、彼らの態度や言動に何らかの影響があるだろう。そこから五稜郭の状況を見定めようというわけだ。

 2日、いや明日までに川中島にたどり着いて五稜郭墜落を防ぐ手立てを取らねばならないという難業を果たす必要があるかないかで、彼らの戦術の方も変わってくるはずだし。

 

「よかろう。

 ただしあくまでも偵察にとどめよ。そこで死ぬことは許さぬ。

 とはいえいくらその方でも、サーヴァント複数に囲まれれば危険はある。絡繰(からくり)化今魔川兵を好きなだけ連れて行くが良い」

「はっ、ありがたき幸せ……!」

 

 絡繰化今魔川兵、長いので普段は鉄化兵と称しているこの兵士は、今はいない果心居士が改造して身体の一部を絡繰化した今魔川兵のことである。手作業なので人数は少なく200人しかいないが、スペックだけなら武闘系サーヴァントとも渡り合える強者たちだ。

 それを自分の命を守るために好きなだけ連れて行っていいという厚意に服部は感動したわけである。

 そしてさっそく、御下命(ごかめい)を果たすべく主君の前から辞し去った。

 

 

 

 

 

 

 光己たちが空を飛んで武田軍に帰る途中、ふとリリスが光己のそばに行って話しかけた。

 

「マスター、そういえばドラゴンって口からブレス吐くのが必殺技なんだよね。あのでかい竜なら今川軍の1つや2つ、簡単に吹っ飛ばせるんじゃない?」

 

 それはまったくもって順当で、順当すぎて順当でなくなっている提案だった。

 

「うん、それはそう。でも威力が強すぎてね。

 竜モードがファヴニールだった頃に何回かやったことあるんだけど、その時はだいたい数千人が消滅して1万人が死亡・負傷ってところだったんだ。

 で、今のアルビオン・ルシフェルは図体の大きさも神秘の強さもケタ違いだから、掛け算でごく大ざっぱに1千万倍くらいの威力になりそうでね」

「いっせんまんばい」

 

 何か途方もない数字が出て来た。

 

「つまり数百億人消滅する威力ってこと?」

「いや、爆発は上と下にもいくからそうはならない。ならないけど、手加減をちょっとミスったら間違いなく味方も死ぬ」

「……そうだねえ」

 

 なるほどそれでは軽い気持ちでは使えない。というかどういう状況なら使っていいのだろうか?

 

「空対地で使うなら、蛍さんや晴信公にはちょっと言ったけど本当に最後の最後の手段だな。

 地対空ならそうでもないんだけど、そんな状況は……あったけど、その時はまだ竜モードになれなかったな」

「へえー」

 

 光己が言っているのはオルレアンの時のことだ。空から襲い来るワイバーン軍団とかそういう敵に対してなら、アルビオンのブレスを使っても周囲に被害は及ぶまい。

 

「まあそもそも俺が矢面に立って戦うこと自体が推奨されてないんだけどさ。

 ここは違うけど、ビーストⅠ製の特異点だと尚更だな」

 

 ゲーティアがいくら傲慢と自信過剰の権化であっても、カルデアのマスターがアルビオン・ルシフェルとかいう超存在だと知ったら認識を改めて対策も取るだろう。それはぜひとも避けるべきだった。

 

「あー、正体バレたらまずいってことね」

「うん、奴にネタばらしをするのは奴の根城でエフェメロスと一緒にって感じだな」

「わー、マスターってば性悪ぅ」

 

 リリスはそんな風に茶化したが、その席にはご相伴するつもり満々なのは乙女の秘密である。

 

 

 

 光己たちは晴信のところに帰りつくと、まず互いの無事と作戦成功を喜び合った後、軍を2つに分けることを提案された。

 

「こちらは今川の先鋒の今魔川大将の軍を破って、それに続く人造義元の1人目―――透破(すっぱ)によれば南海道覇王などと称してる奴が率いている軍と今まさにぶつかり合ったところだ。

 それはいいんだが、東側の佐久経由の道にも東海道覇王と北海道覇王の軍がいるらしい。

 連中は大軍だが、中央自動車道1本だけで行くのではその利を生かせないから軍を分けてきたわけだな」

 

 逆に武田側としては軍を分けたくないのだが、東側を放っておいたら甲府に乱入されるのは必定だからやむを得ない。別動隊をつくって、須玉IC経由で北上して迎え撃つという形になる。

