FGO ANOTHER TALE   作:風仙

86 / 262
第86話 ぐだぐだ北条攻め

 長尾家は竹中半兵衛=エルメロイⅡ世という優秀な人材を織田家から引き抜いたが、これがバレたら反発を受けるのは必定だ。そこで長尾家はその前に北条氏を討って後顧の憂いを断つべく、彼らの本拠地である小田原城に攻め込んだ。

 小田原城は難攻不落で知られた堅固な城で、生前の景虎が10万もの大軍で包囲して攻撃したのを耐え抜いて撤退させたほどである。北条側はその史実を踏まえてか、長尾軍が城の正門の前に布陣しても出撃してくる様子はなかった。

 なお小田原城は、豊臣秀吉が攻めた時は城郭の総延長が9キロにもなる広大なものだったが、この時代では「八幡山」の辺りだけである。

 

「おおぅ、これはすごいな……」

「うむ、のぶ〇ぼで防御力が高めに設定されてるのも頷け……もとい。これを普通に攻め落とすのは至難だろうな」

 

 そのおかげで長尾側は城をじっくり見物する余裕があったわけだが、特に光己とⅡ世は感嘆しきりであった。

 特に空堀と土塁の高さと角度がえげつない。10メートルはあって45度くらいとなると、ちびノブならともかく史実の重たい鎧兜を着た人間の兵士が登るのはさぞ難儀したことだろう。

 

「で、どうやって攻めるの?」

 

 一見暢気そうな2人にオルガマリーがちょっといらついた口調で訊ねる。

 サーヴァントがいくら強いといっても、数百数千のちびノブに囲まれて集中攻撃を受けたらさすがにつらいので、単騎突撃の類はしてこないだろう。つまり必然的に軍勢同士のぶつかり合いになるわけで、Ⅱ世が言う「普通に攻め落とす」をしなければならないのだ。

 なのに今回の長尾軍の人数は史実の5分の1、2万人ほどでしかない。いくら名将に名軍師がついているといっても不安が頭をもたげるのは当然であった。

 

「いや、攻めはしませんよアニムスフィア殿」

 

 その問いに答えたのは景虎だった。

 つまり北条側が城を出て野戦を挑んでくるように仕向けるということである。史実では武田家がこれをやって失敗しているが、景虎には成算があるようだ。

 

「まずは堀と土塁と柵の設営ですね。向こうに攻めさせるわけですから」

 

 敵の目の前で防御設備をつくるというのはそれ自体が挑発なのだが、北条側は乗ってこなかった。

 光己とオルガマリーはアルトリアオルタといえば強気な暴君というイメージを持っていたが、置き換わった北条氏康の影響を受けているのだろうか。

 そして数日後、設備がだいたい出来上がった日の夜。城の上空に巨大な黒いドラゴンが出現していた。

 敵が攻めて来ているわけだから城兵の一部は不寝番をしているが、これには気づかないようで今のところ動きはない。

 

「ではマスター、本丸に1発撃ち込んでやって下さい!」

 

 川中島合戦の時と同様、ファヴニールの頭の上に乗った景虎が彼を煽る。

 光己はすぐには動かず、じっと本丸を見つめていたがちょっと不思議な何かを感じていた。

 

(戦争中でも星はきれいだし、戦闘が起こってなきゃすごい静かなもんだよな……って、あれ?)

 

 目を閉じて感覚に意識を集中すると、地上の辺りに無数の「光」の粒がきらめいているのを感じる。それは1人1人のちびノブで、彼女たちの生体エネルギー、あるいは魔力を光として認識しているのだと理解するのにさほどの時間はかからなかった。

 

(ファヴニールってこんなこともできたのか……そういえばフランスじゃファヴニールがワイバーンを生み出してんだよな。どうやるんだろう)

 

 まあそれは後日考えるとして、今は城攻めだ。もしちびノブとサーヴァントの区別がつくなら、大将を狙撃すれば一夜にして戦争を終わらせることができる。

 

「…………マスター?」

 

 なぜか竜がいつまでも火を吐こうとしないのを訝しんで景虎が声をかけてきたが、光己はもう少し待ってもらうことにした。能力に気づいたばかりだからか精度がまだ低いのだ。

 言葉で返事ができないのがもどかしい。

 そしてしばらく実践練習していると、城の一角に他とは桁違いに強く大きな輝きを2つ見て取れた。

 

(おお、あれは間違いないな。でもあれか、サーヴァントは家ごとに2人ってことなのかな?)

