第294話 英霊召喚 7回目
光己が目を覚ますと、当然ながらカルデア本部の自室のベッドの上にいた。
そして今回も左右に誰かいる気配……というか首から下に重みがかかっている上に、体にかけているタオルケットが不自然にふくらんでいる。つまり誰かが体の上に乗っているのだ。
「あ、マスター起きた? まさか上に乗せるどころか抱きしめてくるなんて、愛の告白と思っていいのかな?
OKするかどうかはとっても微妙だけど」
するとリリスがタオルケットをめくって顔を出してきた。
実に楽しそうで何より……と素直には喜びにくい台詞である。反撃しておきたいところだが、その前に「抱きしめてくる」とは事実だろうか? と思ったら、本当に自分の両手は彼女の背中とおぼしき所に置かれていた。
「……えっと、マジで君のこと抱きしめてた?」
「いんや? アテシがうつ伏せでマスターの上にいたのは事実だけど、マスターの腕はマスターの胴体の横にあったよ。
でもそれじゃ面白くないから、アテシがアテシの背中の上に乗せた」
「参考までに聞くけど、何のために?」
「マスターが起きた時にこうしてからかうために決まってるじゃーん」
「おのれ悪女め!」
想い人とふれ合いたい恋心とかだったなら大変喜ばしい話だったのに。光己はせっかくだからもう少し彼女のカラダの感触を楽しみ、もとい邪悪な魔女に懲罰を下すべく彼女の背中に乗った手にきゅっと力をこめた。
リリスは上半身はやや厚手のジャケットを着ているがそれでも柔らかみを感じるし、下半身は何も着けてないから肉づきのいい脚がじかに触れ合っているのがえちえち的な意味で気持ちいい。
「きゃー、マスターが本当にセクハラしてきた。ヤられるー」
「ふふん、かつてローマでカーマに言った台詞を今一度言おう。セクハラっていえば女が正しくて男が悪になる風潮を俺は認めない!」
「へえー、マスターってばルシフェル的サムシングをかぶる前から
じゃあアテシの試練も受けてみよ! ふうー」
「おおっ!?」
軽く息を吹きかけられただけで、光己の首筋にゾクゾクッと甘い痺れが走った。何というワザマエか!
しかし反逆者への試練と言われては、屈するわけにもやられっ放しでいるわけにもいかない。光己もリリスのうなじに右手を回して指先でくすぐった。
「きゃー、ちょ、くすぐったいってば☆」
「んー、ここか、ここがええのんかー?」
…………こうやってノリが良くてウマが合う美少女とスキンシップしながらじゃれ合うのは大変楽しいのだが、残念ながらいつまでもそうしていることはできない。他の4人がちゃんと来ているかどうか確認、というか今すでに左側から視線を感じるので。
「あー、大変良いものを鑑賞させて頂いておりましたが、ご迷惑だったでしょうか?」
「いえ、こちらこそ放置してしまってたようで大変申し訳ないことを……。
何はともあれ、改めてよろしくね」
「うん、なるべく遊べたり引き籠ったりしてられる方向で」
「んー、他の人に悪く思われない範囲で配慮はする」
刑部姫は特異点に出る意欲も所内で補佐の仕事をする意欲も薄そうだったが、それを承知で勧誘していたので回答はこんなところにしておいた。
「私も無事来られた。改めて長期雇用でよろしく」
「うん、こちらこそ」
蛍も刑部姫の左側にいた。こちらは普通に仕事してくれそうで大変ありがたいことである。
「ん、マスター起きたの? 私は眠いからまたお休みー」
「お、おう」
1人だけ右側にいたメタトロンは薄目を開けたと思ったらまた寝入ってしまったが、常時
あとは謙信だけだが室内には見当たらない、と思った直後に内線電話がかかってきた。
「はい、藤宮です」
「マスターですか? 謙信です! 無事自室に戻りましたのでご報告をと思いまして。
リリス殿たちはそちらですか?」
「うん、4人ともこっちに来てるから安心して。
あとは所長に連絡して、みんなを集めてもらって自己紹介と報告会と所内案内かな?」
「そうですね、ではまた後ほど」
これで全員の帰還を確認できた。ついで所長室に電話をかけると折よく在室だったので、まずは簡潔にまたレムレムレイシフトで特異点に行って、無事修正して現地サーヴァントを4人連れ帰ったことだけを報告した。
「…………え、ま、またなの……? た、大変だったわね、お疲れさま……。
と、とにかく貴方が無事でよかった」
「はい、ありがとうございます」
するとオルガマリーは大いに驚きつつも、とても真情がこもった声で光己の無事を喜び苦労をねぎらってくれたので、光己は報われたような気がしてふうっと息をついた。
「それで、ええと。じゃあさっそく所内放送で皆を集めるから、貴方たちも管制室に来てね。
あ、そういえば貴方たちがロンドンで手に入れてくれた分で聖晶石がちょうど3個になったから、パルミラの後の時みたいに自己紹介会が終わったら報告会の前に召喚をしましょう」
「あ、そういえばそうでしたね。分かりました」
そういうわけで光己がメタトロンを起こして5人で管制室に赴く道すがら、光己の脳内に立香の声が響いた。
(あー、光己、今ちょっといい?