 

「ほむ……。

 それで、その別動隊は誰が行くんですか?」

「それが問題だ。

 兵士については、スピードが欲しいからちびノブだけになる。

 将、つまりサーヴァントだが、まずルーラー2人は別々で、大軍を指揮した経験があるのは俺と謙信だけだからこれも別れる。あと謙信だけはここの現地サーヴァントじゃないから、魔力供給の都合でマスターであるおまえと同行になる。

 大将が引き返して狭い道の方に行くというのは士気の面でちと面白くないから、別動隊はおまえたちに頼みたい」

 

 晴信の案は今のところ至って合理的で、光己にも反対すべき点はなかった。

 

「分かりました。つまりここに残る本隊に公とメタトロン、東に行く別動隊に俺と謙信ってのは決まりなわけですね。

 残りはどんな風に?」

「……。ぶっちゃけ戦力的にはおまえと謙信だけで十分のような気がするが、人の心案件的にはそうもいかんから好きな奴を何人か見繕って連れていけ」

 

 晴信はちょっと憮然とした顔つきで、人選を光己に投げてきた。

 晴信的にはこれは甲斐の民と領土を守るための戦いなのに武田関係者は自分だけで、その上カルデアとか新選組とかいう他所の組織2つが多数を占めているので、人事的な方面ではトップダウンしづらいのがもどかしいのかも知れない。

 光己もリーダーをしているだけあってその辺の機微を多少は察したが、うまい言葉を思いつかなかったので用件だけを答えた。

 

「そうですねえ。じゃあ刑部姫さん、今回留守番だったから来てくれる?

 蛍さんは謙信の代わりの射撃役ってことで本隊に、リリスもメタトロンが本隊だからそっちの方がいいかな」

「はーい。やったあ、毘沙門天サマの後ろならまた楽できそう」

「え、謙信ってそこまで強いの?」

「それはもう。武田の大将さんがさっき言ったの、おだてでも嫌がらせでもない本音だと思うよ」

 

 なお魔力供給不全の状態でそれなので、魔力十分かつ天使長の翼の光を受けたり竜王の武具をつけたりしたらまさに毘沙門天無双になりそうである……。

 

「そっか、じゃあカルデア組はこれでいいかな。

 新選組はどうします?」

 

 光己がそう言いながら土方に顔を向けると、実は土方はこの特異点に来てすぐ捕まっていて情勢に詳しくないので、部下に意見を求めることにした。

 

「永倉、どう思う?」

「そうだな。儂はずっと武田側にいたから本隊で、別動隊にはおまえと沖田と斎藤から1人か2人出せばいいんじゃねえか?」

「じゃあ私は別動隊で。マスターとは縁が深いですので!」

「そうか、じゃあ俺もそちらにしよう」

 

 すると沖田が別動隊に志願して、土方も光己とは1度会っているし今回助けに来てくれたし、あと沖田が水着のせいか浮かれてる感じがして心配なので別動隊に行くことにした。

 杉谷善住坊と果心居士については、先ほど晴信が「おまえと謙信だけで十分のような気がする」なんて言ったくらいだから当然本隊残留である。

 

「―――えーと、これで決まりなんですかね。

 では行ってきます……の前に。五稜郭を受け止める必要がなくなったわけですから、冠は返してもらえますか?」

「…………ああ」

 

 なおこういう状況でも光己は一品物のお宝の回収はきっちり行うフリークぶりだったので、晴信はやっぱり憮然とした顔で冠を返したが、この冠の価値的に考えて順当なムーブといえよう……。

 

 

 

 光己と謙信・刑部姫・土方・沖田はちびノブ5千人を引き連れて、須玉ICを通過し東側の道で北上ルートに入った。

 1時間ほど走ったところで、謙信がサーヴァント反応を探知する。

 

「ふむ、今度はちゃんとサーヴァントみたいですね。

 真名看破はまだできませんが、確か東海道覇王と名乗ってて、本物の氏真に見劣りしない強さだという話でしたね」

 

 それなら氏真戦に備えた予行演習にちょうどいい。

 今川側が軍神と戦うのを避けていたなら今の自分にはかなわないと思うが、今は味方が将も兵も少ないからもう一段強化しておくのが望ましいか。

 

「というわけでマスター、竜王の武具を貸して下さい!