 

 長尾家も武田家も織田家もそうだった。根拠がないので断定はできないが。

 まあどちらにしてもやることは同じである。光己がいよいよ火球を放とうと口に魔力を集め始めると、「光」の片方も急に大きくなり始めた。

 

(……こっちを攻撃しようとしてる!? もしかしてバレた!?)

 

 偶然夜空を見上げて発見したのか、それともアルトリアは生前に竜退治をしたことがあるそうだからその経験からか、とにかくヤバい気配をビンビンに感じる。

 

(まずっ……!)

 

 ファヴニールは図体が大きいので小回りが利かない。回避は間に合わなさそうだ。

 アルトリアの宝具ならビームだろう。せめて景虎には当たらないように、光己はとっさに頭を後ろに傾けた。

 

「なるほど、あれが噂の流星の正体か。

 だが1歩遅かったな。『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』ーーーッ!!」

 

 そんな声が聞こえたような気がした直後、ビームではなく竜巻のような暴風の渦が光己の胸にぶち当たる。しかも今まで無敵を誇った「三巨竜の血鎧(アーマー・オブ・トライスター)」が突破され、鱗が剥がれ肉が裂け血が飛び散った。

 

(い、痛だだだだだだだだ!?)

 

 その上毒でも飲んだかのような不快感が体に残っている。いやそれとも呪いの類か?

 これが黒い騎士王の聖槍か。やはりすごいと認識を新たにする光己。

 結構な痛手だったが、しかしここ4ヶ月のヴァルハラ式トレーニングのおかげで仕返しするだけの根性は残っていた。

 

「マスター!? 大丈夫ですかマスター!!」

 

 頭の上で景虎が半泣きで叫んでいるが、返事はもう少し待ってもらうことにして、改めて口の中に魔力を貯める。

 

(今度はこっちの番だ! くらぇぇぇぇーーーッ!!)

 

 いつもの火球をアルトリアオルタめがけて吐き出す。オルタともう1人のサーヴァントは横に跳んで避けようとしたように見えたが、爆風が届かない距離まで逃げるのは無理だ。2人が吹っ飛ばされたのは知覚できたが、生死については爆風が煙幕になったため確認できなかった。

 

(ま、仕方ないか。痛いから帰ろう)

 

 下手に居座って万が一また聖槍ぶっぱされてはたまらない。光己は踵を返して、夜の闇の中に飛び去ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 光己と景虎が戻ってくると、長尾軍の本陣はちょっとした騒ぎになった。

 光己の胸の傷は魔術礼装の機能の1つ「応急手当」でおおむねふさがったが、呪いは解除できなかったので人間の姿に戻ったら歩くのもおぼつかなくなってしまったのである。正確には礼装を使う前に人間モードに戻ったのだが。

 

「マスター、申し訳ありません……私があんな策を提案したばかりに」

「いや、景虎のせいじゃないから気にしないで」

 

 景虎はまだ半泣きで謝っていたが、光己は彼女を責める気はなかった。

 実際光己が新スキルにこだわらずにすぐ火球を吐いていれば、アルトリアオルタの攻撃を受けずに済んだのだから。

 

「それにほら。アルトリアオルタの宝具を見られたのはラッキーだったって言えなくもないだろ?」

「……はい」

 

 マスターにそこまで言われては景虎も頷かざるを得ない。ただ彼女には治癒や解呪のスキルはないので、あとは毘沙門天に祈るしかなかった。

 とりあえず1番魔術に詳しいエルメロイⅡ世が診断してみる。

 

「……私も騎士王を侮っていたのは確かだな。反省せねばなるまい。

 それはそうとこの呪いは体力を削ぐが魔力は奪わないようだから、礼装で適宜治療していれば命に別状はないと思う」

「そう、よかったとはいえないけど安心したわ」

 