できれば報告会の前に話しておきたいことがあるんだけど)
(んん? うーん、管制室に着いてからの方がいいかな。
みんなが集まるまで多少は時間があると思うし)
レムレムの間ずっと聞かなかった彼女の声に光己はちょっとばかり懐かしさと実家めいた安心感を覚えつつ、少し待ってほしい旨を答えると居候少女はそれで納得したようで(うん、分かった)と言って脳内通信をいったん切った。
そして管制室に着いて、すでに来ていた何人かに挨拶したらしばらく黙っていられそうになったので、改めて彼女の用事を聞くことにする。
(……じゃあ聞かせてくれる?)
(うん。それじゃまず要点から言うと、光己は寝る前より人間モードと獣モードの時の魔力量がかなり増えてる上に、翼のスキルと人類悪スキルの
魔力量が増えたのは当然ながら氏真と彼の体内の霊基を吸収したからだが、人間モードと獣モードに限定されているのは、竜モードから見ると氏真たちの魔力はごく微量で、影響を及ぼせるほどではないからだった。
(
(うん、ありがとう)
オルガマリーと同じように立香も自分の無事を喜んでくれたので、光己は改めて「大切に想ってくれている人がいる」ことを実感しつつお礼の言葉を返した。
(でも人類悪スキルがレベルアップって何で?
(貴方に心当たりないんじゃ私に分かるわけないよ。
でも内容は判明してるから教えるね。こちらも要点から言うと、ロンドンでマーリンさんが言ってた『一時的にサーヴァントを憑依させて疑似サーヴァントみたいな存在になる』って感じかな)
あの時の長い上に内容が多岐に渡る話を覚えていて、しかも話している相手が理解しやすくなるよう例に出せるほど理解しているのは単に立香が魔術の理論に詳しくなったというだけではなく、その相手への深い好意と理解があってのものだろう。
(ああなるほど、それなら心当たりあるな)
氏真(もしくは義元の霊基)が持っていた能力がそういう形で現れたのだ。まったく同じ能力ではないようだが、それは今まで何度もあったことで異とするには足りない。
(そっか、じゃあ後で教えてね。
それでこのスキル、何とサーヴァントじゃない生身の生物に対しても使えるんだよ)
(マジか)
確かにマーリンもそんなことを言っていたが、こんな早い段階で実現するとはさすが人類悪スキルというべきか。
(じゃあそっちの詳細先に教えてくれる?
翼のスキルは現地で使ってある程度把握してるから)
(うん)
という流れで立香が説明した人類悪スキル「万命帰神」の内容は―――。
・憑依というより、光己の胸の紋様の「中」に収容するという方が正確だが、現在の立香と同様に
・
・収容するとその者が持っている分だけ光己は魔力量が増える。さらにその者が持つ魔術や武具を使用できる。
・それらの魔力や魔術や武具を操る技術や体術の類も同調率に比例して模倣できる。
・収容できる人数の上限はない。
・収容されている者が出る時はどちらか片方の意志だけで可能。
・誰かを収容している時に獣モードを解除すると紋様だけ残る。
(誰を収容できるかは試してみないと分からないけど、私ができることは判明してるよ。
しかも今やってる光己のケアも引き続きやれるんだ。これに他の人が新規参加するにはよほどの同調率と人格的な信頼性や安定性が必要だけど、私は今までの実績があるからね)
(ほむ……つまり立香はコフィンから出ても俺のケアの仕事続けられるってこと?)