 あ、決して晴信や蛍殿が羨ましくて言ってるわけじゃありませんよ」

「……お、おう」

 

 氏真戦の予行演習だから強化しておきたいというのは妥当だし、かの孫悟空が譲り受けた四海竜王の武具を(まと)ってみたいというなら武門の者としては何もおかしくないのだが、その後で要らない言い訳をするあたり本音は別なのは明らかだった……。

 まあ光己にはその本音も嬉しいといえば嬉しいし、建前の方も正当である。素直に貸すことにした。

 

「じゃあ出血……しないためのサービスで武器も出そう」

 

 そう言いながらいつもの波紋からまず鳳翅紫金冠と鎖子黄金甲と藕糸歩雲履、そして初めて見る薙刀のような形の武器を取り出す。

 

「……それは? 如意棒ではないですよね」

「うん。実は東海竜王は孫悟空に如意棒を渡す前に、違う武器を3つ見せてるんだ。

 そのうち2つは如意棒ほどじゃないけど重すぎて使いづらいけど、この大捍刀(だいかんとう)だけは普通の重さなんだ」

「へえー」

 

 謙信はそれは知らなかったが、竜王が所蔵していたものなら並みの代物ではあるまい。

 実際他の3つに劣らない神秘を感じるし。

 そして武具を4つとも装着すると、武具による霊基強化に加えて、何か別の作用も上乗せされて大幅に力を増したのを感じた。

 

「こ、これは!?」

 

 押し寄せてくる海嘯にも似た圧力が肌で感じられる。

 光己たちは謙信が強くなるのは当然予想していたが、まさかこれほどとは。驚いて目を見張った4人に、謙信は今理解できた強化の理由を説明した。

 

「4つとも装備すると個々の効果の合計よりさらに強い効果が出るのと……あと私の綽名が越後の『龍』だからですね。龍が竜王の武具をフル装備したことで信仰補正が増したのではないかと。

 フフン、これは晴信や信長には真似できない私だけの特権ですね! マスターのこ……サーヴァントとして実に誇らしいです」

 

 謙信は土方やちびノブたちの前で自分と光己の真の関係を暴露しない程度には自制していたが、背中を思い切りそらして鼻高々にしているのはいっそ可愛いと言えるかも知れない。

 まあ確かに「甲斐の虎」や「第六天魔王」ではこの補正は付きづらそうだから、発言内容自体はおそらく正解であろう。

 ―――やがて今川軍が視界に入った。中央道の時と同様、雲霞(うんか)のごとき大軍が道の左右まで広がって進んでくる。

 しかし謙信は平気な、いや不審げな様子で首をかしげた。

 

「んん? 何だか兵気が弱いですね。人数は西側の軍と同じくらいだと思うのですが……」

 

 ローマの時もそうだったが、何やら目に見えぬ気配を感じ取っているらしい。まさに軍神であった。

 

「休みなしの行軍で疲れたというわけでもないでしょうし、何かあったんですかね」

 

 謙信が何の気なしに呟くと、それが聞こえた沖田が反応を見せた。

 

「あ、もしかしたらマスターが五稜郭を接収したからじゃないですか? 今までは五稜郭が魔力を送ってたけど、それが途絶えて弱くなったとか」

「ふむ? 100万人に送ってたというといささか荒唐無稽ですが、あの大きさならあり得ますね。もしそうなのなら本当に正解の判断でした」

 

 また魔力送信の仕組みを研究・応用すれば、こちらを強化したり何か別の用事に使ったりといったことも可能だろう。むろんこのたびの(いくさ)には使えないが、今後の役には立つはずだ。

 

「さすがマスター、いつもながら有能ですね!