 Ⅱ世もオルガマリーもリリィも解呪はできないので、あとは光己の自然治癒力頼みとなる。最悪でもカルデアに帰ればワルキューレズとブラダマンテがいるから、ずっと呪いが解けないままということはないはずだ。

 

「今日のところはもう寝たまえ。君の話の通りなら、北条のサーヴァント2騎は生きていたとしても無傷ではあるまいから、夜襲は仕掛けてこないだろう」

「はい、それじゃお言葉に甘えて。

 あ、そうだ。景虎とリリィ、気をまぎらわせるためってことで添い寝してくれると嬉しいなあ」

「はい、喜んで!」

「も、もうマスターってば。そのくらいのお願いは聞きますけど、変なことはしないで下さいね」

「……いやその、人の意欲にヤスリがけするようなことはやめてもらえないか」

 

 夜中に光己の容態を見て適宜礼装で治療するのは、サーヴァント3騎の中で1番魔術に長けたⅡ世の役目となる。しかし、病人側が両手に花で鼻の下を伸ばしていては、モチベーションが削れまくるのは当然といえよう……。

 

「むうー」

 

 呪いをかけられた時くらいサービス5割増ししてもらってもバチは当たらないと思うのだが、医師(とは違うが)にクレームを入れられては仕方ない。光己はおとなしく1人で寝ることにした。

 ―――そして何事もなく翌朝を迎えて。長尾軍が小田原城を見てみると、本丸の辺りが全損して辺り一帯が廃墟になっていた。

 

「とんでもないわね……しかも全力じゃなくて苦し紛れの反撃でこれって」

「マスター強くなったんですねえ!」

 

 オルガマリーとリリィが驚嘆の声を上げる。

 しかし城内に騒ぎが起こった様子はないので、北条のサーヴァントはまだ生きている可能性が高い。

 

「今日のところは様子見かしら?」

「そうだな。ミスター藤宮も復調していないし、こちらから攻めるのは時期尚早だろう」

 

 オルガマリーの意見にⅡ世が賛成したので、この日は待機ということになった。

 しかし夕方まで北条軍に動きは見られなかったので、長尾軍は次の作戦を考える必要に迫られる。

 

「北条軍がドラゴンの存在を知ったのに攻めて来ないのは、サーヴァントが負傷しているからだと思うが、ここで手をこまねいていたらいずれは治ってしまうだろうな」

 

 Ⅱ世がまずこう言って議論の叩き台を提供する。

 つまりなるべく早く攻めたい、もしくは攻めさせたいのだが何か良い策はないものだろうか?

 

「しかし普通に攻めるとなると、いつまた聖槍を使われるか分かりませんからね」

「リリィ嬢の宝具で迎撃というのも難しいからな……」

 

 しかし景虎もⅡ世もすぐにはアイデアが出て来ないようだったが、ここで光己が手を挙げた。

 

「…………。リベンジしたいって言うなら絶対認めませんからね」

 

 オルガマリーの冷たい口調は逆に彼を心配する気持ちを表すものだったが、光己とてそこまで無鉄砲ではない。

 

「いや、俺は行きませんって。でもワイバーンで焼き討ちするならいいかなって」

「え……あ、そういえばフランスではワイバーンがいっぱい出てきてたわね」

「なるほど、ワイバーンなら撃ち落とされても懐は痛まないな」

 

 オルガマリーもⅡ世もこちらに損はない話なので反対はしなかった。

 ただ光己はワイバーンを産み出す具体的な手順は知らない。例の呼吸法で天啓を授かるしかないが、「人類の」集合無意識が竜種の生態についてそこまで知っているかどうかは不明である。

 なお自分が産み出した者に特攻させることについての倫理的な問題は、まずワイバーンが人類にとって敵対種であることと、人理修復という難業のためにはやむを得ないということでカタがついていた。綺麗ごとだけで戦争はできないのだ。

 

「他に案はないみたいだし、とりあえず試してみましょう」

 

 オルガマリーがそんな判断をしたので、光己は1人天幕の中にこもって呼吸法を始めた。

 

「スゥーッ! ハァーッ! スゥーッ! ハァーッ!」

 