(うん、だから急いで言ったんだよ。ロンドンではまだ出なくていいって言ったけど、出ても仕事できるなら別だからさ)
(そりゃそうだな。あーでもカルデアの構内じゃ如意宝珠(大)出せる場所ないか……いやトネリコや太公望さんやマーリンさんなら何とかできるかも知れんから、後で聞いてみるよ)
(うん、お願いね。それじゃまた後で)
(うん)
確かにこれは急ぎの案件だった、と納得しつつ光己は通話を終えた。
しかもやる時は立香やマシュやマーリンさん(機会があるなら所長も)は脱いでくれるのか!と顔や口には出さないよう気を引き締めつつ内心で感動のガッツポーズを決める。
―――やがて所内放送を聞いた所員やサーヴァントたちが次々と管制室に入ってきた。今回も加入組にはカルデアに知人がいる者がおり、それを見つけた刑部姫が軽く手を振る。
「おー、本当に3人ともいたんだ!
おーい、姫のご到着だよ。お茶菓子とか用意して歓迎するがいいー」
「え!? ……って刑部姫さんじゃないですか。しかももしかして水着霊基ですか!?」
「おや、これはお久しぶりです。まさか貴女まで来るとは驚きました」
「刑部姫!? よく来まちたね、今回こそモノになるまでみっちり仕込んでやるでち」
「え!? いえ先生、それはご容赦願いたく―!」
最後は涙目になっていたが。
そして次にマシュが現れた時、なぜかリリスの目つきが険しくなった。相当な嫌悪と憎悪を抱いている様子である。
しかし言葉や行動には出さなかった。
(……あの憎しみはあのアテシだけのものだからね。
そもそもここのキリエライトはアテシのこと知らないんだから、いきなり何かするのはただの嫌な奴だしね)
どうやら別の現界の時に何かいさかいがあったようだ。
しかしそれを今回の現界に持ち込むつもりは(あまり)ないらしく、今はおとなしくしていた。
次にジャンヌとジャンヌオルタが入ってきて、メタトロンを見つけると訝しげな顔をした。
「あの子、何だか私たちに似てません?」
「少なくとも顔立ちはアンタにそっくりね。かなり幼い感じだけど」
「ですよね。でもあの立ってるのが精一杯な感じの眠そうな表情と雰囲気はいったい……?」
「想像もつかないけど、後でマスターと本人が説明してくれるんじゃない?」
「そうですね、おとなしく待ちますか」
ただ彼女の素性を知らないので、とりあえず先方が語ってくれるのを待つことにしたようだ。
そして全員集まったら、最初は加入組の自己紹介である。
「あー、どーも、日本出身の城化物の刑部姫と申しますー。
よろしくお願いしますー」
「日本の戦国時代出身で傭兵やってた雑賀蛍。よろしく」
「メソポタミアの悪霊のリリスだよ。よろしくぅ!」
刑部姫と蛍の自己紹介には特段の反応はなかったが、次にリリスが名乗るとカルデア側の何人かが驚愕を思い切り顔に表して、「ぶふーーっ!」と盛大に噴き出した。
何しろ「ルチフェロなりしサタン」を無辜られている男が「サタンの妻」という伝承がある女を無断で連れ込んだのだ。むしろおとなしめの反応といえよう……。
「あばばばば……」
総責任者のオルガマリーに至っては泡を吹いて失神しそうになっていた。お労しや所長……。
「ふぁぁぁ……あ、私の番?