 ……っと、敵がだいぶ近づいてきましたね。全軍いったん停止!」

 

 この指示は接敵するのを遅らせて、彼らが本当に弱体化しているかどうか見極める時間を稼ぐためである。5千もの自動車部隊が急に全軍停止するのは手間や安全性の面で問題もあるが、距離はまだ十分あるし、ちびノブたちは運転はかなり上手なので事故等は起きなかった。

 謙信が改めて敵状をじっくりと観察し、その結論を口に出す。

 

「…………うーん、やはりさっきの軍より弱いですね。

 ではまず私がひと当てしてきますので、皆さんは出撃の準備だけしておいて下さい」

「え、1人でですか?」

「ええ、もちろん皆さんとちびノブたちの分は残しておきますのでご心配なく」

 

 沖田は謙信の身の安全を気にしたのだが、謙信の返事は完全に焦点がズレていた……。

 そして光己の方に向き直って、出撃の前の挨拶をする。

 

「……さて。欲を言うならあの翼の光も欲しいところですが、此度(こたび)は隠しておきましょう。

 では行ってきます。マスターはそこでゆるりと私の活躍をご覧なさってて下さい!」

 

 言い終えるとタンッと跳躍して車から飛び降り、靴の力で地上10センチほどの位置で宙に浮いた。

 ついで魔力を身体の外に展開し、直径2.5メートルほどの球状の力場を生成する。その(まばゆ)く輝く青白い光はまさに神の威光だった。

 

「謙信、行きます! 必殺、名づけて『越後の龍(えちごのりゅう)無双顕現(むそうけんげん)』! てやぁーっ!!」

 

 そのまま謙信が今川軍めがけて突進すると、当然今魔川兵たちもそれに気づいて驚きの声を上げた。

 

「な、何だあれ。1人で突っ込んできたのか?」

「でも無茶苦茶強そうじゃねえか!?」

「というかあんなのどうしろと」

 

 彼らも生物としての本能はある程度残っているので、突進してくる光球が自分達の手に負えないモノであるのは分かったが、脳を改造されているので逃げるという思考や行動はされなかった。

 

「どけーーーーーい!!!!」

 

 そこに大気を揺るがす神威的大喝が響き渡る。それを浴びた今魔川兵たちは金縛りになったかのように体が硬直して動かなくなり、それを免れた剛の者も精神的な畏怖でやはり動けなかった。

 

「どかぬか。ならば是非もなし!」

 

 すると光球が無造作に突っ込んできた。

 中国に「卵を以て石に投ず」という成語があるが、これは逆に大岩が卵の集まりに転がっていくようなものだ。今魔川兵は何の抵抗もできずに薙ぎ倒され踏み潰され、光球の進む速さを遅らせることすらかなわない。

 一方謙信はサーヴァント探知スキルにより、今川軍大将の東海道覇王の位置は常に把握できる。まっすぐ敵の中央に至り、ついにその姿を視認した。

 

「見つけましたよ。上杉謙信、見参!

 では死ねーーーーい!!」

「上杉謙信だと!? 名乗りを変えたのか!?

 しかしこの力は一体……いや考えている暇はないか」

 

 東海道覇王の方も謙信の接近は当然認識しており、しかし見ただけで分かるその強さに一瞬困惑する。

 それでもさすがにすぐ我に返り、武具であり手下でもある「大具足百足(おおぐそくむかで)」をけしかけて襲わせつつ、自身も肩の独楽(コマ)から火炎を放って迎撃した。

 謙信は避けようとしなかったので光球に命中したが―――まったく効いた様子がない!

 

「なん……だと!?」

「無駄です。覚悟ーー!」

 

 謙信が大捍刀を片手で突き出す。東海道覇王とはまだ5メートルほども離れていたので届くはずはなかったが、刀の先端から光の刃が(はし)って彼の胸板を貫いた。

 その傷跡は刃ではなく杭で刺されたような大きなもので、むろん致命傷である。

 

「バ、バカな……!?」

 

 東海道覇王が信じがたげに目を丸くしつつ、光の粒子となって消え去っていく。

 それを見送ると謙信はくるっと踵を返し、また悠然と敵中突破して自軍の陣に帰っていった。

 

「…………。なんかもう本当に全部あの人1人でいいんじゃありません?」

「それは言わない約束でしょ沖田っつぁん」

 

 その傍若無人な様子を眺めて沖田と刑部姫がそんなやり取りをかわしたが、この辺は余談である。

 

 

 




 今川側は原作のレイドめいて服部が出陣しましたが、主人公側に行ったら謙信の無双顕現くらって死ぬ未来しか見えないので困ってます(ぇ
 謙信はホント主人公といろいろ相性良いです。今回の突進はイメージ的には、三国志で関羽が顔良を討った時みたいな感じですかね。
 なお五稜郭が今川軍に魔力を送ってるというのは、原作第9節で伊東が言っております。
 ではまた次回に。


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