 しばらく無心に瞑想したが、今回は反応がなかった。やはり知らないのだろうか。

 やっているうちに新陳代謝が進んだからか呪いが解けてきて、体はだいぶ楽になったけれど。

 

「――――――おお、来た!」

 

 しかし光己が諦めかけたその一瞬、知識の塊が頭の中で火花のようにはじけた。

 それによると大型の竜種は、(つがい)にならなくても単体で仔を産み出すことができるという。産んだ仔のほとんどは共食いやら何やらで死滅するが、その中で生き残った者が次の世代の邪竜となるわけだ。

 具体的な繁殖方式は細胞分裂、つまり体の表面からワイバーンが生えてくるというものだった。1度に産める数は個体差が大きいが、多い者なら月に数百頭ほどは産めるらしい。

 光己の場合は人間の姿になれる特殊例なので、事前に数日竜の姿を維持してしかる後に産生するという意図を持つことで可能になるようだ。

 

「…………ビジュアル的にはだいぶグロそうだな。イメージ的には卵産むよりマシだけど」

 

 まあ生態に文句をつけても仕方がない。粛々と実行するしかないだろう。

 ―――そんなこんなで1週間後、長尾軍に30頭のワイバーン部隊が参入した。

 ミッション実行は当然夜である。まず火縄銃が届かない高空で口内に火球をつくったら、急降下して兵舎など燃えやすそうな建物に吐きつける。吐き終わったらすぐまた上空に退避という、いわゆるヒットアンドアウェイ戦法である。

 散らばっていればアルトリアオルタの宝具は使いづらいし、もう1騎のサーヴァントもアーチャー以外なら同様だろう。

 

「それじゃ出撃ー!」

 

 光己が小田原城を指さしてそう命令すると、ワイバーン部隊はさーっと夜空に飛び立っていった。

 やがて城の所々で火の手が上がる。

 

「よし、うまくいった!」

「うーん。これ味方だからいいですが、敵が駆り出してきたらたまったものじゃありませんねえ……」

 

 苦労した甲斐があったと光己がガッツポーズを取ると、その隣で景虎がちょっと微妙そうな顔をした。何しろ生前と同じ時代と場所だからローマの時とは実感が違うわけで、こんな感想が出るのもむべなるかなといえるだろう……。

 ただこの機に攻め込むというわけではない。あくまで北条軍を城外に引っ張り出すための行動である。

 

「焼き討ちを防げなければ食糧庫も燃やされてしまうからな。サーヴァントは食事の必要はないが、アルトリアには我慢できまい。ちびノブには必要なのだし」

 

 だから焼き討ちが成功したら、次回を阻止するためにアルトリアオルタは必ず出て来る。それがⅡ世の観測だったが、はたして翌朝になると北条軍は総力を挙げて決戦を挑んできた。

 

「分かりやすいですねえ!?」

 

 リリィは自身の未来の食い意地の張りっぷりにちょっと恥ずかしくなったが、敵が来たからにはそんな私情は横に置いて戦いに集中せねばならない。

 まずは景虎が柵の内側からの射撃を命じる。

 

「私は鉄砲は苦手ですから三段撃ちみたいな真似はできませんが、まあ適当に撃って下さい!」

 

 きわめていい加減な指揮だったが、今はⅡ世が魔術で追い風、北条軍にとっては向かい風を起こしているので形勢は圧倒的有利だった。

 

「おお、これがあの有名な東南の風ですか……!」

「史実では天気予報をしただけだがな」

 

 光己は大げさに感心したが、当人は実にクールであった。

 

「それよりアルトリアオルタの姿が見えてきたぞ。集中攻撃だ」

 

 ちびノブは身長が1メートルほどしかないので、立派な馬に乗ったオルタは非常に目立つ。つまり良い的なのだった。

 彼女の傍らには立派な鎧を着た徒歩の騎士がいる。遠目にも強者チックなオーラを感じたが、正体はまだ分からなかった。

 

「そうですね。皆の者、不埒にもマスターを傷つけたあの黒い女を蜂の巣にするのです!」

「ノブー!」

 