どーもー。メタトロン・ジャンヌでーす。
今の私は大天使メタトロンがジャンヌ・ダルクを依代にした疑似サーヴァント……が、謎の力によって怠惰を付与されて常時スタンしてるようなものだと考えてくださいなー」
「メタトロン、だって!? あの大天使の……!?」
しかし次にメタトロンが光己の時と同じ台詞で名乗ると、動揺はいくらか静まった。
これはきっと、サタンなりし赤い竜と
ただその割には眠そうで実に頼りないが……。
皆のその疑問と不安を解消すべく、依代という縁があるジャンヌが代表してメタトロンの前に進み出る。
「初めまして、ジャンヌ・ダルクと申します。
初対面なのに
初対面の大天使にいきなり質問をするという畏れ多い行為にさすがのジャンヌもかなりおずおずして恐縮している様子である。一方メタトロンは何も気にした様子はなく素直に、ただし眠そうかつ面倒くさそうな口調で答えてくれた。
「あー、それはね。私は再臨ごとに性質が変わるんだけど、さっきまでいた特異点に入れる適性があるのはこの姿だけだったんだよ。
他の2つなら怠惰持ってないから強くて楽だったんだけど、うまくいかないもんだねー」
「そ、そうだったんですか」
変わった特徴を持つサーヴァントもいるものだとジャンヌは思ったが、もちろん口に出したりはしない。
というかそういうことなら、
―――そんなわけで微妙に不完全燃焼な雰囲気のまま加入組の自己紹介が終わったら、次は所員と迎え入れ側サーヴァントの番である。こちらは何事もなく終わり、その次は所員は解散して幹部組とサーヴァント勢で聖晶石召喚という流れ……だったのだが、ここで光己がインターセプトを入れた。
「あ、所長。その前にちょっとご相談したいことが……。
実は今回のレムレムでまたスキルを習得しまして、それで立香をコフィンから出しても俺のケアの仕事ができるようになりましたのでご許可が欲しいなと思いまして」
用件はもちろん、先ほど立香と話した彼女をコフィンから出す件である。
オルガマリーとしては当事者間で合意ができているなら拒む理由はないが、ことがことだけに詳しい事情は聞いておきたい。
「それは構わないけど、具体的にはどんなスキルなの?」
「はい、立香が言うには『一時的に誰かを憑依させる』みたいな感じでして」
光己も詳細を説明せずに許可をもらえるとは思っていなかったので―――これが人類悪スキルであることは伏せて―――立香に聞いた内容を話すと、オルガマリーはまた驚きつつも了承してくれた。
「なるほどね。それならトネリコたちに空間拡張ができるならすぐにでも実行できるわね」
慎重を期するなら事前に他の同調率が高そうな人で実験しておくのが望ましいのだが、同調率を数字で測定することはできないので意味がないのだ。誰かができた、あるいはできなかったとしても、それを立香に当てはめられるわけではないので。
というわけでトップの許可を得た光己はさっそく実行に移り、妖精國組に声をかけて事情を説明した。
「ふーむ。立香さんをコフィンから出す、ですか……」
それを聞いたトネリコはわずかに眉根をしかめた。
空間拡張の魔術を使えるか使えないかと問われたなら答えは当然イエスなのだが、何しろ立香は妖精國にとって侵略者だったので。
しかしそれを言うなら以前光己に語った通り妖精國も汎人類史に対する侵略者であり、それにここの立香は並行世界の別人だ。恨みを抱くのは筋違いだし、断っても光己からの好感度が下がるだけで得はない。
むしろその筋違いの恨みやわだかまりをきっぱり捨てる機会と捉えるべきだろう。
「分かりました。しかしここでやって何かあったら大変ですので、体育館に行きましょう」
「おお、できるのか。やはり大魔術師は違うな」
トネリコが承諾したなら、妖精騎士たちに否応はない。話がまとまり、光己とトネリコを先頭に妖精國組と幹部組、その後ろにここの立香とすでに知己であるマシュ、並行世界の立香と縁があったカーマ、ドラコー、ティアマト、リリス、メタトロンがついていく。
そして体育館に入ると、トネリコは安全確実を重視したのか光己にアゾット剣を借りてそれを軽く振るった。
「……えい」
「おおっ!?」
すると周りの空間がぐにゃりと歪むやや不快な感覚の後、部屋の広さと高さが5倍ほどずつ引き伸ばされた。
壁に付けられた通路や天井の蛍光灯などもその比率で大きくなっており、逆にこちらが小人になったようにも感じられる。
「こんなところでどうでしょう」
「うん、これなら十分だな。ありがと」
後は光己が獣モードになってお宝を慣性制御で動かせるようになってから、如意宝珠を出してお願いするだけだ。すでに当人の了承は得ているのでその願いはすぐさま受理され、光己の隣にケガが治った立香がぱっと出現する。
「お久しぶり、光己。貴方のおかげで出て来られたよ」
「おお、立香! ほんとに久しぶりだな」
脳内会話や夢の中での邂逅ではない現実での対面は本当に久しぶりである。ましてや人理修復という大仕事の最中だから感慨はひとしおだ。
2人はそれ以上言葉が出て来ず、ただしばらく見つめ合っていたのだった。
その後如意宝珠をしまって空間も元に戻して、立香がトネリコにお礼を言ったりついて来た人たちに挨拶したりといった儀礼的なやり取りも済んだら予定通り聖晶石召喚である。
「特異点から帰ってきたばかりなのに忙しいねえ」
「まあなー、しかしどれもこれも後回しにするわけにはいかなくてな」
召喚ルームに行く途中光己と立香はそんな雑談をかわしていたが、そういうたわいない会話でも波長がすごく合ってる感じで、しかもごく自然に手までつないでいる。その仲睦まじげな雰囲気はマシュやアルトリア・キャスターがもやついて小さく頬をふくらませるほどであった。
しかし召喚ルームに入るとさすがに2人とも真面目になって手を離し、ついで光己が聖晶石を魔法陣の中央に置く。
「エフェメロスを呼ぶ約束してたけど、トネリコが希望出してたからそっちを先にしようか」
「はい、ありがとうございます」
光己は別の特異点に行って帰ってきたばかりなのにトネリコの希望を覚えていたあたり、戦国武士の世界を体験してリーダーの自覚がさらに育ってきたようだ。
トトロットにゆかりのある触媒はないので、代わりに希望者のトネリコが光己の隣に立つ。
「――――――汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」
そして光己がいつも通りの呪文を唱えると、いつも通り魔法陣の上に光の柱が立ち昇った。ついで光の中に人影が現れる。
しかしその人影は身の丈2メートル近くありそうな大柄な男性だったので、トネリコはかくんと肩を落とした。
「ハズレみたいですね。やはり触媒なしで1発ツモとはいきませんか」
「そっか、それは残念……あ、でも顔には出さないでね」
「それはもちろん……というか、前にいると変な誤解されかねませんので下がりますね」
せっかく召喚に応じてくれた者に失望したような態度を見せるのは非礼極まるというものだ。光己の注意にトネリコも頷いて、他のサーヴァントたちの中に混じった。
その間に光が消え、人影の容貌が明らかになる。
紫色のぴっちりスーツを着て黒いマントをはおった西洋人の壮年男性で、右腕の肘から先に茶色い金属製の籠手をつけている。あるいは義手かも知れない。
籠手は青白い火花を放っていた。素で放電しているとは、電気や雷に関わりが深い者なのだろうか?
……というか、光己はこの男性に見覚えがあった。
「あ、もしかしてロンドンで会ったテスラさんですか?」
「うむ、覚えていてくれたようで幸いだ。いや私ほどの天才を忘れるなどあり得ないな!
そう、私がニコラ・テスラ。天才だ!」
テスラの方もロンドンで光己と会った記憶を持っているようだ。いやそうだからこそ来てくれたのかも知れない。
「……ん? あの時会った君はサーヴァントだったと思ったが、今はそうではないように見えるな」
「あー、あの時は事情がありまして幻術かけてもらって偽装してたんです。
今が本来の姿ですね」
「そうか、まあ大した問題ではないな。
今後は雷電が君の力になろう!」
「おお、実に頼もしいです」
光己はニューカマーが今回も美女美少女でなかったのは大変悲しかったが、今口にしたことも本心である。何しろ浮遊要塞を手に入れた直後に、それの調査・研究や強化に最適の人材がやってきたのだから。
ただ召喚に応じた者の性格や能力によっては立香が契約するという選択肢もあったのだが、今回は光己とすでに知り合いで互いに好感を抱いているからやはり光己が契約するのが順当だろう。
「うん、確かにとても頼もしいね。我々技術開発部は君の来訪を諸手を挙げて歓迎しよう!!」
そしてダ・ヴィンチも言葉通りの表情と動作を見せていた。
まさに適材適所な人事であったが、2人の高評価ぶりに興味を抱いた立香が光己に小声で訊ねる。
「ねえ光己、テスラさんってそんなに凄い人なの?」
「ああ、そりゃもう凄い科学者だぞ。実際天才。
いろんな発明してるけど、特に電気を実用化したのが1番の功績だな。俺的には、火や農耕や住居や衣類や土器や内燃機関やコンピューターに匹敵するレベル。
これ以上となると、言語と文字しかすぐには思いつかん」
「へえー」
光己の回答は内容がないおべんちゃらではなく彼の実績とその比較対象を挙げており、科学者に対する賛辞としては最上級のものといえよう。これには天才もニッコリである。
「そこまで高く買ってくれているとは科学者冥利に尽きるな!