 私情丸出しの命令だったが、ちびノブたちは忠実に従ってオルタを狙い撃ちにする。これにはたまらず、オルタはあっという間に傷だらけになってしまった。

 

「我が王! そのままでは危険です。馬から降りて下さい」

「むう、業腹だがやむを得んか。しかしその前に……!」

 

 オルタはやられっ放しのまま下馬するのは不満のようだ。手に持った黒い聖槍を天に掲げ、宝具開帳の準備を始める。

 

「聖槍、抜錨……!」

 

 槍の周りに黒い旋風が渦巻く。その様子は長尾軍からもはっきり見て取れた。

 

「リリィ、頼む!」

「はい!」

 

 しかしこの状況なら宝具同士をぶつけて相殺できる。光己がリリィに出動を求めると、少女騎士は颯爽と柵の前に出て選定の剣を構えた。

 

「……見ていて下さい、貴方に勝利を!」

「む、あれはもしかして王位に即く前の私か? 面白い」

 

 オルタの方もリリィの出現に気づいたようだ。当然のように宝具対決に応じる。

 

「突き立て! 喰らえ! 13の牙! 『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』ーーーッ!!」

「多くの笑顔が、ありましたから! 希望を示せ! 『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』!!」

 

 黒い竜巻と金色の光条が激突する。

 普通なら、傷ついてはいても最盛期の姿であるオルタの方が強いと思われるだろう。しかしリリィにはマスターがいて、しかも彼は仲がいいサーヴァントに強力なバフをかける技能を持っていた。

 竜巻が光条に押されて下がっていく。

 

「馬鹿な、子供の私に引けを取るだと!?」

 

 オルタは信じられないような顔をしたが、その間にも光条が迫ってくる。ついに完全に押し負けて、オルタは愛馬と一緒に地面に倒れ伏した。

 

 

 

 

 

 

 しかしここで手を止めるほど長尾軍は優しくない。光己はすぐさま追撃を指示した。

 

「リリィ、もう1発だ! 令呪を以て命じる、宝具でオルタを倒せ!」

「はい!」

 

 命まで取るのはリリィの流儀ではないのだが、傷を癒して再戦を挑まれては困ることは分かっている。マスターの指示通り、再び宝具を開帳した。

 

「この一撃で、決着をつけます。『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』!!」

「―――!」

 

 再び飛んできた光条に、もはや満身創痍のオルタは成すすべもない。しかしその前に騎士が割り込み、我が身をもって盾にした。

 

「ランスロット卿!?」

 

 オルタの言葉からすると、騎士の名はランスロットというようだ。かの円卓の騎士の中でも「最高の騎士」と謳われた英雄である。

 そしてその股間に光条がクリティカルヒットした。

 

「~~~~~~~~~~~~~!!!???」

 

 いかな最高の騎士でもこれはたまらない。ランスロットは末期の言葉を残す間もなく退去した。

 

「…………え、えっと。わざとじゃなかったんですけど」

 

 冬木の時に続いてまたも急所攻撃をしてしまったリリィがちょっと弁解がましいことを言ったが、強力な敵サーヴァントを一撃で倒したのだから結果オーライということでいいだろう……多分。

 しかしランスロットのおかげでオルタは助かっている。景虎はとどめを刺そうと前に出たが、リリィは腕を上げてそれを止めた。

 

「リリィ?」

「……とどめは要りません」

 

 景虎はリリィの言葉の意味が分からなかったが、とりあえず足を止めてオルタの様子を窺う。すると黒い騎士王は槍を杖にして立ち上がったが、もはや戦う意欲と力は残っていないように見えた。

 

「フン、かばってもらったはいいがやはり負けか……いや、こうして心の準備をする時間をもらったとでも思っておくか」

 

 オルタは最後にそう言うと、光の粒子となって消えていった。

 

 

 




 ファヴニールって味方運用だとホント有能ですな(^^;
 魔力を光として知覚するというのは漫画版の設定であります。
 ワイバーンは食事は必要でしょうからむやみやたらには産めませんが、5章や7章なら敵のケルト兵や魔獣をそのまま食べればいいわけですよね。ガチで正面対決できるんだろうか。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。