これはこちらも相応の成果を挙げねばなるまい」
すると光己はその台詞に思い切り乗った。
「おお、さすがは雷電博士!
ダ・ヴィンチちゃんの人事案はもっともですが、個人的にもお願いしたいことが」
「ほう、何かね?」
「実は最近浮遊要塞を手に入れまして。その調査と強化をぜひ。
金や資材ならあります」
光己恒例の突拍子もない発言だが、すべて現実的な話なのも恒例だった……。
強化の案もすでに複数用意済みだ。施工者がテスラであるなら電気を用いた主砲は当然として、ロンドンで入手したオートマタやヘルタースケルターに人造義元や今魔川兵の技術を合わせれば優秀な衛兵もつくれそうだ。
余裕があれば砂金(といっても純度100%だから不純物を取り除く作業はいらない)を成形する機械も欲しい。砂金のままより硬貨や大判小判や延べ棒の方が使いやすいし、インテリアあるいは銅像的記念品として等身大オルガマリー像やモナ・リザ像をダ・ヴィンチにつくってもらうという構想もある。
「ふっふっふ、これはまさにラ〇ュタ……。
言葉を慎みたまえ、君は大奥王の前にいるのだ! とか言っちゃいそうだな」
「よく分からないけど、その台詞は敗北フラグじゃないかな」
さすがのテスラも「浮遊要塞」なんてヨタワードをすぐには消化できずぽかんとしていたが、立香は理解してツッコミを入れていた。
今回唐突に人類悪スキルを習得しましたが、これはメタ的には本文にある通り立香がコフィンから出ても脳内セ〇ムを継続できるようにするためであります。2部になる前にやる必要があるのですが、似た能力の持ち主を喰ったのでちょうどいいかなと。
あと立香(たち)が脱ぎます(重要)。
同調率の条件がついてるのは難易度調整のためです。鯖全員収容したまま単独顕現で特異点に行けたらヌルゲー過ぎますので(^^;
というか今後も、適性がある鯖しか特異点に入れないシステムは必要ですな。鯖が大勢いてもまだ増やす理由付けにもなりますし。
スキルの名前がカーマやキアラのそれに似てるのはわざとですが、「神」が現宇宙の神を指すのか新宇宙の神を指すのかはネタバレ禁止事項です。
ニューカマーはテスラでした。本文に書いた理由もありますが、次のイベントにとても適性があるというか当人が喜びそうなのでw
北米特異点にも適性ありますね。エジソンと殴り合いしてエレナに叱られてもらおうw
エレナといえば魔導書属性がありますが、別れる時に本だけもらえないだろうか。エレナ自身と組んでロボ出すこともできるのですから価値は分かってくれるでしょうし。
あと恒例の、主人公の現時点での(サーヴァント基準での)ステータスと絆レベルを開示致します。
以前のものは第39話、56話、75話、91話、108話、132話、152話、175話、209話、241話、265話の後書きにあります。
性別 :男性
クラス :---
属性 :中立・善
真名 :藤宮 光己
時代、地域:20~21世紀日本
身長、体重:172センチ、67キロ
ステータス:筋力A+ 耐久A+ 敏捷B+ 魔力EX 幸運B+ 宝具EX
コマンド :AABBQ
【保有スキル】
〇
天使長の翼と熾天使の翼と冠竜の翼と水晶の翼と赤い竜の翼と魔王の翼と竜の角と尾を生やし、腕と脚に竜の外皮をまとい、胸に謎の紋様を浮かべた姿に変身します。時間制限はありません。
〇
体長2キロメートルの巨竜に変身します。獣形態の時と同じ翼を持っています。こちらも時間制限はありません。
〇アルビオンカラテ:E+
フウマカラテとドラゴンブレスと翼の御業・権能による結界・バフ等を組み合わせたオリジナルの戦闘スタイルです。御業・権能は光・量子・電脳・境界・星・闇の属性を扱えます。
〇コレクター:D
お宝に執着心があり、その匂いにも敏感です。多少の鑑定もできます。常人には発見できない隠された財宝を感知できるかも知れません。
〇
財宝奪取スキルの進化形で、「王の財宝」の亜種です。竜たちが表世界に残した財宝が「蔵」に入っています。ただし持ち出すには相応の格が必要です。
新しく手に入れた財宝を収納することもできます。
現在取り出せる財宝:テュケイダイト(第3再臨のメリュジーヌが持っている武器)、如意宝珠(小、大)、竜言語魔術の解説書の石板、竜の体の一部を使って作られたアイテム数点、守り刀「白夜」、ポルクスの剣、ダインスレフ、フロッティ、エーギスヒャールム、アンドヴァラナウト、ヴィーヴルの宝石の瞳、ウィングドブーツ、騎士アーサーの武具一式、聖なる手榴弾(複製品)、蓬莱の玉の枝、太平要術の書、遁甲天書、考古学的にヤバい陶磁器10点、縛鯖索、ギルガメッシュから奪った刀剣類(例:氷の剣の原典、炎の剣の原典、破邪の剣の原典、魔術師殺しの剣の原典(貸出中))、ハルペー、アゾット剣、マーリン製遠見の水晶、テュフォンの牙、呪腕のハサンの短刀、破却宣言、明神切村正1本、遮音できるお宝(名称未定)、四海竜王の武具、義元左文字、氏真の武具の独楽、五稜郭とその付属施設、サーヴァントたちのサインと写真、ネロにもらった金貨、その他金銀財宝類。
【クラススキル】
〇
神・魔・光・闇・対界・対星・量子・電脳・地球の内海・高熱・毒・誘眠・麻痺・電撃に対する完全耐性。これらの属性による攻撃をランクや威力に関わらず無効化します。
それ以外の攻撃のダメージは22ランク下げます。
弱体付与に対しても同様です。
〇境界竜:A
??????
毎ターンNPが上昇します。
【翼の権能(獣形態時か冠竜形態時のみ使用可能)】
〇
味方全員のデバフを解除した後、絆レベルに比例した強さのバフを付与します。さらに敵全員に敵対度に比例したデバフがかかります。
〇
単体もしくは複数の傷や毒や病気や呪いなどを治すことができます。
〇
単体もしくは複数にバフを付与します。内容はある程度任意に設定できます。
〇量子&電脳テレポーテーション的単独顕現:D
ビーストが持つ単独顕現と同種のものです。
〇慣性制御:D
慣性とその反動を操作して、急激な加速や減速を行えます。
〇
赤い竜の力を一時的に発現させます。非常に強力ですが、強い破壊衝動を伴います。
〇魔力感知:D
周囲の生命体が発する魔力を光として感知することができます。
〇魂喰い:D
大気中もしくは敵単体から魔力を強力に吸収します。
〇神性&魔性:A+
相反する属性を高いレベルで持っています。
【人類悪スキル(獣形態時のみ使用可能)】
〇ネガ・ディヴィジョン:E
光己の魔術起源がビーストスケールまで成長・拡張する余地を持ったものですが、現時点では精神交流現象が多少発生しやすくなる程度です。
〇万命帰神:E
一時的に他者を憑依させて疑似サーヴァントみたいな存在になる能力ですが、現時点では同調率による制限があります。
【宝具的サムシング(形態不問)】
〇ギャラク〇アンエクスプ〇ージョン:EX
敵全体に強力な攻撃<オーバーチャージで効果アップ>。対銀河宝具。
銀河の星々をも砕くという概念を持った爆圧を放出します。
使用する時はポルクスの剣を装備している必要があり、かつギャグシーン限定です(ぉ
〇
敵単体に超強力な〔ビーストまたは人類の脅威〕特攻攻撃<人数増で効果アップ>。対界宝具。
邪〇眼もしくは愛の力に目覚めた者が3人以上集まって、宇宙開闢的なパワーを放つ究極の必殺技です。当然ギャグシーン限定です。
【宝具的サムシング(獣形態時のみ使用可能)】
〇
人型巨大ロボットを召喚します。魔導書属性を持つ相方が必要で、その相方の特性によりロボの性質や性能が変化します。宝具種別も不定。
【宝具的サムシング(獣形態時か冠竜形態時のみ使用可能)】
〇
自身に宝具威力アップ状態を付与(1ターン)<オーバーチャージで効果アップ>+敵単体もしくは全体に超強力な無敵貫通&防御力無視攻撃+命中対象にガッツ封印(1ターン)。対霊宝具。
超高エネルギー状態の光子の塊を撃ち出す技……らしいです。直線状ビーム、円錐形に広がる拡散ビーム、などのバリエーションがあります。
〇
水晶宮(竜宮城)を顕現させる固有結界です。城の周りには『千メートル単位の厚さの海水』に相当する概念防御が展開され、空飛ぶ鮫を召喚・使役することもできます。
城内にいる者には強力な治癒効果が与えられます。
現時点では食べ物は用意できますが、それ以外のお土産は出せません。結界宝具。
〇
神(多神教の神霊やその化身等であっても可)の軍団と戦う時限定で、悪魔や竜や不信心者の軍団を召喚します。軍団の規模や内容はその場の状況や光己の熟練度で変化します。対神宝具。
【絆レベル】
・オルガマリー:7 ・ロマニ:3 ・ダ・ヴィンチ:3
・エルメロイⅡ世:3 ・マシュ:5 ・アイリスフィール:1
・芥ヒナコ:3 ・項羽:1 ・藤丸立香:14
・クレーン:1 ・紅閻魔:2 ・シバの女王:1
・ルーラーアルトリア:8 ・ヒロインXX:10 ・アルトリア:4
・アルトリアオルタ:2 ・アルトリアリリィ:4
・モルガン/トネリコ:7 ・バーヴァン・シー:2 ・メリュジーヌ:8
・バーゲスト:2 ・キャストリア:2
・ワルキューレ3姉妹:8
・加藤段蔵:6 ・清姫:7 ・ブラダマンテ:9
・カーマ:10 ・上杉謙信:11 ・玉藻の前:3
・タマモキャット:2 ・ジャンヌ:6 ・ジャンヌオルタ:6
・宇津見エリセ:4 ・沖田オルタ:4 ・ゼノビア:1
・太公望:1 ・アルクェイド:2 ・マーリン:4
・ドラコー:2 ・ティアマト:1 ・リリス:4
・メタトロン:2 ・雑賀蛍:3 ・刑部姫:1
・テスラ:1
【絆レベル(箇条書き)内容は上のものと同じです】
・オルガマリー:7
・ロマニ:3
・ダ・ヴィンチ:3
・エルメロイⅡ世:3
・マシュ:5
・アイリスフィール:1
・芥ヒナコ:3
・項羽:1
・藤丸立香:14
・クレーン:1
・紅閻魔:2
・シバの女王:1
・ルーラーアルトリア:8
・ヒロインXX:10
・アルトリア:4
・アルトリアオルタ:2
・アルトリアリリィ:4
・モルガン/トネリコ:7
・バーヴァン・シー:2
・メリュジーヌ:8
・バーゲスト:2
・キャストリア:2
・ワルキューレ3姉妹:8
・加藤段蔵:6
・清姫:7
・ブラダマンテ:9
・カーマ:10
・上杉謙信:11
・玉藻の前:3
・タマモキャット:2
・ジャンヌ:6
・ジャンヌオルタ:6
・宇津見エリセ:4
・沖田オルタ:4
・ゼノビア:1
・太公望:1
・アルクェイド:2
・マーリン:4
・ドラコー:2
・ティアマト:1
・リリス:4
・メタトロン:2
・雑賀蛍:3
・刑部姫:1
・テスラ:1
【備考】
特になし。